「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」シーズン6第3話のあらすじと感想です。
シーズン6は、テキサスでバージニア率いるパイオニア民に捕まったモーガン民たちのその後を描くところから始まっています。
【フィアーザウォーキングデッド】シーズン6第3話のレビュー
第3話の主人公はアル(マギー・グレイス、通称マギグレ)と本家TWDから引っ越してきたドワイト(オースティン・アメリオ)の2人。
モーガンが賞金稼ぎと遊んだり、アリシアとストランドが糞処理やゾンビ処理の任務にあたっている一方、アルとドワイトはパイオニア民のために物資調達任務をこなしていた。
バージニアは何故かこの二人にゴープロを付け、物資調達中の録画をしている。誰がどうやって死んだとか何があっただとか記録してワクチンを見つけるだとか目的はなんだか分からないが、バージニアもアルもなんで動画を録画しているのか自分でもさっぱり分かってないので、制作陣は早いところこの動画の録画や記録一切合切スッパリと止めなければなりません。同時にこの録画アイデアを入れた奴のクビをさっさと切ってください。
アルはフィアーの中でもワースト1位のキャラだと言えます。マギグレは好きだけど。ゾンビアポカリプスの世界で「カメラを止めるな」やられてご覧、苛つくから。日常でさえカメラを回されたら苛つくのに。あっ…確かそんな名前の映画があったような。
さてアルは、前シーズンで一目惚れしたけれども殺されそうになったCRM(市民共同体の軍隊)のイザベル(イザベラ?)ちゃんの会話をトランシーバーで盗み聞きしている。・・・いつからそんな真似してたっけ。
あとフィアーはいつもトランシーバーに頼りすぎじゃない?ゾンビ世界でそんなに簡単に相互連絡ついちゃうと…便利過ぎて困ることないですか?たとえば一度しか会ったことのない一目惚れの相手の所在を簡単に突き止めちゃうとか。6~8年も前に別離した配偶者と広いアメリカ大陸の中で再会しちゃうとか。
ゾンビアポカリプス世界の要のひとつは資源が希少であることでしょ?そのために人は不便を強いられ、そのために人は戦い殺し合い、生き別れた大切な人を探す。それがトランシーバーで簡単に連絡取れちゃって、居所がわかっちゃうとなるとさぁ…おもしろさ半減するわけですよ。
ホラー映画にも言えることだけど、携帯電話という小道具の進出によっていかにホラー映画がおもしろくなくなってしまったことか。車なら現代でも「故障でエンジンがかからない」手はまだ使えるが、携帯電話の普及で「ホッキーマスク被った奴が斧振り回してる、助けてー」とか「レザーフェイス被った奴がチェーンソー振り回してる、助けてー」とか簡単に通報できるようになっちゃったじゃん。まぁ、それを逆手にとって、犯人から隠れているときに着信音が鳴るだとか、携帯の電波があそこに行かないと通じないだとか、なんなら「スマホを落としただけなのに」被る悲劇ホラーなんていう線もアリではあるのだけれど。
アルが密かにイザベラの声をトランシーバーで追っていることにドワイトが気付き、ドワイトの善意の提案でイザベラがヘリを着陸する建物の屋上に行くことになる。
アルのロマンスの相手に会うために意気揚々と階段を昇っていく二人だったが、建物内で会った生存者の女性から「ヘリで来た奴らに友人を射殺された」と聞き、これから会いに行こうとしているアルのロマンスの相手がデンジャラス集団の人だということを秘密にしていたことに怒るドワイト。でもアルのよく分からない説得でとりあえず納得するドワイト。
建物にはゾンビがたくさんいたが、生存者も大勢いた。悪い事には生存者の多くがネズミから腺ペストに感染していた。生存者の女性の話では、彼らはアポカリプスが始まってからずっとこのオフィスビルにいるらしく(え~)、一週間前に生存者たちが死に始めたとかなんとか。
・・・一週間前?
一週間前に死んだのに、みんな腐り過ぎじゃない?
出会ったゾンビ、みんな腐敗でデロデロじゃん。
こういう基本的なミスを平気でやるんだよなぁ…フィアーは…
でもね、今回すんばらしいシーンがひとつあったんだよ。
それはアルとドワイトが葬式屋ぽい建物を探索しているときに、アルに忍び寄ってきた品の良いブルジョワ風女ゾンビ。
このゾンビが最高でした。
なんならこのシーンだけでも観て欲しい。
ウォーキング・デッド・シリーズのドラマで、このシーンを観たときに感じたように震えた時はいつだったろうか。
最後にゾンビが怖いと感じた時はいつだったろうか。
我々はいつのまにかゾンビを恐れることを止めてしまってはいないだろうか。
そんな我々に一発でゾンビの怖さを思い起こさせてくれたブルジョワゾンビに、我々はもはや感謝の念しかない。何でゾンビに感謝とか言ってるんだろう私は。
背後から静かに忍び寄る。一瞬、ふつうの人間に見えるけど近づいてくるとそうではなくゾンビでした!という汗ばむ瞬間、これぞゾンビの醍醐味じゃんかさ!!
さらにフレッシュゾンビは見た目が人間ぽいので、このシーンのアルのように反撃に躊躇してしまう。
この女性はホルムアルデヒド(ホルマリン)の作用で腐敗していなかったみたいなんだけど、こんなグッドアイデア賞を考えられる人がいたのかと感心しましたよ。
オフィス建物内で1週間前に死んだ生存者たちのゾンビ姿もこのブルジョワ女性のように人間ぽくしていたら、どんなに怖かったことか!
生存者女性ノラだって、かつての同僚友人の顔がよく見える状態で始末しなければならない方がグッと感情的になっていただろうし。それなのに皆いつもの腐敗ゾンビでさぁ、残念だったなぁ。
さて、屋上に着く前にドワイトも腺ペストに感染してるぽいことが判明し、ドワイトはアルに別れを言って生存者たちと共に薬局に薬を探しに行くことに。アルは屋上に向かう。
イザベルが運転するヘリが近づくが、アルは建物が腺ペストで汚染されているとトランシーバーでイザベルに警告する。名前は伝えていないので、イザベルがアルと気づいたかどうかは不明。イザベルはアルの警告に感謝し、屋上の保管ボックスの中にビールがあると伝えてそのままヘリを引き返す。
アルはイザベルにどうして会わなかったのかな。リスクが大きいと踏んだのか。
アルは保管ボックスの中にビールだけでなく、抗生剤も発見しちゃうよ。
まぁ、ご都合が宜しいこと。
どう考えても屋上の保管ボックスの中に抗生剤が偶然あるっておかしいでしょう…。それに生存者たちはなんで屋上の捜索してないの。そもそもなんの理由で市民共同体軍は屋上の男性を射殺したの。なんでビールと抗生剤という貴重な資源を屋上に置きっぱなしなの!!
フィアーのいつもの癖は直っていない。
抗生剤を生存者たちに飲ますけど、腺ペストって抗生剤飲めば治ります!ていう軽い病気じゃないよね…?一週間も経過していれば重症化しているし、その状態で抗生剤飲んだからってそう簡単に回復しないよね。静脈に直接抗生剤投与したり、徹底した医療ケアがないと生存はできないんじゃないかしら…まぁいいや…
奇跡はまだ終わらないよ!
ヘリを遠ざけるためにアルがフレアを放ったんだけど、それを見た人が翌朝トランシーバーで連絡してきます。
うん、シェリーが。ドワイトの可愛い嫁な。
7年も8年も探して会えなかった嫁と偶然トランシーバーで再会しちゃうよ。
酷いなー。そんな安易な展開ありー?
それから第1話で赤ちゃんを産んだレイチェルとモーガンだけど、モーガンはエミールの斧と自分の棒を結合して、ハイブリッド武器を自作しました。
この武器が暗示することは、モーガンの信条の変化です。
レイチェルに「僕ね、アポカリプスが始まってから、なんだか16人のモーガンになってた気がするんだぁ」とか言っていたけれど、当たり。
私の知る限り、モーガンは人道主義(リック助ける)⇒皆殺し主義(息子ドゥエインが死んでやけっぱち)⇒人道主義(タビサ(山羊)に出会う)⇒皆殺し主義(ニーガン戦で子弟を殺される)⇒人道主義(フィアーへ人事異動、助けることがすべて)と、5人いましたよ。
でも今回のハイブリッド武器から察するに、モーガンはついにモーガンに落ち着いたんじゃないかと期待している。これまでのむやみやたらに殺しまくるモーガンでもなければ、やたらめったら助けることに集中するモーガンでもない、中道のモーガンに落ち着いたのだと思う。
殺る時は殺る、そんな決意がエミールの斧から感じられました。
ショーランナーやクリエイターに振り回されるのは終わりだ!