ミセスGのブログ

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ホラーコメディ映画【冷たい熱帯魚】あらすじと感想

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冷たい熱帯魚

冷たい熱帯魚雷を観ました。

といったら、やなぎやさんは馬鹿にしながらもクスッと笑いを堪え切れず、ふかづめさんには「くっ、くだらねぇ、お前たち二人」と冷笑されました。そんな二人だけど、根は悪くない人間のフリをしたベムとベラです。なお、私は熊の姿をしたベロです。お二人に幸あれ。

さて、言わずと知れた邦画ホラーコメディ「冷たい熱帯魚」を初めて観てみました。

いまさら。いまさら。

新進気鋭の映画ブロガーが、まらさら「冷たい熱帯魚」を取り上げるにはちょっとハードルが高い、ってことない?話題作が出た後すぐに感想を書くことはできても、何年も経過してから書くのって意外と高ハードルだったりしない?

ないならいいや。私は邦画を殆ど観てないので、新鮮な目で観ることができたっていうマウントを言いたかっただけですから。

今だから言えるけど…とりわけ最近の邦画は殆ど観たことがないです。「映画&海外ドラマブロガー」とか2016年から嘘をつき続けて御免なさい。正しくは「映画&海外ドラマブロガー」です。

邦画は物心ついたときには既に「邦画はアイドルや顔が綺麗な美男男女が織りなす陳腐な大根映画」という偏見を抱いてしまっていたので、なかなか手を付けなくなってしまったんだ。

先日も沢尻エリカ主演の「クローズド・ノート」てのを観始めたんだけど、開始早々5分で女子二名のわざとらしい非現実的な喋り方に耐えられなくて停止してしまいました。あれから面白くなりますか。観たことある人はコメント欄に熱い思いを語ってくださいね。

たまたまテレビで放映していたとか機会があった時には観たりするのだけれど…寅さんシリーズはよく観ているし、極道の妻たちは全部観たと思…。Vシネはまぁまぁ観た。特に竹内力の顔面偏差値全盛期時代は。昔の映画は父がよく観てるのを無理矢理観ざるを得なかったりするので、観たのは観たけど題名が分からず、何を観たか覚えていません。

そういうわけで、邦題に関してはまったくの無知!なのであの話題作「冷たい熱帯魚雷」もいまさら感想を書けるんだなきっと。無知故に。無知は凄い。無知故に飛び込んで行くことができるという面があるよねー。うんうん、あるある。

基本的にはホラーコメディは好きなので「リング」「呪怨」は観たことがあるし「苦手な邦画克服のためにホラーコメディ略してホラコメからいってみよう」という事でですね、とりあえず配信していたホラコメ「冷たい熱帯魚」を観るに至りました。

「胸糞悪い」「二度と観たくない」という評判だけは聞いていたので、どんだけ胸糞悪くて二度と観たくなくなるのか、ワクワクしながら視聴してみましたよ!

久しぶりの映画評、しかも邦画。読んでください。

 

【冷たい熱帯魚】作品情報

原題:冷たい熱帯魚

公開年:2011年

監督:園子温

出演:吹越満、でんでん、神楽坂恵、黒沢あすか、梶原ひかり

上映時間:2時間24分

2時間24分もあるやー。観るのやめよかなー。

それから監督の園子温さんの読み方が分からなくて、うぅむ、中国の人民と勘違いしていました。(その・しおんさんと読む。)

出演者は…でんでんしか知らないや。あっ、弁護士の筒井役の渡辺哲さんは知ってるや。

えー映画ポスターの冬彦みたいな顔した写真の俳優は吹越満さん(社本役)。一応本作の主演になります。

 

【冷たい熱帯魚】あらすじ

熱帯魚店を営んでいる社本(吹越満)と妻の関係はすでに冷え切っており、家庭は不協和音を奏でていた。ある日、彼は人当たりが良く面倒見のいい同業者の村田と知り合い、やがて親しく付き合うようになる。だが、実は村田こそが周りの人間の命を奪う連続殺人犯だと社本が気付いたときはすでに遅く、取り返しのつかない状況に陥っていた。

シネマトゥデイ

ご存じの通り、実際の事件(埼玉愛犬家殺人事件)を基に制作されています。

本作では、主人公の社本(吹越満)連続殺人者の村田(でんでん)は犬の代わりに熱帯魚店を経営しています。 題名がこ洒落てる。

 

【冷たい熱帯魚】感想

実際の事件の詳細は各々Wikiでじっくり読んでもらいましょうかね。

小さな熱帯魚店を営む社本。性格は大人しく、気が小さく、ノーと言えない性格。社本には団地妻系巨乳の妻(妙子)と、万引きを繰り返し社本の再婚相手の妙子の積み木を崩しまくる若い反抗娘(美津子)がおった。

地味な印象の社本の熱帯魚店を手伝う傍ら、主婦業もしっかりこなす嫁の妙子。体の線が出るピチピチのバブリーなミニスカートに身を包み、ヒールを履き、胸の谷間を見せながらスーパーに買い出しに行く。「サトウのごはん」を電子レンジでチンしたかと思うと、ありとあらゆるおかずもチンして5分で夕食が出来上がる。

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嫁の妙子。ジェシカ・チャスティン、アリス・イブ、G・ミセスに並ぶ世界四大巨乳美女の一人。

狭くて古いキッチンのダイニングテーブルで黙々と夫婦が食す傍ら、娘の美津子は夕飯の席を立ち、迎えに来た彼氏とともに夜な夜な外出する日々。

社本の妻は病死しており、社本は若い妙子と再婚した。亡き母が大好きだった娘の美津子は度々妙子に暴力を振るうが、気の弱い社本に娘の美津子をコントロールすることはできず、妙子も後妻という引け目からただ義娘から暴力を甘んじて受けるしかできなかった。

これが愉快な社本家のプロフィールだが、冒頭10分の何気ない日常生活で社本家の不協和音を表現する技巧はなかなかのもの。家族団らんの食事はすべてレンチン、娘は二人を無視してスマホをしながら食事するも途中退席してDQN系彼氏と夜遊びに出かける。妙子は社本に隠れて(いるつもり)煙草を吸い、社本はそれに気づかないフリをしている。機能不全の材料をしっかりと混ぜ込んでいる上にこれから何か起こるであろう不穏な空気というものもしっかり練り込んでいる。

「観てみたいけど2時間24分?エェーそんな長丁場オーバー40の人間に耐えられるかなー?」という迷いを冒頭でしっかり払拭させてくれるのは嬉しい。

なお、本作で団地妻妙子の美乳が果たした役割は大きい。 地味でうだつが上がらない社本の妻が露出高めの格好で胸の谷間をちらちら見せる若い女であるという対蹠的な夫婦関係に「WHY?」という疑問が湧くし、妙子の美乳はこれからどうなるのかという純然たる興味が湧くはずだ。湧かないとは言わせない!

「しょっぱなからまさかの巨乳で釣るなんてチープな」とベタな設定に笑うものの、「妙子の美乳が活きてくるのはWHEN?」とわくわくする。グロにはエロが付き物、暴力にはセックスがよく合うことは否定できない事実。監督の潔さを感じる。

さらに出演女優たちが絶世の美女ではなく、まぁまぁ綺麗で団地妻シリーズに出てきそうなお色気系女性というのも面白いなと思った。連続殺人鬼の村田が経営する熱帯魚店の店員たちが全員フーターズのような衣装を着た女性だし、明らかに監督の好みなんだろうな。でも、映画としては嫌いじゃないよ。

端的に言えば、掴みはOK。

さて、そんな機能不全家族の社本家は、娘の美津子がスーパーで万引きをしたことをきっかけに連続殺人鬼夫婦の村田夫婦と懇意になる。というか、無理矢理仲良くさせられる。 

村田(でんでん)は、万引きをした娘の美津子に怒り心頭のスーパー店長をなだめ、その場を丸く収める。社本夫婦は村田に只々感謝する。一見、気のよさそうなオジサン。村田の印象は、無骨で荒々しい喋り方だが、世話好きの気の良いオジサンにしか見えず、とても何人(何十人?)も連続殺人しているようには見えない。

しかし、そもそも美津子の万引きを通報したのは村田だし、社本夫婦が平謝りしている場にも居残り、店長をなだめて自分が社本家の危機を救ったと恩を着せることで、その場の空気をすでに操り始めている

スーパーを出ると、村田はすぐに自分の熱帯魚店に招待する。その足で向かうと、村田は「これも何かの縁」と言って、娘の美津子に自分の熱帯魚店での就職を勧める。なんとなく不穏なものを感じながらも、危機を救ってもらった負い目から断れず、美津子は村田の熱帯魚店で働くことになる。

でんでんの自然でエロく豪快な雰囲気とダミ声が、サイコパスな村田が被害者たちを口説いて落としていく様にピッタリはまっていて恐ろしい。サイコパスの教科書があったらば、村田はその好例に違いない。

こうして社本家は全員なし崩し的に村田の毒牙に嵌まっていく。

全体的に緑色を反射させた熱帯魚店内の雰囲気がイイ。

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村田。でんでんでんでんでんでん。

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熱帯魚店のフーターズガールズ。ゾンビ風。

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社本くん。

熱帯魚店らしからぬフーターズガールズ、村田の嫁・愛子による体育会系の怒号など、いろいろ不穏。

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違和感ありありの熱帯魚店

もともと反抗していた娘の美津子は保護者以外の居場所を見つけて人生を謳歌。嫁の妙子は寂寥感と性的欲求を村田によるレイプによって発散。自分にDVをする目の上のたん瘤の美津子がいなくなったことで、社本との関係も好転する。

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美乳四天王の妙子さんと村田でんでん(連続殺人鬼)

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ワニに生肉あげんのめっちゃ楽し!美津子(左)

肝心の社本はというと、村田の強引なペースに一度もNOと言えず(言おうとしたけど迫力に逆らえず断念)、気が付いたら村田の熱帯魚店を見学させられ、気が付いたら社本熱帯魚店に見学に来られ、気が付いたら娘が村田の店で働かせられ、気が付いたら胡散臭い投資話を持ち掛けられ、気が付いたら知らない吉田さんが目の前で毒殺されるのを目撃し、気が付いたら吉田さんの死体を山林に運んで解体の手伝いをしていたという、前人未到の巻き込まれ民ぶりを披露します。

2002年の北九州監禁殺人事件、2012年の尼崎変死事件など、人々が理解に苦しむ事件は意外に多いが、それは加害者によって被害者が心理的に篭絡されているからに他ならない。

本作では、村田でんでんが小心翼々な社本くんを威圧的に支配していく様を巧く表している。

往々にして村田でんでんのようなサイコチックな加害者というものは、被害者の選定能力に長けている。彼らはわざわざ強い者に挑むことはなく、従順で怯懦でNOと言うのが苦手な善良な人たちを選んでいるので、結果的に虫も殺さないような心優しい人たちのほうが毒牙にかかりやすいことに留意されたい。

社本も、互いの熱帯魚店の訪問時、美津子の就職時、投資話を持ち掛けられた時など、トラップを仕掛けられてきたときに逡巡はするものの、村田でんでんの勢いと脅しに尻込みし、見事陥穽に陥るのであった。

娘の美津子が村田の懐に入ってしまっていることもあり生殺与奪の権を握られた社本は、村田夫婦の命じるままに、毒殺された吉田さんの遺体を山林の小屋に運ぶ。そこで村田夫婦は吉田さんの遺体を解体し、骨まで燃やして「ボデーを透明にする」。

実は村田夫婦はこうして金のために何人も(何十人も)殺人死体遺棄を繰り返してきた連続殺人夫婦だった。

村田にはやくざまがいの悪徳弁護士も付いているので、吉田さんの兄想いの善良な弟が仲間を引き連れて「兄貴はどこじゃー」と押し寄せるも、弁護士に任せ、知らぬ存ぜぬで通す村田でんでん組。あと「そ、そんなこと言われたって、知らないもんは知らないですよぉーっ、うぇぇーん」という泣き脅しもする芸の凝りよう。

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左から弁護士の運転手、弁護士、村田でんでん、その嫁愛子

そうこうしていうるちに刑事が社本に接触する。ここで社本の起死回生なるかと期待するが社本は、社本はまだ村田夫婦のマインドコントロールから抜け切れないのか、それとも余りにもどっぷり犯罪に加担してしまったために自分も刑罰から免れないと考えてのことなのか、あるいは美津子と妙子の身を案じてなのか、村田夫婦が邪魔者と踏んで殺害した弁護士+運転手の遺棄も手伝ってしまう。

その後、村田夫婦は弁護士たちの遺灰を川に流すが、そこで村田でんでんが社本のメンタル強化プログラムを開始…?「いつまでビクビクしてんだ、何とか言え、ちょっとは殴ってみろ!そんなんだから妙子だって欲求不満だし、娘にも馬鹿にされんだ」みたいなこと言って殴る。

社本は少し殴り返すことに成功するが、まだ自分の殻を抜け切れない。そんな社本を今度は村田でんでんが嫁の愛子と性的に無理矢理結ばせようとする(社本へのレイプ)。

コトがコトなので完全に誤っているし倒錯しているし不適切ではあるが、村田でんでんが社本の父親のようなフリをしていて、さらにその後は父親に虐待されていたことを仄めかしていたので、この一連のシーンはなんとも言えない気持ちになる。

極限状態の社本は愛子に挿入するが、途中で車の後部に転がっていたペンを掴み、愛子の首にぶっさす。

ついに社本がやりました。

おぉっ、社本がついに自分の殻を破った。

とか思ってると、「おい!お前、何をやってるんだ!」と呆気にとられる村田でんでんにペンで襲い掛かり、後部座席で村田でんでんの胸めがけてペンを振り下ろす。

「いてっ!おいこら!何やってんだ!いてっ!いたたた、痛い!ちょっ…やめ…社本くん、ちょっと痛い」

私が変なのか何なのか「社本くん、ちょっと痛い」で爆笑してしまったのだが、ここは笑うところではなかったのだろうか。

皆さんはどう観ましたか?

その後、覚醒した社本は愛子に村田を山小屋に運ばせ、頭を殴ってとどめを刺させると、愛子に村田の解体を命じる。

本作には吉田さん、弁護士、運転手、村田の4名の解体シーンがあるが、どれも別にグロくはないので安心して観られるが、ちょっとくどい。解体シーンは一度の方が良かったように思うし、何なら音だけにするとか、扉だけ映してズームアウトしていくだとかの方が良いのでは。村田でんでんと愛子が共に明るいポジティブ人間なので「よっしゃー!」「あいよ!」といった具合に解体をしていると、それはもはや人間とは見えず、マグロの解体ショーにしか見えない。

愛子が村田でんでんを解体している間に、社本が刑事に通報出頭して終わりなのかと思いきゃ、眼鏡を捨てた社本は美津子を無理やり家に連れ帰り、妙子にレンチン料理を無理やり作らせ、美津子と美津子の彼氏をぶっ飛ばして意識を失わせたところで、妙子と無理矢理セックスしようとする。

・・・よくわからん。

アドレナリンが抜けないのだろうか。

すると美津子が意識を取り戻し、目の前で義母を犯そうとする実父をみて

「お前ら、何やってんだよ・・・」

とドン引きして言うと(そんなの視聴者が言いたい)

「ロング・アンサー!」

とか言わないけど社本が再び美津子を殴り飛ばしてノックダウンさせる。

・・・わからん。

社本は山小屋に戻る途中で刑事に連絡し、山小屋で愛子と血だらけになって遊ぶ。と見せかけて殺す。

刑事が妙子と美津子を連れて山小屋にやってくる。血だらけの社本に駆け寄る妙子を何故か社本が刺殺。

え?

さらに娘の美津子まで手に掛けようとするのかと思いきゃ

「人生は痛いんだよぉー!」

とかよく分からない名言を吐いて自害する。

美津子が「やっと死にやがった」みたいな言葉を吐いて終了。

・・・うん、最後はよく分からなかった!!

村田夫婦を殺したところで終わりにすればよかったんじゃないかと思うんだけど、その後のシーンは何か意味があったのかなぁ。私的には蛇足なんじゃないかと思いました。

それを除けば、長いけど退屈せずに観ることができたし、村田でんでんと社本くんの二人を観ているだけで楽しかった一作でした。

よーし、これからも邦画観るぞー!