山火事、それは男のロマン。
アリゾナ州の山火事に立ち向かった男たちの雄姿に、男じゃないけど男泣き必至の一作でございます。
ついでにイチロー引退会見で女泣きしてます。イチロー選手、お疲れ様でした。密かに愛してるわ。昔、同じ針きゅうマッサージに通ってた。
【オンリー・ザ・ブレイブ】作品情報
原題:Only The Brave
公開年:2017年
監督:ジョセフ・コシンスキー
出演:ジョシュ・ブローリン、ジェニファー・コネリー、マイルズ・テラー、ジェフ・ブリッジス、ジェームズ・バッジ・デール、テイラー・キッチュ
上映時間:134分
2018年に世界人口の半分を指パッチンで消し去った噂の人ジョシュブロが主役で、みんな大好きジェニファー・コネリー通称ジエニコネがジョシュブロの美しい妻を演じています。
消防隊員のメンバーに、「13時間~ベンガジの秘密の兵士~(感想ここ)」やドラマ「24」でジャック・バウアーに斧で腕を切られて「お前の父ちゃんクレイジー」なんつって消えたジェームズ・バッジ・デール、Waco(感想ここ)で教祖になったりTRUE DETECTIVEシーズン2でゲイを演じたり「野蛮なやつら」でブレイク・ライブリーと3Pしたりと何かとエキセントリックな映画選択に余念がないイケメンのテイラー・キャッチ、元ジャンキーで心を入れ替えた新人隊員にはマイルズ・テラー、そして大御所のジェフ・ブリッジスが出演している。
BBQやりたくなる、いい感じのキャスト起用だと思います。ジョシュブロ、ジェニコネ、ジェフブリ、ジェームズなんとか、とまるでJリーガーのよう。
オンリー・ザ・ブレイブあらすじ
本作は2013年にアリゾナ州で起きた山火事「ヤーネル・ヒル・ファイヤー」を描いている。
2013年6月28日に雷によって発火した山火事の規模は8400エーカーに及び、発火から2日後、消防活動にあたっていたプレスコット消防署の隊員19名の命を奪った。これだけ多くの消防隊員が犠牲になったのは911以来である。
ジョシュブロが指揮するチームは、最初はタイプ2と呼ばれるハンドクルー(暫定チーム)だったが、やがてホットショットと呼ばれる山火事のエリートチーム「グラニット・マウンテン・ホットショット」へと昇格する。
元ジャンキーの青年ドーナッツ(ブレンダン・マクドナーbyマイルズ・テラー)は、最初は仲間にいじられながらも訓練をあきらめず、やがて仲間として受け入れられる。
多くの経験を積み、注意深いリーダージョシュブロの下、山火事が起きる度に確実に火の広がりを食い止めるチームメンバーたち。
そして2013年、ヤーネル・ヒル・ファイヤーとよばれる山火事が発生する。
【オンリー・ザ・ブレイブ】感想
上映時間は134分と長めだが、ジョシュブロと元ジャンキーのドーナッツ二人の視点を中心に飽きることなく最後までテンポよく見ることができる。
実話ベースであることから緊張感と被害者へのリスペクトをもって観ることができるし、終盤以外は和気あいあいとした消防隊員のドラマであるにもかかわらず「いつ山火事が発生するのか」「いつ危機的状況に陥ってしまうのか」という邪な性が退屈させない。
キャッチコピーはブロマンスと英雄が大好物のアメリカ人魂をダブルでくすぐるといった周到さだ。
It's not what stands in front of you, it's who stands beside you.
私は後半部分を it's who stands behind you と読み間違えて、「守るべき人たちが大事ってことね。そうよねぇ、家族を守るのが真の英雄というものですよ」と勝手に頷いていたのだが、beside(横に)(つまり仲間)になっていることに後で気がつきました。
守るべき人々ではなく一緒に戦った同士の方を優先することから、アメリカ人への「戦い」への美徳が見てとれると思います。戦うの大好き、アメリカ人。アメリカが世界一強い国であることは、戦うのを厭わない強いメンタリティも大いに関係しております。
先日観た「ウトヤ島7月22日」でもくっちゃべったけど、悲劇の実話をベースにした映画は、被害者やその家族へのリスペクトと配慮から採点が甘くなりがちで、「ウトヤ島7月22日」への世間の評判はどう考えても甘々だと思うのだけれど、本作はドラマもアクションも景色のショットもひとつひとつ丁寧にこさえられていて、犠牲者たちへのトリビュートとしての使命も果たしたと言える。
まずはヴィラン(悪役)だけでなく渋メンも演じられるよ!とアピールしてくれた主演のジョシュブロ。まぁ、知ってたよね。
キャスト情報をちら見したとき、ジェフ・ブリッジスとキャラが被るんじゃないかと心配した。親子役かと思ったがそうではなく、ジェフブリはプレスコット消防署の上役?か何かでジョシュブロの良きアドバイザー位置にある人。身長までほぼ同じ。
髭の無いジョシュブロ初めて見たかもしれない。
実は私のアメリカ人旦那も髭を全部剃ったことがなく、知り合って13年間だけどヒゲの無い旦那を見たことがない。きっとあのヒゲの下に昔の女のタトゥーが入ってるに違いない。
(軍規では口の上のヒゲはOKだが、アゴ髭はNG。但し、海兵隊とかネイビーシールズとかの特殊部隊は黙認されている。あの土地やこの土地に飛ばされた時なんかは剃る余裕もないし伸びっぱなしでも大丈夫みたいでした。ヒゲで「ファッキンアメリカン」であることをカモフラージュできるという利点もあるようで。)
「ジェフブリも年とったなぁ、もうお爺ちゃんじゃん」とか思ってたら、映画のプレミアでは年を取っていないジェフブリに驚嘆。キアヌとともにハイランダーの仲間入り、おめでとうございます。
ジェフブリの隣のイケメンはテイラー・キャッチ(厳密にはキッチュだったと思う)。2枚目なのに3枚目を演じたチャッチは割と好き。イケメン・イケジョはギャップが大事。キョッチュてマー君の「ローン・サバイバー」にも出てたんだね。
そして最後に、もさいオッサン連中に華をそえるのは、我らが女神ジェニファー・コネリーでございます。
ジェニファー・コネリーの魅力については、春にふかづめさんに語らせて頂くとしてですね。
実は「好きな女優ベスト10」というお蔵入りの下書きがあるんだけど、もちろんジェニコネも入選していますよ。
とにかく美しい。本作ではジョシュブロとラブラブの妻を演じています。ジェニファーはランチを経営していて、馬たちの面倒を見ています。たまに馬術講習を開いてお金を得ています。傷ついた白馬のケアをするところなんて惚れるわ。
本作ではほぼスッピンのようなジェニコネですが、アリゾナ(撮影はニューメヒコ)のランチで馬と共に生きるジェニコネが神々しくて、心底憧れました。
ジェニファー・コネリーってよく丸首のくたびれたTシャツ着てませんか?それがまたよく似合ってるんだよなぁ。私がくたびれたTシャツ着てると「あんた、新しいTシャツ買いなさいよ」と旦那に言われるのに。
ジェニファーは、実際のアマンダ・マーシュと時を過ごし、アマンダのブーツを履いて撮影に挑んでいます。
こういうのやってみたいよねー。
チームリーダーのジョシュブロに並ぶもう一人の主役ドーナッツは元ジャンキーで、GFが妊娠し子どもが生まれたのをきっかけに更生する。初めは過酷なトレーニングについていけず、仲間にもいじられ続けるドーナッツだったが、やがてチームメイトにも受け入れられ、立派なメンバーに。
仲間に受け入れられて自分の大事な居場所を見つけたドーナッツの視点を通して、仲間の大事さ、絆、火の怖さ、犠牲者へのリスペクトを体験することができる。
彼らは山火に先回りし、地面を掘ってラインを引く。ラインの内側(火が迫ってくる方向)の低木に人為的に火をつけて、山火が到達する前に焼いてしまうことで山火を食い止めるのだ。(ちなみに20kgのツールを背負っている)
火の勢いの凄さや火が広がる速さを描写した臨場感あふれるシーンだけでなく、消火のために飛行機から落とされる数トンの水の威力を端的に表すシーンもあり、消防隊員が対峙する危険が丁寧に描かれていた。
終盤、危機的状況に陥るヤーネル・ヒルの山火事の状況が少し分かりづらかったので簡単に説明しよう。
山火事は北側で燃えていたが、嵐風によって進路を変え、風速40マイルでチームに迫っていた。(見張り番のドーナッツは山火事から800m離れた南東で火の様子を監視していた。)
黄色のラインがチームが降りてきた足跡。劇中で南東に見えたのが800m先のBoulder Spring Ranchで、チームはここに避難するつもりだったが、✖印のついた窪みで火に巻かれた。
南東に下るチームからみて左手に尾根があり(地図上では右側)、チームからは尾根のむこうの火が目視で確認できない位置だった。尾根の向こうの火は南側グラウンドレベルに到達し、風に乗ってぐるりと回り込み、チームがいる窪みへ自足50マイルで舞い上がってきた。
東西の尾根は険しく登ることができず、北側からは火が迫り、Boulder Spring Ranchへの道は南東から回り込んできた火の前線によって阻まれ、チームは四面楚歌に陥る。チームはそこでシェルターを展開することになる。
山火事では多くの消防隊員があちこちで消火活動に当たっており、たとえ無線が正常でもチャンネルはいくつもあり、リアルタイムでどこで何が起きているか、誰が何をしているかを把握するのは難しい。グラニット・マウンテン・チームが火の前線に立たされ窮地に陥っていることを知っている人は殆どいなかったという。
避難先のボウルダー・スプリング・ランチへの道から逆に火が舞い上がってくるシーンは、火のプロでさえあっというまに何がなんだかわからず火に巻き込まれる様子や、実際の火の勢いを忠実に実現できているように感じた。
実はジョシュブロ含む19名全員が死亡するということを知らずに観たので、終盤シーンは号泣して嗚咽が出そうになった。その後、子どもを作るかどうかで仲違いした末に仲直りをしてさらに絆を深めたマーシュ夫妻の妻ジェニファー・コネリーが愛する夫の訃報を聞いて外に飛び出して泣き叫ぶシーンは胸が引き裂かれる。
山火事の威力はそこにいた者しか分からない。
私はカリフォルニアで一度だけ、山火事に遭遇したことがある。それはラスベガスに向かう途中の道だった。幸い発火したばかりだったので、難なく通行できたのだが、もう少し遅く出発していたら通行止めになっていたはずだ。
右手道路のすぐ側が燃えていた。
一番左側の車線を通っていたが、ドア越しでもキャンプファイヤーに当たっているようなはっきりとした熱波が感じられ、恐怖を感じた。