※安倍晋三元総理の銃撃事件、早すぎる逝去に心を痛めています。非礼な場かもしれませんが、御冥福をお祈り申し上げます。
志半ばで卑劣な凶弾に倒れてしまった安倍さんの心情を思うと無念です。
…どうぞ、安らかにお眠り下さい。
「ジュラシックワールド:新たなる支配者」を見て参りました。
久しぶりの映画の感想よ!
え?あらやだ、ご存知なかった?当ブログって海外ドラマや映画をレビューするブログなんですのよ、ホホ。ホホバ...オイル。
まぁ、よかろう。無理もない。最後に映画のレビューをしたのはいつだったか、私でさえ覚えてないのだから。
なんなら映画レビューブログであることさえ忘れてたね。
でもね、まだ私はマシな方なんですよ。他の映画ブロガーたちを見てごらん。映画ブロガーとか自認しときながらコロナを言い訳に(そもそも言い訳になってない)ほったらかしてる我が同志どものブログをーーー!
お前らっ、書けーェ!
「でもさぁ、ようつべ全盛期だし...ブログてオワコンじゃね?」とか言ってないで書きなさい、ね?
真面目な話、確かに時代はブログからyoutubeへ、そしてtiktokへと、どんどん短くお手軽な方向へ流れてきているが、ニッチなエリアはどこでも残るものです。
みんなが辞めた時や諦めた時こそ、チャンスだと思わないかい?
私なんて元々動画あまり好きじゃないし、youtubeは広告が避けられないし、目的の情報を探すのが難しい、目的の情報までが長い、とかであまり見ないですからね。
tiktok に至ってはアプリさえインストールしてない。そもそも中国企業で安全上のリスクがあり米軍が禁止してますから私もやってませんよ。時間の無駄だし。もはや、愚衆化しようと企んでいるようにしか思えないわ。
また回り回って、民が文章を欲する時代が巡ってくるかもしれませんよ。
だから書きなさい、ね。
はい、だらけている同志を鼓舞したところで、本題です。
なんだっけ。
「ジュラシック・ワールド: ドミニオン」
コロナで芸能界が完全にストップしていたことで、ポストコロナ映画としては初のハリウッド大作映画として登場したのが本作「ジュラシック・ワールド:ドミニオン」である。
90年代に萌芽した「ジュラシック・パーク」シリーズから数えて通算6作目、これでジュラシック・パーク3作、ジュラシック・ワールド3作と3作ずつの合計6作が制作されたことになる。
「ジュラシック・ワールド:ドミニオン」の主演は、前作、前々作に引き続いてクリス・プラット通称クリプラが努め、ヒロイン「クレア」役もブライス・ダワス・ハワードが続投している。
一応、前作から話が続いていることは続いているのだが、特に深い内容でもなければ忘れても問題ない情報しかないので、前作、前々作を見てなくてもあまり問題ないです。
ざっくりいうと、前作で富裕層が人身売買ならぬ恐竜売買をしてたり、遺伝子操作してハイブリッド種を創造していたりと神の領域に近づきつつあったので、クレアが閉じ込められた恐竜を世に解き放ち、人間は恐竜と共存せざるを得なくなったという展開になっている。
粗筋
〈ジュラシック・ワールド〉のあった島、イスラ・ヌブラルが火山の大噴火で壊滅、救出された恐竜たちは、世界中へと放たれてしまった。
あれから4年、人類はいまだ恐竜との安全な共生の道を見出せずにいる。恐竜の保護活動を続けるオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、人里離れた山小屋で暮らしていた。そこで二人が守っているのは、14歳になったメイジー(イザベラ・サーモン)、ジュラシック・パーク創設に協力したロックウッドの亡き娘から作られたクローンの少女だ。
ある日、オーウェンは子供を連れたブルーと再会する。ところが、何者かによって、ブルーの子供が誘拐される。オーウェンはブルーに「俺が取り戻してやる」と約束し、クレアと共に救出へ向かう。
一方、サトラー博士(ローラ・ダーン)は、世界各地から恐竜を集めて研究をしているバイオテクノロジー企業の巨人バイオシンをある目的から追っていた。そこへグラント博士(サム・ニール)も駆けつけ、マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)に協力を求める。 人類と恐竜の共存の前に立ちはだかる、バイオシンの恐るべき計画とはー?
オーウェンとクレア、そして3人の博士は大切な命とこの世界の未来を守ることが出来るのか?
「ジュラシック・ワールド:新しいドミニオン」公式サイト
注目すべきは、第6作目にして完結編と言われている本作に、「ジュラシック・パーク」のオリジナルキャスト御三方が登場しているという点です。
これはジュラシックのファンならずとも、1993年の第一作目が公開された時の良き昔を懐かしみながら三名のキャラクーの艶姿に和顔を浮かべた人も多いのではなかろうか。
物語は新キャスト3名と旧キャスト3名の二本立てで進行していく。
旧キャスト3名(ローラ・ダーン、サム・ニール、ジェフ・ゴールドブラム)はというと、異様に巨大化したイナゴの真相を追い求め、バイオシンという製薬企業に行き着く。
旧キャストの登場に感涙するも…
20~30年ぶりにこの三名が揃ったわけだが、寄る年波には勝てないのか、蝿男を除く二人は元気の無さが目立った。
それでもローラ・ダーンは持ち前の子リスぽい可愛さと存在感で求心力を発揮。ぶよぶよ太るアメリカ人が多い中で、30年前と変わらないスタイルをキープしているローラ・ダーン様は偉い。
ジェフ・ゴールドブラムはかつて蝿男として一世を風靡した俳優だが、「気持ち悪い」といわれた悪評判を払拭、良い年の取り方をしているのか私生活がうまくいっているのか分からないが、すっかりイケオジになっていた。顔艶とスタイルが良い。
問題はサム・ニールです。サム・ニールは第一作目で主演を務め、ジュラシック・パークから子供たち二人を助けた英雄であるが、本作では空気と化している。なんならローラ・ダーンのお飾りといってもいい。レッド・カーペットにおけるキム・カーダシアンの元夫カニエ・ウエストのような存在だった。
なにしろ、サム・ニールの見せ場がどこにもなく、ただグループの後をついて回る凡庸なおっさんになっていたことが悲しい。
確かに新キャストもいるし、LGBTQ/黒人枠のスーパークールな人物もいるし、ローラ・ダーンもいるしで、静かで大人しいサム・ニールの見せ場まで手が回らなかったのかもしれないが、いくら何でも見せ場がなさ過ぎて泣きたくなった。もう少しなんとか花を持たせてあげて欲しかった。
唯一の見せ場と言えば、最後に愛しのエリー(ローラ・ダーン様)と結ばれたことだろうか。一作目からローラ・ダーンとサム・ニールはお互いに好意ありありなのにくっつかないというつかず離れずの関係だった。
ファンにとってはそれが居心地良くもあり、もどかしくもありだったが、完結編でついに初めてのキスを敢行した。(エリーは離婚していて子供は成長済み、サム・ニールは生涯独身を貫いたようだ。)
「お似合いでくっついて欲しいけれども実際に結ばれてしまうとなんだかなー」というファンの心情は尤もだが、一応本作が完結編で「集大成」ということなのでこの後はないしくっつけてしまおうという判断に至ったと思われる。ファンとしても正直もうどっちでもいいや、という心情になるシーンだった。
新キャストは心ここに非ず
他方、新キャストは何をしているかというと、クリプラとクレア(ブライス・ハワード)は前作の子役メイジーを引き取り、山奥でひっそりと暮らしていた。
・・・ひっそりと?
メイジーを守るためという名目だが、正直今となってはメイジーを何から守るためだったのか曖昧である。確かメイジーは遺伝子操作で生まれた子供という設定だったような気がするが、本作では死んだ母ちゃんが出てきて遺伝子操作はあったもののメイジーは普通に母ちゃんが産んで大事に育てていたとか何とかかんとか、違うかもしれない。正直あまりメイジー路線には興味がないので流してた、御免。
でもまぁメイジーは、律儀にもクリプラ達の近くに住んでいたブルー*の子どもと一緒に何者かに誘拐される。*クリプラが「ジュラシック・ワールド」第一作目で手名付けることに成功した青いラインが入ったラプトル、雌。
クリプラとクレアは一人と一匹がマルタ島に連れていかれたことを突き止める。
このマルタ島がなぁ…なんでも恐竜の闇市があったりとアンダーグラウンドなわけだけど、アンダーグラウンドの雰囲気がまるで出てなかった。
またここでクリプラとクレアは、アジア人女性の密輸業者(メイジーとブルーの子どももこの人が密輸していった)たちと死闘を繰り広げるのだけど、いまいちだったなぁ。アジア人女性はいかにもな風貌が嘘くさくて真剣に受け止められなかったし。
クリプラが街をバイクで疾走するシーンは、まんまジェイソン・ボーンさながらのスパイ映画丸出しで、この時にクリプラとクレアの双方がどうも本作に入り込んでないように感じた原因がわかった気がしたのね。
クレア役のブライス・ハワードについては詳細は分からないけど、クリプラは本作を2020年11月に撮影終了後まもなく2021年3月にAmazonのドラマ「ターミナル・リスト」を撮影開始している。3回目となる恐竜映画よりも、「ターミナル・リスト」の新しいキャラクターに気持ちが動いていても仕方がないかもしれない。
まして「ターミナル・リスト」は海軍特殊部隊SEALの指揮官役で、自分達を貶めた悪玉たちを消していくという復讐物。監督はデンゼル・ワシントンとタッグを組むことが多いアントン・フークワであり、内容は「イコライザー」そのものなのだから、クリプラが恐竜使いより復讐に燃える信念の男という精神状態に移行していても無理はない。
そういうわけで、クリプラはどこかしら「心ここに非ず」状態なんです。「ジュラシック・ワールド」1作目のカリスマ性はどこへやら。
クレアはクリプラほどではないが、本作ではやたらメイジーを心配する育ての母ぶりを見せている。1作目では子ども嫌いとは言わないまでも甥っ子を放置して失敗してしまうほど子どもが苦手なキャリアウーマンだった。おそらく1作目から変化し続けてきたクレアを見せたかったんだと思うけど、2作目と3作目の間に築いていたはずのメイジーとの絆が割愛されているので、メイジーへの母性愛に違和感を禁じ得ない。
新キャストの中ではメイジーとアジア人研究者のウー先生だけ入魂しているが、この二人に思い入れがあるという観衆はあまりいないだろうし。
旧キャストと新キャストの出会い
さて、新キャストは、メイジーに同情したゲイの黒人女性パイロットの助力で、マルタ島からバイオシンの研究センターがあるイタリアの孤島へと移動する。
途中で飛行機がプテラノドンに攻撃されたり、クレアが脱出パラシュートで落下する飛行機から飛んでったり、クリプラとパイロットが羽毛恐竜と戦ったりと、まぁ小さなシーンが続く。
すったもんだの末、旧キャストがメイジーと合流し研究所を脱出して新キャストと会う。
この出会い方の杜撰な事と言ったら・・・
旧キャストと新キャストは、互いに名前は聞いたことがあるという存在で出会うのはこれが初めてなのだけど、この出会いのシーンて新旧キャストが初めて合流する歴史的な瞬間なわけ。
それがさぁ、新キャストの前で藪に突っ込んだ車からメイジーと旧キャストが出てきて、
新キャスト「あれ?メイジー?」
メイジー「あっ、来てくれた!」
新キャスト「サトラー博士ですよね。あとグラント博士。どうも」
旧キャスト「オーウェン君?お噂はかねがね」
みたいな塩出逢いなわけ。
落胆を隠せなかったわー。そりゃ、初対面なんで現実世界ではそんな感じの挨拶になるかと思うけど、見せ方ってもんがあるんじゃない?そこは少々ドラマチックな見せ方をしてくれていいんだよ?ていうね…
新旧キャストの運命の道筋がどう交わるか、人々は内心楽しみにしていたはずなんだよ。それがこんな塩味になるとは、悪い意味で想像を裏切られたなー。
ドラマの話ではあるけど「ストレンジャー・シングス」というドラマは、グループAとグループBとグループCの各グループがそれぞれ役割を果たして終盤に向けて盛り上げていき、物語の終盤で劇的な再会をするわけ。だから再会した時に相乗効果で2倍にも3倍にも盛り上がるのです。
いくら初対面とはいえ、伏線だとか何かしらの根回しは出来たはずなんだよ。でもそういうのナッシング。新旧キャストが夢の競演とはいっても、そこに関係性や相乗効果はまるでナッシングなのです。
これは残念だったな。
恐竜の見せ場なし
カリスマ性がないクリプラ、心ここに在らないクレア、老体しばいて盛り上げようとする旧キャスト達、ケミストリーのない新旧キャストの出逢いと散々だけど、恐竜も恐竜でこれといった見せ場がなかった。
「ジュラシック・パーク」へのオマージュはそこかしこに観られるのだが、肝心の恐竜の見せ方が宜しくない。たとえば、ズシン、ズシンという音と水たまりやコップの水が振動で揺れ、それだけでTレックスの登場を想起させ恐怖に顔面をひきつらせるようなシーンもないし、プールからモサソラスが飛び出てきて仰天という目玉シーンもない。
Tレックスら巨大恐竜が登場する後半はずっと夜シーンなので、はっきりいってよく見えないというのもある。
「ジュラシック・パーク」1作目に初めてTレックスが襲ってくるシーンなんて、少し離れたカメラ位置から子供たちと大人とトイレとTレックスの位置関係もはっきり分かったのに。
結局、誰が何して活躍してんだか分からない情況が続く。クリプラとサム・ニールなんてほぼ空気消してたもんな。クリプラはせいぜいクレアを2度助けたぐらいのもので。
それから、クリプラがラプトルを手名付けたおかげでラプトルが怖くなくなってしまったという一面も指摘しておきたい。ラプトルといえば集団でかかればTレックスでも手を焼く存在で、体は人間より少し大きい程度でも第一作目から精彩を放っていた存在だった。ラプトルのブルーがクリプラに懐いたという設定は、一方で恐竜と人間にも絆は芽生えるという夢のある設定ではあるものの、他方でラプトルへの恐怖心が薄れてしまうというリスクもあった。諸刃の剣。
まぁ、最終的にはバイオシンのスティーブ・ジョブズみたいな悪玉は勝手にダサい死を迎え、研究所は全滅して、島自体が恐竜の楽園みたいになってめでたしめでたしという感じなんだけど、話がスケールダウンしちゃったよね。
完結編といっても今回が一番スケールが小さかったんじゃないかな。ちっちゃくまとまっちゃった感じかな。
なお、原題は「ジュラシック・ワールド:ドミニオン」なんだけど、ミニオン繋がりで、このすぐ後に公開された「ミニオンズ」の方がおもしろかったです。