オスカーにノミネートされた「ハックソー・リッジ」を視聴しました。
事前知識はほぼなしで見ました。
日本軍との沖縄戦で、主人公が衛生兵として従軍し、武器を取ることを頑なに拒み続ける作品、という情報だけは予告編でわかりました。
監督はメル・ギブソンです。(おろっ?久しぶりに名前聞いた)
映画を見終わった後分かったのですが、史実らしく、この衛生兵は非武装で何人もの兵士を救出し勲章をもらった初めての衛生兵だそうです。すごいですね。
軍隊用語で、参戦を拒否する人たちを conscientious objector (良心的兵役拒否者)と言います。映画の中で、武器を持とうとしない主役のデズモンドも、上官にそう呼ばれます。(デズモンドは自分から志願して入隊しているのですが)
しかしデズモンドは、自分は conscientious cooperator(良心的協力者)であると異議を唱えます。
そんなデズモンドが衛生兵として非武装のまま沖縄の戦闘に向かう話です。
「ハックソー・リッジ」の感想(ネタバレ注意)
前半60分はデズモンドの生い立ち、家族の話、軍隊に入隊してからの話が描かれています。
実際に戦場に行くシーンは60分が経過した頃です。
デズモンドの武器を拒否する信条は、宗教的なものや家族の生い立ちが深く関係しています。宗教に疎い私は、デズモンドの信条に半分納得するも半分首をかしげるという、複雑な思いを抱いていました。
そんなデズモンドと私のお気に入りスミティが途中で心を通わせ合うあたりは、ちょっとご都合主義っぽい気がしました。
スミティという男性は5歳の時に母親に孤児院に捨てられ、本人曰く "quick to hate, quick to judge" すべてを憎むことを覚え、またすぐに人を批判する男性です。現実的に考えると、スミティのような男性がデズモンドのような男性と心を通わすことはあまりないように思います。
夜になって戦闘が小康状態になったとき、スミティとデズモンドが二人きりで話すシーンがあります。スミティがデズモンドに「お前のことを誤解してた」って言うんですけど、その前にスミティとデズモンドが絡んだエピソードとかがないんですよ。
ただ、デズモンドは自分の結婚式に出られなくなって逮捕されても、軍法裁判にかけられても、戦闘に出ても武器は持たないことを貫いただけで。だからスミティがデズモンドに心を開くそのシーンも「え?なんで?」としか思えなかった。
実際にスミティがデズモンドを認める時があったとしたら、日本軍が総攻撃をかけてきて米軍が崖の下に一時撤退をせざるを得なくなり、デズモンドが一人残って大勢の負傷兵を助けた後のほうが良かったです。
全員が撤退したなかで、デズモンドは「神よ、私はなんのために?」みたいに問い、そのとき「助けてくれ」という米軍兵士の声を聞いて燃え盛る戦場へ仲間を救助しに一人で戻り、傷ついた兵士を何人も助けるんです。
それまで単なる conscientious objector としてしか見なされていなかったデズモンドの信仰が初めて勇気がある且つ高尚なものであると認められるのは、戦闘での行動を伴ってからのことだと思うんですよね。
なのでこの後にスミティとのあのシーンを持ってきてくれれば良かったと思いました。
こうして映画などで断片的に見てみると、日本は地形的に侵略しにくい国であることは間違いないですね。山あり谷あり、そんな地形で、そして島国で本当に良かったと思う。
ハックソーリッジとは、ノコギリ崖という意味になりますが、沖縄の前田高地にある150m弱の崖だそうです。150m弱ってすごい崖ですよね。
WW2絡みの映画を見ていると、当時のアメリカ人が日本人を得体のしれないケダモノのように思っていた描写が多いですが、それだけ畏怖していたということなんでしょうね。日本人も鬼畜米英なんて言ってましたけど、火炎放射器はやっぱ酷いと思います。
接近戦が多く、そんな火炎放射器のタンクを日本兵に撃たれて大爆発、周りのアメリカ人も吹っ飛んでしまうという凄まじいシーンや、日本兵が手りゅう弾を持ったまま米兵に襲い掛かり、米兵がそれを止めようとして腕を掴んだまま二人で叫びながら爆死とか、けっこう残酷シーンが多いです。
私はホラー映画好きなこともあってすっかり残酷シーンに慣れてしまったのでなんともありませんでしたが、体が飛び散るような残酷描写が多いので苦手な人はご注意下さい。
どうしても対日本軍では日本軍が悪の権化のように描かれてしまうのがちょっと悲しいなぁ…
最後のほうで、白旗を上げて投降してきた日本兵たちが、投降すると見せかけて手りゅう弾投げつけるとか、本当にあったんでしょうか…そしてその手りゅう弾をデズモンドが手で跳ね返し、足で蹴り返しとか…この辺は脚色かなぁ…
でも日本軍は残酷でずる賢いというイメージはアメリカ人から拭うのは難しいかもしれないな…悲しすぎる…
しかし沖縄戦は壮絶だったんだろうなぁ…もっと勉強しないとなぁ。本作では日本軍は敵ですが、日本軍が必死に国を守ろうとする意気込みは伝わってきましたよ。
それにしてもハリウッド映画だから仕方ないけど、本をただせばここは日本の領土だし、侵略してきてるのは米軍なんですけど…とどうしても思ってしまう。
やっぱり日本はハリウッドに金を投入して日本中心のWW2映画を作るべきだと思う。なぜそれが出来ないんだろう。中国や韓国は日本を悪者にした映画や劇をどんどん作って反日を広めているというのに。
私個人としては、下手な政府の広報に税金を使われるくらいなら、ハリウッドに金を流して日本を擁護する映画を少しでも作ったほうがよっぽどいいし、効果があると思う。
キャラクター
デズモンド
まず主役デズモンド・ドスを演じるアンドリュー・ガーフィールド。
この方まったく知りませんでしたが、旦那に聞いたら最近のスパイダーマンに出てた人らしいです。
正直、デズモンドが軍隊に入るまでは、デズモンドはちょっと知能遅れの役なのかとも思ってしまった。
喋り方のせいかな?
フニャフニャ喋るのは、今回オスカーをとったケイシー・アフレックもなんですけどね。
ドロシーに一目ぼれするんですけど、私がドロシーだったらデズモンドのことちょっと危ないやつだと思ってしまいます。
ドロシー
そしてデズモンドが恋に落ちるドロシー役にテレサ・パーマー。
テレサ・パーマー美しいですね。
まだそんなに売れていない頃の映画「明日、君がいない」でも光ってましたが、やっぱり存在感がある俳優は売れますね。
映画監督が一番重視しているのって、美貌や背丈よりも「存在感」らしいですよ。
上官(軍曹)
ほどほど有名な俳優がけっこう出ていますが、軍曹役のヴィンス・ヴォーンはちょっと似合わないかなぁ…彼はなんとなくコミカルなイメージがあるので、シリアスで厳格な役はちょっとミスマッチな気がします。嫌いではないんですけどね。問題児だけど、トム・サイズモアあたりが良かったかな。
上官(大尉)
大尉役でサム・ワーシントンも出ています。ちょっと大尉の役には若すぎる気もするけど、やっぱり存在感があります。あとサム・ワーシントンは、声が低くて渋くていんですよね~。でもこの映画で初めて分かったんだけど、意外と背が低い。175㎝くらいのようです。
スミティ(格好良すぎる)
Photo by: Mark Rogers photo - © Cross Creek Pictures Pty Ltd
スミティは本当に良かった!かっこいい!この映画の中で一番良かった!
タバコを吸ってる姿さえ格好良く見える…
ポイント・ブレイク(ハート・ブルーのリメイク)で主演を演じていましたが、実はポイント・ブレイクは機内で途中まで見て止めちゃったんですよね。。なんていうか、ハート・ブルーのパトリック・スウェイジとキアヌ・リーブスが完璧すぎて、ポイント・ブレイクはなぜか見てられなかった…だけど主役のルーク・ブレイシーは良かったと思ったの。
ルーク・ブレイシーはピアース・ブロスナンとノーベンバー・マンでも共演してたけど、独特の存在感があるのでこれから伸びそうだなと思っていました。
本作ハックソー・リッジでも存在感を発揮!まあ、ハンサムだから目が行くこともあるんですけどね。
最初はデズモンドをからかって嫌な奴っぽいんですが、実はいい奴っていうこの意外性を持つキャラにいつもやられちゃうんだよなあ~
ゾンビ映画でいうとドーン・オブ・ザ・デッド(リメイク)のCJ(マイケル・ケリー)とかさぁ…ハゲてるとか関係ねえ!
でもスミティもうちょっと活かして欲しかったよ。
戦闘が始まってからは、スミティだけは死なないでくれ、とスミティのことばかり考えてしまって身が入らなかった。すみません。ポイント・ブレイク見直そうかな。