シカゴP.D.のシーズン8が放映開始されました。
シカゴP.D.のほか、シカゴ・ファイヤ、シカゴ・メッドのシカゴシリーズ3作は、一気に3シーズン契約更新されるという快挙!
シカゴシリーズは、シーズンが更新されても視聴率が落ちることなく、安定した視聴率を記録している人気ドラマです。
いずれもゴールデンタイムのなかで最も人気のあるドラマのひとつなのです。
【シカゴP.D.】シーズン8の情報
まずは現時点で分かっているシカゴP.D.のシーズン8の情報です。
ロハス刑事は前シーズンで降板
シーズン7で囮捜査の腕を買われボイトがヘッドハントしたロハス刑事(リセス・チャベス)は、残念ながら同シーズンで降板となりました。
ロハス刑事を演じたリセス・チャベスは、「Legends of Tomorrow」にレギュラー出演することが決まっています。今後は犯罪者の代わりにエイリアンを追いかける模様。
1シーズンで降板というのは残念ですね。
なお、ロハス刑事はシーズン8の第1話にも出演せず、ロハス刑事への言及もありません。…ちょっと悲しいなぁ。お別れの挨拶ぐらい出演できたら良かったですね。
インテリジェンスチームでは、オリンスキー(イライアス・コーティアス)、エリン(ソフィア・ブッシュ)、アントニオ(ジョン・セダ)に続いて4人目の退場です。
ロハス刑事の後釜に誰が加わるかは、この記事を執筆している時点では分かっていません。冒頭の画像の左端に女性が見えるのですが、ロハス刑事ではない他の女性なので、この方が新しいメンバーなのかな?と思うのですが。
私としてはオリンスキーの後釜に中年のクールな渋いベテラン刑事を入れて欲しいなと思います。その前にオリンスキーを殺してしまったのは大きな間違いだと未だに思っていますけどね。
新しいメンバーの登場を楽しみに待ちたいと思います。
副本部長サマンサ・ミラー役にニコール・アリ・パーカー
副本部長役サマンサ・ミラーにニコール・アリ・パーカーという方が加わりました。
暫定的でしたが副本部長ジェイソン・クロフォードを演じていたポール・アデルステインが好きだったのになぁー。クロフォードはなかなか話の分かるボスでしたよね。
【シカゴP.D.】シーズン8第1話あらすじと感想
ボイトは新しい副本部長サマンサ・ミラーに呼び出される。
ミラーは、ボイトがシカゴ警察で一目置かれている存在であることに言及した上で
「これまでの貴方のやり方はもう通用しない。やり方を改めなければクビにする」
と勧告する。
一方、前シーズンに出ていたレイシストの白人警官ドイルが相当な理由なしに黒人男性ショーン・ペイジを追い詰めて射殺し、その場にいたショーンの黒人仲間に射殺された件で、真実を話すことを決意したケビン・アトウォーターは、ドイルの警官仲間たちから嫌がらせを受けることになる。
ボイトはドイルの仲間に「ケビンに手を出すな」と言うが、ドイルの仲間は「ケビンの証言のせいでドイルを殺害した黒人男性二人が不起訴になった以上、ケビンを放っておくことはできない」と言う。
ミラー副本部長のテレビ会見を見たヘイリー・アプトンは「警官を冒涜している」とコメントするが、ケビンは「ジョージ・フロイドを殺したのは俺たちじゃないが、ショーンを殺したのは俺たちだ」と異を唱える。警察の体制を変えなければいけないというケビンの意見にジェイ・ホルステッドも同意する。
シーズン7が制作されたのはジョージ・フロイド事件の前だったけど、シカゴPDでは絶妙なタイミングで「黒人を不当に扱い殺害する警官」を扱っていたところでした。
警察には「青い壁」というものがあります。青い壁とは、警官が仲間を守るために見てみぬフリをしたり嘘をつくことを言います。(英語で Blue Wall という。blueは警官の制服の色、wallは壁を意味する。)
人種差別と偏見によって黒人を不当に扱った挙句に射殺したドイルは、加害者ではなく英雄として殉職したことにされてしまった。これに異を唱え、勇気をもって「青い壁」に立ち向かおうとしているのがケビンです。
ケビンは州検事補?から証言の修正を暗に勧められるが「証言は変えない」と断る。
のちにボイトからも「少なくともドイルを殺した黒人二人は不起訴になった。このまま証言を変えずに行くのか?青い壁は幽霊みたいなもの」と言われるんだけど、この二人はドイルのような警官を庇おうとしているわけではなく、ケビンのことが心配で言っているだけなのだが、皮肉にもケビンからしてみれば青い壁の存在を余計に感じてしまうんだよなぁ。
ケビンは車にヘロインを仕込まれたり(ケビンとアダムが見つける)、制服警官に不当に車を止められたりする。(この黒人警官は、金をもらってケビンの車を止め車内のヘロインを探すように言われた汚職警官のようですね。)
疑心暗鬼になったケビンは、相棒のアダム・ルゼックが後述の事件の犯人のGFが口を割らずに犯人を庇い続ける話をしたことさえ、同僚警官の不正を密告している自分を揶揄しているものだと考えてしまう。もちろんアダムは「何があっても味方だし、力になる」とケビンへの忠誠を誓っております。
ケビンが同僚警官たちに嫌がらせされていることをようやくボイトにやく言うと、ボイトが「何故もっと早く言わなかった」と言うと、ケビンは「証拠を集めるつもりだった。それしか選択肢はない」という。ボイトは「青い壁という選択肢もある」と諭すが、ケビンは自分なりの方法でやると言う。
ローラという5歳の少女が撃たれる事件が発生する。インテリジェンスは周辺を捜査して目撃証言を得ようとするが、白人刑事のジェイとアダムは黒人男性たちから「レイシスト」と呼ばれたり、ビール瓶を投げられる。
捜査を進めると、ローラはドラッグディーラーの銃撃戦に巻き込まれて被弾したことが分かる。そしてドラッグディーラーのミゲル・コルテスという男を逮捕する。
ところが、ミラー副本部長が怒りながらボイトのオフィスにやってくる。突入前にインテリジェンスチームが警察であることを明かさなかったことから、州検事が証拠はすべて使えないと判断したらしい。
ミラー副本部長はボイトに「神の真似ごとは終わりよ」と言い放つ。
ボイトはチームに「今は、警察の味方になるような度胸がある奴はいない。覚えておけ」と言う。
ボイトはミゲル・コルテスが自白するかもしれないと思い、被害者の少女の写真を見せるが、ミゲルは自責の念を一切見せず不敵な笑みを浮かべるだけだった。
少女の父親が警察にやってきて少女が死んだことをボイトに告げる。父親は、なぜ容疑者は捕まったのにまだ起訴されていないのかと問うが、ボイトは説明できず、父親は立ち去る。
怒りに震えるボイトはミゲルをケージに入れろと命令するが、ケビンが
「もうそんな行為は許されない。変えなければいけないんだ」
と反対する。
ボイトは声を荒げ
「俺の人種差別意識が足りないとでもいうのか?そう思ってるなら出て行け。ここは俺のチームだ。悪党を捕まえるためなら何だってやる。どんなことだってやる。」
と怒鳴る。
字幕なしで観たのでちょっとニュアンスを伝えるのが難しいんだけど、このときボイトは I'm not "woke" enough for you? とケビンに言っている。wokeというのはここ最近ソーシャル・ジャスティス・ウォリアーを中心に頻繁に使用されている言葉で、「人種差別や性差別に高い意識を持つこと」という意味。ボイトは人種なんかどうでも良くて悪党を捕まえたいだけだから、刑事の仕事ではなく警察の人種差別に注意がいっているケビンに当て付けて言っている感じ。
ミゲル・コルテスは釈放されちゃう。ボイトに向かってニヤつきながら。
でも実際に人々の中に存在する人種差別意識をケビンはずっと感じているからね、ケビンの気持ちは察するに余りある。
黒人(ブラック)であり警官(ブルー)であるということ…いやぁ…大変だと思いますよ、現場の黒人警官は…。BLMの抗議者たちが酷い罵詈雑言を浴びせている動画を見たよ。黒人のくせにブルーの味方するのか!みたいな。そういう問題じゃないよね。黒人とか警官とか全体主義的な考えを持つ方がよっぽど差別的だと思うんだ。
さてミラー副本部長とケビンの考えに体現される新しい清廉潔白な警察体制の代償は、ミゲル・コルテスという悪党が逮捕されながらもみすみす野放しにされたこと、そして少女の命と家族の悲しみです。
今まさに社会問題になっているBLM (Black Lives Matter)抗議運動や、まともな警官たちの苦労など、現実世界の両方の立場をうまく取り入れているところが凄い、なかなかやるなぁと思いました。ディック・ウルフ(プロデューサー)は現実を取り入れるドラマを制作することで知られているけれど、今回はかなり感心しました。
コロナもちゃんと入れてるね。でもマスクを付けているメンバーと付けていないメンバーがいたり、マスクを付けるタイミングがおかしかったり、着けるべき時に着けないで着けなくていいところで着けてたりと、テキトーだったなぁ…
警察の肩を持った描き方では今のタイミングではバッシング・炎上するだろうし、かといってシカゴPDの要はボイトの「悪党を懲らしめるためならどんなことも厭わない」という姿勢だから、そこを外すわけにもいかない。清廉潔白なボイトなんてあり得ないし、シカゴPDが売れたのはボイトのその半ダークヒーロー的な性格のおかげですもの。
あと、教科書通りの徹底的な手順を踏まなかったために犯人をみすみす逃し、大きな代償を残したという点は(この犯人の逮捕劇は第2話に続くと思うけど)、現代の最高に文明化され管理されたクリーンで秩序立った社会の不自由さに通じるものがあるよね。
果たして青い壁と世の趨勢という最大の危機をインテリジェンスチームはどう乗り越えていくのでしょうか、見物です。