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ホラー映画「バーバリアン」は予備知識一切ナシで観に行こう!ママーン!!粗筋と感想

 

バーバリアン

2022年夏に全米でカルト的人気をちょこっとだけ誇ったホラー映画「バーバリアン」。

ついに観たどー!

 

バーバリアン

原題:Barbarian

製作年:2022

監督:ザック・クレガー

出演:ジョルジーナ・キャンベル、ビル・スカルスガルド、ジャスティン・ロング

上映時間:102分

監督・脚本ともにザック・クレガー。

ダメリカ版「呪怨」と「IT」のプロデューサーらしい。抑えるところ抑えてる。

アメリカでは予告編自体の評判が良かった作品。

予告編だけ観てあとは何も見ず聞かず劇場に行くことを強くお勧めしたい。

 

あらすじ

テス(ジョルジーナ・キャンベル)は仕事の面接のためにデトロイト郊外のある町のAirBnB(エア・ビー・アンド・ビー:民泊)に到着する。

しかし民泊にはキース(ビル・スカルスガルド)という名の若い男がすでに宿泊していた。

家主にも連絡がつかず、他の宿泊施設はどこも空き室がない。

そこでキースは家をシェアすることを提案する。

テスは不安を感じながらもやむを得ずキースと宿をシェアすることにするが・・・

 

はい、この先は映画を観てから読んでね!

大したネタでもないんだが、予告編を観た視聴者は、この恐怖体験の源は何なの、誰なの、スカルスガルドなの、地下にいる何かもしくは誰かなのー!?と気になると思うの

そんなのどうでもええーという人は安心して読み進んでプリーズ。

 

 

感想

はい。バーバリアン。

観終わっても何がバーバリアンなんだかさっぱり分からなかったが、無理くり解釈すると本作に出てくる妖怪ママンがバーバリアンと見せかけといて、実はバーバリアンは見た目は人畜無害なジャスティン・ロングとあの男の方じゃないのー!?…ということなんだろうが、まぁそんな解釈はこの際どうでもいい。

物語はテス扮するジョルジーナ・キャンベルが就職面接のためにシカゴ郊外の寂れた町にあるAirBnB(アメリカの大手民宿サイト)に到着するところから始まる。

テス(ジョルジーナ・キャンベル)

ジョルジーナは雨の降りしきる夜中に到着したのだが、予約したはずの小一軒家にはビル・スカルスガルドという先客がいた。

イケメンだけど怪しいビル・スカルスガルド

ジョルたん「あのぅ、私がこの宿予約したんですけどぉ…」

スカたん「えっ?いや僕も予約してるんだけど…」

アメリカでいかにもありそうな民泊のダブル・ブッキング。日本では到底考えられないことが起きる、それがダメリカの魅力。

現実の話、AirBnBはここ最近民泊の家主とゲストの間でトラブルが多く発生している。隠しカメラが付いていたり、法外なクリーニング費用を請求されたり(1泊で清掃代300ドルとか)、レビューで星4個を付けたら「星5個に変えろ」と恫喝された…等、トラブルが頻発しているのである。

そんな背景もあって、アメリカ人にとって民泊のこのトラブル自体が視聴者にスリラー要素を与えるギミックになっている。さもありなんというギミックは、ホラー映画においてなかなか優秀です。

加えてドアから出てきたのは「IT/それが見えたら終わり」の人食いピエロとして地下デビューを果たしたスカルスガルドなので、「イケメンだけどなんか怪しい」感がこれまたギミックとなって二重に不安を煽ってくる。

家をシェアしようと提案してくれる優しい怪しいスカルスガルド

スカルスガルドは「女の子がこの付近で夜中に彷徨するのは危険なので、家をシェアしよう」と提案し、やおらお茶まで入れてくれる。

アメリカでは薬を盛られる危険があるから見知らぬ人間に出された飲み物は飲んではならないという不文律があるので、イケメンで優しいスカルスガルドがお茶を入れるということで三重の不安を募らせる俺とお前とジョルジーナ。

お茶入れてくれる優しい怪しいスカルスガルド

さらにスカルスガルドはその不安まで汲み取って、宿側が用意したウェルカム・ワインを開けずにジョルジーナ・キャンベルがバスルームから出てくるのを待ち、「そうだよね…見ず知らずの男に出されたドリンクを飲めないよね。このワインなら未開封だから今ここで開けて一緒に飲もうよ」とか怪しい奴が言いそうなことを言う。

翌日もジョルたんが地下で見てはいけないものを見てしまって大急ぎで家から逃げようとしているのを必死で制するスカルスガルドは、もはや家主がスカルスガルドでジョルたんを拉致ろうとしているようにさえ見えてしまう。

いるよねー、どうしても不審に見えちゃう奴。私みたいなの。

スカルスガルド、グッジョブ。

ワインを目の前で開けようとしてくれる優しい怪しいスカルスガルド

と、こんな感じで不安の煽り方は相当センスがある。

カメラワークも巧い。こんな風に正体不明の怪しいビルたんを玄関扉側に配置させると、逃げ道を閉ざされた感が出てビルたんの怪しさが爆上げ

翌日、ジョルたんが地下室の奥に三脚カメラ、ベッド、バケツが置かれた4畳ほどの隠し小部屋を発見しビビったところで恐怖は頂点に達する。これは間違いなく女子どもが監禁されて性行為か拷問を録画した形跡に違いないからである。

まぁ、この手のホラーにありがちなように地下の生物の正体が分かると恐怖心は薄れてしまうのだが、ここまでが本作の恐怖のピークだったと思う。

ふつうは、この時点でスカルスガルドが小部屋を使用している変質者だと疑ってすこたらさっさと逃げるものだが、スカルスガルドに好感色を抱いたジョルたんはスカルスガルドに地下の小部屋について話す。

スカルスガルドは「見てくるからここで待ってて!」といって地下に向かうが帰ってこなければ応答もない。ジョルたんが見に行くと彼の姿はなく、小部屋の隣にさらに隠しドアがあることを知る。

地下でスカルスガルドを探す間も、視聴者の「スカルスガルドが犯人かもしれない」という疑念は止まず、IT(イット)の人食いピエロというギミックの効果が思いのほか強いことを実感させられる。スカルスガルドへの不安は、彼がが地下で妖怪ママンに殺される瞬間まで払拭されることはない。(ママンは何故スカルスガルドだけは殺したのだろうか?)

妖怪ママンにジョルたんが囚われて数週間。

画面は明転し、今度はオッサンになったジャスティン・ロングがオープンカーでPCH(西海岸沿いに走る幹線道路)を爽快に走るシーンになる。

ちゃんとオッサンになってるジャスティン・ロング

ジャスティン・ロングはハリウッドの俳優なのだが、共演者の女性からセクハラで訴えられ、皆にそっぽを向かれてしまう。

管財人にも辞められてしまったジャスティン・ロングは金欠になり資産整理に走るが、資産のひとつが例のシカゴの一軒家だった。

家を売るために現地にやってきたジャスティン・ロング。母親に近況報告の挨拶電話をしたあと、「うっほ」と言いながら地下のベッドと三脚がある小部屋を発見する。

建坪が大きいほど資産価値が高くなることから、メジャーを手に意気揚々と小部屋の面積を測るジャスティン。血痕がついたベッドとか三脚とかことごとく無視する鈍感力。

ジャスティンはさらに地下の地下へと続く隠しドアも見つけ「うっほ」と喜びながら地下の地下を測りながら進んでいく。途中で人が入るサイズの檻がいくつかあるけど、無視無視、ジャスティンはそれどころではないのである。

まもなく地下の妖怪ママンに捕まるが、そこには数週間ほど妖怪ママンの母乳で生き延びていたジョルたんがいた。

妖怪ママンは新入りベビーのジャスティンに何やら乳首が黄土色に変色した哺乳瓶に入った白い液体を飲めと言う。うわぁ…嫌だぁ…。

嫌がるジャスティンにジョルたんは

「死にたくなかったら飲め(ジョルたんは数週間を妖怪ママンの母乳で生き延びたので文字通り死にたくなかったら飲んだ方がいい)」

と母乳を飲むようにいうが、ジャスティンはブルブル首を振る。すると妖怪ママンが怒ってジャスティンはおっぱいから直飲みさせられる!

ジョルたんはその隙に逃げ出すが、ジャスティンに妖怪ママンの母乳を飲ませ続けるのも忍びないのでジャスティンを助けに戻る。

ジャスティンはというと、隙をみてママンの手から逃れ、地下室をウロウロしているうちに、ママンを生み出した本物の怪物がベッドに横たわっているのを見つける。

その怪物は、1960年代から女性を誘拐し地下の小部屋に監禁してレイプして子供を産ませ、その子供をレイプして子供を産ませるという近親相姦を数世代に渡り繰り返していた男だった。妖怪ママンはその産物だったのでした。

ジャスティンの前で男は銃で自害、ジャスティンはあやまって助けにきたジョルたんを撃ってしまうが、「めんご、めんご」と言いながら二人はなんとか地上に脱出する。

ところが、予想を裏切り、ベビーを失ったママンは家の外まで追いかけてきた。ジャスティンとジョルたんはウォータータンクの上に登っていくが(なんでウォータータンク登ったん?)、頂上でジャスティンは逃げきれないと悟り、

「ほらよ、お前の大事なベビーだ」

と妖怪ママンに言い放つと、ウォータータンクの上からジョルたんを突き落とす。ジャスティン・ロングの顔して鬼畜!

ママンは「NOOOOOOーーーーー!!」と叫んでジョルたんを追いかけて空を舞い、ジョルたんの下敷きになる。身を挺してキッズを守ろうとするママン!なんたる母性!感動の母性愛!なんかよくわからん。

ママンに助けられたジョルたんは、泣く泣く(私のイマジナリー認知)ママンに銃を向ける。

妖怪ママンもよく見りゃ妖怪ウォッチの人面犬に似た可愛らしい顔をしているし、銃を向けた顔なんか「バウワウ?」と言っているようにしか見えない。そんなわけで私は最後のシーンに心を痛めた。

画面は暗転し発砲の音で幕を閉じる。

この映画では、第一印象がことごとく破られるという戦法をとっていました。どこまでも怪しいスカルスガルドはお茶を入れてくれたり女性の機微に築いてくれる優しい青年だったし、ジョルタンを追いかけてきたホームレス男性は後にジョルたんたちを助けてくれたし、警官は助けてくれないどころかジョルたんを馬鹿にするし、ジャスティン・ロングはレイピスト且つジョルたんを突き落として自分だけ助かろうとした利己的人物だし。

欲を言えば、最後はジョルたんではなくジャスティンが妖怪ママンを殺そうとしたところでジョルたんとママンが協力してジャスティンを殺す…という仮想母子関係で終わる方が良かったかな。どう考えてもうまい終わり方はなさそうな話だけど。

評判通り、金曜夜にみんなでワイワイ観たいホラー映画でした。