先日ご紹介した人身売買、性奴隷を描いた映画10本のなかで、1本だけドキュメンタリーがありました。
「ザ・ピンク・ルーム」と呼ばれるドキュメンタリー映画です。
今回は「ザ・ピンク・ルーム」の内容と感想です。
映画『ザ・ピンク・ルーム』の内容と感想
1時間くらいのドキュメンタリーですが、とてもよく出来ています。東南アジア地域の児童買春についてまったく知識がないと、かなりのショックを受けると思うので注意してください。
ミエンちゃん
ミエンちゃんの父親は、母親の稼いできた金をギャンブルと酒に使ってしまう人でした。
お腹のすいた赤ちゃんや小さい兄弟たちが泣き始めると、父親が母親や子供たちに暴力を振るいます。
母の泣く姿が耐えられなかった。なにも持っていないので、売春宿に自分を売った
ミエンちゃんが14歳の時でした。
カンボジア、スワイパック地区
スワイパック地区はカンボジアの児童買春の中心となっているエリアだそうです。
カンボジアはベトナムとタイに挟まれている国です。
首都ブノンペンから11km北にあります。
近年は、売春宿が摘発されるようになってきたので、児童買春の形式はさらに巧妙になっているそうです。
売春宿の形をとらず、斡旋者が客にアプローチしてきて子供を紹介するという形や、カラオケバーでお持ち帰りをするなどの形になっていて、摘発も難しくなっていると言います。(本作によると70%が売春宿以外で行われていると言う)
日本でも風俗店が摘発されたりして、デリヘルなど店舗を取らない形の性風俗が増えました。
スワイパックは貧しいエリアで、とても観光したりショッピングをするようなエリアではありません。したがってそこに成人した外国人男性がいたら、その目的は一つ。子どもを強姦するためです。
本作はドキュメンタリーなので、実際にスワイパック地区でコーヒーをすする男性が出てきていて(顔はモザイク)、NPOの男性が「ここには何もない。珈琲を飲んだあとは何をする予定なんだ?これから子どもを強姦するんだろ?」と話しかけています。
カンボジアの悲劇
ドキュメンタリーではカンボジアの特異な歴史、ポル・ポト派による大量虐殺にも触れられています。知識人を殺し、宗教人を殺し、そして家族を離れ離れにして、子供に親を殺させた稀にみる大量虐殺でした。
ドキュメンタリーでは、親を殺めたその子供たちが今、親になっていると指摘しています。
貧困、教育と道徳の欠如、家族がどういうものかを知らないまま親になっている
と指摘しています。
ゾクッとしますね。
そのため、買春宿に売られる前にも家族から性的虐待をされたり、強姦されているケースも多いと言います。
カンボジアの性奴隷の子どもたち
売春宿から救出され、米国人が2006年に創立したアガペー・インターナショナル・ミッションズ回復ホームのケアに入っている女の子たちは、平均8歳~12、13歳でした。
中には4歳の時に売られた子もいました。5歳の子も。
4歳…
うちの娘より遥かに小さいです。
かつて売春宿だった建物には、18の小部屋が並んでいます。
小部屋のドア。
ミエンちゃんが14歳で初めて外国人男性に強姦された小部屋です。
扇風機も窓もありません。
さらにその建物の2Fには、処女を連れ込む部屋があったと言います。
その名は「ピンク・ルーム」
壁がピンクに塗られいていました。
インターナショナル・ジャスティス・ミッションのスタッフの一人が言っていた言葉が印象的でした。
個人の強さはそれを支えるコミュニティの強さに係わっています
メンバーを守れる強いコミュニティを築くのが長期的で持続的な変化のためには不可欠なのです
本作でカンボジアの幼い子どもたちが笑い声をあげるシーンがあります。
子どもたちの笑い声がとても尊く価値があることが分かります。
去年は日本で「子供たちの声がうるさくて迷惑だから保育園を隣に立てるの反対」という意見が聞かれました。
本作を見ると、そのようなことが言えなくなります。
本作では、NPO団体がどうやって児童性奴隷を根絶していくか、具体的なアプローチが紹介されていて、実際に実を結んでいます。
最後はちょっちゅ涙出ちゃった。
評価なんかつけられません。
見て下さい。