先日公開されたばかりの「ザ・サークル」を視聴しました。
SNSでプライバシーを暴露する危険を描いた映画です。
ザ・サークル
主演はエマ・ワトソン。御大トム・ハンクスが出演しています。見ようと思った理由はひとえにトム・ハンクスですね。エマ・ワトソンは可愛いんだけど、どの映画を見ても同じに感じますね。あとまだ若いのに、エイジングがけっこう進んでてヤバめな雰囲気。余計なお世話ですね。
今年急逝してしまったビル・パクストンが主人公の父親役として出演しています。映画終わったあと出演者情報見るまでビル・パクストンだとわかりませんでしたw いい役者だったので、残念ですね。
「ザ・サークル」あらすじ
友人アニーの取り計らいで、世界一のシェア数を誇るSNS企業「サークル」に採用が決まったメイ(エマ・ワトソン)。
経営者ベイリー(トム・ハンクス)は秘密を持たず、全てをオープンにし、シェアをする社会を理想に掲げ、サークルをそのプラットフォームにしようとしています。
ある事故がきっかけで、メイは自分の24時間をすべて包み隠さずオンラインでストリームするプログラムに抜擢されます。
メイは1000万人以上のフォロワーを獲得し、一躍ときの人となり、サークルの中でも影響力を伸ばしていくのですが・・・
といった内容です。
「ザ・サークル」感想
率直に申し上げて、期待外れでした。着眼点が良かっただけに残念です。
まずエマ・ワトソンは先に申した通り、どの映画をみても同じ印象なので、感情移入しにくいです。エマ・ワトソン扮するメイが超一流のSNS企業で働き始めた興奮などもあまり伝わってこないし、友人をさしおいて順風満帆なキャリアパスを駆け上って行ったときの有頂天ぽさもイマイチ足りなかったし、友人や家族とモメたときの失意も伝わってこなかったし、最悪の事件が起きたあとのメイも普通すぎて、「なんなの、この女?」としか思えませんでした。
逆にトム・ハンクスはやっぱり素晴らしい演技を見せてくれました。彼の好演がもったいなかったわ。「ああ、いるいる、こういうIT社長」まるであの企業やこの企業のCEOを見ているデジャブ感です。実はトム・ハンクスはあまり好きじゃないんだけど、彼の映画はどれを見ても面白いんですよね。
ビル・パクストンはメイの麻痺を抱える父親役ですが、サイドをがっちり固めています。主役を食ったりすることなく、それでいて物語に深みを与えるあの演技、長らく映画界にいる役者はやはり演技力がありますね。
肝心のストーリーですが、終始気持ち悪いです。「何この企業、気持ちワリぃ」これに尽きます。経営者のベイリーによるプレゼンがたびたびあって、すべてオープンにして世界の人たちとシェアすることがいかに良いことかを説き続けるのですが、従業員は「イェーイ!」とそれに共鳴し、褒め称えます。最初から最後までカルト集団を見ているようで、気持ち悪いことこの上ないです。
終業後のアクティビティも豊富で、みんなパーティやったり、いろいろなことやったり、楽しそ~うにしていて、私みたいなタイプは「うわー絶対こんなところいたくねー」と思うような環境です。
そんな気持ち悪い時間が1時間ほど続きます。そう、この映画の本題である「SNSの脅威」は1時間も後にならないと出てきません。長すぎるだろ。一応サスペンスのはずなのに、企業風土やメイの成り上がり道に1時間も費やしているので、サスペンス要素があまり感じられません。
伝説のタイさんや友人アニーも、うまく生かされていませんでした。タイさんとメイの関係もイマイチだったし、タイさんがメイに警告した意味もまったく生かされていない。メイがバスルーム以外はカメラつけっぱなしにしていたので、タイさんとオフレコで話すことなどが出来なかったというのもあります。アニーとの関係の悪化もいまいち中途半端でした。
最後も中途半端です。サークルの経営者たちは一体裏で何をしていたのか、まあ考えればわかることですが、映画では全然触れていません。メイの幼なじみに起きた事故も、サークルはお咎めなしですか?それはあり得ないでしょう。幼なじみを追っかけていた連中も、どんだけ暇なのよ?
普通に考えて、国民全員に投票を義務化すべき!とかおかしいだろ、どこの専制国家だよ、と思うんですが、洗脳されてカルト化した集団は、常識を覆すことを革命的と捉えている模様で、メイのこのアイデアは採用されてしまいます。一つのイデオロギーに凝り固まった集団の暴走を描くアイデアだとしても、これは陳腐すぎる。
SNSによる脅威がジワジワと迫って来るようなそんな恐怖を味わいたかったのに、肩透かしを食らった気分です。現実の方がずっと先を進んでいる気がするんですよね。これがSNSへの警笛だとしたら、ちゃんちゃらおかしいというか、時代遅れ。
評価:25点