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【ナルコス:メキシコ編】シーズン1前半の感想:絶対ハマるNetflixドラマ、面白さに陰りなし

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ナルコシストの皆さん、ナルコってますか。(響きがかなりイリーガル)

日本に帰郷して早4か月。パーソナルスペースの狭さに耐えながら、入院手術リハビリのストレスから円形脱毛症ができてしまった健気な娘をサポートしながら、電車で人民が嫌がらせのように放つ異臭に耐えながら、旦那に呪い節を吐きながら、今日も生きてるG・オールドウーマンです。

割と本気でアメリカに帰ろうかと考えているの。日本は住みやすいという声をよく聞くけれど、全然住みやすくないよ!

便利は便利だけど細かい規制が多すぎるし(ゴミの分別が許せないレベル)、医療へのアクセスは世界一優れているけれど、ヤブ医者が多かったり、インフォームド・コンセントや医者の意識(セカンドオピニオンを嫌がるとか)が患者のためにあるべき水準に達していなかったり。

住んでみて幸せかどうかと言われると、そうでもないんだよね。今度また記事にしようかと企画しているんのだけれど、何を扱ったらいいですか。

自分の家族がいるのは幸せだけれどね。皆さんも、今日は家族の有難みを感じましょう、さぁさあ、一緒に。

ナルコシストといえばやなぎやさんと私、ペドロ・パスカリストといえばやなぎやさんと私、カルテリストといえば私、そんな私が語る【ナルコス:メキシコ編】のシーズン1の感想です。

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アルジェンティーナが誇るチャールズ・ブロンソンことペドロ・パスカル

ペドロ・パスカリストには悪いんだけど、ペドロ・パスカルは出ない。でも【ナルコス】のパブロ・エスコバールと部下のブラッキー、カリ・カルテルのゴッドファーザー3名がちょこっと出るから許してやって下さい。

【ナルコス:メキシコ編】の作品情報と登場人物についてはこちらをどうぞ。

 

【ナルコス:メキシコ編】シーズン1あらすじ

1980年代、まだメキシコの麻薬カルテルが存在していなかった頃、メキシコ全土にわたる中小規模の各麻薬組織を統合して密売人連合を作り、のちにグアダラハラ・カルテルのボスとなった、名前の長さには定評のあるミゲル・アンヘル・フェリックス・ガジャルドを描く。

前半は彼がメキシコ全土の麻薬組織を統合してアメリカへ大麻の空輸というチャネルを開くまで、そして新しくコカイン市場に目をつけ、コロンビアのカルテルのゴッドファーザーたちと顔を合わせるまでを描く。

他方、まだ新しい組織のアメリカ麻薬捜査局は、大規模な大麻密売組織の存在を嗅ぎ付けるが、麻薬撲滅作戦に関わるメキシコ当局までもが麻薬組織に取り込まれていることを把握する。

 

【ナルコス:メキシコ編】シーズン1の感想

【ナルコス】はおもしろい。

麻薬カルテルを称賛する気は毛頭ないが、パブロ・エスコバール然り、ミゲル・アンヘル・フェリックス・ガジャルド然り、麻薬カルテルと言えどもトップに上り詰めて麻薬帝国を築き上げた「ゴッドファーザー」には非凡なビジネスの才覚があったことが垣間見れる。

事業的才覚だけでは長年トップに居座ることはできないだろう。この二人には豪胆さもあった。パブロ・エスコバールが感情的で独裁的なリーダーであるのに対し、ミゲル・フェリックスは冷静で自分の感情をコントロールするのに長けていたようだ。ミゲル・フェリックスの出自が警察であり、大学でもビジネスを学んだことから、単なる反グレではないことは明らかだ。

元メキシコ警官のフェリックスはメキシコ全土の麻薬組織を統合し、メキシコ初の密売人連合を作ろうとする。ところが、メキシコの密売人全組織が手を結ぶという空前絶後の取り決めが実現しうる最後の段階で、フェリックスは自身のボスによって計画をオジャンにされてしまう。

フェリックスが提案したメキシコ全土の麻薬組織連合を作るという「プラサ合意」で、フェリックスのボスが敵対するボスと和解することを拒んでしまったのだ。このボスはフェリックスとは異なり、大局的な見方も将来のビジョンもなかった。

フェリックスのボスは、結局そのつまらないプライドとエゴによって命を落とすことになる。この頃には当初フェリックスを小ばかにしていたドン・ネトなどもフェリックスを一目置くようになっていた。

フェリックスのメキシコ全土の麻薬組織をまとめあげた手腕は、コロンビアのカリ・カルテルの4人のゴッドファーザーを彷彿とさせる。カリ・カルテル同様にフェリックスのカルテル構想もビジネス色が強かった。

一方アメリカのDEA(アメリカの麻薬捜査局)の状況はというと、このときはまだ新興組織であり、メキシコでは肩書だけあるものの有効な対策どころか仕事さえないような状況であった。

仕事は「情報収集」だけ。情報を収集したところでアクションを講じるわけでもなく、勤勉なDEAのキキ(マイケル・ペーニャ) にはフラストレーションがたまる毎日が続く。

そんなキキが上司と同僚の2人とともに、麻薬組織という氷山の一角を少しずつ少しずつ発見していき、州知事、上院議員、DFS(メキシコ情報局)の局長たちなど、麻薬撲滅作戦のメンバーたちが麻薬組織とつながっていることを突き止める。

これを見る限り、当時のメキシコは、DFSや警察が麻薬組織並みに酷い。今はだいぶ警察もクリーンになったようだが、警察や政治家の汚職はいまだに存在していて、メキシコの治安が安定しない原因の一つになっている。

ドキュメンタリー「カルテルランド」でも住民が言っていたように、平和で安定した日々を送れるなら、(統治するのが)カルテルだろうが警察だろうがどちらでも構わない、というのが住民の本音だろう。

それまでは一見意味のなさそうなシーケンスがジワジワと一本の線につながっていく様子はやはり【ナルコス】。

ミゲル・フェリックスは、ビジネス思考のカリ・カルテルか、激情型のパブロ・エスコバールのメデジン・カルテルか、2つの選択肢を与えられる。ミゲル・フェリックスが選んだのはもちろんカリ・カルテル。

しかしミゲル・フェリックスとカリ・カルテルの契約を嗅ぎ付けたパブロ・エスコバールが黙って静観するわけなく、ミゲルは半ば強引にパブロ・エスコバールとも血の契約を結ぶ。

思えば、ミゲル・フェリックスがコカイン市場に目を付けたこの時が、ミゲルの転落と、メキシコの惨劇へのターニングポイントだったのだろう。(とはいえ、ミゲルが自分で言っているように、彼がやらなければ他の誰かがコカインに目を付け、コロンビアのカルテルと取引していたのには違いないだろうが。)

あのまま大麻だけを取り扱っていたら…マリファナが世界的に合法化される動きを見ても分かる通り、彼のカルテルは世界最大のマリファナ製造会社として今後何十年も栄華を極めていたに違いない。

ドラマのより良い理解のために少し説明しておくと、日本ではマリファナ(大麻)もコカインも同じような扱いをしていて大麻やマリファナと聞くだけで拒否反応を起こす人が多いのだが、実はこの2つはまったく異なるものだ。

賛成も推奨もしないが、私にとってはマリファナはむしろタバコと同じ扱いである。海外に長く滞在した人なら分かるだろうが、イギリスとアメリカではマリファナがかなり普及している。タバコのニオイを嗅ぐ機会とマリファナのニオイを嗅ぐ機会は同じくらいと考えてもいい。

極端な話、たとえば娘がティーンエイジャーになったとき、我が家がアメリカにいたとして娘が好奇心からマリファナを吸ってしまったとしても、タバコよりはマシかぐらいにしか思わない。

今後、世界的にマリファナが合法化されていくだろう。好き嫌いは別にして、世界はそのように動いている。マリファナ市場の巨大さとその税収の魅力に最終的にどの国の政府はイエスと言わざるを得ないだろう。

マリファナに関してはイギリスもアメリカも違法であった時もすでに普及していたのだから、税収が取れた方がいいと考え、合法化を目指す動きは当然ともいえる。30年後にはアメリカ全土でマリファナは合法化されているだろうし、世界の多くで合法になっているだろう。

マリファナに対してこうした捉え方や背景を理解できていないと、ミゲルのコカイン密輸取引の決断にラファが大反対した理由や、大きな変化であることがなかなか掴めないので、このドラマを見る際にはコカインとマリファナがどれだけ違うか、頭の隙に入れておくとよい。

本作でミゲルの弟分のラファがコロンビアのコカインを運ぶ取引に反対したのも頷けるし、直情型のラファでさえ、それが誤った決断であることを予想できていた。ラファの言葉を借りると「悪魔の粉」にビジネスとして手を出すことは、大麻を育て密輸する犯罪者とて躊躇することだったのだ。

ラファとミゲルの決断がそのままそっくり逆の方が説得力があるくらいだが、ミゲルの動機は「俺がやらなきゃ、他の誰かがやる」というもので、ここに普段感情を見せないミゲルの果てしないエゴが内見する。

第5話辺りからドラマはどんどん加速していく。

【ナルコス】でパブロ・エスコバールを演じたヴァグネル・モウラはすっかりパブロ・エスコバールが板についているので、久しぶりにヴァグネル・モウラが見れて得した気分。パブロ・エスコバールの忠実な部下、ブラッキーもついてきましたよ。

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