日テレドラマをベースにしたトルコ版「マザー」を途中まで観た感想です。
「全85話あるのに『途中』とか言われてもどこか分からん」とか文句言われるかもしれないけど、確認するのメンドクサイのでその辺ということで容赦してほしい。
まぁ正確には戦局が大きく変わる48話くらいまでです。
だいぶ記憶も飛んでるので、粗筋も記憶違いしているかもしれないが、それも「アーッラッラッ*」とか言って流してほしい。*主要キャラクターであるジェンギズの口癖。
【マザー】シーズン1 粗筋と感想
前回の紹介記事で大体の粗筋と様子はご理解頂けたと思いますので、話の続きを展開していこうと思いますよ。
母とその恋人から虐待されていた教え子メレクを誘拐したゼイネプ先生。
二人の愛の逃避行が始まる!
逃避行というかずっとイスタンブールにいる。
被虐待児メレクはゼイネプ先生と話し合った末に勝手に「トゥルナ」に改名する。改名したと言ってもメレクはあくまで誘拐した子。公式ではないので呼称のみトゥルナでいきます。
実際の発音はトゥルーナなの。可愛いよね。
いつも今度飼う犬二匹の名をひとりで考えているのだけれど、今のところは「ロッキー」と「ランボー」にしようかなと考えています。順当に考えるとシェパードがロッキーでロットワイラーがランボーだと思うでしょ?だからそこは敢えて逆にしてロッキーがロットワイラー、ランボーがシェパード。荒くれ者のシェパード、勤勉真面目なロットワイラーというイメージでギャップ狙いしたいんだけど。ちなみに次に小型犬を飼ったら「クジョー」にすると決めています。何話してんだ。
二人はとりあえずイスタンブールのホテルにチェックインする。
ゼイネプが就職先を探している日中、トゥルナは「うっかりさん」と呼ばれる初老の女性と仲良くなる。
そしてこの「うっかりさん」こそがゼイネプの実母であった。
うっかりさんはその穏やかで質曾な佇まいとは裏腹に24年間刑務所に投獄されていて最近ショバに出てきたばかりであった。
刑務所を出所したうっかりさんは、まずゼイネプの育ての母ジャヒデに会いに行き「出ました」と出所報告する。
そこでジャヒデから成人したゼイネプの写真を戴いたうっかりさん。娘が美人に育っていたので嬉しい思いでジャヒデの弁護士事務所を出て歩いていると、街でゼイネプを見つける。ちょっと記憶が曖昧なので違うかもしれないが、とにかくゼイネプを目視確認することに成功する。ゼイネプのあとを付けてみたら小さな子どもとホテルに入っていったのでホテル近くの公園で張り込みをするうっかりさん。うっかりさんどころかしっかりさん。
経緯が長くなったが、ここでのポイントはゼイネプも小さい頃に施設に預けられて養子縁組したジャヒデに育てられたという背景を持っているということ。
まぁうっかりさんが刑務所に24年も投獄された事情は物語が進むにつれておいおい明らかにされるのだが、ゼイネプの実母と養母、そしてメレク改めトゥルナの実母と養母という二世代に渡る「生みの親」vs「育ての親」論争も絡んでくるソープオペラであります。映画でもよくあるじゃない?あれよ、あれ。
とはいえ、全85話のうちの前半は基本的にはメレク/トゥルナがゼイネプとシューレ(メレク実母)の間を行ったり来たりする構図です。そこにゼイネプの家族とうっかりさん、ジェンギズ(シューレの恋人)、記者と警視が絡んでくるだけの無限ループなので飽きることもある。途中で脱落する人もいるかもしれないが、私は只々メレクの運命の結末が気になってひたすら邁進しました。
なお、シューレは無限ループの人間ドラマを最もおもしろくしてくれた登場人物なのでGMVP(当ブログのMVP)はこの人で決まり。
メレクの実母シューレがどんな人かというと、恋人ジェンギズ命でメレクの面倒もろくに見ないどころか怒鳴り散らす母親、無論同情に値しない人物である。
しかし元々シューレは夫とメレクと3人で幸せな生活を送る良妻賢母であった。夫が事故死してしまったのでシューレは天涯孤独のシングルマザーとなってしまったのだ。昼夜工場で働き詰めるが生活は苦しく、シューレは次第にメレクに当たるようになる。そんなとき、疲れてふらりと立ち寄ったバーで声をかけてきたのがジェンギズだった。
それ以来、シューレは精神的にジェンギズに依存するようになる。ジェンギズはヒモ男なので働きはしないのだが、シューレの就職先のナイトクラブを見つけてきたり金銭交渉したり勤務中のシューレの身の安全を確保したりするという謂わばシューレのマネジメント任務を負っていた。シューレにとってジェンギズは庇護者であり、ジェンギズにとってはシューレは金を稼ぐための商品。互いの相互利益と愛情も加わって二人は相互依存という解くに解けないがんじがらめの絆で結ばれてしまっていたわけです。
こうしたシューレの背景を知るとシューレへの厳しい見方は少々和らぐかと思う。死別・離婚など片親になる可能性は誰にでもあるし、ゼイネプの養母ジャヒデのように立派な弁護士といった社会経済的立場が高いポジションにない限り、路頭に迷う可能性はある。
シューレの特徴はまくしたてる話し方で、劇中ほとんど怒鳴っている。落ち着いて話しているシューレの方が珍しいくらいなのだが、よく聞いているとシューレの話の癖が分かってくる。それにジェンギズの独特の話し方の癖も加わって、二人が話している…もとい怒鳴り合っている姿が次第に漫才のように見えてくる。(メレクから見たら大人の怖い喧嘩であることには変わりないけれど。)
トルコ語が分かったら、さぞかしおもしろいことを言っているのではないかと思う。トルコ語が分からなくてもジェンギズが「はいはいはい、やれジェンギズ、かれジェンギズて、なんなんだお前らは」と言っている様子や、シューレがゼイネプを「あなたの変な姉」とガムゼにいった時は字幕外のトルコ語が想像できて可笑しくて仕方なかった。
中盤、ジェンギズの生い立ちも明らかになる。
シューレとジェンギズも歪んだ育成環境が生んだ結果であり、育ちがゼイネプ家族のように良ければ立派な夫婦になっていたかもしれない。(シューレの育った環境は明らかにされていないが、身寄りはない。)
他方、メレクの惨状を見知って耐えきれずに誘拐し初母親業に挑戦したゼイネプ先生は、母親の経験がないことから凡ミスを連発する。トゥルナ(メレク)を一人ホテルに残して就職活動するだとか、トゥルナが高熱出していることに気付かないとか、病院に連れて行こうとするが保険証や身分証がないことに気付くとか。・・・それ今気付いたの?誘拐する前に気付いて…
誘拐しておいて隙が甘すぎるところもあって、せっかくトゥルナを漫才夫婦から救出してくれたというのになんだけど、先生があまり好きになれない。
かといって嫌いというわけでもなく、存分にイライラするだけというか。トゥルナには「私があなたの母親よ」「私の可愛い娘」「私の愛する娘」「何があってもあなたを守るわ」とか言ってるくせに「ちょっと行ってくる」とか言ってすぐに置いて行く、肝心な時に矢面に立たない、判断ミスばかり犯す。
ああ見えて衝動に駆られて動くタイプというか。たとえば、今トゥルナに会いに行ったら捕まってトゥルナに会えなくなるよ、というような状況でも「トゥルナに会いにいかなきゃ!」とかいって飛び出していっちゃうような感じなのよ。だからこそ後のことを考えずに誘拐したんだろうけど。トゥルナの感情や幸せを考えているようで実は自分の感情優先というか。この思いはドラマが進むにつれてどんどん強くなっていったね。頭こっつんこして「愛してる」「あなたは私の娘よ」と言ってるばかりなんだよ。
で、ゼイネプが大変なときにゼイネプが大変なときに助けてくれる人の一人が実母のうっかりさんなのね。うっかりさんは育ての母ジャヒデから「ゼイネプには絶対に近づかないでね!」と強く釘を刺されていたのだけど、トゥルナやゼイネプがピンチ続きだと必ず助けてくれるわけ。それなのに、うっかりさんが実母だと知った途端、あからさまに避けて会わなくなったりするのよ。今までの恩とか全部忘れるタイプ。お前、さんざん世話になってそれはないだろ。
ジャヒデたちの支援が必要になってからも、金銭的にはジャヒデに頼りきりなのに猪突猛進でやりたい放題。
当初は、未婚の母というゼイネプの立場に養母ジャヒデや妹のガムゼが難色を示す。というのもガムゼは社会経済的立場のいい男性と婚約していたから。姉が未婚の母という状況は心証が良くないらしい。
アメドラに慣れてると屁とも思わない境遇だけどトルコはイスラム教だし保守的な面がまだあるのでしょう。でも誰もヒジャブ被ってないし、女性は西欧諸国の女性と外見変わらないね。
だが、ガムゼは結果的に婚約者がクソであることが分かって婚約者と別れます。このターニングポイントからガムゼが本質を見ようとするように変わった感あるよね。ガムゼは最終的に三人の中で一番好感度あるキャラになった。
長女(ゼイネプ)と末っ子(ドゥルドゥル)は何か起きると慌て過ぎで話にならないんだよ。
末娘のドゥルは無条件に受け入れて応援しトゥルナのベビーシッター役としても活躍する。ちなみに最高にやかましくて鬱陶しい妹で、事あるごとに皆に「落ち着け」と言われる。
ゼイネプとトゥルナを保護していたら弁護士の母ちゃん(ジャヒデ)も妹二人も隠匿罪に問われるし、下手したら弁護士の資格も会社も失いかねないのに、母ちゃんがゼイネプとトゥルナをこのまま家に置いておけないと判断したときに、ドゥルが「そんなのダメドゥル!家族ドゥル!ガムガムもなんとか言ってドゥル!ドゥルドゥルドゥル!」と五月蠅い。
ゼイネプも自分の幸運な境遇を利用してやりたい放題、周囲に迷惑かけ放題なわけです。シューレには頼る人がいなかったけど、ゼイネプにはうっかりさん、ジャヒデ、妹二人、それからのちに加わる記者のアリと警察の人もいる。
そういうわけで、可哀想な少女を救出したけれども恵まれた環境に置かれたゼイネプが困窮した生活を送る実母シューレから子どもを誘拐したという事実は事実なわけで。どちらにも肩入れしないような構成にはなっているので、それは良かったと思います。
前半は
ゼイネプが誘拐
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シューレがアリのメモ帳からメレクの場所を突き止める
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シューレがメレクを奪還しようとするがメレクが拒否る
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シューレ、一旦あきらめるがメレクを取り戻すことを決心
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シューレがジェンギズと無理矢理メレクを奪う
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メレク再びシューレとジェンギズにいたぶられる日々
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シューレとジェンギズがナイトクラブの店主を怒らせて撃たれる
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メレクの家にこっそりやってきたゼイネプがメレクを再び連れ去る
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偽造パスポートで国外脱出を試みるゼイネプとメレク
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ゼイネプ捕まる
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メレクは児童保護施設へ
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ジェンギズはジャヒデから大金と引き換えにゼイネプへの告訴(メレク誘拐の罪で)を取り下げるようにシューレの説得を試みる
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シューレとジェンギズが児童保護施設からメレクを引き取る
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ジャヒデからの大金をせしめたので綺麗なアパートで暮らし始めるが、ジェンギズが夫婦喧嘩でシューレの首を絞めようとして逆に殴られる
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シューレはメレクを連れてゼイネプの実家を頼る
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ジェンギズがゼイネプの実家からメレクを誘拐し、身代金を要求
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身代金とメレクの交換のときにシナン警視が頭をわかりやすく飛び出して見つかり失敗。ジェンギズは腹を撃たれる。
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ジェンギズはメレクを連れたまま逃避行するが途中で失神、メレクと共に保護される
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シューレがメレクを連れて帰る。ジェンギズは退院後に母のもとへ。そこにシューレがメレクと尋ねてくる
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ジェンギズはシューレを脅してゼイネプに大金と引き換えにメレクを引き取るように連絡させる。罠かもしれないので代わりにうっかりさんとアリが向かって失敗。
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ジェンギズはゼイネプが来なかったので憤慨、メレクを冷蔵庫に入れて監禁、1時間以内に来るように言う。
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ゼイネプが助手席でパニくるのでシナン警視が事故る
こんな感じなんだけどぉー
何がすごいって
ジャヒデの出費
メレクのたらい回しぶり
シューレの怒鳴り声
ゼイネプの周囲振り回しぶり
ジェンギズのミスバハ(いつも手に持ってるやつ)愛用ぶり
ドゥルとゼイネプのパニくりぶり
シナン警視のイケメンぶりと無能ぶり
ですわよ。