およそ2年半前のことになる。2016年9月26日の出来事だ。アメリカ人の旦那が朝仕事に行く際にコツンと前の車にぶつけたことがあった。
当ブログを初期の頃から読んでくれている読者の方は覚えているかもしれない。
旦那がコツンと車をぶつけた相手が「治療を受ける」と明らかな虚偽申告
事故の詳細はリンク先にある。
アメリカでは赤信号でも車が来なければ右折ができる。旦那の前の車が右折をしようとしたところ、車の流れに乗れなくて右折せずにストップした。ブレーキから足を離していた旦那が前の車にぶつけた。俗にいうクリープ現象でぶつけた形だ。
旦那と相手の女性は、車を路肩に寄せた。旦那は相手の無事を確認し、「救急車を呼びましょうか」と提案したが、女性は「大丈夫です」と言った。女性はSUVに乗っていて、後部座席に5歳くらいの幼い娘が乗っていた。
相手の車のバンパーに凹みが見られたが、旦那のピックアップトラックのバンパーには凹みはまったく見当たらず、相手のバンパーを押した箇所と思われる旦那の車のナンバープレートだけが凹んでいた。二人は互いの保険会社の情報を交換した。
その後、相手の女性が医療手当を受けているということで、医療費を求めてきたと保険会社から連絡があったのだが、保険会社の調査の結果、支払いは拒否された。
追突した旦那に非があるのは間違いないことだが、以下のような理由で拒否されたと思われる。
①スピードが出ていないクリープ状態での追突であること
②旦那のトラックのナンバープレートの凹み以外にダメージが見当たらないこと
③衝撃は最小限であると推測されたこと
④相手側の後部座席に乗っていた小さい子どものステータスにまったく触れていないこと
⑤救急車を呼んでいないこと
⑥医療機関を受診していないこと(カイロプラクティックは含まれない)
これが一連の話である。
この話には続きがある。
アメリカで交通事故…2年後に訴訟へ発展
実は、その後も半年毎くらいに保険会社(当方側)から連絡があり、女性が医療費や賠償金の支払いを求めていると通知がきた。(保険会社が対応するので、私たちは特に対応することはない)
そのたびに当方側保険会社は支払い拒否の決断を下してきたのだが、去年の暮れ前だろうか、2年経過して相手が訴訟を起こしてきたという。私も旦那もすっかり忘れていたので、「えっ?まだ支払い求めてきてたの?」と顔を見合わせた(動画チャット越しに)。
どうやら彼女のクレームはエスカレートしたようで「事故の時の怪我で体を痛め、仕事に行くこともできない」ので「カイロプラクティックにずっと通っている」、医療費と仕事に行けないので休業補償の支払いを求めて裁判を起こしたそうだ。
旦那は1月に裁判所に出廷することになった。在米の賢い皆さんはすでにご存知だろうが、裁判所から出廷命令があったときは裁判所に絶対に出廷すること。
たとえ自分が悪くなくても、出廷しないと自分が不利になり、相手に有利な判決が出されてしまう。
旦那は仕事を1日休み、保険会社の弁護士とともに出廷した。判事は中年の白人男性だったという。最初に相手側の審問、そして次に旦那の審問が行われた。
相手の女性は「彼と同じ空間にいるのは居心地が悪い」と判事に訴えたが(別に脅しも何もしていないのに)、判事は「Well, he's here. Deal with it.」と一蹴し、審問に移った。
相手の女性は、事故で体中が痛み、仕事にも行けないと主張した。後部座席にいた娘が無傷なのに運転席の彼女が体中が痛むとか、あり得ない。
判事は「では次はミスターGの主張を聞きましょう」と言い、旦那の審問に移った。
旦那は淡々と起きたことを述べた。彼は長年、米軍の警察官をしていて、交通事故や殺人事件、レイプ事件などあらゆる事件を扱っていたので、これが得意分野、全然心配はしていなかった。
皆さんに念のため、Your Honorを忘れずにね!
※アメリカでは警察官や政府職員(入国審査官など)には必ず sir/ma'am を付け、裁判官や判事には your honor を付けよう。
判事は双方の主張を聞いたあと、2週間ほどで判決を郵送でお知らせしますと言い、この日はお開きとなった。(所要時間は午後1時から4時くらい)
保険会社の弁護士は、交通事故での不正請求が非常に多いらしく、同じようなケースを何百件と扱ったので、心配いらないと言っていた。
判決
判決の結果を私に知らせるのさえ忘れていたようで、数日前に初めて聞いたんですが、判決は全面勝訴でした。
交通事故の案件だと1割とか2割とか支払うっていう場合もあるみたいですが、今回は完全に支払う必要なしという判決がなされたのでしょう。それはつまり相手の主張が虚偽であることを裏付けているに他なりません。
この2年間、忘れた頃にポンッと浮き上がってくる目の上のタンコブがこれで全面解決しました。
皆さんも交通事故にはお気をつけて。とりわけ舞台がアメリカだとどこから何を訴えられるか分かりませんから。
彼女がカイロプラクティックと言ったことから推測できると思うが、弁護士とカイロプラクティックはよくパートナーシップを結んでいて、交通事故に遭うと弁護士が必ずカイロプラクティックに行かせることになっている。なぜ知っているかというと、私も行かされたからですよ。
普通は事故に遭ったらまず医療機関にかかりますよね。病院とか。私が事故に遭った時、旦那が救急車を呼んでERに運ばせたんですね。あとになって良かったと心から思いました。
でもこの女性は救急車を呼んだわけでもなければ、医療機関にかかったわけでもなく、向かった先は弁護士事務所だったわけです。そしておそらく弁護士にカイロプラクティックに行けと言われて通ったはずです。