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Amazon海外ドラマ【ジャック・ライアン】シーズン2キャストあらすじ感想

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ジャック・ライアン@Amazon Prime

トム・クランシー原作「ジャック・ライアン」シリーズのシーズン2がAmazonプライムで配信されました。

シーズン1の感想記事を読んでみる

シーズン1ではまずまずの滑り出しを見せた「ジャック・ライアン」。果たしてシーズン2はどうだったのでしょうか。

 

【ジャック・ライアン】シーズン2あらすじ

ある船がベネズエラのジャングルへ違法に武器を運び入れている可能性があるとの情報をつかんだCIA職員のジャック・ライアンは、南アメリカへと向かう。しかし、事件の核心に迫るにつれて、ベネズエラの大統領による妨害は激しさを増し、事態はアメリカ、イギリス、ロシア、そしてベネズエラをまたにかけた大事件へと発展。密輸事件の裏に隠されていたのは、崩壊寸前の国家の姿と、ベネズエラ大統領の恐ろしい陰謀だった。

ジャック・ライアン-Amazonプライム

シーズン1同様、シーズン2も全8話の構成です。

 

【ジャック・ライアン】シーズン2の感想

ベイヤーのためのベイドラマ

スピーディでお手軽コンテンツを大量消費することで忙しい現代の消費者にとって、全8話という構成は気負いなく観れる長さです。

海外ドラマというと、以前は24話前後が主流でした。最近はぐっとエピソード数が減って8話~16話構成のものが多くなりました。1話完結のドラマは、いつどこから見てもさほど問題ないが、続きものだと最初から順を追って観なければならないので、途中で面白くないと判断されれば離脱されてしまいます。

作り手からしても、最後まで観てくれるか分からないコンテンツを24話まで作るより、8話で締めた方がリスクが少ないのでしょう。

一方で、エピソード数が少なければ、それだけ複雑な陰謀や事件を丁寧に追っていくのが難しくなります。「ジャック・ライアン」はCIA分析官が国家レベルの事件や陰謀を暴いていく話ですが、8話という構成上、複雑なあらすじを練ることはできず、事件はいつも額面通りの単純な構図に収まっています。

つまりCIA分析官が国家レベルの壮大な危険を嗅ぎつけ、こそこそ捜査をしながら陰謀を暴いていくという謎解きプロセスがそっくり抜けてます。

次から次へと事件のヒントを追っていって最後に真実が明らかになるような「24」系のドラマを堪能した者としては、どうしても物足りなさを感じてしまう。

CIAといえばスパイだし、スパイといえば国家レベルの陰謀や事件を探るというコソコソぶりが楽しいわけで、そのコソコソプロセスをそっくり抜いちゃうなんて…さすがマイケル・ベイ。エグゼクティブプロデューサーの一人に名を連ねているだけだけど、ベイヤーならすぐに嗅ぎ付けることでしょう、そこはかとなく臭うこのベイ臭さを。

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こんにちは、日本の皆さん。ベイ臭さ、臭ってますか?

ただしベイのお家芸であるベイ・ヘム*は健在で、アクションに鈍さは感じない。CIA分析官のジャック・ライアンを観ていることを忘却できれば楽しめる。むしろベイは「難しいことなど何も考えずに観ろ。ジャック・ライアンとか忘れるんだ。ベイイズムを感じろ」と言っている(多分)。

*ベイ・ヘム(Bay-hem)…スピーディでテンポが良くド派手なアクション、米軍贔屓、頻繁なハプニング、クールな車の映像を使った超現実的で有り得ないような演出・展開を、メイヘム(mayhem)と掛けている造語。mayhemは暴力行為、障害行為、カオス的なクレージーさを示す。

 

190cmの水道屋ジョン・クラシンスキー

ベイが忘れろと勧めるのが、この5代目ジャック・ライアン。

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ピノキオ顔だが、引きでみるとチーターが2足立ちしたようにも見える水道屋みたいな名のジョン・クラシンスキー

水道屋のような名前を持つジョン・クラシンスキーは、監督もこなす俳優で、私生活ではエミリー・ブラントを妻に持ち、「クワイエット・プレイス」では夫婦共演も果たした。

彼の良さが私には分からないので主役なのに割愛しちゃう。無理くり感想を言うとしたら、ジャック・ライアンに190cmの身長は要らないし、パンツがいつもきつそうだ。

 

武闘派?グリーア

ジャック・ライアンの上司でありブラザーであるグリーアはウェンデル・ピアースが前シーズンに引き続いて演じているが、シーズン1でも思ったけど悲しいほど似合っていない。

トム・クランシー原作ではグリーアは武闘派の元海軍大将なのに、ウェンデル・ピアースはどう見ても盗聴してそうな刑事にしか見えないし、そもそもグリーアに黒人男性を起用したのは「レッド・オクトーバーを追え!」でジェームズ・アール・ジョーンズを起用することになりクランシーが「ポリコレ万歳!」とそれに従ったからだけだし。

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武闘派というより中性脂肪派のグリーア

まぁクラシアンを起用しているわけだし、ドラマ版ではジャック・ライアンの頭より筋肉を使いたいのでしょう。オリジナルの元海軍大将グリーアだったら、こんなジャック・ライアンを許すはずもなく。ウェンデル・ピアースだから許してあげてる状態。

ちなみにクラシアンとウェンデル・ピアースの間にケミストリー皆無。ウェンデル・ピアースは「ザ・ワイヤー」のドミニク・ウェスト演じるジミー・マクノルティとはいい感じだったんだけど、本作では全然ケミストリーなし。

 

マイケル・ケリー

ブロキャラとして相性悪い二人の糊付け役として大活躍したのがセミハゲ界の貴公子マイケル・ケリー。今回のMVPといって差し支えないでしょう。

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ライアンとグリーアの相性の悪さを相殺する仕事人マイケル・ケリー

マイケル・ケリーはCIAのベネズエラ支局長、マイク・ノーベンバー役です。ご存知だと思うけどキャラ名は偽名。マイクは日本の太郎君みたいなもんだし、ノーベンバーはNATOアルファベットコードのNを示す言葉。私GならHanako Golfになるわけです。リアルライフでもCIA支局長は他の国もみんなNATOフォネティックコードの名前を使っているのだろうか。

マイケル・ケリーはルパート・フレンドと並んで過小評価されている俳優マイTOP5に入っています。あとセミハゲ界のマイベスト5にも入ってる。非常に好き。クラシアンとケリーだったら躊躇することなくケリーを選ぶに決まってるし、なんならブラピとケリーでもケリーを選びますよ。コリン・ファレルとケリーと言われれば、それはファレルを選ぶしかあるまいが、私がマイケル・ケリーをそのくらい好きなことはお分かり頂けただろうか。

ジェネレーション・キル」の好演も痺れる系だし「ドーン・オブ・ザ・デッド」のCJ役も痺れる系なので、視聴者を痺れさすのが得意な俳優になりますか。

願わくばシーズン3にも出演してくれることを祈りましょう。本ドラマは、キャッシー中島の「のちのミセス・ライアン」が出てこずにノオミ・ラパスが出てきちゃうこともあるようなので。

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オキャッシー中島、今回出番なし

 

ノオミ・ラパス

意外な伏兵ノオミ・ラパスが出てきました。東に西に大活躍のノオミ・ラパスだけど、本ドラマはあまり綺麗に撮ってもらえてない。コリン・ファレルと共演の「デッドマン・ダウン」では顔に大きな傷のある役だったのにとても綺麗だったですよ。

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敵か味方か?

ノオミはオキャッシーを差し置いてジャック・ライアンの一夜の相手嬢になりますが、この起用はどうなの?ノオミ・ラパスが出てきた時点で事件関係者であることがダダ洩れしていると違いますか?極東の火サスに遠野凪子が出てきたときや、西の映画にアラン・リックマンが出てきた時に感じるこのヴィラン感は、陰謀謎解きドラマでは不要と違いますか?

まぁノオミ・ラパス自体は嫌いじゃないけど、結局このキャラは何のために存在していたのかイマイチ分からなかったなぁ。いなくてもいんじゃね?みたいなキャラだったし。

 

ジャケンフガー

ジャケンフガーと言われてもサッパリだろうけど、本作に「ゲーム・オブ・スローンズ」のジャケンフガーが出ています。また暗殺者の役なんだけど。似合ってる。

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A Girl Has No Name とか言いながら撃ち殺します

トム・ブラシアさんというドイツ人の俳優ですが、ジャケンフガーで覚えられちゃってるだろうな。売れっ子になりそう。「ウォーキング・デッド」の私的スピンオフのマッケナ救出作戦の軍人役を打診してみたいと思います(部下役で)。

 

陰謀?

内容について。

よく分からんかった。

ベネズエラが船で武器を違法に密輸しているとジャック・ライアンとグリーアが各々気付いたので、CIA支局長ノーベンバー(マイケル・ケリー)とともに捜査するんだけど、コンテナを開けてみたらそこには武器ではなく掘削機の部品があって「あれぇー?違ったぁ?」みたいになる。

結局ベネズエラがコルタンを発掘し当てたので、それを隠していただけなんだけど、それがどう陰謀になるのか。(コルタンについては「エンドレス・ウォー」の記事を参照になさって。)

ベネズエラも別に隠さなくてもいい気がするけど、世界第一の石油埋蔵量を誇る資源大国ベネズエラが経済破綻してヤバい状況に陥っているのは反米姿勢も大きな理由の一つだし、アメリカの新自由主義の実験台にされて散々な目に遭ってきた南米の歴史的背景を考えると(特にアメリカには)秘密にしたくなる気持ちも分からないわけではない。

その裏にはCIAが暗躍しているわけだし、ベネズエラ人の心境としては腸が煮えくり返るのはCIAやアメリカの方であるはずなのに、本作ではレイエス大統領が非道な独裁者ヴィランとして描かれていて、アメリカはいつものように独裁者を倒すヒーローとして描かれている。これぞマイケル・ベイイズム。

黒幕もいるんだけど、途中で分っちゃう。アメリカが南米の既得権益を守るために1970年代にチリのピノチェト将軍にクーデーターを起こさせたのと同じ構図。

暗殺者ジャケンフガーを送り込んだのもこの黒幕という認識で良いんですよね?ジャック・ライアンと政治家の彼が嗅ぎ付けてきたのでコルタン採掘をバレないように暗殺しようとしたということで。

納得いかん。

全っ然ロシア・イギリスまで股にかけてない。そんな風呂敷どこにあった。

でもまぁいいよマイケル・ベイだから許す。そんな難しいこと考えてないで、特殊部隊4名の活躍観てりゃいいよ!そこにジャック・ライアンも入れちゃえばいいし、ベネズエラCIA支局長マイケル・ケリーも現場に出しちゃえばいいよ!支局長だけど格好いいからマシンガン持たせちゃって。

それでベネズエラ大統領官邸の屋上にブラックホークで乗りつけて撃ちまくって囚われの身になったグリーアを救出すればいいんだよ!手りゅう弾みっけ。投げちゃえ。

海軍の特殊部隊4名はCIAに言いように使われ、ベネズエラの皆さんに追われてお気の毒様でした。

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CIAにいいようにこき使われて犬死にする狂犬マティス(右)とドジっ子のウーバー

ドジっ子は「オーヴァーロード」で主演していたミラクルボーイ。ボートから離れずに待機してろとあれだけ狂犬マティスが言っていたのに離れてどこかに飛んでいく。ベイイズム10か条には「ハプニング」も入っているから、どうしようもない。誰かがハプニングをハプニングさせないとベイイズムに非ず。「13時間~ベンガジの秘密の兵士~」ではクラシンスがいざ出陣のときに車中でコンタクト落としてあたふたしてたでしょう?さらに「出たら左な!左!左だぞ、分かったな!?」と怒鳴ったのに、出たら右に行くハプニングとか。ベイイズムを理解できると楽しいよー。

ちなみにイギリスで出てきたキング大学(ジャケンフガーの娘の大学)てあったでしょ?あれ名前を変えているんだけど、わたし留学した大学なの。素敵な建物でしょう?アベンジャーズでもちらっと出てたけど、建物が素敵なので撮影によく使われるんだろうね。