【ヴァイキング~海の覇者たち~】シーズン3第8話のあらすじと感想です。
第8話では、ついにパリを襲撃します。
【ヴァイキング~海の覇者たち~】シーズン3第8話あらすじ感想
この回はシーズン3の大戦況回で、imdb評価点9.3とシーズン3で最高値を叩き出しています。
いくつか思うところはあるものの、パリ襲撃は圧巻の戦闘シーンでした。
ヴァイキングが挑むフランク王国パリーそれはセーヌ川の中州に浮かぶ要塞であり、周囲を市壁に囲まれた城塞都市である。
一般に要塞攻略には敵の3倍から5倍の兵力が必要だとされている。城壁には多大な努力と費用がかけられており、とりわけ周囲が水堀や沼沢地の要塞は難攻不落といってもよい。
フランク王国パリはまさにそんな城塞だった。
兵力集中型で一人一人の戦闘力が高く遭遇戦や大会戦といった野戦では騎兵隊でさえ物ともしなかったヴァイキングだが、はたして今回の攻城戦はどうなったのかー
ちなみに史実だとこれが845年のパリ包囲戦で、ヴァイキングのガレー船は120隻超、5000人の船団。ドラマでは遠方はCGだけど、それよりはずっと数が少なかった。
パリ攻略の戦術として、ヴァイキングは兵力を二分することに。
ラゲルサとカルフ、エルレンデール、シグフライド(パリ襲撃の号令一下集まった首領)は市門を、ラグナル、ロロ、ビヨルン、ロロは市壁を海(セーヌ川)から攻撃するという布陣。
盾の乙女が盾をとり、撃剣家たちが剣をとる。ロロが吠え、ビヨルンが緊褌一番、高まる士気を抑えながらラグナルの脇を歩いていく。周囲の様子をじっと見つめるラグナル。
ラグナルの青い目はいつも注意深く周りを見ているのよね。今回はフロキに注がれるラグナルの視線に大注目よ。
ラゲルサら諸将が市門に進軍する。門の外の市場にいたパリ市民たちは急いで門の中へ入るが、門の外へ取り残されたパリ市民も。
市門の塔の上から射手がラゲルサたちを狙う。
ラグナルと諸兵はガレー船と櫓のような梯子(カラス?フロキ作)を浮かべて市壁に寄せる。
戦端はフロキの角笛だった。
まずは水上~市壁の戦いから見ていくよ!
ヴァイキングたちは一斉に船から井楼へと飛び移り、井楼を登って市壁超えを目指す。
ロロ、ビヨルンはヴァイキングたちを叱咤して井楼を登らせる。ラグナルとフロキは様子を見守る。
パリのチャールズ王は恐怖に慄いたまま何もしない一方で、皇女のギスラは聖ノニの旗を聖別させ、市壁に掲げると「敵を一歩たりとも入れてはならぬ!情けは無用!戦え!死ぬまで戦うのじゃ!」と現場で兵士を鼓舞。
ギスラ自身は戦士ではないものの、父とは対照的に怖れを知らず自ら指揮を執るのが格好いい。僕の好きなタイプ。
これに兵士が応え、形勢が変わる。パリ兵は、油と火攻撃でヴァイキング団を炎に包む。(※当時の船は防水目的でロープなどに油やタールを塗り込んだりしていたのでとてつもなく火に弱い。)
なお、市壁上のギスラ様を壁下のロロ様が見つめ、一瞬、目が合う。このあとも二人は視線を交わす。
預言者のいう通りなら、この勇猛なギスラ様がロロの運命の相手なので、意味深な視線の合致にワクワク感を抑えきれない。
ヴァイキングたちをパリ兵の弩が容赦なく襲い、ヴァイキングたちは射抜かれて水の中に沈んでいく。井楼下の渡板にはヴァイキングの屍がどんどん積み重なっていく。水面は赤く染まり、ロロやビヨルン、フロキに血の雨が降り注ぐ。
ここで失敗だなと思ったのだけど、井楼にはあらかじめ登っておいたほうが良かったんじゃないだろうか。
井楼の頂上に引き下げ式のパネルを取り付け、パネルの背後で防御をとる。到着した瞬間にパネルを市壁に引き下げ(楔付きにしておいて壁から取れないようにする)、一斉に市壁を超える。井楼の途中にもすべて兵を登らせておく。井楼に行天橋を付けたような感じ。
さらにL字型の市壁から登るという過ちを犯しているのも指摘したい。一直線の市壁を選べばよいのに、わざわざL字型の壁を登ったことで横撃されてるではないか。
ヴァイキングは殆ど井楼を登っている間に射抜かれて墜落してっているので、貴重な戦力を無駄にしたように思う。
フロキは積み重なっていく同胞の死体と降り注ぐ鮮血に慄き、やがて「神がどうのこうの」言いながら憶病にも井楼の中へ隠れてしまう。
この時点でファン人気上位であったであろうフロキがファンから嫌われただろうことは想像に難くない。
私もフロキが好きだった一人。アセルスタンを殺した時点で「あちゃー、良くない展開だわー」と思っていたが、ここにきてフロキというキャラの扱いに文句をつけたくなった。
だってフロキだよ?恐れ知らずで冷酷で忠実で、ある意味誰よりもヴァイキングらしいあのフロキを何故ラグナルの怒りの種にし、臆病者にしてしまうのか。
百歩譲って嫉妬からラグナルの大切な友アセルスタンを殺害してしまったのは仕方ないとしても、「臆病者」という文字はフロキの辞書にはなかったはずだが。
厳密に言えば、臆病風を吹かしたというよりかはヴァイキングが次々と倒されていく光景を見て、神々への犠牲を払ったのに応えてくれなかったことで失意のどん底に落とされ立ちすくんでしまったのかもしれない。
それでもフロキのこんな姿は見たくなかったし、このフロキの描き方は、これまでのフロキからすれば見劣りしてしまう。
狼狽するフロキをじーっと見つめるのがラグナルである。
ヴァイキングが市壁を越えられないのを見て、ついにロロとビヨルンが井楼を登り始める。
ロロは市壁の上まで登ると、獅子奮迅の勢いで数人のパリ兵と交戦する。
その様子をギスラ皇女が怖れと軽蔑のまなざしで見つめている。ロロはふとギスラ皇女の方を見やり、ギスラ皇女を見つめる。
その瞬間、パリ兵たちに突き落とされ、ロロは水中へ沈んでいく。このときのロロはシギーが凍る湖に沈んでいったときと同じでゾクッとしたね。
ラグナルもビヨルンのあとに続いて市壁上まで登り、パリ兵と交戦する。しかし多勢に無勢、美しいパリの市街をスローモーションで目にしたあと、井楼と壁に激突しながら落下していく。
ラグナルは重症だったがなんとか身を起こし、胸に2本の矢を受け倒れていたビヨルンを見つけて撤退する。
他方、フロキの角笛を合図に始まった市門での戦いはどうかというとー
ラゲルサの号令で破城槌が市門を叩くが、市門がなかなか開かない。パリの指揮官オド伯は現場兵士たちに「門を死守せよ」と命じる。
このときヴァイキングを率いる主将ラゲルサが最高に格好良かった。
カルフはひき馬を用意させ、ついに門が開く。
門は開いたがそこにパリ兵の姿はなかった。
ラゲルサたちは警戒しながら廊下橋を進んでいくが、途中で嫌な予感を感じたカルフがラゲルサを止める。
ラゲルサが耳を貸さずに進もうとするのでカルフはラゲルサを殴って意識を失わせ、ラゲルサをかついで後退する。
まぁ、ふつうならここで「なんかおかしー」と感じるところだが、ヴァイキングのように勇猛果敢を自負した集団だとここで止まってちょっと考えるということは逆に難しいのかもしれない。門を破っただけにその勢いで突進してしまうので。
廊下橋の先には跳ね上げ橋があった。
そして跳ね上げ橋がゆっくりと手前に降りてくる。
カルフの次に何かおかしいと気が付いて後退したのはエルレンデール。
下手すりゃ寝首をかかれない相手であるエルレンデールを何故パリスに同行させたのかがそもそも疑問だなぁ。カルフの部下だとしてもラグナルはエルちゃんの父ホリックを殺していて、エルちゃんは打倒ロスブローク家を掲げているのに。
まぁいいや。跳ね上げ橋が下りてくると、あぁ見えてきた、見えてきた。
カスタムメイドの大盾 with 槍ランチャーが。
その周りに弩の射手5人を配置。槍ランチャーは7本なので、都合12本の一斉射撃が可能なヤバイやつだ、これ。
このカスタム槍ランチャーは凄いなぁと思った。
こんな武器は…さすがに現実には…なかったよね?
あちゃー、ヴァイキング大敗。
まぁ仕方ない。冒頭で述べたように攻城戦において強襲はもっとも下策とされ、強襲で開城に成功したのは史上ほとんど例がないのだから。
攻城戦では兵糧攻めの持久戦、強襲、奇襲とあるが、兵糧攻めは攻撃側も持久戦を強いられるし長期間耐えられる兵站が必須だし、私なら奇襲を狙うだろうな。
セーヌ川の中州に浮かぶパリは、ちらっと見た感じでは手前に沼沢地があったので、壁の下を掘ってそこに爆弾を仕掛ける。爆弾なんかないよ。
じゃあガレー船を二隻つないで双胴隻にして波状槌で壁を破壊するという方法をとるかな。
さらにカタパルトで投石攻撃、火炎攻撃、病死した動物の死骸を投げ入れて疫病の蔓延を狙う。
いずれにしても兵力は3か所くらいに分散させる。
わぁ、楽しい。
死んだフリをしていたロロとビヨルンは野営地で回復を待つ。
それよりラグナルの方が重症そうで死にそう。
カルフはラゲルサへの渇望を抑えきれず、二人は結ばれる。でもラゲルサは「首領の地位を奪ったことは一生忘れない。いつか貴方を殺す。その条件でもよいならお互いを楽しみましょう」みたいなことを言う。
カルフ、イケメンだからいいじゃんかよぉ、殺さなくても!
フロキは惨敗したことを自分の責任だと責めながら池に浸かる。池に漬かっていると愛しのヘルガに「何してるの。お前はいつも自分のことばっかりだよな!!」と叱られ、「行かないで!」とすがるフロキを見捨てていく。
ラグナルが独りになって天国のアセルスタンに話しかける。
「パリはお前が言っていた通りだったよ、アセルスタン。お前がいてくれたらな。フロキのことは、やりすぎかな?」
と言っていたので、やはりフロキを貶める意図があったとみるのが妥当でしょうね。そのために同胞の命も勝敗も厭わないリスクをとるのがラグナルらしいといえばラグナルらしい。
ラグナルが自分で忍耐強いと称しているように、ラグナルには慈悲に似た心があるのよね。だからこそラグナルを嫌うことができず魅了されるのだけど。
そしてカテガットでは、顔面に大きな傷を負ったポルン(ビヨルンの恋人)がシギーを置いて一人旅立つ。
ポルン…お前の価値は顔だけじゃないだろおーーー!と叫びたくなりましたよねー。まあ、顔に傷を負ったから去る…というのは一見軽薄に感じるけれども、この時代は女は男の従属物であったから、外見的な美を重宝するのはやむを得ないのだろうね。