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【フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法】感想:貧困層のDQNぶりを延々と見せられる無意味さ

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フロリダ・プロジェクト Photo by A24


フロリダのディズニーワールドのすぐ裏手にあるモーテルに住む貧困層の住民、子どもたちの人間ドラマを描いた作品。

この映画をみた日はちょうどディズニーランドのチケット代がまた値上がりしたというニュースを聞いた日だったので期待を胸にして観ましたが、最初から最後までフロリダの一画の貧困層のDQN親子の日常を延々と見せられて無意味さを感じました。

日本公開は2018年5月12日です。

 

【フロリダ・プロジェクト】作品情報

原題:The Florida Project
製作年:2017年
上映時間:111分
監督:ショーン・ベイカー
出演:ウィレム・デフォー
言語:英語
ジャンル:ドラマ
受賞:ウィレム・デフォーが第90回アカデミー助演男優賞ノミネート

 

【フロリダ・プロジェクト】あらすじ

安モーテルに住むシングルマザーのヘイリーと娘のムーニー。ヘイリーは観光客相手に安く手に入れた香水などを道で売ったりして日銭を稼いでます。ムーニーは(6歳)ほぼネグレクトで、同じホテルに住む子どもたち毎日イタズラして暮らしてます。

あんた、学校は?

え、夏休み?

ああ、そう・・・

友人が働くレストランで食事くすねてもらったり、チャリティの施しを受けて暮らしている二人ですが、やがてモーテルの料金も払えなくなり、ヘイリーは売春や窃盗などケチな犯罪に手を出すようになります。

本作で助演男優賞をちゃっかり頂いているウィレム・デフォーは、モーテルの管理人の役で、モーテルのメンテナンスしています。

できる限りの善人であろうとする一方で、「やってられないよな」と、顔のシワをさらに深く刻みながら、極度の経済格差を生み出した資本主義を恨む私たちの目となっている。

 

【フロリダ・プロジェクト】感想

ちょっと期待外れでした。乱暴な言い方をすると、アメリカの底辺のクソとそのクソガキの日常を延々と描いているだけなので、終始イライラしていました。 

アメリカ貧困層の状況をちょっこっと説明しますと、アメリカには安宿のモーテルがあって、家賃が払えない貧困層が住んでいることがあります。

アパートなどを借りるには、バックグラウンドチェックとかもあって、滞納履歴や過去によそでトラブルがあったりすると、借りれないこともよくあります。アパートを借りれなかったり、家賃を払えなくなった人たちが、家賃より安くつくモーテルに住み着くようになるわけです。

主人公の女の子ムーニーと母ヘイリーが住むモーテルの名は「マジック・キャッスル」。下品な薄紫色で一晩38ドルの、いかにもな安モーテルです。すぐ近くにディズニーワールドがあって、名前間違えてこっちに来ちゃった新婚カップルの女が「こんなとこ泊まれるかボケェ!!」なんつって怒り出すようなモーテルです。

日本の貧困層は身だしなみもきちんとしている人が多いので、はたから見てそうと分かりづらいんですが、アメリカでは貧困層、ジャンキー、アル中、ストリートの売春婦、問題を抱えているホームレスといった底辺の人々は、それといった身なりをしているのではっきり分かります。本作のヘイリーは、まさに典型的で、ヒョロい、タトゥーがっつり、髪の毛が乱れてる、薄汚い、肌が荒れている、露出多め。

で、こうした人々が常識を疑う言動をしていると、もう「またか」としか思えない。アメリカの貧困層には社会システムや福祉を悪用している人が多いこともあって、中間層はそれに辟易しているのが正直なところなんだな。

貧困層に落ちてしまったこと自体はいろいろ事情があるし自業自得とは言えない部分がある。でもヘイリーはまさに自業自得の言動しかしていないし、それを延々と見せられても何も感じない。まじめにやっている人間から見れば、ヘイリーの言動にムカつくだけで、見ているのが苦痛でした。

アメリカでは全体的に評価が良いこの作品、中には私のように「なんだこれ」と低評価の人も結構いました。

だってさぁ、たとえば東京ディズニーランド周辺の安アパートに住んでいるDQNが、金茶髪&タトゥー&スウェットのだらしない格好でコンビニ前とかで人々に何か売りつけてて、ファミレス行ってゲップ大会したり、DQNのガキのやんちゃぶりを延々と見せられて、おもしろいですか?それとも何ですか、まさか場所がフロリダになると、DQNの日常がアーティスティックでオサレな仕上がりになるとでも?

ヘイリーにはどんなバックグラウンドがあるのか、ヘイリーとムーニーがなぜ安モーテルで住まなければならなくなったのか、ムーニーの父はどうしたのか、など全く情報がないので、同情どころか共感もできない。

貧困層のリアルな日常を延々と描くことが狙いならいいんですけど、キャラに興味が湧かないまま延々とその日常を見せられる無意味さと言ったら…だってアメリカの低所得層エリア付近に行けば、こんなの見られるじゃん。わざわざ映画で見る必要ないじゃん。

アカデミー賞だってどうせ富裕層が決めてるんだし、こうなってくると、富裕層が「貧困層っていう生き物がいまして、こういう生活を必死で送ってるんですよ、ヒドイ生活ですね」みたいな見世物小屋を開いているみたいにしか思えないです、感じ悪いったらありゃしない。

途中で観るのを止めようかとおもったぐらいでした。他のホテルの前で観光客に話しかけて物を売りつけようとしたり、友人のレストランに行って子どもとゲップ大会しまくったり、レストランの残り物を道路にぶちまけたり、とにかくやりたい放題です。

そんな大人にネグレクトされながら育てられているのだから、当然子どもたちさえクッソムカつきます。貧しい環境でファックだのシットだのタブーワード連発するような大人の中で育っているということを差し引いても、クソガキ度がハンパない。

2階から車に向かってツバ飛ばし大会開いてたり、大人にビッチだのファッキンだの言ったり、アイスクリーム屋の営業妨害したり、家に放火したり。たぶん、私ならホウキもって追い回した挙句に「へへーん、捕まえられるもんなら捕まえてみな!」なんて言われて膝に手をついてハァハァ息を切らしている。

監督する保護者がいないこともあって一日中子供だけでプラプラしていて危ない。途中でペドらしき男もフラフラでてきてウィレム・デフォーに叱り飛ばされるし。ベトナム帰り、ナメんな。

貧困層の日常が大変なのは分かった、憂鬱なのも分かる、同情したくもなる、子どもが気の毒だし、どうにかしてやりたい、貧困は連鎖する、この映画見なくともわかっとるわそんなこと。

結局、ヘイリーは自業自得で児童保護局が来ちゃうんですけれど、最後のオチもなんだか突拍子もない終わり方でちょっと驚きましたけど、日常が舞台だけに魔法っつったらあれしかないでしょうね。

評価:40点