2020年に読んだ本の紹介です。
もう2021年の半分が終わったのに。終わったけど紹介します。
一応ね、上位20冊を紹介しようかなと思いますよ。(面倒だから。)
読書にまとまった時間があまり取れなかったので、今年はもっと読みたいのだけれど、予算限られてますから (゚∀゚ノ
- 2020年に読んだ本
- 1.覇者の戦術 戦場の天才たち Truth in Fantasy
- 2.文化が人を進化させた
- 3.差別感情の哲学 (講談社学術文庫)
- 4.「思いやり」という暴力 哲学のない社会をつくるもの PHP文庫
- 5.健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて
- 6.銃・病原菌・鉄
- 7.悪について誰もが知るべき10の事実
- 8.一緒にいてもスマホ SNSとFTF
- 9.怒る技術 (角川文庫)
- 10.醜い日本の私 (角川文庫)
- 11.うるさい日本の私 (角川文庫)
- 12.日本人はなぜ日本を愛せないのか(新潮選書)
- 13.閉された言語・日本語の世界【増補新版】(新潮選書)
- 14.トーキング・トゥ・ストレンジャーズ~「よく知らない人」について私たちが知っておくべきこと~
- 15.人に頼む技術:コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学
- 16.コロナの時代の僕ら
- 17.日本教の社会学
- 18.「新型コロナ恐慌」後の世界
- 19.事実はなぜ人の意見を変えられないのか
- 20.僕らはそれに抵抗できない
2020年に読んだ本
ミーハーなのでコロナ系の本もけっこう読みました。
(ミーハーなので今年に入ってからは逆に「コロナは怖くない」だとかワクチン系の本とか読んでます。)
それから上位20冊といっても全冊を手放しで褒めているわけではなく、あくまでもこういった本を読んだよということなので読んで「おもしろくなかった」というコメントはAmazonに残すのですよ。
最近思うのは、読んだ本の中には「知ってた」みたいな本も多かったので、これからはむやみやたらに美味しそうな本に飛びつくのではなく、経験値が中レベルになった私の知らない世界にいざなってくれるような本をですね、吟味して選んでいきたいと思います。
まぁ、海外ドラマと一緒やね。 むやみやたらに面白くないドラマ観ても時間の無駄ですよ。映画は面白くないものでも学ぶことがあるんだけど…。
1.覇者の戦術 戦場の天才たち Truth in Fantasy
海外ドラマ「ヴァイキング」を鑑賞しているうちに戦術が気になるようになり、初心者にも優しいこの本を選んだ。
読んだ後に書いた感想記事を軍事評論家兼ジェイク・ギレンホール評論家のKhvostさんに褒めてもらえて心から嬉しかった。
この本をきっかけに他の本も戦術本も読むようになり、ひいては世界史を勉強し直すようにもなった。
退屈なルーチン生活を送る私に、新しい窓を開かせてくれるきっかけとなった本。
2.文化が人を進化させた
ジャレッド・ダイアモンドのベストセラー「銃・病原菌・鉄」と内容は似ている。
本著を読んだ後で「銃・病原菌・鉄」を読んだせいか、「銃・病原菌・鉄」から得られる知識は少なかった。
また、海外ドラマ「ザ・テラー」のシーズン1で描かれているジョン・フランクリンが率いる英国海軍の北極探検隊に多く頁を割いている。
遭難した地域にイヌイットが居住しているにも関わらず、最新鋭の技術や装備をもったエリート兵士たちが全滅したのは何故なのか。本著にはその答えが書かれており、人類の生存と進化に文化が不可欠であることを改めて実感させられる。
私にとっては「銃・病原菌・鉄」よりも洞察が深く実りが多い一作だった。
3.差別感情の哲学 (講談社学術文庫)
差別感情というものは人間が誰一人逃げられない負の感情である。異質な人間を初めて目にしたとき、人類の生存という観点から負の感情を抱かない人はいない。脳の研究からもそれは実証されている。いるとしたら、それは嘘をついているか科学を否定する人、もしくは人類種の創造主だけである。
ところが、高度に文明化した社会ではこうした人間に内在する負の感情を口にすることは一切のタブーであり、社会的に抹殺される愚行である。だから人々は異質な人々を前に「みんな同じ」と心の中で唱えながら内なる差別感情を押し殺して表向きは平等に接しているのである。
内なる差別意識の存在を否定し続けることで、果たして差別感情をなくすことができるだろうか?
本著ではそうした差別感情に哲学の側面から切り込んでいる。
4.「思いやり」という暴力 哲学のない社会をつくるもの PHP文庫
再び中島義道氏の著。
「優しい」という性質は社会的に評判が良く、奨励される人間の性質である。
しかし中島氏は「優しさとは、利己主義の変形である」とバッサリ。
軽微なマナー違反行為をSNSにあげて公衆の秩序を維持しようとする思いやり、駅の構内放送や電車内に流される「携帯電話はマナーモードに切り替えの上、通話はお控え下さい」という定型アナウンス、人のまばらな駅の構内で喫煙所以外で喫煙している人を注意する思いやり等々。
一見優しさ、思いやりに見える行為がなぜ社会にとって有害になるのか。「思いやり」が暴力に変わるからくり、思いやりの弊害が説明されている。
5.健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて
ブロガーとして有名なシロクマさんの著。
社会が「健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会」になるにつれて、生きづらさが増すという皮肉な日本社会について考察されている。
きっと日本人の多くがどこかで生き辛いという閉塞感を感じたことがあるはずなので、賛同できる点が多いにあると思う。とりわけ空間設計の章が鋭い指摘だった。
批判を最小限に抑えるためなのか少し間接的で回りくどい印象もあるが(中島義道氏と対極)、柔らかくスマートで棘のない文体なので心地よくすっと読み進めることができる。
6.銃・病原菌・鉄
本屋の店頭に置かれているジャレッド・ダイアモンド氏のベストセラー。
長い。
上下巻セットですが、上巻だけでも長い。
がんばって読みましたが、少々冗長的なところもあり。
コロナ祭り時期だったので「病原菌」を目当てにしていたのだけど、病原菌の章がめっちゃ少なくてビックリ。そこが残念だった。
これを読むなら2位にあげた「文化が人を進化させた」の方が実りが多かったかもしれない。
7.悪について誰もが知るべき10の事実
これ系の本はけっこう読んでいるので新たな発見はなかったが、ダークサイド系のファーストステップとしておススメできる一冊。
8.一緒にいてもスマホ SNSとFTF
スティーブ・ジョブズらビッグ・テック・ファームのCEOが何故自分たちの子どもにスマホやタブレットといった電子機器を持たせないのか。
その答えの一部がこの一冊に書かれている。
9.怒る技術 (角川文庫)
日本には「怒りたくても怒れない」人が多数いる。
私は日本人にしては怒りやすく、アメリカ人の若い金髪女性を相手にロードレイジし合ったり、ロスアンゼルス空港で「スーツケースが2kg超過デース。オカネをハラッテクーダサーイ」と言われた時に何故か無償に腹が立って抗議してしまい夫に止められたり、向かいに住む中南米のパーティ人間どもが我が家の隣にある空き家の駐車場に無断で止めたりしたときに「おい!そこ勝手に駐車すんじゃないわよ!」と叫んで夫に止められたこともある。
もちろん痴漢にはいつも応酬していた。
しかし私の欠点は、怒ると頭に血が上ってしまい、自分で何を言ってるのか分からなくなることである。怒っているので冷静に考えることができないし、これでは自分の要求を通すこともできないではないか。逆効果である。
怒るにも技術がいるもんだなーと本著を読んで思った。
怒りたくても怒れない人は、一読してみるのも良いかもしれない。
10.醜い日本の私 (角川文庫)
再び中島義道氏の本。
日本の街路が景観も糞もへったくれもないことを痛烈に批判している。
私もいつも日本の景観のまとまりのなさ(古都とかは別にして、日本の一般的な街路)や、次から次へと建造物や看板を追加設置してカオス状態となっている景観を嫌っている一人なので中島氏の意見にほぼ同意。
しかし東京のカオス的な景観はすでにそれがトレードマークになっていたりもするので、反対する人もいることでしょう。ゴジラとセットのバックグラウンドですし。
日本の景観のカオス、うるささは、最初に全体的な景観バランスを考えない都市開発問題でもあるのでは。つまり、ひとつひとつのディテールには細心の注意を払うものの、全体を見ないという日本人の気質がここでも表れているということになるので、その点を掘り下げるともっと面白そう。
11.うるさい日本の私 (角川文庫)
再び中島義道氏の本。
上に紹介した幾つかの本と内容は被るが、こちらは日本の公共空間を切り裂くノイズを痛烈に批判している。
私としても、日本人は公共のアナウンスを聞き流す耐性ができてしまったせいで、人が発する「言葉」の力を軽視してしまうようになったと考えている。だから子供を何度「やめなさい!」と叱っても、子どもは止めない。公共アナウンスを聞き流すように親の言うことを聞き流す。
といった内容が書かれている。
著者もヨーロッパに長期間住んでいたそうなので、比較文化という意味でも賛同できる点が多い。
12.日本人はなぜ日本を愛せないのか(新潮選書)
言語学者、鈴木孝夫氏の著書。
海外に住んでいる日本人夫婦は子どもに積極的に日本語を教えない人が結構いることを指摘する鈴木氏。
海外居住組が子どもに日本語を教えなくなる理由が書かれていて、国際結婚していてハーフの子がいる身としてはハッとした。(まぁ、我が家は日本語スパルタ式に教えてるけど。)
13.閉された言語・日本語の世界【増補新版】(新潮選書)
上の「日本人はなぜ日本を愛せないのか」が面白かったので、こちらも同氏の著。
14.トーキング・トゥ・ストレンジャーズ~「よく知らない人」について私たちが知っておくべきこと~
初対面の人やよく知らない人たちと接する際に留意すべきこと、そして他人への深い注意や洞察を怠ったたために引き起こされた悲劇などが紹介されている。
私たちは薄っぺらいヒントをもとに簡単に相手に判断を下してはいないだろうか?
相手の本質を自分は理解していると思っていないだろうか?
誰かが感情を爆発させているからといって、事情も知らずに一方的に不寛容な視点に縛られていないだろうか?
さらに、男女が過度に飲酒をした上で性交に及び、その後に女性の方が「レイプされた」と訴えるケースの分析がおもしろい。
男の方は合意にもとづくものだと考えていたが、女の方はレイプされたと告訴した。
この件で控訴裁判所は
ふたりが何に同意したのか、あるいは同意しなかったのかを突き止めるのは不可能」だと結論づけた。「両者とも成人である」と裁判官は判決文に綴った。
さらに裁判官は
現実的な問題として人間の行動のなかには、法的な細かな制度による裁きには適さないエリアがいくつかある
と最終判決に綴った。
折しも、伊藤詩織さんと山口敬之さんの事件の詳細を読んだりした時だった。
深酒の上に起きた男女の問題というのは非常に多く、その多くは後悔、誤解といったものが含まれている。
上記はアメリカの裁判だったが、この裁判官の主張に異議を唱えられるだろうかーーーと伊藤氏vs山口氏の事件に反映させながら読んでみたものだ。
15.人に頼む技術:コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学
アメリカ人も人に頼むのが苦手な人が多いのかなぁーと思いながら読んでみた。
私も人に頼むのが苦手なので、読んでみようと思った。
ひとりで1歳児を連れて11時間フライトに乗ったときに、夫に「助けが必要なときは人に頼むことを畏れずに頼むんだよ。勇気を出して頼むんだ。」と言われ、人に頼むことは勇気が要ることなんだと再認識したことを覚えている。
まぁ、けっこう自分でなんでも自分でやる性質があるので余計に人に頼まないというのもあるのだけれど。
16.コロナの時代の僕ら
コロナなので読んでみた。
絶賛されていたけど、コロナ絡みで得られるものは特にないかな。
小説家なので小説を読んでいるような溌溂さがある。短めなので1日でちゃちゃっと読めちゃう。読みやすい一冊です。
17.日本教の社会学
18.「新型コロナ恐慌」後の世界
新型コロナが発生してまもなく、こうした本が大量に出たので幾つか読んでみた。
新型コロナコロナ恐慌後の世界というより、中国の覇権と世界進出、それを止めるアメリカに多く頁を割いている。読めば読むほど、日本の対中政策の甘さを実感して情けなくなる。
コロナをきっかけに中国の企みがアメリカやオーストラリアで明るみになり、あれだけ中国べったりだったヨーロッパさえも関係を見直し始める事態になった。中国の脅威にさらされている日本にとっては朗報かもしれないが、別途「見えない手」「目に見えぬ侵略」を読むと中国のサイレント・インベージョンに背筋が凍るはずだ。
19.事実はなぜ人の意見を変えられないのか
現代人の脳にはネットで大量の情報が流れ込んでくるが、クリックするだけで自分が欲している情報を簡単に手に入れられるので、かえって自分の考えに凝り固まる傾向にあるという。
さらには認知能力が高い人や分析能力が高い人ほど情報を合理化して自分に都合の良いように解釈したり、データを巧みに利用するようになるという。
Facebook、Google、Twitterを辞められない理由など、脳の変化をもとに分析している。
一般にポジティブにとらえられている「認知能力」「分析能力」の高さが逆に足を引っ張るリスクがあるという事実には面食らったものの、気を付けようという気になる。
20.僕らはそれに抵抗できない
紹介しておいて何なんだけど、最近は「スティーブ・ジョブズが実践!」「ダニエル・ピンク絶賛!」といった帯が多くて、これも煽り商法だよなーと思っている。
この「僕らはそれに抵抗できない」の内容については既知のものが多いというか、私たちは身をもって知っていることが多い。スマホ、インスタ、Facebook、ネトフリ、ゲーム、チャットが依存を引き起こすことを私たちはすでに知っているし、依存させるようにクリエイター、デザイナーが作っていることも知っているわけで、だからどうなのという話。
スマホ依存症でリハビリ施設にいってスマホフリー、電子フリーの生活を送らせて成功した人や、逆にそれでも辞められないというケースを紹介し、結局のところ、電子機器は容易に依存しやすいものであることを理解した上で自分が強い意志をもって使用しなさいよ、という結論にしかならないわけで。
デジタルの世界は常に進歩しているので、本が出た2019年でもすでに「今更」感があるところが皮肉だよなぁ。