待望の「クワイエット・プレイス」の続編を観てきました。
ここ1年半はコロナのせいで映画製作自体もストップしてろくに観れてない日々が続きましたでしょ。特にホラー。ホラー映画全ッ然出てこない!!なんでよ!!
本作「クワイエット・プレイス2」も本来は昨年9月にリリース予定でしたが、コロナで1年延期されてしまったの。
娘も楽しみにしていたので、さっそく金曜日の夜に二人で行ってきました。
夫はホラー映画が嫌いなので行きません。ホラー映画にあまり興味ないなんて、誰かさんみたい。誰とは言わないけどさぁ。
所謂ジャンプスケアと呼ばれるですね、急に飛び出したり爆音を出される効果に飛び上がるんですよ…(※元米国海軍兵)。貴様、それでも軍人かァーーー!
まだ彼と交際中に一度「スネーク・フライト」という機上で蛇がウジャウジャ出てきて人を殺しまくるというホラー映画を観に行った時、蛇が飛び出てくる度にビクッとして私の手をギュッと握っていたのでイラッとしました。
さて。
「クワイエット・プレイス2」ですが、前作を観ていない人は軽く前作のネタバレになってしまうので、この記事を読むよりかは前作を観たほうがいいかもしれない。
【クワイエット・プレイス:破られた沈黙】
原題:A Quiet Place Part II
製作年:2020
監督:ジョン・クラシンスキー
出演:エミリー・ブラント、ジョン・クラシンスキー、ミリセント・シモンズ、キリアン・マーフィー、ノア・ジュープ、ジャイモン・フンスー、スクート・マクネリー
上映時間:97分
監督は前回に引き続きジョン・クラシンスキーが担当します。
当初、クラシンスキーは続編には関わり合いたくないと考えていたそうですが、制作陣に説得されて結局監督を担当することになりました。
また、本作でも前半に出演しています。嫌だ嫌だと言いつつ、監督だけでなく出演もするんかーい。頼まれると断れないクラシンスキーは「水道直して」と頼んだら「クラシ安心クラシアンスキー」と言いながら直してくれそうな人だよなー。
あらすじ
「音を出したら即死」の続編。
アボット家で起きたクリーチャーとの死闘のあと、アボット家は未知の世界へと足を踏み出す。アボット家はそこでクリーチャーだけでなく、新たな脅威に直面する。
感想
はい、前回「音を出したら即死」で盛り上がった「クワイエット・プレイス」の続編ね。…正確には「音を出したら終わり」だった気がするが。
キャッチコピーが「音を出したら超即死」になっているんだけど、日本語おかしくね。即死って即座に死ぬことだから、超が付くのはおかしくないですか。どうやって「超」死ぬの?たとえば死の反対は生だけど、超生まれるとか超生きるって言わないでしょ?まぁ、いいや。
さて。
前作でその存在が謎に包まれていたクリーチャーは、エミリー・ブラントがセガールが成し遂げていない「沈黙の出産」に成功したくらいからちょいちょいと姿を現す程度であまり全体が見えませんでしたが、今回はあからさまに登場しています。
検証の結果、その正体は「エイリアン」であることが確認されましたー!!
・・・ていうかまぁ、エイリアンに決まってるよね。
エイリアンじゃなかったら何だっての。という話になるよね。
で、姿を露わにしたこのクリーチャーなんだけど、困ったことに海外ドラマ「ストレンジャー・シングズ」のデモゴーゴンそっくりなんだよ…なんなら借りてきたんじゃないの?というぐらいに。
クリーチャーにかんしてはもう少しオリジナリティが欲しかったかなー。手足はまぁ異様に長いですけど。
頭部の花びらを開かなければ「ヴェノム」にも見えますね。
白いのは眼かなぁ。
でも眼は確か見えないんだよな。耳が異様に良いだけで。
粗筋は、父スキーが家族を守るために犠牲になって死んだので、母スキーと娘ミリセント・シモンズ、それから息子、赤ちゃんの4人が自宅の農場を出発して安住の地を求める話です。
なお、娘のミリセント・シモンズがナチュラルボーン聾唖であることがこの映画シリーズの成功に大いに貢献している。音を出してはいけない情況なのでミリセントのために覚えた手話に助けられているし、ミリセントは画面映えがとてもいい。
赤ちゃんを酸素ボンベで酸素吸入させながら箱に入れて運び、4人はある製鉄工場に到着する。
そこで父クラシンスキーのかつての友人キリアン・マーフィーが仕掛けた熊用の罠に息子が引っ掛かって足を負傷、キリアンの隠れ家に避難する。
キリアンのねぐらで一息ついていると、ミリセントがラジオから流れてきた曲「海の向こうへ」を生存者グループからのサインだと思い、ある島を目指してこっそり出発する。
翌朝ミリセントがいないことに気付いてエミブラがキリアンに連れ戻すようにお願いする。
キリアンはミリセントと合流、クレイジーズと化した生存者たちの襲撃を乗り越えて島を目指します。
このように、製鉄場とロードトリップという2つのロケーションで、2つのグループに分かれて話が進行していきます。
ドラマ「ストレンジャー・シングズ」に「ウォーキング・デッド」「クレイジーズ」「アイ・アム・レジェンド」「宇宙戦争」を足したようなホラーアクション映画かな。
前回はクリーチャーの正体を小出しにしていたので(正体表したの夜だったからよく見えなかった)スリラーが加わっていたけど、今回は冒頭から全開でした。
冒頭。
まだクリーチャーによる殺戮が始まる前。アボット家はNY郊外の小さな町で息子の野球試合を観戦していた。観客席には友人のキリアン・マーフィーも同席していた。突然、遠くの空で爆発のようなものが起こり、民衆は騒然とする。何が起きたか分からないけれどもすぐに避難しなければならないという本能に突き動かされ、人々は逃げ惑う。そこへ突然クリーチャーが襲撃してくる。
クリーチャーはどうやら隕石のようなものによって地球に上陸したらしいことが判りました。ふぅん。まぁ、そうだよね。エイリアンが地球に来る方法なんて隕石かUFOかしかないじゃない。
で、エイリアンが上陸した第1日目に父が死に物狂いで家族を守ろうとした様子が描かれており、前作でも命を懸けて家族を守ったこと思い出させる視聴者に優しい設計になっております。
ある意味、冒頭のこの町の襲撃事件が曲でいう「サビ」みたいなド派手なシーンになっているので尻つぼみ感はあるのだけれど、第三作の噂もあるのでそれだったら納得。クラシンスキーは第三作のアイデアをすでに考えているというし、パラマウントピクチャーズはスピンオフ作品の脚本・監督にジェフ・ニコルスを起用していますから。
冒頭のメインディッシュを観終わった瞬間、画面は自宅地下で死闘を繰り広げたシーンに戻り、部屋の隅に赤ちゃんを抱いて隠れていた長男をエミブラが「おいで」と手を伸べます。
続編を作るにあたり新地で元気でやっているファミリーという設定が多い中、クラシンスキーは前作からそのままシームレスで繋げた続編を作るという選択をしました。これは英断だったと思います。
人気作品は続編が作られることが多いけど(セガールの沈黙シリーズといった特殊な例は除いて)目新しさを求めて色々と追加されることが多いのよね。そこには視聴者が退屈しないようにとか、斬新さを求めてとか映画製作にあたって「正しい」思惑があるわけだけど、視聴者って逆に続編にはあまり変化を求めてなかったりするのよねー。
中には全く違う映画になっちゃってるものもあるじゃない。某カーチェイス娯楽作品とか。視聴者は第一作の内容に賛同したわけなのだから、その本質を変えていってしまったら別の映画になってしまう。だったら別作品として作れ、という。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」なんて続編以降観てられない映画になってるけど、第一作を盛り上げたウィルとエリザベスがあっという間にセンターステージから降りてしまって良く分からないキャラクターがわらわら出てきたり、第三作ではもはや二人に子どもがいて成人しているという視聴者が時の流れについて行けない展開がありましたが、世代交代とかって敗因のひとつだと思うのよね。私たちは年を取るけれど、映画に経年は求めてないというか、せっかく結ばれたウィルとエリザベスをもっと観ていたいのに何故みせないの、とか。まぁ、新しいことにチャレンジすることが良い作用を及ぼす時もあるのだけれど。
で、前作で末っ子ボーが命を懸けて効果音を出して爆死したプラモデルが小売店に並んでいたり、エミブラが墓地を訪れたりと前作を想起させるディテールもちゃんとあったりして、「あくまでも続編、本当にあの続キー!」というクラシンスキーのこだわりが感じられて好印象でした。
まぁ、前作から2~3年経過しているので、キッズがそれぞれ大きくなってしまっているので難しい決断だったかもしれませんが、前作からのシームレスな繋ぎ方と冒頭で現在のキッズを描くことによって前作のキッズの幼い姿を誤魔化しちゃうとう幻影方法がなかなか強気というか、好きだな割とそういうの。
キリアンが新しい父親像になることは容易に予測できるのだが、キリアンは自分可愛さにクラシンスキー達の狼煙を知ってて無視しており、クリーチャーが上陸してまもなく子どもたちを失い数週間前に妻も亡くして無気力になった人物なので、クラシンスキーのような立派な父親像ではないわけ(あくまで子供たちとエミブラの目から見るとの話ね)。
そこからミリセントを助けるために少しずつ変わっていくのだけれど、それが押し付けがましくない上になんてったってキリアンなので説得力があるというか。金髪碧眼にも色々あるけどキリアンの目はアイスブルー系の非常に澄んだ青というか、確かに吸い込まれるような魅力があるわな。そもそもキリアン金髪じゃないや、御免。
もー、キリアン興味なかったのに、やなぎやさんの影響で好きになりつつあるわー。これぞ、やなぎやマジック。やだ、すごい迷惑ゥ。
ミリセントとキリアンは線路伝いに港までやってきてそこで生存者グループに遭遇するんだけど、ミリセントを拉致ろうとした(意図不明)男性がスクート・マクネリーであることに気付いた人は何人いるだろうか。全っ然わからんかったわ。あんた、本当に神出鬼没だな。
ミリセントとキリアン、それからエミブラとマーカスと赤ちゃんという2つのグループが離れてしまったので散漫的になる心配があったが、それもクラシンスキーは「同期」手法で打破したわー。
キリアンが溺死しそうな時はマーカスと赤ちゃんが製鉄所で酸素不足で死にそうになったり、キリアンとミリセントが海中にいる時は製鉄所グループはスプリンクラーでびしょ濡れになってたり、キリアンとエミブラが同時にクリーチャーに足を切られたり。そして最後はミリセントが放送局のマイクに補聴器をくっつけて、マーカスと同時にクリーチャーを殺すというね。(てか、ちんたらしてないで、もっと早く補聴器をマイクに付けてはどうだろうか。)
キッズが父母の代わりにクリーチャーを退治するというのはまだギリギリ世代交代じゃないよね。
というわけで、最後はこれまた尻切れトンボ的な終わり方をするのだけれど(クリフハンガーというわけではなく)、これも前作を踏襲している。ということは第三作の布石とみてもあながち間違いじゃないと思うので、楽しみに待っていたいと思います。