アメリカのグリーンカードをいったん手に入れたら、好きな時に好きなだけ行ったり来たりができるのだろうと多くの人が考えているかもしれません。
実はそう簡単ではなく、グリーンカードを保持するには法的な居住者(LPRs:Lawful Permanent Residents)というステータスを維持しなければなりません。いわゆる合法的永住者というステータスです。
法的な居住者として認められるには、原則として、年間最低180日以上はアメリカの地に物理的にいなければなりません。(日本も同様)
では180日以上、アメリカ国外に滞在しなければならないときはどうすればいいのでしょうか?
その場合は、I-131 Re-Entry Permit(再入国許可証)を申請します。
【I-131 Re-Entry Permit】
I-131 は Re-Entry PermitにもAdvance Paroleにも使われるフォームです。
Advane Paroleは、婚姻を経てグリーンカードを申請中に米国外に出る必要があるときい使用するものです。
Re-Entry Permitは、私のようにすでにグリーンカードを保持している者が6ヶ月以上米国外に行かなければならないときに使用するものです。
Advance ParoleもRe-Entry Permiも、I-131という同じフォームを使います。
ちなみにAdvance Paroleはグリーンカード申請書類と一緒にI-131を提出すれば無料なので、申請していたほうがよいです。後から申請すると高額な申請料を取られます。グリーンカードのプロセス中に家族が病気になったり、緊急の事態が発生する可能性に備えて、Advance ParoleはGC申請時に必ず一緒に申請しておくようにしましょう。
なお、私は今回Re-Entry Permitなしに11か月ぶりにアメリカに入国したのですが、無事に入国できました。内心びくびくしてましたけど、明るく自信を持って。
アジア系のイミグレ・オフィサーに「どのぐらいアメリカを離れていましたか?」と聞かれ「11か月…」と答えたときに「11か月?」と嫌な顔はされたので「娘が手術を受けることになって」と言ったところ、特に何も言われませんでした。
イミグレでは余計なことを言わずに、シンプル簡潔に自信をもって受け答えしましょう。そしてイミグレ・オフィサーにはサー/マダムを忘れずに。何十回もイミグレを通ってますが、こがイミグレに挑むベストな姿勢だと感じます。おどおどしていたり、質問に曖昧な返事をすると、何かしらの疑いを持たれます。
アメリカ国外に滞在する期間のボーダーラインとしては、12か月が限度と言われています。安全な道をとりたいのであれば、6ヶ月以上離れる場合はRe-Entry Permitをとったほうが良いかもしれません。
いずれも現場のイミグレ・オフィサーの意向次第なので、この辺りは確かなことは言えませんが、私はすでに11か月離れた履歴があるので、2度目をする勇気はありません。私のように1度目は12か月以内なら見過ごしてもらえるとは思いますが。
【i-131 Re-Entry Permit】申請方法
i-131はアメリカにいる間に申請しなければなりません。アメリカ国外からの申請はできませんので注意してください。
USCISからi-131フォームをダウンロードします。
すでに皆さん数々のフォームをこなしてきていると思うので、難しいことはないと思います。
私が迷ったのはPart 3の国外に滞在する期間(Expected Length of Trip)です。計算ではあと2年8か月くらい日本にいる予定なのですが、Re-Entry Permitは一般に2年間が有効期限となっています。
そのため、2年分の日数(365✖2)を入力しようか、2年8か月分を入力しようか迷いました。
結局、今のところは2年弱の予定というつもりで入力しました。
過去ログを探ってみたところRe-Entry Permitは連続して2度まで申請できるようですが、3度目になると有効期間が1年間になる可能性が高いようです。
もちろんRe-Entry Permitを何度も申請して国外にずっと滞在していると、アメリカに居住の意思なしとみなされてGCを取り上げられてしまう最悪の事態も考えられるので注意が必要です。
Re-Entry Permiを3度申請して許可されることを想定した場合、理論上は5年まで国外に滞在できることになります。
したがって6年以上アメリカを離れる場合は、GCを返納すること、そしてアメリカに戻る際にいちからGCを取り直すことを検討したほうが良いでしょう。
なお、数年離れたGC保持者はReturning Resident Visa(DS-117 帰国居住者ビザ)を申請することもできますが、これはイミグレを説得できる「不可抗力な理由」が必要です。親の介護といった理由では許可されず、移民弁護士によると承認されるのも難しいと聞いているので、現実的ではないかもしません。
申請に必要な書類等
- I-131
- パスポートサイズの写真2枚(2インチ✖2インチ、裏に名前と#Aを記載する)
- 身分証明書のコピー(運転免許証、パスポート、グリーンカード等、写真・名前・誕生日が記載されている公的なIDのコピー)
- $660のチェック(申請料とバイオメトリクスの合計)
ちなみに写真が1枚しかなかったので、自宅のプリンターでスキャンして2枚プリントアウトしたものを使いました。けっこう薄く出ちゃってたんで「大丈夫かいなーこれ」とか思ったけど何も言われてません。(テキトーだなおい)
【i-131 Re-Entry Permit】タイムライン
7月1日:申請書を投函
7月2日:申請書が到着
7月8日:申請書がfiled
7月9日:小切手が換金される
7月14日:NOA1を受け取る
7月26日:NOA2(バイオメトリクス通知)を受け取る
8月9日:バイオメトリクス
バイオメトリクスまでの所要時間は1か月と10日間でした。
NOA2によれば、通知日の日付は7月19日になっていて、投函日が7月23日になっているので、NOA2の書類が準備できても投函までに数日要するのですね。プラス普通郵便で届くので、その所要時間に3日間かかってます。
ともかく、このバイオメトリクスさえ済ませればアメリカを出発してOKです。
私の場合、娘の学校が始まる前にバイオメトリクスを済ませることができるかどうかの瀬戸際でかなりハラハラしました。飛行機の復路の日付を変更しなければならない日も迫っていて、ギリギリで通知を受けとりました…
カバーレターを添えて、プロセスを早める(expedited)こともできるようですが、「緊急事態」「人道上の理由」「企業や人への経済的な大損失」「国防上の理由(アメリカ政府からの要請が必要)」など、expediteするのも大した理由がないと無理だと思います。
但し、NOA2(バイオメトリクス通知)を受け取ったあとであれば、予約日より前にwalk-inしてバイオメトリクスを済ませることができたという人もけっこういるので(NOA2レター持参で)、お急ぎの方はwalk-inも検討の価値あり。
バイオメトリクス後、Re-Entry Permitが郵送されてきます。
このRe-Entry Permitは外国の大使館に送ることもできるようなのですが、なぜかi-131フォーム入力で選択することができなかったので、そのままアメリカの住所に郵送するにチェックを入れました。
実際にRe-Entry Permitを手にするまでの期間は3か月~5か月となっています。
無事にRe-Entry Permitが届いたら、またお知らせします。
【i-131 Re-Entry Permit】注意事項まとめ
- 申請はアメリカにいる間にする。国外からは申請できない。
- バイオメトリクスを済ませるまでは国外に出ない。
- Re-Entry Permitの有効期間は通常2年となっている。
- だいたい2回までは2年の有効期間で許可証が発行されるが、3回目は有効期間が1年になる可能性が高い。
- グリーンカード保持者がRe-Entry Permitなしに国外に滞在できるのは最高で12か月未満、6ヶ月を超えるとイミグレ・オフィサーによっては面倒になる可能性あり。