Netflixの新作ドラマ「オハイオの悪魔」を観た感想です。
同名の本が原作のようです。
ネトフリのドラマや映画は、本を原作にしたもの以外はハズレが多い印象なんだけど、本作は本を原作にしていてもハズレだと思いました。ここんところ、いつもやらかしてくれるネトフリ様といったん別れるべきかいつも悩む。
「オハイオの悪魔」粗筋と感想
オハイオ州のカルト集団から抜け出した十代の少女を保護した精神科医のスザンヌ(エミリー・デシャネル)は、やがて自らの家族の命運さえも危険に晒してしまったことに気が付いていく・・・
というようなスリリングなカルトスリラーもの、の筈なんだけど。
の筈なんだけどね?
主演は「ボーンズ」の天才骨骨博士エミリー・デシャネルで、本作では精神科医で娘三人の母親を演じている。
デシャネルには二人の実の娘と養子にしたアジア系の末娘がいて、そこにカルト教団から命からがら逃げだしてきたメイという少女を里親が見つかるまでの間、保護することになる。
メイの背中には五芒星の形で生々しい傷が残されていた。
タイムスリップしたかのように、現代の若者の感覚からズレたメイに長女は猜疑心を隠せず(君子危うきに近寄らず)、末っ子も軽く痛い目に遭わされたのでメイを避ける。長女のように社交的でもなく友達も少ない次女のジュールスだけは、メイの傷を目撃して同情し、友達になってあげようとする。
そんなジュールスにメイも怪しいトウモロコシの人形を作ってあげたり、夜中真っ暗な中、ジュールスの寝床に立って驚かせたりして応える。怖いわ。
で、メイを追ってくるカルト教団からメイを守る話なのかと思いきゃ、メイが徐々に不可思議な行動をとるようになる。まず、デシャネルのヘアーブラシを盗んだり、ジュールスの大切なTシャツを盗んだり、写真を盗んだりと手癖が悪い。
とは言っても、メイは見境なく窃盗を働いているわけではなく、裏庭の自前の祭壇に飾るために盗んでいるのであった。(おそらく悪魔様の祭壇)
カルトの洗脳が解けていないのから伝統や慣習が抜け切れていないのかしらねぇ、と微笑ましく思っていると、メイは次第にあざとさを見せるようになる。
あざとさ高じて、せっかくマブダチになってくれたジュールスの御気に入りの少年にうまく取り入ってプロムダンスに誘われたり、背中の傷とトラウマを転じて利用し高校でも一気に人気者のヒーローになるのだった。
さすがのジュールスも「なんだこいつ」と思うようになり、途中からメイを避け始める。父もメイが来てから娘たちの様子がおかしいことに気づいており、ある日、「私を追い出さないで」と脚にすがってきたメイを「こいつ気持ち悪ィ」と思い始め、ついにデシャネルにメイを追い出すように言う。
ところが、そんなことが起きているとはつゆ知らずのデシャネルは、自分の過去にメイを重ね、トラウマのせいと考え、家族よりメイばっか優先する。
カルト教団の真相を探るためにロペス刑事と協力したりするのだが、デシャネルに緊張感がなく、まんま「ボーンズ」のブレナン博士でいつも冷静沈着で焦ることがないので、観ているこちらも全然焦らない。スリラーなんだから、少しは焦ってくれ。焦らせてくれ。
被害者であるはずのメイがあざとさを見せてデシャネルを除く家族から総スカンされるので、もはやカルト教団がメイを連れ戻しにこようがこまいがどーでもいい、という心境になってしまうのです。
カルト教団もカルト教団らしくないのが致命的。デシャネルがメイの自宅を探りに行ってガソリンスタンドか整備工場で「○○さんのお宅は?」と聞いた瞬間に4~5人の男がどこからともなく現れて囲まれるというシーン以外、怖いシーン一切ナッシング。「ボーダーランド(2007年)」でショーン・アスティンを追いかけてきた拉致部切り込み隊長を少しは見倣って欲しい。
プロムクイーンが約束されていた長女を押しのけ、下級生で転入生のくせにちゃっかりとプロムクイーンに選ばれたメイだが、受賞式の際中に忽然と姿を消す。
デシャネルは「大変や!カルトにさらわれた!メイを助けにいかんと」と車を走らせ、孤軍、カルト教団のアジトに向かう。
父は娘3人をピックアップして家に向かうが、家に五芒星の印が付けられていたのでそのまま転職先のアパートに向かう。でもその後は何もしない。娘が「ママがメイを助けに向かった」と言っても何もしない。
・・・?
何もしなくていいんか?
仕事のことや子どもの送迎、メイをめぐる意見の相違で、夫婦の関係も少し冷めつつあったので仕方ないで済ます気か?
メイは生贄として生きたまま焼かれるところだったが、デシャネルがすんでのところで救い(ていうか、メイが雛壇から我先に飛び下りる)、代わりにメイの実母が自ら生贄の身代わりになる。
遅れてきたロペス刑事が合流、メイは無事にデシャネルの家に帰る。
めでたしかと思いきゃ、子どもたち3人はメイと関わり合いたくないのでアパートでそのまま父親と過ごし、デシャネルはメイと二人だけで過ごすことになってた。
感謝祭のディナーを二人で食べているところにロペス刑事から電話があり、メイが自分からプロムを抜け出してカルト教団に戻ったことを知らされるデシャネル。そう、メイは自分でデシャネルによる救出劇を仕組んだのだった。メイの目的はデシャネルを独り占めすることだったのだ。無事にミッションを果たしたメイこそがオハイオの悪魔だったのかもしれない・・・
という話だわさ。うんうん。つまらないです。ネタバレにもなってないかもしれん。
そもそもデシャネルが追ってきて助けてくれるという保証もないのに、カルト教団のもとに戻るてリスキー過ぎない?そもそも生贄になるのが嫌で逃げ出したのに、デシャネルの寵愛を受けるためだけにそこまでする必要あった?一世一代の大勝負だったんだろうか。
まぁ、これは観なくていいとんじゃないかな、うん。