私は国際結婚をしていることもあって子どもと飛行機に乗る機会も多いので、機内トラブルのニュースはいつも好奇の目がいってしまう。
先日アメリカの飛行機内で起きたデブサンドイッチ事件をご存知だろうか。
飛行機の座席トラブル:デブサンドイッチ事件
事件の詳細
飛行機はユナイテッド航空、ラスベガスからニュージャージー州ニューアーク(被害海岸)までのフライト。
事件は、飛行機内の窓側3席で起こった。
3席の中央に白人の中年女性(50代後半くらい)、窓側に肥満の黒人女性、そして通路側にそのパートナーである肥満の黒人男性が座っていた。
中央の女性は 両側のプラスサイズの二人に押しつぶされると文句を言い始めた。
真ん中の白人女性が公然とfat-shameし始めたので、窓側の黒人女性がその様子を動画に記録し始めた。ちなみにfat-shameとは、デブであることを辱めることをいう。一応デブ口撃としておく。
「動画を観るのが面倒くさい」「英語わかんね」という人のために、軽く解説してやるからよくお聞き!
白人女性がまず電話をかけて「4時間もこんなデブ二人に挟まれるとか無理」と夫だか友人だかに電話をかけて文句を言っている。その間、両脇の黒人カップルは無言だが、白人女性が「でも少なくとも二人のおかげで暖まるけどねー」というと窓側の黒人女性が「Fユー」と反撃。
その様子を聞いていた男性が「他に席があるよ」と声をかける。女性は「どこ?席探して。こんなの耐えられない。」という。
男性が戻ってきて何か言うが、よく聞こえない。白人女性が「本当に?」といってるので、席が見つからないと言いに来たのかもしれない。
通路側の黒人男性が何かボソボソと言うと、白人女性が「私はサラダ食べてるから」という。
しばらくして機内アナウンスでもうすぐ出発するからみんな着席してねーと流れ、フライトアテンダントが通りがかった際に窓際の黒人女性が「すみません。彼女に別の席を見つけてくれませんか?このピー(ビッチ?)の暴言には我慢できない」と言います。
白人女性は「この席に座るのなんて無理。二人ともデカくて座ってられないわよ」とフライトアテンダントに言う。
フライトアテンダントが「他の席を探して移動しますか?」と言い、白人女性が「イエス、プリーズ、イエス、プリーズ、こんなの無理」と言いながら席を立つ。席を立つと、白人女性は通路側の黒人男性に「私、サラダ食べるの!」という。
黒人男性は笑ってやり過ごすが、窓際の黒人女性が「ビッチ!私のデブケツにキスでもしな!」とやり返す。
後ろから「あなた、自分を恥ずかしいと思わないのですか。あなたがしていることは酷いことだ」と白人女性を非難する男性の声が聞こえる。
そのあと、「あんた最低!」という声が聞こえる(上の男性と同一人物?)。白人女性は「私はポリティカル・コレクトネス派じゃないの。あの二人の間に座ってみなさいよ!」と声を荒げる。
白人女性を非難したのはジョナサン・フェルナンデスといって、ラブ&ヒップホップ:ニューヨークというリアリティショーのスターであることが後に判明。彼は「誰も何も言わないので、あんた最低!最低!と繰り返した」とインタビューで語っている。
フライトアテンダントは席を探そうとしたものの、白人女性の態度がトラブルを引き起こしていると判断し、白人女性は飛行機から降ろされて翌日のフライトに乗せられたそうだ。
巷の反応
では巷の反応はどうか。
アメリカのコメントを見る限り、白人女性による侮辱はもちろん非難されていたが、彼女の気持ちは理解できるというコメントが大多数だった。
両隣の黒人カップルは、お互い太っていて隣に座るとキツイから一つ席を挟んで座って中央の人のスペースを利用しようと考えている確信犯だという意見が結構多かった。
考察
私はいつも事前に座席を予約できるエアラインしか予約しないが、それでも数回、中央の席に座ったことがある。
いちどアメリカ行きの飛行機で窓側に太った黒人男性が座ったときがあった。そのときの率直な感想は、やはり「うわーやだー」で、それはもちろん圧迫感とスペースを取られる恐れから湧き上がる自然な反応だった。
幸い、その男性は静かで微動だにせず、出発から着陸まで一度もトイレにもいかず、(たぶんご飯も食べてなかったような)ずーーーっと顔を帽子で隠して寝ていたので、迷惑を被ることもなく、問題ないフライトだった。ただし、言うまでもなくアームレストは彼にそっくり奪われた。腹いせにちょっと寄っかかって寝てやったので、おあいこ。
日本人はスマートなので飛行機でこのようなトラブルはあまり起きないが、よくよく考えてみると日常利用する電車でも同じようなことは起きている。隣に体の大きい人が座ると自分のスペースが狭くなって不快であることは誰もが経験しているだろう。
ましてそれが4時間のフライトとなると、白人女性の心情も分かるし、自分もおそらく他の席を探すに違いない。
但し、この白人女性がおかしたミスは、悪態をついて不必要な禍根を残したことであり、ニュースにもなってしまったようにそのミスは致命的だった。
また、後ろから白人女性を非難したジョナサン・フェルナンデスをメディアは持ち上げていたが、彼自身が巨漢二人に囲まれて座っているわけではないのだから余裕ある善人面はできるし、無責任な偽善にしか感じなかった。フェルナンデスはゲイの有名人なので、マイノリティを擁護しようするバイアスがかかっているとみるのが自然だ。(ゆえに白人女性が「I am not politically correct!」と言った)レイシストは許せないが、過度なポリコレを支持する人も私は嫌い。
この黒人カップルも、たとえ席を一つあけて予約してあったとしても、中央に他の人がきたのであれば、機内で席を交換して、2席続けた席(窓側&中央)に並んで座るべきだった。白人女性が通路側の席だったら、このトラブルは起きていなかったかもしれない。黒人カップルは自分たちを被害者としか認識していないだろうが、白人女性と席を変わらなかった時点で二人のあざとさを見透かす人は少なくないだろう。
解決策
この場合の解決策としては、フライトアテンダントに他の席をお願いすること。
隣が巨漢の人ではなく子どもだったりする場合もある。子ども嫌いな人もいるだろうし、香水が強い人や体臭が強い人もいる。不快に感じるようであればフライトアテンダントにお願いするのが一番良いだろう。
それから、一定以上の体重の人には超過料金を課すということを、エアライン各社はそろそろ検討しても良いのではないだろうか。
スーツケースの重量が超過すると載せられなかったり、追加料金を払わされる。巨漢の肥満人間が重量負担が大きいことはもちろん、隣の席にはみ出すことが分かっているというのに追加料金を取られないというのは納得がいかない。
まして隣になった人は同じ運賃を払っているのだから、一時的であっても正当に支払って得たパーソナルスペースに侵入されるのは納得いかないと考えるのが当然ではないだろうか。