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【スノータウン】映画のあらすじ&感想:オーストラリアの史上愛悪の猟奇殺人

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スノータウン


1992年から1999年にかけて、オーストラリアのスノータウンで12人を殺害した実際の猟奇殺人事件を基にしたスリラーです。連続殺人に加担していく少年の悲劇を描いています。

このポスター、すごくいいですよねぇ。

 

【スノータウン】作品情報

原題:The Snowtown Murders
製作年:2011年
上映時間:119分
監督:ジャスティン・カーゼル(代表作:アサシンクリード)
言語:英語
受賞:2011年カンヌ国際映画祭批評家週間特別審査委員賞
ジャンル:スリラー

 

【スノータウン】あらすじ

オーストラリア南部のアデレード郊外に住む16歳のジェイミー・ブラサキスは、仕事を持たない母親と障害のある幼い弟たちと貧しい生活を送っていた。

そしてジェイミー自身も隣人から性的虐待を受けていたが、そのどん底の生活から抜け出せずにいる。ある日、気さくで行動力のあるジョン・バンティングが家にやってきた。母親の新しい彼氏だ。

ジェイミーはジョンの人柄に惹かれていくが、ジョンは身近にいる性癖異常者たちを根絶すべく、連続殺人事件を引き起こしていく。ジェイミーはジョンに協力し、徐々に殺人に加担していくのだった。

(引用:allcinema ONLINE)

 

【スノータウン】感想

オーストラリア行ったことありませんが、貧困地域はどこも似たり寄ったりですね。暗くて荒廃していて、心からゲンナリする風景です。金もない、環境もドブ、家に知らない男が出たり入ったり、これじゃぁ鬱にもなりますよ。

オーストラリアの貧困地区の絶望的な日常がひしひしとつたわってきて、これはもう殺人がいつ起こってもおかしくない雰囲気です。

知り合いか近所のみんなで集まって、ペドファイルの話をみんなで定期的にするんですけど、もう本当にダークで底辺で心底ゲンナリします。

主人公の青年ジェイミーの家にはいろいろな人が家に出入りしたり、よくわからない人たちと共同生活もしています。突然知らない男が家にいたりして、「え?誰ですか、あなた?」となることも何度かありましたが、実際もそんな感じだったのでしょうか。 尼崎連続殺人の角田美代子みたいな感じ?日本では「シェアハウス」なんて洒落たカタカナつけちゃって誤魔化してますけど、要は貧困層住居ですよ。

あとジョンや友人ロバートは仕事なんもしてなかったんでしょうか?途中から殺した人たちの生活保護っぽいものを横領してましたけど。

先進国でもアメリカ、オーストラリアあたりの貧困エリアって、日本より夢も希望もないような雰囲気がプンプンします。アメリカやオーストラリアは日本より犯罪もドラッグも多いので、貧困層が抱える問題はさらに多いかもしれません。

日本ではよく自己責任論が持ち出されますが、日本でもアメリカでも、もはや経済格差は本人の自助努力でどうにかなるレベルではなりつつあるので、こういうどん底の生活環境を自分にはまったく関係ない世界だと思えないのがこの映画の怖いところです。

トランプ大統領風に言えば「shithole」のような環境です。そんなジェイミーの日常に、突然明るい父親のような存在が希望の光のように現れるわけです。朝食作ってくれたり、バイクに乗せてくれたり、アイスクリーム買ってくれたり、バイクの乗り方教えてくれたり、自分をレイプしたクソ男を追い出したりしてくれる大人の男性が。

ジョンはジェイミーを子ども扱いせず、大人の会話に参加させたり、カンガルーの畜殺を手伝わせて、ジェイミーに性的暴行を加えたペドファイルの男性の家に一緒に嫌がらせをしたりするわけです。

ふつうの環境で育ってきた人間ならば、青年であってもまだそう簡単にジョンを信用しないだろうし、ジョンの行動がエスカレートしていく途中で歯止めがかかるかもしれません。しかし主人公の青年ジェイミーのように、性的暴行を加えられ、不健全な環境で希望の見えない暮らしをしている若者にとっては、ジョンの支配から免れるのは難しいはずです。教科書通りのような貧困と犯罪の悪のスパイラルですね。

ジェイミーは近所の男にもステップブラザー(血のつながりがない兄)にもレイプされているので、ジョンの思想に共鳴するのは避けられなかったでしょう。ちなみにジョンも幼い頃、友人の兄から性的暴行を受けていました。

ジェイミーを殺人に加担させる方法も実にエグいですよ。自分をレイプした血のつながらない兄トロイの首を絞め、息が止まる寸前で止めるを繰り返します。ジェイミーはたまらず自分がロープを手にしてトロイの息を止めるわけです。

ジョン役はなかなか良かったと思います。明るい表向きの面とイカれた裏の面という二面性がよく出ていたし、偉そうなこと言っているルーザー感がよく出ていました。ジェイミーも繊細さと弱さがうまく表現されてて良かったと思います。

グロシーンはちょっとありますし、全体的に不穏な空気がずっと流れている暗~い暗~い映画ですが、いまひとつ胸糞悪さを感じず。あ、カンガルーの畜殺シーンと犬のシーンはちょっとキツめですぅ。殺人よりも、オーストラリアの底辺や貧困にゲンナリする映画でした。

評価:35点