さぁさぁさぁ、遂にきたよ。デクスターが戻ってきましたよ!
私が選ぶ海外ドラマTOP10にランクインしている「デクスター」。
「デクスター」はマイケル・C・ホールを主人公に、実はシリアルキラー(連続殺人鬼)だけどマイアミ警察の科学捜査班員で、義父の教えで悪党だけを狙い殺人を重ねるアンチヒーローとして人気を博したドラマです。
2006年から2013年まで放映され、8シーズンで幕を閉じました。
最初から最後まで勢いと面白さが減衰しない数少ないドラマのひとつとして定評があるものの「終わり方が宜しくない」とファンから大批判されましたが、その後ミニシリーズのスピンオフとして2021年に「デクスター:ニュー・ブラッド」がリリース。
しかし、こちらも本家「デクスター」と同じ轍を踏んでしまい、終わり方が批判されました。
そして3年後の2024年、遂に「デクスター」の新たなスピンオフ「デクスター:オリジナル・シン」がスタートしました。
残念ながらマイケル・C・ホールは出演していませんが、デクスターの内なる声としてボイス出演をしています。
「デクスター:オリジナル・シン」は「デクスター」の前日譚で、若き日のデクスターを描いた作品です。
デクスターが何故殺人衝動を覚えるようになったのか、その生い立ちや、義父ハリーに養子縁組されることになった顛末、そしてデクスターのファースト・キル(最初の殺人)も描かれています。
つまり、デクスターの序章ですね。
さらに!この夏に「デクスター」の新スピンオフがマイケル・C・ホール主演で始動します!
タイトルは「デクスター:リザレクション(復活、蘇生という意味)」です。
アメリカでは2025年7月11日に放映開始の予定です。
「デクスター:オリジナル・シン」レビュー(ネタバレなし)
若きデクスター役に大抜擢されたのはパトリック・ギブソン。
これまで目立った芸歴はあまりなく、実力は未知数。
でもシーズン1を見る限り、違和感はそれほどありませんでした。
マイケル・C・ホールのあの「変な」感じまでは出せず、妹のデブラが絡みながら周囲に「本当に変なんだから、兄貴は」「コミュ障を封印しなきゃダメだよ」「ごめんねー、うちの兄貴ちょっと変わっててさ」と説明して回る感じ。
でも元々デクスターは別にコミュ障なわけじゃなくて、連続殺人鬼としてノーマルな人と感性が違うから普通とは違うオーラを出していただけなのよねん。
「デクスター」初期でマイアミ警察のジェイムズ・ドークスにいつも弄られてたじゃないですか。「お前はなんか変だ。いつも見張ってるからな」と。
ああいう雰囲気はマイケル・C・ホールだからこそ出せたものなのかなと。
それでも「オリジナル・シン」シーズン1が成功したのは(imdbでも8.3と高得点で、「ニュー・ブラッド」の8.0を超えている)、あくまでも本家「デクスター」のやり方を踏襲したことにある。
イントロのBGMやビデオも本家と同じ。マイアミ警察の同僚であるエンジェル、マスーカ、ラゲルタ役に本家キャラとかなり似ている役者を揃えられたことも勝因のひとつ。
正確にはそんなに似てなくても、喋り方の癖、ハットや洋服の色使いなどの小物使いでかなり似せてきている。
あとマスーカのエヘヘヘヘーという笑い方とかね。
ファンが見せたいものを見せてくれる。これが勝因。
エンタメ界は得てして続編に余計な要素を突っ込み過ぎて失敗するパターンが多い。前作を超えようとして更にパワフルに!と意気込みすぎて、ファンが見たいものを無視してしまいがちなのである。
そこを素直に謙虚に受け止めてくれると、今回のデクスターのように成功する。
シーズン1ではバフィことサラ・ミシェル・ゲラーが科学捜査班の上司として、そしてマイアミ警察署長役としてパトリック・デンプシー、デクスターの義父ハリー役としてクリスチャン・スレーターが出演している。
唯一ダメだったのは、デブラ役の女優とハリー役のスレーター。
デブラのキャラは、本家デブラがジェニファー・カーペンターなので最も困難な役柄だったとは思うが、全然ダメ、てんでダメ。デブラ役だけはリキャストした方が良いかもしれんな。
デブラは所謂foul mouthといわれる口が悪い女で、FワードやSワードやMワードを連発するトムボーイのような妹。あまりに口が悪いとアメリカ人でもさすがに辟易するものだが、そこはジェニファー・カーペンター。不思議なことに、タブーワードを連発されてもカーペンターがとってもチャーミングに見えてしまう。むしろ、タブーワード満載だからこそデブラというか。残念ながら、その力量が本作のデブラ女優にはないんだな。
それから義父役のハリーは、本家ではジェームズ・レマーというベテラン助演俳優が演じていて、ジェームズ・レマーが好きな私としては他の俳優に代わってしまうのは悲しいが、年齢的に仕方ない。でもスレーターは違う。スレーターは嫌いじゃない。でも、お前じゃない。
ベター候補として考えられるのは・・・
・ジェフリー・ディーン・モーガン
・カイル・チャンドラー
・ジョン・ハム
・マイケル・シャノン
あたり。
スレーターには深さが足りない。なんかジェームズ・レマーに比べて、印象が軽佻浮薄なのよ。スレーターの私の印象は90年代の「ブロークン・アロー」でジョン・トラボルタ相手に機敏に動き回る役で止まっているんで、自身も刑事でありながら、義理の息子デクスターが殺人衝動を抱えているので悪党だけ選出して成敗させるというシステムを確立させ、さらに息子も科学捜査班に加える、という超重い内容にそぐわないのよね。
ちょこっとググってみたけど、やっぱりデブラ役とハリー役だけ合っていないという意見が多かったですね。
それから物語も本家「デクスター」らしくて、デクスターのウッカリあり、オチあり、ツイストあり、で丁度良い塩梅だった。
今回は特にデクスターの人間らしさ、共感性があるんだよという点にもフォーカスされていましたね。
まぁ内容が内容なだけに(快楽連続殺人鬼)、デクスターが単なる猟奇殺人犯ではないことを指摘したかったんでしょうが、デクスターのファンなら知ってるからあそこまで必要なかった気がするが、新しいファンの取り込みのために必要だったのかもしれない。
シーズン2も「デクスター:リザレクション」も楽しみ!