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Netflixドラマ「ダーマー」実在の連続快楽殺人犯を描いたドラマの感想

ダーマー@Netflix

おはようございます。

Netflixドラマ「ダーマー」を視聴しました。

ここんところ、ネトフリは70~80年代を騒がせた連続快楽殺人犯ものをよくリリースさせてますね。

本音を吐露すると、連続殺人鬼をコンテンツ化したものはあまり好きではないんだな。人を大量に殺しておいて注目させちゃうって軽薄、ミーハー。何より被害者の魂と被害者の家族の心情を考えたら決して喜ぶとは思えない。事件の内容がショッキングであればあるほど注目値が高まるというのも皮肉よね。

それを言うなら、ここで取り上げてる私も碌な輩じゃないわ。だからホラー映画とかホラードラマの方が好きなのよ!フィクションだから!

但し、そういったホラー映画なんかもダーマーを始めとする連続殺人鬼たちをモデルにしてたりする。気狂いピエロの「IT」はピエロの格好をして少年ら33人を殺害したジョン・ウェイン・ゲイシーをモデルにしているし、「羊たちの沈黙」「サイコ」それから「テキサスチェーンソー」のレザーフェイスはエド・ゲイン*から着想を得たものである。*エド・ゲイン…遺体を解体して食人したり、人の皮膚で椅子やゴミ箱、仮面など日用生活雑貨一切を作っていた猟奇殺人犯(1906~1984年没)

ダーマーについて初めて知ったのは十代、元FBI捜査官のロバート・K・レスラー著「FBI心理分析官」を読んだ時でした。

ダーマーに限らず、とても現実とは思えない凄惨な内容の事件が多く、恐怖に震えたのを覚えています。

ジェフリー・ダーマーは判明しているだけで17人を殺害していますが、軍に入隊後ドイツ駐留時代に5件の未解決事件が発生しており、自白はしていませんが犯人も不明なままなので、これらの殺人事件もおそらくダーマーの犯行ではないかという声が根強いです。

 

Netflixドラマ「ダーマー」感想

ダーマーの犯行について事前知識があったため、このドラマを観るのは、しばらく二の足を踏んでました。だって10代~20代の少年青年を狙って頭にドリルをあけて酸を入れてゾンビ化しようとしたとか、「FBI心理分析官」を読んだ時、もう意味わかんなかったもん。

前半6話までは非常にキツイ展開が続きます。

ダーマーがどのように標的を誘って自室に招き入れ、どのように被害者を拘束して監禁したか、そして被害者が身の危険を感じ始めてから逃げようとするまでの重苦しく恐ろしい時間を延々と観る羽目になります。

第1話の逃げおおせた黒人男性が「こいつヤバイわ」と感じてから逃げるまでのあの時間が恐ろしい…隣でアブナイ奴が巨大な肉切りナイフを手にして座ってて、血がマットにべっとりついたベッドの上に座って一緒にホラー映画観てるんだわ…嫌やぁ…帰りたいわぁ…

狩り~殺人描写は、正直、ここまでやる必要ある…?て思うくらい気持ち悪かったわ。いかにも死臭が臭ってきそうだったわ。

上述したように連続快楽殺人犯に焦点をあてたコンテンツはあまり好きじゃなく、できれば「マインドハンター」みたいに捜査官の長年の捜査努力を描いた方が好きなんで、全10話のうち6話も使ってダーマーの殺人解体工程を詳細に描かれてもドン引きするだけというか…そこから感情的に得られるものって何もないよね。死姦の直接描写がなかっただけマシかもしれんが…

連続快楽殺人犯、猟奇殺人犯たらしめる原因は何なのか、という研究は70年代から続いているけれど、「脳が殺す」という書籍では、①虐待、②脳(前頭葉)の損傷、③ヒステリックな母親、が三大原因とされています。

ジェフリー・ダーマーも例に漏れず、母親が情緒不安定で妊娠中から26錠もの錠剤を飲んでいたことやヒステリーで父親と年がら年中喧嘩していたことがドラマ内でも描かれています。母親の薬の影響で脳に障害があったことは十分考えられます。

ドラマ内では物理的な虐待については描かれていませんが、ダーマーが8歳の時に同級生から性的虐待を受けています。

それからダーマーが高校時から大量に飲酒していたことも見逃せない事実です。

後半の4話でダーマーというモンスターが作り上げられた過程と、逮捕後の様子、ダーマーが刑務所内で他の囚人に殺されるまでと、ダーマーの被害者の遺族や、ダーマーが殺人解体していたアパートの隣人たちの苦悩(その後も悪夢に悩まされた)、警察の失態などが描かれます。

ロバート・K・レスラーの著書にも、被害者の14歳の少年が逃げ出したにも関わらず、警察がダーマーの口から出まかせを鵜呑みにして少年をわざわざダーマーの自室に戻したという失態が書かれていましたが、実際は他に例がないほど酷い有様でした。

警察の失態や人種偏見のある判事(ダーマーが白人男性、通報者は黒人女性、被害者はアジア人男性、そしてゲイであるために通報されても「ゲイの痴話喧嘩だろう」と軽く見られていた)のせいで、事件解決が遅れ、より多くの人々が命を落としたという人種的背景の側面を描いてくれたのは意義深かったかな。残念ながら2022年でもこの側面はあまり変わってないように思うけれど。

ラオス人のお父さんの無念たるや…ダーマーの隣人の良識ある黒人女性の思いやりがせめてもの救いだったね。

主役のエヴァン・ピータースは頑張ったね。見た目もかなり似せてきてた。

二つ批判したいことがあります。一つ目は時間軸がやたらめったら飛ぶこと。

第1話は、ダーマーが逮捕されるきっかけとなった被害者の話。被害者の黒人男性は間一髪逃げおおせることができて、ダーマーの部屋に警察を連れて行ったため、やっとダーマーは逮捕されました。

最後の殺人未遂→狩り→生い立ち→最初の殺人→逮捕後という大まかな時間軸のなかで、ところどころに回想や過去の話が挿入されるんで、かなり混乱するのよ。一貫性がなく、あちこち乱雑な印象を受けましたわ。あんなにちょこちょこ挿入する理由は何なんだろう。

それから二つ目は最後の方に気狂いピエロ「ジョン・ウェイン・ゲイシー」を藪から棒に紹介していること。なんなん、あれ。ネトフリの「殺人鬼との対談:ジョン・ウェイン・ゲイシー」の番宣?そのうちゲイシーのドラマも作ってしまうのではあるまいな…