アイヤー!
私は今日からバーバリアンになります。
オバタリアンでもバタリアンでもないよ、バーバリアンだよ。
今かんがえてみるとオバタリアンという言葉はとても鋭く中高年女性の生態を言い当てた言葉だと感心しているんだ。
もともとバタリアンというのは英語のbattalion(バタリオン)からきていて、意味は軍の大隊とか中隊とか所謂「部隊」を意味する言葉なんだ。
80年代にダン・オバノン監督のホラコメ「バタリアン」がリリースされたが、この映画はよくテレビでも放映されていたので、映画を観ていない人もバタリアンという言葉だけは耳にするようになった。
やがてオバタリアンという造語が作られたのだが、これはオバさんとバタリアンを結合させた複合語である。中高年女性が同志となり、ミッションを達成するために恥をかき捨て集団で喧騒するというネガティブワードである。
いつしかこの言葉も廃れて今では誰も使わなくなった。オバタリアンも世代交代して隊形がいつしか失われていったからだ。
インターネットが台頭すると、タイピングするのが面倒くさいことと略称で済ますことで卑語を呟く罪悪感と責任を分散させようという思いが相まってか、BBAという言葉が生まれた。
今ではBBAも廃れつつある。
グローバル化により経済格差が広がるにつれ、世界の治安も乱れつつある。
そのうち「ババリアン」という言葉が聞かれるようになるのではないか。
そんなことを想いながらNetflix「バーバリアンズ」を観終わったのでお送りします。
前半戦読むのめんどくせ!という人のために簡単に説明すると、バーバリアンズは紀元9年ごろ、ローマ兵を相手にゲルマン人が反撃する話を描いています。
【バーバリアンズ】シーズン1のあらすじと感想
トゥスネルダとアルミニウスが結婚
ローマへの反乱を決意したトゥスネルダ(女)、フォルクゥイン(男)、そして幼い頃にローマに里子に出されてローマの指揮官に収まっていたアルミニウス(男)という幼馴染の3人。
トゥスネルダとフォルクゥインは恋仲だったが、ゲルマン民族を団結させるためにトゥスネルダとアルミニウスが結婚する。
というのも元はゲルマン人だったとしてもローマ指揮官になっているアルミニウスを部族長として受け入れたらゲルマン人からの反発は必至、なのでゲルマン民族が勇気ある預言者とみなしているトゥスネルダと政略結婚させることによって反発心を解こうという作戦である。
フォルクゥインは政略結婚を提案したアルミニウスに殴りかかるが、やむを得ず最終的には合意する。
当時はこうした政略結婚が多かったのだろうな。まぁ私の祖父母世代でもお見合いというものが多かったわけだしね。
自分たちの民族の遺伝子を残すために個人としての生き方を犠牲にする、という考えは今の時代にはそぐわないけれど、民族が淘汰されれば自分の生き方もへったくれもないわけなので、当時の政略結婚というのは半ば自分の生存にも関わるという仕方のない面もあるわけだ。
あぶれたイケメンのフォルクゥインとしては納得できない話ではあるが。
アルミニウスの実父セギメルスが自殺
アルミニウスの父で部族長のセギメルスは、その辺一体を支配征服していたローマの総司令官ウォルスに呼び出され、「お前の息子のアルミニウスを部族長にしたから」と一方的に告げられる。
もはや無用の判を押されたセギメルスは立場をわきまえ、湖に投身自殺してしまう。アルミニウスは馬で疾駆して助けに向かうがセギメルスを見つけられず絶望する。
アルミニウスとしては父に怒り(ローマに奉公に出された)と愛情というアンビバレントな感情を抱いていただろうが、その感情をぶつける機会もなく父を失ってしまい、たまらない気持ちだったろうなぁ。
とはいえ、父を失ったこの悲劇はアルミニウスがローマに反旗を翻す意志(もしまだ迷いがあればの話だが)を強固にしたと思うね。
アルミニウスも生みの父と生まれ故郷への愛と育ての父ウォルスとローマへの忠誠心との間で揺れている部分は絶対あるはずだからね。
アルミニウスの育ての父ウォルスへの葛藤は最後まで続くのだが、いかんせん全6話なのでもっと観ていたいという欲求不満が残りました。
トゥスネルダの父セゲスタスがローマに密告
ローマの進軍を討つため、ローマの戦術を良く知るアルミニウスが戦術を立てる。
ゲルマン民族たちもアルミニウスのことを半ば信じつつも信じきれない感じで、受け入れる者もいれば、嫌悪感を露わにする者もいる。
ただし、ドラマや映画でよくあるように公に「裏切者」に嫌悪感を示した人物というのは忠誠心が強いことの表れでもあるので、往々にして最も信頼できる人物でもある。このドラマでも最後のバトルではこの人物がアルミニウスを裏切ることなく好戦していた。
一方でアルミニウスを裏切ったのは、かねてからローマのケツを舐めまくっていたセゲスタス。娘のトゥスネルダとは真逆の臆病者であり、事大主義の卑下すべき人物である。
セゲスタスはアルミニウスがローマ軍に戻ったときにやってきて、アルミニウスの目の前でウォルスにこう云う。
セゲスタス「あのですね、ウォルス様。あいつ裏切りますよ。ローマ軍を森の中に引きこんでゲルマン民族に攻撃させるつもりなんですよ!そう言ってました!」
セゲスタスは計画を全部ぶちまけ、ウォルスも眉を顰める。
しかしアルミニウスが「あーそうねー、ローマ軍を森の中に引き込んで攻撃させるつもりですよーはいはい」みたいにあしらうと、ウォルスは笑い出してアルミニウスに「セゲスタスはバカ者だな。私はお前を信頼している」と告げる。
セゲスタスは「ちょっ、話を聞いて下さいよ!ヤバイですよ!」と叫びながら、近衛兵に追い出される。
セゲスタスの裏切りには苛々させられるが、セゲスタスはドラマを面白くするために最も必要なキャラ。セゲスタスがいないとドラマは面白くならないし、メインキャラの勇猛さ、誠実さ、忠誠心などが生きてこない。
なので、この場で感謝の意を込めてこう言わせてもらおうじゃないか。
ありがとう!セゲスタス!!と。
フォルクゥインはローマに捕まる
アルミニウスとトゥスネルダと森の中で別れたあと、フォルクゥインはひとりで野営しているところをローマ軍に捕まり、奴隷として檻の中に入れられクサクサしていた。
あれ以来めっきり存在感を失ってしまったフォルクゥイン。
アルミニウスとトゥスネルダのもとに報告が入り森の中の野営地に行ってみると、そこには死体があり、フォルクゥインの狼の牙のペンダントが残っていた。
フォルクゥインが死んだと思ったトゥスネルダ。まもなくアルミニウスの妻として生きていくことを決意し、アルミニウスと結ばれます。あぁ、恋のトライアングル。
フォルクゥインは檻の中で美女に出会ったので、もしかしてフォルクゥインの新しいロマンスが芽吹いた?
フォルクゥインは女性にはベルラフと名乗る。
なお、アルミニウスが檻中のフォルクゥインを目撃し、こっそりと会話を交わすのだが、アルミニウスは戦いが終わるまでトゥスネルダにはフォルクゥインが生きていることを言わずにいた。
トイトブルク森の戦い
さぁ、いよいよローマが不安分子を討伐するために出陣します。
ゲルマン人たちは、ローマ軍側に一時戻ってしまって帰って来ないアルミニウスをいまいち信用できず、ローマ軍と戦うなんてやっぱあたおか、という不満も出てくるが、そこは残された族長の妻トゥスネルダが預言者になりきって片目を傷つけて神への犠牲ですとか言って無理くり団結させる。
片目を傷つけるシーン痛そうだったー。なんてこトスルネダ。
でも奥目なので割とセーフ。
ローマ軍が森の中へやってきましたー。
ウォルスの隣の騎馬に乗るアルミニウス。
アルミニウスは途中で左翼を森の中に誘導していきます。
アルミニウスの戦術はこう。
ローマのファランクス(密集陣形)の片翼をアルミニウスが本隊から誘導して森におびき出し、蛇のように細長い陣形にさせた上で頭、胴体、尻尾をひとつひとつ潰していく作戦である。細長いので襲撃の報告が本隊の指導者に届く前に部隊は全滅させられ、本隊は何が起きているのか知らないまま戦力を失っていく。
これが史実のトイトブルク森の戦いというやつ。
戦闘は最後の1話だけで終結してしまうので、沼沢地だとか嵐だとかゲリラ戦だとか連日の待ち伏せ攻撃という面白い戦況は全然観られなくて残念極まりない。
ここはやっぱり6話ではなく全10話にして欲しかった…
ヒットするかしないか分からないコンテンツに最初から予算をかけるのはやめようというトレンドを引き継いでいるのかもしれないねぇ。嫌だねぇ。
そこを10話にしてトイトブルク森の戦いを詳しくしつこく描いていたら…超ヒットしたんじゃないの?第二、第三のゲースロやヴァイキングになってたと思うよ私は。
えー、戦い自体は時間の関係もあってミニマルです。白兵戦もほんの数分かな。
待ち伏せ攻撃されたローマ軍が「アルミニウス!どうすればいい!?」と振り返ったらアルミニウスが仮面を外して味方に「キル・ゼム・オール」というところだとか、トゥスネルダの号令だとかは格好良かったです。
フォルクゥインもローマ軍と一緒に奴隷のまま歩いていたので、戦いが始まるや素手でローマ兵を殺したりと頑張りますが、おい、もう少し見せてやれ、せっかくイケメンなんだから。
いよいよゲルマン民族らが本隊の横に現れたとき、ウォルスはアルミニウスを見つけます。
ウォルスもさぁ…もっとワルそうでイカついおっさん使ってくれればいいのに、老いたガブリエル・バーンみたいなお爺ちゃん起用してるもんだから、なんかもう可哀想になっちゃって。
ウォルスはおもむろに下馬すると、鎧を外し、通訳に「お前、もう自由な」というと、アルミニウスの方に歩いていき、自決してしまいます。
なお、セゲスタスとあるゲルマン部族首長(蛮人)は、戦いが始まる前に戦隊を離れていたのだが、勝機がゲルマン民族にあるとみて突然の加勢。ゲルマン人に「お前、今さら戻ってきて何なんだよ」と言われる。
セゲスタスに至っては自決したウォルスの首をおもむろに刎ね、
「勝ったどー!」
みたいなパフォーマンスまでする。
どこまでも嫌らしい!
そんなセゲスタスには感謝しかない。ありがとぉぉぉぉ。
そんなこんなで戦いに勝ったゲルマン人たち。
戦いを勝利に導いたことで、アルミニウスもゲルマン民族の指導者として認められるようになった。
アルミニウスはフォルクゥインが生きていたことを戦いが終わるまでトゥスネルダには言わなかったが、トゥスネルダは責めることなく、「私はアルミニウスの妻」とだけいう。
トゥスネルダはフォルクゥインとも話すが、状況も変わってしまった今、あの頃とはすべてが異なり、もとに戻ることはできないことを悟る二人。
フォルクゥインがこれからどうなるのか分からないけど、アルミニウスにはかなり怒りを抱いていて「いつか殺す」宣言もしていたので、敵対する可能性がないとも言い切れないね。
というわけでシーズン2が楽しみな「バーバリアンズ」ですが、今年はシーズン2のリリースはなさそうなんだよね…残念…