「ドラゴンタトゥーの女」の続編「蜘蛛の巣を払う女」を見た感想です。
ドラゴンタトゥーの女はもともとスウェーデンの3部作映画でした。デビッド・フィンチャーがイギリス版のリメイクを製作したところカルト的人気となりました。
混乱しないようにまとめましたよ、優しいでしょう?
- ドラゴンタトゥーの女(2009年)ノオミ・ラパス
- 火と戯れる女(2009年)ノオミ・ラパス
- 眠れる女と狂卓の騎士(2009年)ノオミ・ラパス
- ドラゴンタトゥーの女(2011年)ルーニー・マーラ
- 蜘蛛の巣を払う女(←今ここ)クレア・フォイ
スウェーデン版はノオミ・ラパスが主演を務めましたが、リメイク版第1弾「ドラゴンタトゥーの女」はルーニー・マーラ、本作の第2弾「蜘蛛の巣を払う女」はクレア・フォイが務めました。
なお、1作目の「ドラゴンタトゥーの女」を観た人はほぼ100%ルーニー・マーラが本作に戻ってこなかったことを残念に思ったでしょう。
私なんてルーニー・マーラのことマーラー・ルーニーなんて言ってたのに、先日「ライオン~25年目のただいま~」で居なくてもいいキャラを演じたルーニー・マーラに恋しちゃった口ですから。(今でも言い間違えることはあるけれども!)
てっきりマーラちゃんのポリシーで続編である本作に出演しないことを決めたのかと思ったら、どうやら事情が全然違うことを知って衝撃。なんと、実はマーラちゃんは「続編にも出たかった」と2017年に言ってたんですよ。
I was hopeful to come back, but they decided to do a different thing. It was always a character I wanted to revisit; but that’s not what happened.
一体何を考えてマーラちゃんを起用しなかったんでしょうかね。(フィンチャーは本作では製作総指揮に名を連ねてます)やはりアメリカでの興行収入がイマイチだったせいかなぁ、だろうなぁ。(予算90億でアメリカ国内の興行が102億、海外で130億)アメリカ人好みの映画じゃないからねぇ。
当初「ドラゴンタトゥーの女」の主役のリスベットー役に挙がった名前はこれだけあります。
- ナタリー・ポートマン(⇒ナタポーが疲れすぎててお断りした)
- ジェニファー・ローレンス(⇒背高すぎ)
- スカーレット・ジョハンセン(⇒セクシーすぎ)
- キャリー・モーガン(⇒オファーは来なかったけど名前は挙がっていた)
- クリスティン・スチュワート
- エレン・ペイジ
- キーラ・ナイトリー
- アンハサ
- エマ・ワトソン
- ミア・ワシカウスカ
- レイチェル・ウッド
- エヴァ・グリーン
- サラ・スヌーク
- レア・セドゥ(「アデル・ブルーは熱い色」)
- エミリー・ブラウニング
- オリビア・スリルビー(「弁護士ビリー・マクブライド」)などなど
美味しそうな名前がけっこう挙がってますねー
今回の続編の主演に挙がった名前は
- 再びナタポー
- スカヨハ
- アリシア・ヴィキャンデル(エクス・マキナ、トゥームレイダー:ファーストミッション)
- フェリシティ・ジョーンズ(スターウォーズ・ローグワン)
白羽の矢が立ったのは、英女優クレア・フォイでした。
【蜘蛛の巣を払う女】作品情報
原題:The Girl In The Spider's Web
公開年:2018年(アメリカ)2019年(日本)
監督:フェデ・アルヴァレス
出演:クレア・フォイ
上映時間:117分
監督は「ドント・ブリーズ」がヒットしたフェデ・アルヴァレス。手掛けた作品は少なく、「死霊のはらわた」リメイクを作った監督なので、ちょっとまだ頼りないというか不安を感じてはいました。
映画を斬るのが好きなふかづめ師匠は「フィンチャーじゃないという時点で観る気しねぇ」とか言ってたなー。
【蜘蛛の巣を払う女】あらすじ
特殊な映像記憶能力を持つ天才ハッカーで、背中にあるドラゴンのタトゥーが特徴のリスベットは、AIの世界的権威であるバルデル教授から、図らずも開発してしまった核攻撃プログラムをアメリカ国家安全保障局(NAS)から取り戻してほしいと頼まれる。
依頼を受けて陰謀の裏を探っていたリスベットは、やがて16年前に別れた双子の姉妹カミラの存在にたどり着き、カミラが仕かけた罠にはまってしまう。
アメリカNSAの依頼で、世界中の核コードにアクセスできるプログラム「ファイヤーフォール」を開発したプログラマーが事後に危機感を覚えてリズベスにプログラムを取り返してほしいとお願いします。
リズベスはファイヤーフォールをNSAのサーバーから取り戻しますが、ロック解除ができません。その後リズベスは武装した男たちに襲われファイヤーフォールを盗まれてしまいます。
依頼したプログラマーはスウェーデンの保安局の副長官に連絡してしまいます。プログラマーは息子とともに隠れ家に。そこに武装した男たちが現れます。
一方、アメリカのNSAからエージェントがスウェーデンに降り立ち、リズベスを探します。
【蜘蛛の巣を払う女】感想
マーラの後続は、この人、クレア・フォイ。美人ではあるが、これはもうアメリカの一般大衆向けに改ざんされたリスベットとしか言いようがない。ルーニー・マーラのリスベットと比較してごらん。
起用事情を探っていたらなんかムカムカしてきた。
この二人のルックスがそれぞれの映画の中身を語っているといっても過言ではない。要するに第1作のアメリカ国内の興行収入がビミョーだったので、個性的で大衆受けしないルーニー・マーラのリスベットを捨て、大衆受けしやすいけれどもハリウッド色があからさまでない英女優クレア・フォイを起用したのだろう。いわば打算的起用。
主演の起用が打算的なら内容は推して知るべし。前作の雰囲気と高尚さは失われ、アートを思わせる媚びない映画⇒大衆向けを意識した汎用サスペンスアクションへと落ちている。
冒頭はリスベットがイコライザーになってDV男に制裁を加えるし、物語が始まればリスベットはジェイソン・ボーンと化す。リスベット・サランダーが「ドラゴンタトゥーの女」から商業化した凡庸なリスベットへと堕落した瞬間だ。
一匹狼で何を考えているか分からない孤高のリスベットの複雑な精神性は鳴りを潜め、無口で寡黙な天才ハッカーが悪の軍団と戦うという分かりやすいシンプルな構造へと取って代わられた。
とはいえ、映画自体はそれほど悪いものではない。アクションシーンや戦闘シーンは冴えてるし、情景も悪くない。イコライザーやスパイものと思って見れば、気持ちがこもらないものの最後まで観ることはできる。
でもねぇ・・・やっぱりねぇ・・・