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ソーシャル・ジャスティス・ウォーリアーが老舗パン屋に敗訴、44億円の損害賠償支払いを命じられる

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アメリカはオハイオ州にあるオーバリン大学が、近隣の老舗ベイカリー(パン屋)に44億円の損害賠償支払いを命じられた。

ギブソン・ブラザーズ・ベイカリーは、1880年代から3世代にわたっておよそ140年間も家族経営をしてきた老舗パン屋である。

このほど、このパン屋に対して、虚偽の人種差別を申し立てて、学生を動員してパン屋の営業を執拗に妨害したという罪で、オーバリン大学が多額の損害賠償支払いを命じられたのだ。

先週の裁判で課された判決は11億円強、懲罰的害賠償が課されるため支払額は33億円に上ると推定されたが、最終的に44億円に上った。

 

オーバリン大学がパン屋に44億円の損害賠償支払い判決

事の発端

事の発端は2016年11月9日、同ベイカリーでオーバリン大学の黒人学生が万引きをしようとしたのをオーナーの息子が引き留めて喧嘩になったことだった。

黒人学生は偽造IDも所有していた。

そこへ二人の黒人学生が加わり、ベイカリーを人種差別者だと口撃したのが事件の発端だった。

 

ベイカリーが失ったもの

オーバリン大学とその学生たちは、ベイカリーへの人種差別者というレッテル張りや抗議活動、ボイコットを続けた。

ギブソン・ブラザーズ・ベイカリーは、2年半にわたる裁判の間に12人の従業員を解雇を余儀なくされ、裁判の間は収益を得ることもできず、140年にわたる家族経営の店を閉めざるを得なくなった。

大恐慌、2つの世界大戦を生き抜いたギブソン・ブラザーズ・ベイカリーは、2019年にソーシャル・ジャスティス・ウォーリアーによって閉店に追い込まれ、長い伝統に終止符を打つことになった。

※ソーシャル・ジャスティス・ウォーリアー(Social Justice Warrior)…社会正義のために戦う人。人種差別、性差別と戦う人権集団だが、短絡的で過度に糾弾する性質から、冷めた目で見られている人々。日本でいうポリコレヤクザとほぼ同義。

 

3人の黒人学生

この3人の学生は、数日後、これが人種差別によるものだという抗議に加わったが、最終的に人種差別ではないことを認めた。

裁判では、ベイカリーのアリン・ギブソンが万引きを止めようとしたのは正当な権利であると認める陳述をした。

 

オーバリン大学の副校長メレディス・ライモンド

ベイカリーに対する偽の「人種差別」攻撃を指揮していたのはオーバリン大学の副校長であり学生部長のメレディス・ライモンドだ。

ライモンドはベイカリーが「レイシスト」であり、「人種による選別と差別」を行ってきたというチラシをばら撒いたとされている。

裁判では、オーバリン大学とメレディス・ライモンドが名誉棄損罪で有罪となった。

 

弁護士リー・プラカスの言葉

弁護士リー・プラカスは、こう語った。

People around the country should learn from this, that you can use the legal system to right wrongs, even if the one doing the wrong is some huge institution who thinks they can do anything they want.

アメリカ人全員がこの判決から学ぶべきだ。間違ったことを正すために司法制度があるということを。たとえ間違ったことをしているのが、何でも思い通りにできると信じている強大な組織であっても。

Lee Plakas-Oberlin College v. Gibson Bros. Bakery

This is a situation that never should have happened to the Gibsons, but could happen to almost anyone in today’s society, especially with the speed and destructive power of the internet.

今回の事件は、ギブソン家に起きるはずがない事件だったが起きてしまった。現代のインターネットのスピードと破壊力をもってすれば、誰の身にも起こり得ることだ。

Lee Plakas-Oberlin College v. Gibson Bros. Bakery

 

まとめ

アメリカでは、オバマ政権時代の過剰ともとれるポリコレの反動から、ポリコレをものともしないトランプ大統領が生まれた。トランプ大統領が選ばれた理由は多々あるが、アメリカ人がポリコレに疲れ切っていたことも実はその一つなのである。

この判決は、ポリコレの暴走や脱線によって真実が歪められたり、差別を訴えることで真実を煙に巻くといった姑息な手を抑えるブレーキとしても、意義ある判決のように思う。

インターネットは瞬く間に世界を駆け巡り、一度火がついたものはさらに炎上して暴走する。正義と信じたものに疑念を抱く時間も余裕も人々に与えない。正義感が強ければ強いほど、正義のために立ち上がろうとする思いが強く、差別根絶のために立ち上がろうと燃えるはずだ。

人を「レイシスト」と呼ぶ前に、また、画像や動画をSNSにあげて他人のマナー違反を断罪する前に、ワンステップ立ち止まる思慮分別があなたを救うことになるかもしれない。この判決はそれを教えてくれる。