【フォース・ダウン~敵地脱出~】という映画を見ました。
英語では Winter in Wartime という題名です。
こんなC級映画っぽい、しかもミスリードな邦題、誰がつけたの!?
邦題は無視してください。
本作を見終わったあとに邦題がわからずに Winter in Wartime でグーグル検索をかけたら、フォース・ダウン~敵地脱出~という映画ばかり出てきたので、それは勝手に違うB級のアクション映画だろうと判断してしまったくらいです。
DVDのパッケージも、B級アクション映画みたいなパッケージになってますが、内容は全然違います。アクション映画ではありません。
ナチスドイツ占領下のオランダの冬。一人のオランダ人少年が不時着したイギリス人パイロットを誰にも内緒で助けようとするお話しです。
オランダが舞台のナチス映画って、あまり見かけないですね。
【フォース・ダウン~敵地脱出~】のあらすじ
ヤン・テルラウの『戦争の冬』を映画化。
1944~45年にかけての冬を舞台に、ナチス兵数千人が取り囲む中で繰り広げられる脱出劇を描く。
監督はマルティン・コールホーフェン、出演はマタイン・レイクメイヤー、ジェイミー・キャンベル・バウアー。
1945年1月、ドイツ占領下のオランダ。
レジスタンスへの参加を熱望する13歳のミヒールは、抗独レジスタンス活動を行う友人のディルクから一通の手紙を仲間に届けて欲しいと預かる。
だがディルクはドイツ軍に逮捕され、ミヒールにもドイツ軍の追手が迫ることに。
手紙を手渡す直前に受取人である仲間はドイツ軍に射殺されてしまった。手紙に記された地図の場所へと向かったミヒールは、そこで墜落して怪我を負ったイギリス兵を見つける。
出典:allcinema
ミヒール君とお父さん
ミヒール君とイギリス兵のジャック
ミヒール君とお姉さん
ミヒール君と叔父ベン
【フォース・ダウン~敵地脱出】の感想
佳作というところでしょうか。
題材はなかなか良いと思います。多感な少年の抱く夢と現実が、ジャック、ベン、そして自分の父という3人の男性によって見えてくるという視点はなかなかのものです。
ベンはいかにもレジスタンスのような風貌をしているので、最初は疑いませんでしたが、市長である父親が逮捕されているにも関わらず、ベンには追手も何も来ないことから少し「あれ?」とは思いました。
ミヒール君と父親の関係は、とてもさりげなく描かれています。そのため、ナチスと話す父親を見るミヒール君の目や表情、父親との少ない会話、大好きな叔父ベンへの好ましい態度など、映画の中では大した意味もない日常風景と思って流してしまうのですが、後になって考えてみると、そうした細部が大きな意味を持っていたことに気が付かされました。
唯一、ミヒール君と父親が触れ合った時は、ミヒール君がカミソリでうっすらと生えかかっているヒゲを剃ろうとしたときに父親が来て、カミソリの使い方、髭の剃り方を教えてあげるシーンです。このなにげないシーンが後になってしっかりと頭に残っています。
ミヒール君は、自分の父は一見ナチスドイツに迎合する腰抜けだと思っていたわけですが、実はそうではなく、村民や自分たち家族を守ろうとしていた事実。そして、ベンの計らいで解放されたのにも関わらず、他人を犠牲にすることができず、尊厳を持って自ら死を選んだ勇気。ベンが最後にミヒール君に教えたのは、ベンの唯一できる贖罪だったのでしょう。
残酷描写は少なく、ベルタスさんとミヒール君の父親+村民二人が銃殺されるシーンくらいだったと思うので、戦争映画や残酷描写が苦手な人でも見れる作品だと思います。
フォース・ダウンはビデオマーケットで視聴できます。