私が税金の次に嫌いなもの、それは何か?
それはズバリ、寝るマッサージ師である。
かつて、フリーランスと会社通いの二足わらじで仕事をしていた頃のこと。あまりにも疲れがたまってマッサージに行った時があった。1時間半のコースだったのだが、開始から20分後にマッサージ師の手が止まり始めた。
最初は何かを取ろうとしたのかと思ったが、手が止まったまま動かない。
この方、寝てらっしゃる
疑いが確信に変わったとき、「あのー、すいません?」と声をかけると、パッと起きたらしく「あっ、すいません!」といってまた手が動き始めた。
しかし、その5分後くらいにまた手が止まる。
もういちど「すいませんが・・・」というと、「す、すいません!」といってまた手が動き始める。
しかし、今度は 1分もしないうちに手が止まり始めた。完全に動かなくって15秒くらいするとまた動き始める始末。でも、動いていても力が入るわけもなく、ただサワサワしているだけ。
超多忙な時間の合間を縫ってマッサージにやってきた私はさすがに頭に来てしまい、おもむろに起き上がると「もう、いいです。どうせ寝ちゃうでしょ?」と言って施術室から出ようとした。
するとマッサージ師は「すいません!ごめんなさい!」といって私の腕を掴んだが、私は強引に出て行った。
レジのところで首を垂れるマッサージ師に「マッサージを受けた分は払いますよ」と言ったが「いえいえいぇ…本当に申し訳ございません。お代は結構です、ほんとうに…」と言っていたので、「そうですか。では」と言って立ち去った。
この時以来、マッサージを長時間受けていると「こいつ、寝るんじゃないか」というトラウマが蘇るようになった。
時は2018年、肩甲骨と肩にかけてかなり強い痛みが発症したので、今度は違うマッサージに行った。「あまり長いと寝るしな」と思って、1時間のコースにヘッドマッサージ15分をつけることにした。
初めて行ったマッサージ店だったし、個室ではなく皆が見える場所でやっていたので一目があるから寝ないだろうと思った私が甘かった。開始から20分後にマッサージ師が寝始めた。
この方も寝てらっしゃるの
幸い、10分くらい船を漕いだあと、私が無理やり会話をして起こしていたので、中断はしなかったのだが、腕が悪かったら帰ってたし、また苦情を言っていたに違いない。
私だって苦情は言いたくないが、マッサージ中にマッサージが寝るというのは基本的にはあり得ないと思う。たとえば翻訳の仕事だってどんなに眠くても納期までに成果物をあげなければならないように、マッサージ師はマッサージ中に寝てはいけないのである。
人の体を1時間も揉むのは大変な作業だし、どうしても眠くなるのは理解できる。でも眠くなるなら眠くなるで、たとえば途中で3分の休憩をとってコーヒーを飲んでくるなり、外の空気を吸ってくるなりしてもらっても構わないのである。施術中にアメを舐めてたっていい。
フランチャイズのマッサージ店だとよく指名ランキングがあるけれども、あれはたぶん「寝ないマッサージ師ランキング」で間違いないと思う。指名が多い人はきっと寝ないはずだ。というわけで、今度は指名が多い人気マッサージ師を頼ってみようと思う。
全国のマッサージ師さん、寝ちゃうのだけはダメだよ。あなたの指名が少ないのは、寝るからだよ。