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キム・カーダシアンのkimono騒動、批判を受け名称を変更すると発表

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アメリカのお騒がせセレブ、キム・カーダシアンさんがプロデュースする補正下着のブランド名に kimono と名付け、アメリカで kimono を商標登録すると発表したことで、日本を初め国内外から「文化盗用」だと批判が続出した件で、キム・カーダシアンさんが名前を変更することを決めたと公表した。

 

キム・カーダシアンのkimonoブランド、批判を受けて名称変更すると発表 

キム・カーダシアンて誰?

まずはキム・カーダシアンさんを知らない人のために。

キム・カーダシアン(本名キンバリー・カーダシアン)はアメリカのリアリティTVスターで、お騒がせセレブとしてアメリカで最も有名なセレブの一人である。俳優やミュージックスターと異なり、インスタグラムといったSNSをマーケティングの主力にしているため、「ソーシャル・メディア・インフルエンサー」とも言われている。

キムという愛称から韓国系と勘違いする人もいるようだが、韓国系ではない。父親は中東のアルメニア系アメリカ人、母親はオランダ、イギリス、アイルランド、ドイツ、スコットランド人の血をひく白人であり、中東の血統はない。

もともとはヒルトン一族のご令嬢でもありパーティガールだったパリス・ヒルトンのスタイリスト/クローゼット・オーガナイザー/付き人的存在であった。当時スポットライトはパリス・ヒルトンに集中しており、キム・カーダシアンはまったく無名だったが、いつもパリス・ヒルトンの隣にいる写真をパパラッチされ続け、次第に存在感を増していく。

そして音楽プロデューサーでありラッパーのレイ・ジェイとのセックス動画が流出したことで、一気にスターダムへと駆け上がった脅威の成り上がりセレブである。

なお、このセックス動画はマネージャーでもあり母親でもある(ママとマネージャーをかけてママジャーと呼ばれている)やり手のクリス・ジェナ―が流出させたとみる声も多い。

成り上がりとはいってもキム・カーダシアンの父はO・J・シンプソンの弁護士の一人なので、もともとお金持ちでの家庭ではあった。

有名になったキム・カーダシアンはその後、顔の整形や豊尻を繰り返す。もともとの美貌もさることながら、とりわけ彼女の肥大化した豊尻が有名になり、メディアへの露出が激増する。

有名になってまもなく、パリス・ヒルトンといったかつての友とは袂を分かつ。キム・カーダシアンの台頭によって表舞台からすっかり影を潜めてしまったパリス・ヒルトンは踏み台にされたと感じていたようだが、最近になって(表向きは)不仲を解消している。

キム・カーダシアン=大きなお尻というイメージは定着し、いつしかキム・カーダシアンはセクシーな美しい女性を代表する存在になった。

2007年から放映されているKeeping Up With the Kardashians(カーダシアン家のお騒がせセレブライフ)というリアリティショーが好評で、すでにシーズン16という長寿番組に。

Keeping Up With the Kardashians(略してKUWK)はキム・カーダシアンさんを筆頭にカーダシアン家のメンバーの日常を撮影したリアリティ番組だ。

O・J・シンプソンの弁護士だったロバート・カーダシアン死後、キム・カーダシアンの母クリスは、オリンピック金メダリストのブルース・ジェナ―(日本ではジェンナーとアルファベット読みされているが、正しい発音はジェナ―に近い)と再婚し、ケンドール(ケンダル)・ジェナ―、カイリー・ジェナ―が生まれた。つまり、ジェナ―家の姉妹はキム・カーダシアンの異父妹にあたる。

長女のコートニー、妹のクロエ、そしてジェナ―家の妹二人とともに、マネージャーのクリスの敏腕マネジメントをバックボーンにしてカーダシアン帝国を牽引してきた女性、それがキム・カーダシアンである。

 

キム・カーダシアンの#kimono騒動

そして先週、「15年あたためてきた」という補正下着の商品をお披露目したキム・カーダシアンだが、商品のブランド名にkimonoと名付けたことから、日本人はもちろん、国内外から批判の嵐にさらされることとなった。

 
 
 
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Finally I can share with you guys this project that I have been developing for the last year. I’ve been passionate about this for 15 years. Kimono is my take on shapewear and solutions for women that actually work. I would always cut up my shapewear to make my own styles, and there have also been so many times I couldn’t find a shapeware color that blended with my skin tone so we needed a solution for all of this. The third pic is the solution short. I developed this style for all of those times I wanted to wear a dress or skirt with a slit and still needed the support. Introducing Kimono Solutionwear™ for every body. Coming Soon in sizes XXS - 4XL in 9 shades. I can’t wait for you to feel this fabric!#KimonoBody @kimono Photos by Vanessa Beecroft

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およそ着物という言葉に似つかわしくないヌードカラーの補正下着を見た日本人はショックを受け、キム・カーダシアンに直接メッセージを送ったり署名活動をして名前の変更を訴えた。

たまらず私もコメントを送った(文字制限のために冠詞など多少削っている)

また、キム・カーダシアンはkimonoの商標登録の申請までしている。日本では「着物」は日本文化を代表する共有の財産のため、商標登録がされていない。kimonoがアメリカで商標登録されると、登録者は商標を独占排他的に使用する権利を有することになる。

登録者は、第三者によるkimonoの使用を差し止めることができ、無断で使用している第三者に過去にさかのぼって損害賠償請求さえできるのだ。

つまり、他の人がアメリカでkimonoと謳う商品を販売することができなくなるし、日本の着物販売店がアメリカで着物をkimonoとして売ることもできなくなる。

一般の日本人が奮闘するなか、京都市長も英文・日文で名称変更を懇願する書簡を出した。

批判を受けても当初は「名前は変更しない」と言っていたキム・カーダシアンだが、批判が大きかったのか、昨日、名前を変更することを発表した。(商標登録の申請を取り下げるかについては現時点で不明)

 

#kimono騒動から学んだこと

今回の#kimono騒動から学んだことがある。

日本の文化庁は頼りにならない

日本文化を象徴する着物と同名で外国の富裕層セレブがアメリカで商標登録するという事態に、日本の経産省や文化庁はなんのアクションも起こさなかったようだ。

日本人のなかには文化庁や特許庁など政府に働きかけた有志の人々もいたはずだが、文化庁や日本政府が声明を発することはなかった。

唯一、見える形でアクションを起こしたのは京都市長だ。京都市長はキム・カーダシアン宛てに英文・日文で直接書簡を出してアピールした。

追記:経産省の世耕大臣がツイッターでこの問題を取り上げ、アメリカ特許庁に担当者を派遣すると発表、名称変更発表後も動きを注視するとしている。

日本の国益を守るのは日本政府の責任であり、有形・無形を問わず日本独自の文化財を守るのは当然の仕事である。それにもかかわらず、何もアクションを起こさず、ステートメントさえ発さず、事なかれに徹した。

国防をアメリカに委ねる日本は、自分で領土を守ることができない。竹島を奪われ、ロシアに北方領土を奪われたまま奪い返すことができず、尖閣諸島まで中国に奪われようとしている。諜報機関がない日本は、情報の価値を知らずに極秘情報を垂れ流し、産業技術を盗まれている。性善説に基づいて口約束を信じた結果、日本の農作物までもが他国のブランドとして売られている。スペインでは「うどん」が商標登録されてしまっているため、日本人が「うどん」という名を使ってうどん屋を開業することができない。

一事が万事、この調子だ。つまり、日本は領土も極秘情報も文化財も守れないーそんな国になっているのである。

クールジャパンというのは一体なんのためにあるのか。

日本は知的財産への意識が低く、無防備

日本が独自の文化や伝統に関わる有形・無形財を守れないのは、それがどれだけ価値があるものなのか気付いていないことも原因の一つである。

外国人にしてみたら、それは「なぜか」誰も手を出そうとしない金のなる木。長い歴史と伝統をもつ日本人は、国の文化や伝統は誰も手をだすことができない不可侵的領域と信じている。数千年の歴史のなかで培われてきたこの思慮深く、尊い信条によってそれらを守ってきたのだ。

しかしこの価値観を共有しない一部の外国人にとっては、それは「なぜか」誰も手をつけないビッグ・ビジネスチャンスでしかない。自身の商品に日本の素晴らしい文化財の名前を付け、商標登録できるというのだから、手をつけない理由がない。彼らの思考回路からすると、日本の素晴らしい伝統文化を自分がアメリカで商標登録することで永遠に守ることができるという考え方にさえなる。

たとえば知的財産を侵害しているとしてアメリカが中国企業ファーウェイを非難したとき、中国はこう言った。「知的財産侵害の違反があったのは否めないが、アメリカの知的財産の保護が十分でなかったのが悪い」と。

日本の文化財の名称を他国で商標登録されたとしても、それは自分たちの文化財を守るために然るべき手段をとってこなかった日本の怠慢であり、日本自身のせいだと言われるのである。

日本人からすれば「なんと恥知らずで厚顔無恥な考えだろうか」と信じられない思いだろう。しかし外国勢から見れば、大切なものを守ろうとせずに無防備でいれば奪われるのも致し方ない、褒められた事ではないが、弱肉強食の世界では一理あると思うだろう。

日本が持っているものの価値を認識すること、そしてこうした外国人流の考え方を学ぶことをしないと、日本はいつまで経っても無防備な姿をさらすことになり、領土も技術も情報も農作物も文化財も根こそぎ奪われることになる。数百年後には、kimonoは下着を意味する言葉になっているかもしれない。

日本人が一致団結すると驚異的なパワーを生み出す

普段大人しい日本人でも、さすがにヌードカラーの補正下着にkimonoという名称を使ったことには我慢できなかったようで、多くの日本人がキム・カーダシアンにNOを突きつけた。

批判をうけたキム・カーダシアン側は、当初はそれでも「名称を変更するつもりはない」と頑なな態度を固守していたが、さらに批判が殺到したのか、最終的に名称を変更すると公表するに至った。

批判はアメリカ人の一部や、歴史が長く伝統を重んじるヨーロッパからも多く寄せられたようだが、おそらく日本からの批判が最も大きかったのだろう。

キム・カーダシアン夫妻は日本文化に感銘を受けていて何度も訪日しているので、京都市長からの公式レターも効果的だったのかもしれない。

何もしない日本政府の代わりに、日本人が一丸となって文化財を守った、つまり国益を守ったと言えよう。

体が小さい日本人は、一人一人の力は外国人に比べて弱いかもしれないが、ある目的や信条のために一致団結すると途方もない力を出す。その力は諸外国でさえもが畏怖する驚異的な力であり、過小評価できない。

日本人の英語力が壊滅的

日本人が一丸となって国益を守ろうとしたことには安堵したものの、気がかりな点もある。それは日本人の英語力が壊滅的であるということだ。もっと正確に言えば、英語の語彙力がまったくないということである。

私はかねてから英語を身につけるには1つのことをやりさえすればよいと公言している。それは英単語を身に着けることだ。英語は英単語を覚えれば必ず喋れるようになると断言できる。

英単語を覚えなければ、いつまでたっても「ハウアーユー」「ファインセンキュー」の表層英語しか喋れない。

今回SNSでキム・カーダシアンへの批判リプライをちょこちょこ読んでみたところ、語彙力が不足しているために現地の小学生1~2年レベルの英文しか書けないのである。

「意味が通じることが大切」というのは一理あるものの、小学1年生レベルの英文と大卒レベルの論理的でプロフェッショナルな英文を比べたら、後者のほうがより説得力があり、効果的であることは自明である。

だいいち、稚拙な英文でコメントしても、まず相手にされない。「まともな英語を話せ(書け)」と馬鹿にされるだけだ。

日本では英語の発音やスピーキング能力が重視されているが、私個人はライティング能力はスピーキング能力以上に重要であると感じている。スピーキング能力はある程度ごまかしがきくものだが、ライティング能力はスピーキング能力以上のものが求められる。ライティングは論理的な思考ができているか、thesis、discussion、conclusionといった文章構成がしっかりできているか、プロフェッショナルで適切な語彙を使用しているかなど、アメリカの大学で重要視されるのも英文ライティング能力なのだ。

語彙力がなければ英文も稚拙でつたないものになる。論理的な文章を書くための語彙が不足しているので、論理的な展開ができず、相手を説得するに足る文章にはならない。

多くの日本人はいざ英文を書こうと思っても「着物は日本の伝統的な民族衣装です。名前を変更してください」くらいしか思いつかなかったのではないだろうか。今回は完全に「文化の盗用」にあたったわけだが、その英訳であるcultural appropriationという言葉で批判した日本人がどれほどいただろうか。

京都市長が手紙を書いたのは素晴らしいアクションだったが、手紙の英文も残念ながら稚拙であると言わざるを得ない。日本の文化財を守るためにも、これからは文化庁などにも英語ネイティブで日本語も堪能なアメリカ人ら雇い、競争に勝つためのスピーチライターにするなど、ペンの力を重要視すべきだろう。

とはいえ、京都市長が発したレターには、相手を攻撃せず、あくまでも再考をお願いしたいという相手を思慮した日本人らしい優しさが感じられた。キム・カーダシアンの気持ちがこれで動いたのだとしたらなかなか粋なモノである。

また、文化財に関わらず、今回のような日本の国益に関わる件が発生した際は、ネイティブのスピーチライターに原稿を書かせ、即座に日本政府や関係省庁、行政機関の見解を国際社会にむけて発信すべきだ。

「ありがとう」とへりくだるのは悪い癖

キム・カーダシアンが名称を変更すると発表したあと、一部の日本人は「サンキュー」と謝意を示していたが、この謝意は不要である。

もともとはキム・カーダシアンが日本人という民族を憤慨させる好ましくない選択をしたことが原因であるのだから、考えを改めたことに対して謝意を述べるのは必要以上にへりくだっている姿勢が伺える。これは日本人の悪い癖でもある。

キム・カーダシアン側にすれば、実は納得いっていないままでの変更かもしれないし、事態を鎮静化させるのが目的で変更するに至ったのかもしれないし、変更の理由については「慎重に検討した結果」としか言及していない。

相手が日本文化における着物というものを理解したものと考えるのは早計だし、あまりにもお人好しすぎる。へたすれば今度は似たような日本名を商品名に考えるかもしれないし、商標登録しようとするかもしれない。謝辞もない以上、日本人の主張を理解したとは到底思えないし、文化盗用の意味を理解したかも怪しいものである。

日本のアイデンティティである文化の盗用をされたという事実を忘れて「ありがとう」という言葉で水に流そうとするのは、これまた日本人だけのお人好し精神であることに気が付かなければならない。