珠玉の人間ドラマ・・・?人間ドラマの前にポリコレぶっこみ過ぎでしょ。「私を見て見て!」のドラッグ中毒の迷惑女と、壊れた花瓶を接着剤でくっつけて花を生けたような機能不全な家族の絆を描いた残念な映画です。
【レイチェルの結婚】作品情報
原題:Rachel Getting Married
製作年:2008年
上映時間:116分
監督:ジョナサン・デミ
出演:アン・ハサウェイ
言語:英語
ジャンル:ドラマ
【レイチェルの結婚】あらすじ
キム(アン・ハサウェイ)は姉レイチェル(ローズマリー・デウィット)の結婚式に出席するため、依存症の施設から退院する。
家に到着した彼女は結婚式の準備でごった返す家の中を抜け、2階でドレスの着付けをしていた姉と友人のエマ(アニサ・ジョージ)と再会する。
彼女たちは屈託なくこれからの準備のことを話し始めるが……。
【レイチェルの結婚】感想
まず一つめの文句は、主役のキム(アン・ハサウェイ)が可愛すぎ。過去に自分のドラッグ中毒のせいで幼い弟を事故死させたこともあるのにいまだにドラッグ中毒でリハビリセンターにいるという人間のクズなのに、可愛すぎ、目キラキラしすぎ。
二つめの文句は、ポリコレぶっこみすぎ。結婚するレイチェルの相手が黒人。それだけなら不自然ではないけど、父親の再婚相手がこれまた黒人です。そんな偶然あまりないです。現実には白人と黒人のカップルはまだまだ珍しいのです。白人黒人カップルは現実よりもファッション広告やCMでより多く起用されているので、どうしてもポリコレを感じてしまいます。
さらにいうと、レイチェルの相手シドニーさんも、父親の再婚相手キャロルも、どちらもデキすぎるほどの人柄です。周りにいる白人たちがひたすらギャーギャーわめき、口論ばかりし、傍若無人に振るまっている愚か者にしか見えないところにも、ただならぬポリコレ臭を感じます。
おそらくキムとレイチェルの機能不全家族と、新郎側の理想的な温かい家族を対比させる目的だったのでしょうけれど、完全な家族など存在しないし、どんなに幸せそうに見える人たちでも何かしらの悩みや秘密は抱えているのでは。あまりにステレオタイプ化しているように感じました。
さらに、レイチェルの相手の男性シドニーがジャマイカンなのかどうか知らないけど、結婚式がジャマイカンスタイルで、ブライズメイドはなぜかサリーを着ているので、よくわからない。
肝心のストーリーですが、レイチェルの結婚式にあわせて、優等生レイチェルとジャンキーのキムの姉妹の「私を見て」合戦がひたすら続きます。愛情に飢えているのはキムだけなのかと思っていたのですが、最後の方まで見ると、レイチェルもキムも母親の愛情に飢えていることがわかります。
父親も問題に向き合おうとせず、失った息子のことを心の奥底に押し込め、キムの心配をするだけです。優しい父親ですが、子どもたちが口論しても何も口を挟まず、まぁまぁと穏便に済ませようとするだけです。親の愛情不足が、レイチェル⇒優等生、キム⇒ジャンキーになって表れているわけです。
キムがなぜジャンキーなのか、母娘関係も、姉妹の愛情飢餓の根本も、キムの罪障感も、掘り下げるべきをまったく掘り下げていません。母親役デブラ・ウィンガーが好演しているだけに残念です。
代わりに結婚式の様子に多くの時間を費やしているので、感情移入できずじまいのまま、映画は終わってしまいました。また、カメラワークはホームビデオのようにブレるスタイルなのでイライラしました。
評価:35点