ミセスGのブログ

海外ドラマ&映画の感想をパンピー視点で書いてる。

【セブン・サイコパス】映画の感想:スリー・ビルボードのマクドナー節炸裂

セブン・サイコパス

セブン・サイコパス

見逃していたコリン様の一作【セブン・サイコパス】を見た感想です。きゃーコリン様。コリン様がスクリーンに映ってるだけでし・あ・わ・せ!コリン様の姿をみて、コリン様の声を聴いてるだけでも満足の一作です。

 

【セブン・サイコパス】作品情報

原題:Seven Psycopaths

公開年:2012年

監督・脚本:マーティン・マクドナー(スリー・ビルボード、ヒットマンズ・レクイエム)

出演:コリン・ファレル
   サム・ロックウェル
   ウッディ・ハレルソン
   マイケル・ピット
   マイケル・スタールバーグ
   アビー・コーニッシュ
   クリストファー・ウォーケン

上映時間:110分

言語:英語

監督は「スリー・ビルボード」で2018年アカデミー賞を受賞したマーティン・マクドナー。マクドナー作品はどれも作風が独特でマクドナーらしい。

同じくスリー・ビルボードに出演し、アカデミー助演男優賞を受賞のサム・ロックウェル、ウッディ・ハレルソン、アビー・コーニッシュ、ヒットマンズ・レクイエムのコリン・ファレルを起用しています。

サム・ロックウェル、コリン・ファレル、ウッディ、クリストファー・ウォーケンを起用するあたり、監督の好みが分かる。

 

【セブン・サイコパス】感想

冒頭からマクドナー監督が大ファンの北野武のヤクザ映画「その男、凶暴につき」が飛び出します。まさか北野武の映画をコリン様が観てる姿を拝める日がくるとは思いもしなかったな。コリン様もプライベートでも北野監督の映画とか見たんだろうか。

マーティン・マクドナーは本当にクエンティン・タラちゃんに作風が似てるね。タラちゃんの作品は好きなものも嫌いなものもあるけれど、ハリウッドの既成の枠をぶち破るようなベンチャー型の勢いと作風は、他にはない個性と衝撃があるし、ポスト・タランティーノの肩書きも的を得ていると思う。(本人はどう思ってるか知らないが)

本作はそんなクエンティン・タラちゃんにガイ・リッチーをミックスしたような作風ね。

ブラックユーモアとバイオレンス、そして故郷のアイルランドをディスることもしっかり忘れてないマクドナー監督だけど、決してアイルランドをディスってるわけじゃないのよね。

会話に注意してみると、日本のことをジャップ、黒人のことをニガー、同性愛者への俗語も出てくるし、ポリコレ的に今のハリウッドが怖がったり躊躇うことを自然にやってのけてる。そこに気負いはなく、ありのままの人間同士の会話が映し出されていて人間くさい。

アイリッシュのコリン・ファレルがアルコール依存症として描かれているけど、アイリッシュがアルコール依存症に悩まされているのは現実のことだし、それによってコリン・ファレルのキャラがより人間くさく、そして共感を覚えるわけですよ。

ポリコレや人種差別に配慮しすぎて現実とはかけ離れたユートピアのダイアログばかりの脚本になったりする昨今のハリウッドに風穴をあけるという意味でもマクドナー監督がうみだす映画の存在意義は大きいかもしれない。

アカデミー賞をとったスリー・ビルボードはシリアスな人間ドラマだったけど(もちろんブラックユーモアあり)、本作はもっと暴力描写とコメディが多い。アカデミー賞に相応しい作品としては確かにスリー・ビルボードに軍配が上がるけれど、ブラックユーモアのコメディ要素は本作の方が多い。

コリン・ファレル、サム・ロックウェル、クリストファー・ウォーケンの3人は最高のキャスティングだった。コリン・ファレルとサム・ロックウェルは正直ケミストリーがあまり感じられなかったけど、そこをクリストファー・ウォーケンが接着剤として仕事をこなしていたのがあっぱれ。

コリン・ファレルが大好きなので贔屓している可能性も無きにしも非ずだが、本作で彼の新しい魅力を発見した。コリン・ファレルが演じるマーティは「7人のサイコパス」という映画の脚本を書こうとしているライターなんだけど、友人のビリーにさんざん振り回される様子がユーモラスで愛嬌がある。コリン・ファレルは意外にふつうの人も似合う。

そこにクリストファー・ウォーケンがあの表情のない顔で隣に座っているのだから、吹き出さずにはいられない。3人合わせてファンタスティック・スリーだよ!

とりわけビリーのサイコな言動にぶち切れるパンピーのコリン・ファレルが最高に美しく、こんな取り乱したコリン・ファレル見たの初めて。黒々とした眉毛を八の字に下げ、額にしわを作るコリン・ファレルがたまらなく格好良い。(もちろん隣にクリストファー・ウォーケン)何度も声にだして笑った。

コリン・ファレルを振り回すサム・ロックウェルはスリー・ビルボードで助演男優賞を受賞しているけれど、ぶっちゃけこっちのサム・ロックウェルの方が好き。いずれにしてもあの優男っぽい風貌+サイコな性格というミスマッチがハマっているので、スリー・ビルボードでアカデミー受賞したのも分かる。

クリストファー・ウォーケンは個性が強すぎてどっちかっていうと苦手な俳優だったんだけど、近年見た中で最高の役だった。

クリスチャンとして信仰の強さを盾に、たとえ大事な人を失っても表情を変えず、淡々と波乱を受け入れる様はガンジーを連想させる。

マーティ宛ての録音メッセージでクリストファー・ウォーケンが思いついたサイコパスの「ベトコン」のエピソードは想像を超えた物語だけど腹にすとんと落ちてくる展開だったし、よくこんなクリエイティブなこと考えられるなと感心せざるを得ない。

ウッディはいつものウッディで、スリー・ビルボードで演じた「善人」とは真逆の非情なマフィアのボスは安定感抜群。当初この役にはミッキー・ロークの名があがっていた。ミッキー・ローク版でもきっとうまくいっただろう。

それから私が羨望する容姿No.1の持ち主オルガ・キュリレンコがウッディのGF兼サム・ロックウェルのGF役で出ているのだが、相変わらず美しい。

起用したキャストのパフォーマンスもさることながら、本作の見どころはやはりその脚本とウイットな会話だろう。

7人のサイコパスを描いた映画ではなく、7人のサイコパスを描いた映画の脚本を書くために7人のサイコパスを探す普通のライターとその友人サイコパス…というこれまでにあまり見たことがないストーリーはユニークだし、そんなわけのわからないあらすじでキャラがサイコパスだらけなのに不思議とまとまっているというね。

ふかづめさんがスリー・ビルボードのレビュー記事でドーナツ化現象という名言を(また)残しているのだが、本作もその一つと言っていいだろう。

ともすれば群像劇になりがちなドーナツ映画で、これだけまとまりをもっていて、おもしろおかしく、ワチャワチャせずに映画を作れるのってマクドナーならではかもしれない。

評価:70点