ミセスGのブログ

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イジメの芽は早急に摘め:同級生に嫌がらせされた場合の我が家の対応策

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あなたはイジメを受けたことがあるだろうか。

イジメとまではいかなくても、同級生や同僚、ママ友に嫌味を言われたり、嫌がらせをされて嫌な思いをしたことは大なり小なり誰でも経験があるのではないだろうか。

イジメが生まれる原因には様々な要素が入り交じっている。子どもの心身の健全な発育のために必要十分な愛情と注意を保護者や周りの大人からもらえなかった子どもが虐めっ子へ変貌したり、野生動物が仲間の一匹を犠牲にして群れが生き延びるように、自分に火の粉が降りかからないようにスケープゴートとしてイジメの犠牲者が選ばれたり。

いじめをなくすために様々な対策が検討実施されているが、身も蓋もないことを言ってしまうと、残念ながらイジメはなくならない。それは人間の本能に関わってくるものだからだ。

どんな聖人君子であっても、人間の本能には暴力という性質が存在している。現代のように比較的安全で司法がしっかりした社会では暴力は悪と教えられているが、暴力は人間の生存に不可欠な武器でもある。

狩猟採集時代には人間は暴力をふるって獲物を捕らえていたし、コミュニティを乱すものがいれば時に暴力で処理していた。現代でも何者かに襲われたら私たちは必死の抵抗を試みるはずだ。そのとき私たちが頼れるのは自衛ー自分の中に棲む暴力である。

野生動物の世界は暴力によって支配される弱肉強食の世界だが、野生動物には「暴力」という概念は存在しない。動物にとって暴力に良いも悪いもない。人間が暴力をよしとしないのは、それは人間が連綿と受け継がれてきた文化から習得した基準と価値観に基づいて暴力を判断しているだけだ。人間である限り、暴力という本能を捨て去ることはできない。

そして人間は、社会に属している以上、家族、学校、部活、会社、サークル、社会活動など複数の人間からできるグループに属さなければならない。複数人から構成されるグループでは誰もがイジメの被害者になり得る

21世紀のインターネットの普及は私たちに多大な恩恵をもたらしたが、同時にそれは新たなイジメの場ーそれも、より暴力的なイジメの場ーを生み出した。

現実の社会生活に疲れて家に引きこもり、外の世界と断絶した隠遁者になったとしても、インターネットを使えばバーチャルの世界でサイバー虐めに遭う可能性がある。サイバー空間は匿名コメントも多いので、現実世界より暴力が増幅する。投げかける言葉もより辛辣で、より暴力的なものになる。

フェイスブックやツイッターなど多くの人々が集うSNSは、タブーワードの禁止など、オンライン上の差別的表現やイジメを積極的に取り締まっているが、人々は次々と造語や隠語を生み出すので、これを止められる有効な対策手段は今のところ存在しない。

たとえインターネットですべての暴力的な言葉やイジメに関する言葉を狩ったとしても、人々は新たな場所を生み出すだけだ。そして、それはさらに暴力的で陰惨した場所になるだろう(例:ダークウェブ)。

いじめをなくそうという啓蒙も大切だが、暴力が人間の本能のひとつであること、世の中は四海兄弟を目指してはいるがそれはあくまでも理想に過ぎず現実ではないこと、誰もが加害者になり得ること、そして最重要なことにはイジメの被害者にならないための対応策を啓蒙したほうが現実的ではないだろうか。

 

イジメ?同級生の嫌がらせへの対応策

実際にイジメに遭ったらどうすればよいのだろうか?

昨年のことだが、実は我が子にちょっとした出来事があったので、我が家の対応例を共有してみたい。

イジメというほどではないのだが、同級生の子による嫌がらせが続いたので対応せざるを得なくなった話だ。

 

A子からの嫌がらせ

あとになって考えみると、2か月間ほど娘が少し元気がない期間があった。娘は「疲れているだけ」と言っていたが、離れて暮らしているパパとアメリカの生活が恋しいのだろうと思っていた。

ある朝、娘のスマホのwhatsapp(チャットアプリ)からビデオ通話の呼び出し音が鳴った。(娘のwhatsappには親の私たちのほか、数か月前に2名の同級生を登録してあった)

ビデオ通話はクラスメートのA子からだった。

ビデオ通話に出ずにそのまま切るように娘に言うと、娘はその通りにした。

数秒後、再び呼び出し音がしたので、私はまた切るように言った。

連続してかけてきたことが引っ掛かったので、あとで娘同席でスマホを確認したところ、このときA子から7~8回連続してビデオ通話がかかってきていた。

また、平日の朝、学校に行く準備をしている忙しい時間帯にも電話がかかってくることがあった。

非常識さを感じた私は、A子に私から話すと言ったのだが、娘は自分で対処してみるというので、ひとまず娘に任せることにした。

その後、しばらく経過してチャット履歴を確認してみた。大方はたわいのないやり取りだったが、たまにA子が意地悪なことを書いていて「stop! パパとママに言うから」「言えば~」みたいな不毛なやり取りが続いていた。

もう1人のB美は、もともと娘が仲良くしていた子だが、そこに最近A子が入ってきたらしい。B美は直接意地悪を書いてきてはいないが、終始おふざけをしている様子がみてとれた。

私は英語で「こんにちは。G子(娘)の母です。あなたたち、互いにもっと優しく接しすることはできない?G子はもうこのチャットは利用しません」と書いて、G子には同級生とのチャットを禁止し、スマホから同級生二人の連絡先を削除した。

娘に聞くと、どうやらこうしたやり取りが数か月続いていたらしい。「不快なのでStopと言ったのだが、止めないのでどうしたらいいのか分からない。なぜ止めないのか理解できない」というようなことを言っていた。

また、学校では、描いた絵を捨てられたりしたようで、誰がやったか証拠はないが娘はA子だと確信していた。

休み時間には遊戯施設の高所に他の友人と登ったりすると、A子が通せんぼをしてくるので高所から降りれず、休み時間中ずっと高所にいたという。

但し、親である私がテキストを送ったあとは、学校では嫌がらせをしなくなったそうだ。

どっちにしてもA子による嫌がらせが一定期間続いていて娘が悩んでいたことと、チャットの延々と続く無意味な子どもたちのやり取りに落胆した私は、ここで介入することを決めた。

 

相手の保護者に直接話す

子どもたちだけで解決できれば一番良かったのだが問題解決にならなかったので、A子のお母さんに話すことにした。

娘には「A子のお母さんに話すけど、いい?話しても構わない?」と確認したところ、「うん、話してくれる?ありがとう」と了承してくれた。

普段は他の保護者に会う機会はないのだが、ちょうど学校の行事があったので、そのときA子のお母さんに直接話すことにした。

行事が終わったあと、他の保護者さんと談笑するA子のお母さんに「ちょっとお話したいことがあるのですが良いですか?」と呼び出し、事の顛末を話した。

なお、私はタイミングが合わずにできなかったのだが、このとき、できれば話している現場を相手のお子さんに見せたほうがよい。あるいは、お子さんとお母さんが一緒にいるところに「お母さんと話したい事がある」と、お子さんの目の前でお母さんを引き寄せると尚良い。

相手のお子さんに「どうしよう…」と自分がしたことを振り返らせ、怖れを抱かせるためだ。小学生くらいの子どもにとって権威的存在である親が介入することで、子どもの中で、事が大きくなる。

話し合いが口論になってしまっても構わない。センシティブな内容だし、親は自分の子を守るべきなので「うちの子はそんなことしません」的なレスポンスが返ってきたとしても、子どもに事の重大さというメッセージは伝わるし、行動には責任を伴うことを知ってもらう機会である。

どうやらお父さんもいらっしゃったようなのだが、お父さんは見当たらなかったのでお母さんとだけ話をした。なお、私の夫はまだアメリカにいたので、私一人では話すしかなかった。できれば父親も一緒の方がいいだろう。

相手のお母さんは予想にもしてなかった話だろうでそれは驚いて一言も話せない状態だった。

私も緊張していたので「どうぞ気を悪くなさらないで」と言いつつ「子どもがこうした嫌がらせをするのはストレスを抱えていたり寂しかったり注意を向けてもらいたいときが多いようです」などと要らんことまで言ってしまって反省している。

 

A子からの謝罪

数日後、A子からショートメールで「意地悪してごめん」という謝罪が届いた。

しかし、謝罪のあとにはこんな文章が続いた。

「B美がG子の悪口を言っているよ。コピペするね。」

コピペしてたが、別に悪口でも何でもなく、whatever(どうでもいい)という単語だけだった。

謝罪したあとに「誰誰が悪口を言っている」と言っていることから、この子は引っ掻き回すのが好きな扇動者なのだと察した。

娘に「どうする?謝罪を受け入れる?」と聞くと、娘は「少し考えてからでいい?」と言った。

「もちろんよ。あなたが謝罪を受け入れる用意ができたときに、直接A子にそう言いなさい」と伝えた。

メールは返さず、数日後にひとまず仲直りしたらしい。

 

B美からの告白

その後、娘から、他の子たちがどうやらA子のことを嫌っているという話を聞いた。

最近になって、A子が仲良くしているB美が娘と仲良くし始めたようなのだが、A子が今度はB美に意地悪をしたりB美とのメールのやり取りが嫌になったという。さらにB美の母が「A子とは距離を置いてG子ちゃんと遊びなさい」と言ったという。

A子は、B美には「G子がB美の悪口を言っている」と言いつけ、G子には「B美がG子の悪口を言っている」と触れ回っていた。扇動して互いを焚きつける人はアメリカでもよく見かける。

最近になって再びA子からショートメールが送られてきた。そこには再び謝罪のメッセジーがあった。「意地悪してごめんなさい。許してほしい」と。

娘に「また謝ってきたけど、あんたまた意地悪されたの?」と聞くと「ううん。何もされてないよ。」と頭をかしげていた。

おそらく、仲良くしていたB美が再びG子と遊ぶようになったせいで焦りを感じているのだと推察した。

 

ハラスメントしてくる相手への対応

私は娘には「A子には距離を置き、話しかけられたら礼儀正しく、最低限のレスポンスをしなさい」と伝えてある。

いじめ、モラハラ、パワハラ…シーンは違えど、こうしたハラスメントをしてくる相手への効果的な対応は二つだ。

一つは、自分たちより高い権威にある者を介入させること。学校のイジメの場合は、まずは親だ。娘のケースでも、私が送信したチャット文のあとは嫌がらせが止まったことからも分かるように、自分たちより権威がある者には従うのが人間の性である。

親で問題が解決しなければ、次は先生の介入、そして学校の介入、教育委員会といった具合だ。隠蔽体質がある学校だとなかなか問題が明るみにならず、解決がままならない。イジメがSNSで告発されるようになったのも、機能すべき権威が機能していないという背景があるのだろう。

もう一つの解決策は暴力である。暴力を止めるには暴力しかない。(嫌がらせされたら暴力を振るっていいというわけではないので早合点しないように。)

当たり前だが、いじめ、モラハラ、パワハラの加害者は、強い者にはハラスメントをしない。強い者に暴力を振るえば、応酬を受けて自分がよりヒドイ目に遭うことが分かっているからだ。

ここでいう暴力は、物理的な暴力の意味だけでなく、口撃も含まれる。むしろ現代社会の暴力は、口撃によるものが多い。

とはいえ、口撃への応酬に暴力を振るうわけにはいかない。そこで現実的な対応は何かというと、言葉数を少なく、沈黙を増やすことである。話すときは、ゆっくり話す。話しかけられた時はすぐに返答するのではなく、少し間を置いてから話す。できれば表情はまじめな表情で、笑顔は見せないこと。

私は無意識のうちにアメリカ人夫と喧嘩したときにこの態度を取っていた。なぜなら、口論になると、日本人の私が英語ネイティブの夫を言い負かすことは至難の業だからだ。

怒りを抱えた私は、夫への返事を最低限にし、言葉数を少なく、沈黙を増やした。何か聞かれたときは、相手の顔をじーっと見てからひと言だけ単語で返すようにした。(これは日本人は得意だと思うので、あなたにもできるはず)

こうすることで、相手にとってあなたは、何を考えているのか分からない不穏な人間に映るようになる。何を考えているか分からない人間には、人は近づこうと思わないし、迂闊なことを言わないものだ。

これが続くと、相手はあなたの思惑を察しようとするので、嫌がらせも徐々に減っていくはずだ。無視をすると相手はさらにエスカレートするので注意。無視はせずに、言葉少なく淡々と返答する。

娘に「A子には距離を置き、話しかけられたら礼儀正しく、最低限のレスポンスをしなさい」とアドバイスしたのは、こういう理由からだ。