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「特殊作戦部隊:ライオネス」シーズン2あらすじと感想:サルダナ大暴走

特殊作戦部隊:ライオネス

 

気が付いたらほぼ1年ぶりの更新で、最後の記事は丁度「ライオネス」シーズン1を紹介したところでした。

あれから1年が経過していたのか。

まぁ更新できなかった理由は去年の11月に腰のヘルニアが悪化してほぼ動けない状態が続いたからなのですが。

機会があればその話もまた別途記事にしようかなと考えている。需要ないかもだけど。

さて「特殊作戦部隊:ライオネス」シーズン2がリリースされましたので、感想を述べていきますよ。

 

「特殊作戦部隊:ライオネス」シーズン2

「特殊作戦部隊:ライオネス」は、このところドラマ界で快進撃を続けるテイラー・シェリダンがクリエイターを務め、ゾーイ・サルダナニコール・キッドマンマイケル・ケリーモーガン・フリーマンら堂々たる顔ぶれが並ぶドラマ。

ここ数年テイラー・シェリダンは破竹の勢いでヒットドラマを繰り出している。除雪車に轢かれてガチで瀕死の重傷を負ったジェレミー・レナー主演「メイヤー・オブ・キングズタウン(レビュー記事)」はシーズン3がリリースされたばかり。シルベスター・スタローン御代主演の「タルサ・キング」、全米大ヒットのケビン・コスナー主演「イエローストーン」、イエローストーンの前日譚「1883」と「1923(ハリソン・フォード主演)」、先日シーズン1が始まったビリー・オブ・ソーントン主演の「ランドマン」等々。

恐ろしいことに堂々たる顔ぶれのAリスト・スターがこれらのドラマを主演している。かつてエンタメにおけるドラマの地位は映画界に比べて遥かに低く、映画界の住民は「テレビドラマなんて格下、一流俳優たるものテレビドラマなんて出ない」とばかりに敬遠していたものだが、時は変わった。むしろ2000年代からドラマ界は著しい成長を遂げ、Aリスト・スターがドラマの出演に意欲を示す時代へと変遷したのだ。必死に映画+劇場公開を固辞するトーマス・クルーズのような頑固者もいるが、昨今のハリウッド映画界は墓場のような様子を呈していて昔のようなブロックバスター映画に乏しく、それなりにみられる映画でさえも精彩を欠いている。Aリスト・スターがドラマ界になびくのも無理ないのだ。

さて本作の出演者だが、CIA高官にニコるんことニコール・キッドマン、CIA副長官にマイケル・ケリー、国務長官にモーガン・フリーマン、そして主演のゾーイ・サルダナがCIA監督の下、非公式に活動する特殊作戦部隊の指導者を担当する。

要は軍やCIAが公式に動けないミッションをCIAがどこにも所属しないグレイマン、ゾーイ・サルダナ率いる特殊部隊に依頼するというわけだ。これなら国際紛争を引き起こしかねない繊細なミッションや米国軍隊やCIAが大っぴらに介入できないミッションを遂行できるし、万一ミッションが暴露してもCIAはアイドンノー、わし知りませんがなで済ませることができる。

メンバー構成は、サルダナを筆頭に元軍人の男性陣とレズビアンがひとり在籍しており、各ミッションに応じてサルダナが新人の女性をリクルートして「ライオネス」として活用、サルダナ・ファミリアの出来上がりだ。

サルダナ・ファミリアの皆さん(左からレズビアンのボビー、サルダナ、男1、男2、男3)

シーズン1ではライオネスとして調教されたクルーズという女性が中東の犯罪組織のボスの邸宅に娘の友人として潜入し暗殺するというミッション・インポッシブルを成し遂げた。

サルダナ・ファミリアの新メンバー、ライオネス1(左)とライオネス2(右)

シーズン2のレビュー記事でも口を酸っぱくして口撃していたように、女性が特殊作戦部隊のリーダー、暗殺者という案は好きじゃない。リアリティがない。真剣に観ていられなくなる。だって物理的、身体的に無理だもの。

それでも昨今のフェミニズム推進傾向を鑑みるにテイラー・シェリダンが女性を主役とした軍事作戦を描こうとするのも無理ないのかもしれない。ただ、本国アメリカでも「女性があれをできるわけがない、身体的に不可能、馬鹿らしくて見てられない」という意見が目立っていた。(とりわけ現役・退役軍人さんから同意見が多かった)

ファミリアのメンバー男性たちは誰一人個性を与えられず、最後まで名前と顔が一致しないのも残念な点。唯一覚えらえるのはボビーで、サルダナとライオネスを除けば紅一点のレズビアンだ。テイラー・シェリダンもウォークイズム(ポリコレが極度に先鋭化したイデオロギー)からは逃れられなかったか。

まあ、現実世界では無理だから、エンタメでは女性が自分の二倍はありそうな屈強漢を殴り飛ばし25kgの荷物を手にすたすたと歩くのを観るのも乙、という人もいることでしょう。

第1話の銃撃シーンは迫力があるし、人物多めでもストーリーに入り込んで行けるので娯楽として十分評価できる。テイラー・シェリダンらしく人物の掘り下げを要所要所的確に行いつつ、話の内容がシンプルだから、ちょっとスマホを横見しちゃっても内容についてこれなくなる事はないし、最後まで集中力が続く。ビンジ・ウオッチできる。

ただねぇ…あまりにも…言っていい?ダメと言われても言うけど。

シーズン2はサルダナが大暴走する。

最初から最後まで周りに当たり散らし、怒鳴り散らしてばかりいる。鬼の喧騒。周りから何度も窘められる始末。言わずもがなだが、有能なリーダーが所かまわず相手を面罵することは軍社会ではあり得ない。なぜならその相手は戦場でリーダーの命を握っているかもしれないからだ。部下たちが救援・応援要請に来なかったらどうするつもりなのか。

しかもサルダナは別に怒る必要のない場面でも声を張り上げていて、とある軍事基地の責任者に「私が来た以上、私がここで最高高官ダナよっ!お前たちは私の命令に従うダナよ!」と罵倒する。

サルダナの暴走は何が引き金となったのか。恐らく私生活とのバランスだろうが、結婚前から続けてきた仕事なのに今なぜこのタイミングで爆発しているのか。分からないけど…アレじゃね?年齢からして…更年期障害じゃね?

仮にシェリダンが相手を罵倒する、怒鳴り散らすことを女性の強さとして体現させる目論見だとしたら、浅はかとしか言いようがない。むしろ「女は感情的」という理論を拡張してしまう。

それから諄いようだけど、偏見に満ちたポリコレというのかな。サルダナがバリキャリ女性であることを強調するために「家族のために早起きして朝食作ったけど、スクランブルエッグとベーコンとパンケーキ焦がしちゃった!」というのは馬鹿馬鹿しすぎて白けてしまう。広いアイランドキッチンには食料が散乱し、ガスストーブからは煙がモクモク。アイロンかけながら料理などマルチタスキングしているなら分かるが、全部、焼くだけなのにどうやったら失敗するねん。

そうそう忘れるところだった。これは「メイヤー・オブ・キングズタウン」でも申した点だけど、タブーワードであるファックの使い過ぎが相変わらず度を越しているため、耳障りであることこの上ない。アイ・アム・ファッキン・ファックで台詞が構成されているようなもので、軍の上層部や政府高官の会話として超非現実的だし、何よりプロフェッショルではない。テイラー・シェリダンは少しタブーワードを減らさなければならない。

このドラマの最大の見どころは、なんといってもマイケル・ケリーですわ。「ジャック・ライアン」シリーズでもマイク・ノーベンバーという暗号みたいな偽名で活躍しておったけど、あの落ち着いた喋くりと物腰、スタイルの良さからCIA系の役がとみに似合う。

ニコるんとマイケル・ケリーの貴重なツーショット

本作では眉毛がちょっとおかしいけど美しいニコるんとずっとツーショットが続くのでビジュアル的にも開眼ダナよッ!