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USメキシコ国境の続報:トランプ大統領、国境に押し寄せる不法移民を「聖域都市」に送ると提案

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アメリカの国境へ押し寄せる不法移民の数は、いまだ衰えを見せない。

中央アメリカから数百、数千単位で押し寄せる移民キャラバンの群れにトランプ大統領は「国家非常事態宣言」を発したが、民主党やリベラル派は国境に押し寄せている人々の人権を重要視しており、トランプ大統領や国境警備隊に批判を寄せるという反目が続いている。

先月には、アリゾナ大学の刑事司法のクラスに招待されて講演を行っていた国境警備局の職員が大学の女子生徒にハラスメントされる事件があった。女子生徒3名は職員が講演中のクラスにやってくると批判し始め、やがてエスカレートして「人殺し!」と叫んだ。

講演を聞いていた生徒たちが彼女たちをクラスから追いだしたが、講演後に駐車場の車に向かう職員を女子生徒達は追いかけていった。SNSに投稿された動画では、職員は冷静を保っており、一言も返すことはなかった。

のちに女子生徒たちは「Interference with the Peaceful Conduct of an Educational Institution」の軽罪で刑事責任を問われることになったが、女子生徒3名に味方する抗議活動が活発化し、警察、大学、生徒会、地域コミュニティを巻き込んで注目を集めている。

現在USメキシコ国境に押し寄せている人々は中央アメリカのホンデュラス、グアテマラ、エルサルバドルの人々だ。この三国はいずれも貧困国家であり、麻薬カルテルやギャングが幅を利かせていて、いずれも非戦闘地域でもっとも危険な国家の一つに入る国だ。

住民は常にドラッグの誘惑と麻薬カルテルに仕えるギャングからの脅しや暴力に晒されている。日本では考えられないほど暴力が身近にある国だ。そんな暴力がはびこる世界から抜け出したい一心で、彼らはグアテマラからアメリカまで2422kmの道のりを歩んでいく。

アムネスティインターナショナルによれば、USメキシコ国境までの旅で毎年2万人が誘拐され、10人のうち6人の女性または少女がレイプされているという。

人道的な視点から見れば彼らの意図も十分理解できるのだが、物事はそうシンプルではない。日々国境に押し寄せる移民の人数にアメリカ国境警備局はキャパシティオーバーで機能不全に陥っているからだ。

 

USメキシコ国境続報 

不法移民を「聖域」都市へ

現実を見ようとしない民主党とリベラルに業を煮やしたトランプ大統領は、「不法移民を聖域(サンクチュアリ)都市へ送る」という案を出した。

聖域都市というのは不法移民に寛容な政策をとる都市のことだ。そこでは、たとえ不法移民であっても強制送還するようなことはない。連邦政府による強制送還の命令に協力しなかったり、不法移民であっても自動車免許を取得したりすることができる。

アメリカの聖域都市は数多くあるが、メジャーなところでは、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロスアンゼルスなど大都市が多い。これは大都市に不法移民が多く、不法移民の労働によって生活基盤が支えられている面が多いからであろう。

3K(汚い・キツイ・危険)の仕事に就いているのは、白人でも黒人でもなくヒスパニックが殆どであり、誰もやりたがらないレストランの厨房、掃除、フードコートの掃除、モールの掃除、炎天下に晒される家の建築クルーや植栽、中腰での果物野菜摘みといったハードなマニュアル労働についているのはヒスパニックばかりである。

トランプ大統領は国境沿いのキャパオーバーの施設を見学したあと、不法移民を聖域都市に送るという爆弾を落とした。

よく考えてみると、国境警備局やイミグレの施設がキャパオーバーになってしまい、不法移民が橋げたの下のテントという厳しい環境で過ごさねばならない以上、不法移民をウェルカムしている聖域都市に任せるというのは、そう突飛なアイデアではないかもしれない。

メディアはこぞって不法移民がいかに劣悪な環境で過ごし、非人道的な扱いを受けているかと連日報道していたからだ。

しかしトランプ大統領のこの提案に対し、民主党やリベラル派は猛反発した。

女優であり#metoo活動家のアリッサ・ミラノはこう言って批判した。

This is so sick and twisted.

(なんておぞましいことを)

-Alyssa Milano

民主党の大統領候補フリアン・カストロは、トランプ大統領が民主党への報復のために聖域都市に不法移民を送ろうとしていると批判してこう言った。

The cruelty of this administration never seems to end.

(トランプ政権の無慈悲は終わりそうにない)

-Julian Castro/Democratic Presidential Candidate

弁護士でありCNNのリーガル・アナリストであるジェフリ―・トゥービンはこう言った。

Using humans as "pestilence to spread around the country" is grotesque

(疫病を国中にまき散らすかのように人々を利用するとは異常だ)

-Jeffrey Toobin

すると、これらの批判に対して、反論が集まった。

(ペローシ(民主党下院議長のナンシー・ペローシのこと)はホワイトハウスが国境超え不法移民をカリフォルニアの自分の地区に送ることに不満を述べているけれど、ちょっと待って。不法移民を受け入れたくないの?聖域都市をさんざん応援していたのに?二股はできないわ。不法移民を受け入れるのが筋よ。)

「移民ウェルカム」と言っていたのに、いざ自分の都市に送ると言われたら猛烈に反対した民主党とリベラルの矛盾を突いたといった具合か。

 

民兵が不法移民300人以上を勾留

そうこうしている間も不法移民の流れは止まらず、ついにアメリカ人は自ら動き出した。アメリカ人が自警団を結成して国境警備局の目が届かない国境沿いのエリアを監視し始めたのだ。

ニューメキシコ州では元警官や元軍人あるいはワナビーミリタリーの人々によるThe United Constitutional Patriots という武装した民兵組織が過去2か月間にわたって国境のパトロールにあたっている

2019年4月15日、この民兵組織が国境を超えてきた300人以上の不法移民を発見し、国境警備局が来るまで不法移民を集めて地面に座らせ勾留していた。

逮捕権限を持たない民兵が、不法移民たちに銃を向けて勾留していたということで、メディアは現在この民兵組織を激しく糾弾している。

また、民兵の一人のメンバーが武器の所持許可証を持っていなかったため、FBIが逮捕する事態に発展した。

国境警備局は「コミュニティの協力は歓迎する」が「民間グループや民兵組織による法の執行は支持しない」という声明を出した。

 

解決策の見えない不法移民問題

トランプ大統領と民主党・リベラルがこうして舌合戦を繰り広げている間も不法移民はアメリカを目指して歩き続けている。

彼らの母国の貧困や暴力に覆われた日常を考えると、人道的な視点からみれば何とかしてやりたいと考えるのが人間だ。

しかし実際問題、教育を受けておらず、専門技術を持たず、言葉も話せない彼らがアメリカにきて生活を立てることができるのかという現実的な問題もある。アメリカは彼らの祖国より生活コストもずっと高い。

アメリカ人からしても、祖先たち、自分たちが作り上げてきたアメリカ社会をタダ乗りする権利は不法移民にはないと考えるのも当然であろう。

アメリカ人配偶者との婚姻による合法的に居住していた合法移民の私でさえ、アンフェアだと思う気持ちがあるのだから(正規の手順に従い、長い時と金額を費やしている)、愛国心が強いアメリカ人であればなおさらその思いは強いだろう。

国境付近で確認される民兵組織の数は増えているし、メキシコ軍とアメリカ軍の間で小競り合いがあったようでアメリカ人兵士二名がメキシコ軍に拘束されているというニュースもある。

不法入国という法を犯した有色人種が集まるこの場所に極右組織や、極右思想に傾倒したローナーが国境にやってきて何かしでかす恐れも十分考えられる。

そう遠くない将来、国境付近で散発的な衝突や悲劇が起こるかもしれない。