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世界的なコロナウイルス感染拡大でアジア系が直面するもう一つの脅威

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新型コロナウイルスが世界で蔓延し始めて間もなく、ニューヨークの地下鉄でアジア系女性(韓国系女性)が黒人男性に突然殴られ、顎の骨を折る重傷を負う事件があった。

今でこそニューヨークは世界で一、二を競うほどの感染爆発都市となってしまったが、このときはまだコロナウイルスがニューヨークで猛威を振るう前だった。男は、マスクをしたアジア系女性を感染者だと思い込み、襲いかかったのだった。

多くの人は、コロナウイルスが世界でこれほどまで拡大するとは予想していなかったため、この暴行事件は単発的なものだと思った人も多い。しかし、現実はその逆となった。

コロナウイルスが蔓延し、多くの人々が感染して命を落としていくに伴い、アジア人はコロナウイルス以外のもう一つの大きな脅威に直面することになった。アジア人への嫌悪感情である。

 

世界で増大するアジア人への嫌悪感情

カリフォルニアが外出禁止令を出す前の3月初旬、フィリピン系の老齢夫婦が仕事を終えてサンフランシスコベイエリアのヘイワード市にある自宅にBART(ベイエリア近辺の電車網)で帰宅しているときのことだった。夫婦は、他の乗客に「国に帰れ!」と罵声を浴びた。

夫婦の店にはフィリピン系の顧客がよく訪れることもあって、夫婦はコロナウイルス対策でマスクを着けていた。アメリカ人は基本的にマスクを着用しないため(感染拡大した今でこそ着用をし始めたが)、マスクを着けていると目立つ。

その乗客は、フィリピン系の妻のことを「Chinese Coronavirus bitch」と呼び、夫婦を「感染者」と呼んだ。

幸い、物理的な暴行は受けなかったが、夫妻は電車通勤を止めることにした。コロナウイルス発生以降、差別的な言動を受けたのはこれが初めてではない。3度目だった。

ロンドンでは23歳のシンガポール人男性が「コロナウイルスはいらない」と言われて4人の男に殴る蹴るの暴行を受け、重傷を負った。

イスラエルではインドから移住したユダヤ人男性が2人の男性に「コロナ」と言われて胸を殴られ大怪我を負った。

パレスチナではNGOの日本女性が通りがかりのパレスチナ人から「コロナ」とからかわれた上に掴みかかられるという事件が起きた。

事件沙汰にはなっていないものの差別的な罵声を浴びているアジア系住民は大勢おり、自身の体験をオンラインで訴えている。

これまでにコロナウイルスが原因で起きたヘイトクライムの中でも、3月中旬にテキサス州ミッドランドのサムズ・クラブ(会員制スーパー)で発生した事件はとりわけ悲劇的な事件だった。

19歳のホセ・ゴメスという男がナイフで4人を襲ったもので、被害者には2歳の女の子と6歳の男の子が含まれている。午後7時半、家族4人はスーパーに買い物に来たところを切り付けられた。

男は3人が中国人だと思い、ナイフで刺し始めたという。

少年は耳の後ろから目に向かって真横に深く顔面を切り裂かれ、父親も顔面を大きく切られた。

ショッキングな画像になりますので閲覧はくれぐれもご注意ください。

止めに入ったスーパー従業員ザック・オーウェンと他の客も負傷した。従業員のザック・オーウェンは足を12針、手を30針縫った。

メディアはこの事件を大々的に扱っておらず、被害者の人種さえ明確にしていないが、被害者は中国人ではなく、ビルマ出身のカレン族だった。

 コロナウイルスが中国の武漢で発生したことは広く知れ渡っているため、アメリカやヨーロッパでアジア系住民がスケープゴートにされているのだ。

あなたが中国人であってもなくても関係ない。見た目がアジア人なら、同様の暴行を受ける可能性がある。

ニューヨークで活躍するメジャーリーガー田中将大さんも、こうツイートしているが、アジア系移民としてターゲットになってしまうことを危惧したゆえの決断だと推察できる。

 

アジア人への嫌悪・排斥感情はコロナウイルス終息まで続く

人間は平時には「人類、みな兄弟」「人種差別のない世の中を」と声高に叫ぶが、それは建て前の理想であって、有事になると心の奥に潜んでいた差別心が表面に露呈する。

人種差別は人類が断固として戦い続けていかなければならない永遠のハードルだが、良い悪いを別にして、異なる食生活、生活様式、文化洋式、遺伝子、病気、疾患、ウイルスを持っているかもしれない外来種というのは、自分たちの生命存続を脅かす存在であると本能的にプログラミングされているのが人間である。

したがって、有事になれば、途端に理性はなくなり、この本能によってオーバーライドされてしまう。自分を脅かすかもしれないという恐怖に支配され、排除しようという行動に出る。

911後にイスラム系住民への暴行や差別言動が急増したのも記憶に新しい。

コロナウイルスのワクチンや特効薬ができれば、アジア人への嫌悪感情や排斥感情も次第に収まっていくだろう。しかし、コロナウイルスが終息しない限り、アジア系住民への嫌悪感情と排斥感情は収まらない。

世界へのダメージは甚大で、たとえコロナウイルスが収まっても反中感情はしぶとく人々の心に残る可能性も高い。コロナウイルスによって家族を失った人も大勢おり、突然大切な人を奪われた怒りの矛先が、たまたま側を歩いていたアジア人に向かうことだってあり得る。

もともとアメリカはトランプ政権から明確に反中姿勢を露わにしているし、コロナウイルス終息後は脱チャイナを加速させるだろう。感染拡大しているエリアは出稼ぎ中国人を多数抱えていた都市が多いが、今後はチャイナリスクを懸念して中国との関係を見直していくかもしれない。そのプロセスで中国人への反感の火の粉が他のアジア系住民にも降りかかる可能性も否定できない。

海外に居住している邦人、アジア人の方たちは、これからもくれぐれも十分注意してほしい。