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【ホットロード】映画の感想:汚れなき不良少女と交通整理係の純愛

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ホットロード

爺さん、やりました。

邦画は「男はつらいよ」かVシネ、勝新太郎の姿くらいしか見ないと豪語するこの爺さん、なんと邦画を観たのであります。やってやりましたよ。ガッツポー!

その名もホットロードです。

「ホットロード」・・・ときは80年代後半、不良国民的漫画として全国の不良少女の心を奪い、胸を熱くさせたあの伝説の少女漫画です。いまの40代後半くらいの世代が青春時代の頃じゃないかしら。

私はボーソー族とかYAKUZAとか俄然興味がないので思い入れのある漫画というわけではないのですが、漫画はおもしろいですよ。全4巻なのでちゃちゃっと読めます。

ホットロードを読んだちょいワル系の人たちが、バイクにまたがったイケメン不良貴公子との出会いに期待しながら、和希を気取ってオキシドールを髪の毛につけたりとかしてたんですよ、あの頃は。

ちなみに女子がホットロードホットロード言ってた中、私はホットモットと言いながら、ロードショーという映画雑誌のクリッピング記事を眺めては「コマンドーのアリッサ・ミラノこんな大人になっとる!ジャンクロードバンダムかっこええ!」とか意味不明な言葉を口走っていました。

さてこの伝説の漫画「ホットロード」の実写化で、14歳の不良少女「和希(Kazuki)ちゃん」を演じるのは能年玲奈さん。よく知らないけど、読み方は「のうねん・れな」さん?それとも「れいな」さん?

和希ちゃんが恋する暴走族の春山くんを演じるのは登坂ひろ...何くん?名字はトサカと読みますか?ノボリザカではないですか?

こんな感じで進めて行きますが、皆さん頭を抱えていませんでしょうか、大丈夫でしょうか。まあ大丈夫じゃないと言われても進めますが。

 

【ホットロード】作品情報

公開年:2014年

監督:三木孝弘

出演:能年玲奈、登坂広臣、木村佳乃、鈴木亮平

上映時間:119分

設定は現代なのかと思ったら、そのまま80年代後半の設定のようです。

 

【ホットロード】あらすじ

悩みを抱えながら、暴走族に憧れ、仲間に入り不良の道を進んでゆく主人公・和希、バイクに命をかけ、死をも恐れず暴走する春山の姿が描かれる。

母から愛されず、自分が誰からも必要とされていないと心を痛める14歳の宮市和希は、学校で周囲と打ち解けられず孤独を抱えていた。

そんなある日、学校の友人である絵里に誘われ不良の春山洋志と出会い、しだいに彼らの世界に自らのよりどころを見いだすようになる。

少しずつ春山にひかれていく和希だったが、暴走族のリーダーとなった春山は反目し合うチームとの激しい争いにしのぎを削ることとなる。

ホットロード-Wikipedia

リンク先のWikipediaによると、ホットロードの原作者である紡木たくさんには実写化のオファーが何度も寄せられたものの、ずっと断っていたそうです。紡木さんが能年玲奈さんのことを知り、能年さんが和希になるなら、ということで実写化に至ったそうです。

 

【ホットロード】感想

漫画の実写化は常に賛否両論を引き起こしますが、ホットロードが実写化すると聞いた時はやはり懐疑的にならざるを得ませんでした。

ごく普通の漫画リーダーの私でさえも、実写化によってオリジナルのイメージをぶち壊されることを危惧していたわけです。私のような熱心ではない漫画リーダーでさえも実写化を心配してしまうーホットロードはそのぐらいレジェンドな漫画だったわけです。

驚いたことに台詞が漫画と一字一句同じ。これまで実写化を断り続け、やっと能年玲奈という存在に限りOKを出したことを考慮しても、紡木たくがよほど元作のイメージを大事にしていたことや実写化に慎重だったことが伺える。

幸運なことに、その姿勢はファンには望ましいはずだ。本作の評判はググってないので全然分からないが、個人的には思っていたより悪くなかった。

和希(能年玲奈)は母子家庭に育つ中学生。父ちゃんは早くに亡くしており、母ちゃんは木村佳乃だが高校時代からの同級生と逢瀬を重ねている。要は好きでもない男と結婚して生まれた子、それが和希である。

そんな事情なのでもちろん母子関係はうまくいっていない。和希と母ちゃんの母子関係の貧しさは、殺風景なマンションの部屋に何も置かれていないことからも語られている。そこには、やけに背が高くて小さいダイニングテーブルにバースツールのような高い椅子が置かれているだけだ。

座りにくい。

ソファーもないしテレビもないし、フローリングにはカーペットさえ置かれていない。

くつろげない。

「こんなんやってられるか」とばりに、中坊仲間の茶髪のエリちゃんとつるみ始め、エリちゃんつながりで暴走族の集まる場所にたむろするようになる。そこで出会うのが春山だ。

湘南の小さなガソリンスタンドで働く春山洋志(登坂広臣)は、和希をみてすぐに気に入ったので、とりあえず水をかけてみる。すると怒った和希にドつかれる。春山はファンに評判の鋭い眼光をお披露目したあと、近くにあったバケツを蹴っ飛ばして「二度とくんな、おめー」とかなんとか言って去っていく。

不良の二人が恋に落ちた瞬間である。

ヤンキーの恋の駆け引きがよく分からない。

和希と恋に落ちる春山は、なんでも「切り込み隊長」と言われている暴走族の重要人物である。何を切り込むのかというと、交差点に切り込みます

暴走族は集団でブルンブルンとバイクをふかし、信号無視をし、周りのドライバーに迷惑をかけて進んでいくのが仕事なので、交差点にそのまま突っ込んでいくと非常に危ないわけです。

そのため、暴走族の皆さんが安全に信号無視ができるように、そして他のドライバーが事故を起こさないようにと、最初に交差点に切り込んでいって他の車両を止める係が必要なのです。 

その危険な任務を担うのが春山で、まあ分かりやすく言うと、交通整理が彼のお仕事だ。要人を守る白バイ機動隊と同じ業務をこなしているのですから、それは大変な責任です。

春山は突然「っシャー!」とか「あああー!!」とか「うわあああ!」とか「ぅっらあ」とか意味をなさない言葉を突然叫んで視聴者や能年玲奈をビックリさせる奇行を見せることもあるが、基本的には交通整理に命をかける健全な若者です。

一方、主人公の和希だが、原作者の紡木さんが押していたように、能年さんは和希のイメージに現存する若手女優の中で一番近いところにあると思うし、地味ではあるが、どのショットを撮っても可愛い人だと思った。たまに少年にも見える。

ただ、日本人女優ほぼ全員に言えることだけど、その可愛さゆえに「汚さ」が表現できてない。食中毒になっているというのに嘔吐が映されないし、嘔吐まみれの顔も映さない。

終盤には10日間もほとんどシーメを頂かずに最後は胃液で木村佳乃のガウンを汚すという修羅場もあるはずなのに、胃液は映らないし、ぐちゃぐちゃな姿がいっこうに映らない。汚れ能年が見れない。なんなら胃液も吐いていない食中毒にもなっていない普段の私の方が汚えよ!

漫画にあったように先輩に裏に呼び出されて「バックがついてんならいいなよ」と聞かれて「ついて・・・ない」と答えて水浸しにされていたぶられるというシーンもそっくりないので(やけによく覚えてる)、なんなら能年玲奈を汚すことを一切拒否しているようにも思える。

それから全4巻の漫画を全部2時間の映画にぶち込むことは難しいということは承知しているが、和希の不良への変貌があまり描かれておらず、髪の毛をちょっとだけ茶色くする以外は能年玲奈の外見にも表情にもまったく変化が見られない。

素材がいいだけに、料理されていないのが残念だ。

あと特筆すべき点は、暴走族のトップである玉見トオルの気持ち悪さ。玉見は暴走族「横浜ナイツ」の総長で、いい年こいて中坊や高坊をひきつれていい気になってる痛いDQNなのだが、漫画ではそれはそれはいい男に描かれていて春山も一目置く憧れの存在だ。

ところが実写版の玉見は気持ち悪ィー

中坊の能年玲奈とエリちゃんと3人で車の後部座席に詰まって、「これが春山を殴った手かぁ~」とかなんとかブツブツ言って、とつぜん能年玲奈の手に口づけをするシーンがある。

おっさんが能年玲奈の手を舐めてるシーンを想像してみれば、それがどれだけ気持ち悪いかわかるはずだ。言わんこっちゃない、フロントガラス越しに春山が「てめえ気持ち悪ぃんだよ」という顔をして睨んでる。

その気持ち悪さを是非ネトフリで!