日本人は英語が苦手だとか、日本人は英語が喋れない、というのは過去のことなのか。
最近は、日本人の英語の上達がめざましいようだ。
特に、テニスの錦織圭さんやゴルフの宮里藍さん、サッカーの中田英寿さんなど、世界を舞台に活躍しているスポーツ選手は、自分の意見や気持ちを述べることに問題なく、スポーツができるだけでなく語学力もあるなんて、と私はジェラシーさえ感じる。
mtasamさんのブログで宮里選手や錦織選手の英語インタビューが見れる。
日本人のための日本で実践する効果的な英語勉強法-英文法から英会話の習得まで - Life is colourful.
日本人の英会話の問題点
しかしである!
私は日本人とはいえ、英語を生業としている者だ。在米7年(留学を入れれば英米に9年)という英会話の上でのアドバンテージもある。旦那も日本語は話せないので英語で会話するしかない。娘もバイリンガルとはいえ、私と二人きりになると英語になってしまうことが多い。
そんな英語まみれの日常生活を送っている中、日本人の英会話をたまに耳にすると、重箱の隅をつつきたくなる時が頻繁にある。
そこで今回は、私が素直に感じた日本人の英会話の問題点を挙げてみたい。
you know の多用
宮里藍さんや錦織圭さんの英語インタビューを見ていると、非常に多用されているのが you know の挿入語だ。英語が分からない人は気にならないのかもしれないが、英語が分かる人にはかなり耳障りでイラッとくる。
ためしに上記インタビューで数えてみたところ
宮里選手は1分58秒の間に14回
中田選手は1分16秒の間に6回
錦織選手のプライベートインタビューでは2分の間に11回(普通のインタビュー時はもっと多い印象だった)
いずれの選手のインタビューでも、you know という言葉をサラッと入れているが、明らかに多用しすぎだ。ときに聞き逃してしまうほど小さく早く言っていたりもするので、癖になっているのが分かる。
見ればわかるが、大体はセンテンスのつなぎや、言葉を頭の中で選んでいるとき、言葉が浮かんでこないとき、答えを考えている間の会話をもたせるために挿入している。
you know 自体には大した意味はなく、通常は you know what i mean? というセンテンスの省略形で、「わかる?」「わかるでしょ?」というニュアンスだ。
多用すると知的な印象に欠けてしまうので、多用しないように注意したい。
andaaaa... の多用
and の後の文章を考えているときに出てきてしまう、andaaaaa...も非常に多く、こちらも多用すると知的な印象に欠け、子供っぽい印象や、教育程度が低い印象を与えるので注意したい。
aaaahhhh...の多用
考えている最中や、これから何か言うときに出る aaaahhh だが、これも上の andaaa 同様、耳障りで好ましくない。well...や let me see... や you see や you know what など、間をつなぐフレーズを知らないため、aaaahhhhとなってしまうのだ。
really? の多用
私もよくやってしまっていたのだが、「本当に?マジで?」の代わりに really? を多用してしまう。日本だと「本当に?」とか「マジで?」というのは相手の話に驚嘆や興味を示すことになるのだが、ネイティブに多用すると「私の話を信じないのか?疑っているのか?」と逆効果になることがあるので注意したい。
代用フレーズは、no kidding や shut up(カジュアルな場面のみ)や no way などいくらでもある。
私は意識的に使用するのを止めるようにし、他の言葉を代用することにした。語彙も増え、会話のクオリティが上がるように思う。
yeah の多用
友人や家族なら良いが、初対面の人、ビジネスシーン、インタビューなどで使用するのはふさわしくない。きちんとした場では、yes を使うべきである。yeah を多用すると子供っぽいし、知性を疑われかねないので注意したいところだ。
語彙の圧倒的な不足
これは私の英語勉強法と直結するものだが、日本人の英会話は圧倒的に語彙(単語力)が不足している。いや、語彙が不足しているから英語が話せないのである。語彙が不足しているから英語が稚拙なのである。語彙が不足しているから英語がいつまでたっても上達しないのである。
ちなみに上記スポーツ選手(宮里藍選手、中田英寿選手、錦織圭選手)の中で、私が一番英会話能力が高いと思ったのは中田英寿選手。彼は言葉を選びながら話しているので、他の二人に比べてスピードは遅いが、単語力は他の二人より上だ。
宮里選手と錦織選手はまくしたてるように話すので英会話能力が高いように思うかもしれないが、単語の駆使力を見てみれば、二人は中学生レベルの単語しか使っていない。
したがって、ネイティブが見れば、もっとも高等教育を受けているだろう、知性があると推測するのは中田選手になるはずだ。
英語があまり分からない人は私の意見に反対するかもしれない。英語が分かる人なら賛同するだろう。
番外編~ネイティブの英会話でイラッとくる表現~
ネイティブでもやはり言葉の癖はある。多用されると、やはりイラッとくるのだ。
pretty much の多用
「~したも同然」「ほぼ~」「だいたい」という挿入句だが、結構使う人が多い。質問をした時、この言葉を使われると、非常にイライラする。
例を見てみよう。
hey, what happened to the XYZ process? (XYZの方、どうなってる?)
と聞いたときに
it's pretty much done.
と言われると、終わったのか終わってないのかハッキリしろと言いたくなる。あるいは、終わってない事実を濁すために使っていることが分かるので「ごまかすな」という気持ちになる。
are you serious? の多用
really? と同じようなもんだが、こちらも多用するとバカっぽく聞こえる。
語彙の乏しさが英会話能力の低さの原因
結局のところ、語彙が少なく、同じフレーズを何度も繰り返すことは、日本人であれネイティブであれ、知性や教育程度が低い印象を与えるとともに、聞きぐるしいものであることが分かる。しかしネイティブはネイティブだけに語彙も豊富なので、同じフレーズの多用は必然的に日本人より少ないのでイライラすることは少ないのだ。
語彙(単語力)が乏しいゆえに、日本人の英会話は上達しないのだ。