HBOの海外ドラマ【ザ・ワイヤー】シーズン1の前半を視聴した感想です。
リアリズムに徹した刑事ドラマが評判の【THE WIRE/ザ・ワイヤー】ですが、評価が高いのでずーっと観ようと思っていたものの手を付けていなかったんですねぇ。「海外ドラマを扱ってまするよ」とか公言している私ともあろうものが。
こっそり公言しちゃうと、「ザ・パシフィック」も第2話で止まってるんだけどな。だってザ・パシフィックなんて、我が子が赤ん坊の時だもんよ!観れるわけねえべ!(戦争がらみでバンド・オブ・ブラザーズも観ていませんねん。)
きっと海外ドラマが大好きなブロガーの皆さんは、せせら笑いしていますよ。「えっ?あのジジイ、よりにもよってザ・ワイヤー観てなかったんか?おまけにパシフィックまで?ドラマ好きが、聞いて呆れるわい!海外ドラマブロガー失格」とな。
まあ、そういうことは往々にしてあるわけです。映画マニアが名作を観ていないということがあるでしょう?千葉県浦安市の住民がディズニーランドに行ったことがないということもあるでしょう?私がザ・ワイヤーを観ていないのも同じ原理なわけです。まあ、どうでもいい話ですね。
と、それくらい「海外ドラマ」という冠に相応しい骨太のドラマなんですねぇ。地味だけど。それが言いたいがためにウンチクを垂れました。
【ザ・ワイヤー】は2002年にシーズン1がリリースされ、全部でシーズン5まであります。地味だけど。
2002年というと、ジャック・バウワウの24が生まれた翌年ですので、いわば海外ドラマが隆盛期に入った頃ですね。ジャック・バウワウの影に隠れてザ・ワイヤーを知らない人も多いと思いますが(地味なので)、人間関係や刑事の立場、警察のポリティクス、犯人側のポリティクスや事情を細かく描写した大変優秀なドラマでございます。地味だけど。
【THE WIRE/ザ・ワイヤー】
『THE WIRE/ザ・ワイヤー』(原題:The Wire)は、アメリカの放送局HBOにて2002年から2008年にかけて放送されたテレビドラマ。
メリーランド州ボルティモアを舞台に、警察と麻薬取引、港湾管理、教育、政治、犯罪など、アメリカの都市が抱える諸問題を描いたドラマである。
受賞歴も凄いですよ。地味だけど。
- ピーポディ・アワード 受賞(2004年)
- エミー賞 ドラマ・シリーズ部門 最優秀脚本賞 ノミネート(2005年)
- ASCAPアワード(2004年)
- 最優秀TVシリーズ賞受賞
- イメージ・アワード 最優秀ドラマシリーズ賞ノミネート(2003年、2004年、2005年、2007年)
- アルマ賞(2007年)TV部門最も活躍した俳優賞ノミネート
ドラマがリアルだと評価されるのも納得、【ザ・ワイヤー】は、クリエイターにボルチモア・サン紙で13年間犯罪記事を担当したデヴィッド・サイモン、デヴィッドと脚本を共著したプロデューサーのエド・バーンズはなんとボルチモア市警殺人課に20年勤務した元刑事だそう。
【THE WIRE/ザ・ワイヤー】シーズン1あらすじ
シーズン1は全13話です。
ドラマの舞台はメリーランド州の黒人住民が60%を占めるボルティモア。殺人事件の証人が法廷で証言を翻すのを目撃したマクノルティ刑事は、容疑者がドラッグディーラーであり、黒人の麻薬売買組織がバックについていることを判事に告げる。
これをきっかけにマクノルティたちは麻薬捜査を開始するが、マクノルティのスタンドプレーを快く思わない上司は、無能な刑事ばかりを捜査班によこす。
警察の官僚システムにどっちらけながらも、マクノルティや他数名の敏腕刑事たちの地道な活動によって捜査は進展を見せ、盗聴(wire tapping)の承認にこぎつけたチームは、確実に麻薬組織のボスのエイヴォン・バークスデールを追いつめて行く。
一方、冒頭の裁判で、証人が証言を翻したことによって無罪放免になったディアンジェロは、かっとなって人を殺してむやみに警察の注目を集めてしまったことの反省を即され、エイヴォン・バークスデールの指示でプロジェクト(貧困地区)に「左遷」され、貧困層エリアで麻薬売買を取り仕切ることになる。
【THE WIRE/ザ・ワイヤー】シーズン1前半の感想
私より眼識のある先輩視聴者たちのレビューでは、地味だけど濃厚なドラマで秀逸という満場一致の意見がみられました。先輩、地味だけど濃厚で秀逸でした。
立ち上がりはゆっくり地味なんですけど、2~3話くらいで「ああ、これいいドラマや」と予想できますし、5話くらいからはどんどん調子に乗ってきましたよ~私が。
2002年ということもあって現代のテクノロジー隆盛時代からは考えられないことが起きるんですねぇ。当時、実際に警察の捜査で盗聴が導入済みだったのかどうかは分からないけれど(FBIはすでに導入済みのシーンがあった)、アナログが本格的にデジタルに変遷する頃なんです。
したがってスマホどころか携帯電話は殆ど存在しておらず、コンピューターは三次元PCだし、刑事が作成する報告書にまだタイプライターが使われています。
この頃のテクノロジーの主役はずばりペイジャーなんざんす。
ペイジャー?
ペイジャーてのは、ポケベル(ポケットベル)のことですね。
当時は携帯なんかないので、ポケベルが通信手段だったんですねぇ。固定電話からポケベルの番号に電話をかけて、メッセージを数字で入れるわけです。「早く」なら889、「おやすみ」なら0883という具合ですね。
・・・いま変換方法を見てみると、さっぱり分からんな。よくもまあこれで意思疎通ができたもんだ。
その後、文字打ちもできるようになったような気がします。とはいえ受信専門のポケベルは短い命を全うし、双方向通信が可能なPHSや携帯に取って代わられたわけですが、本作の通信手段の要はペイジャーなのです!麻薬売買組織は、このポケベル(英語でペイジャー)を使ってこれまた地道にコミュニケーションしますの。
一方で、警察のテクノロジーも後進的で、盗聴という概念さえないような状態。「このドラマは盗聴のドラマだと思っていたのに、なかなか盗聴しないなぁ」なんて思ってたら、中盤になってやっと公衆電話の会話を盗み聞きできる!みたいな展開になるわけです。
ほっこりしますねー。
てっきり家に忍び込んで家デンを盗聴したり、体に盗聴器を仕込んで潜入捜査でもするのかと思ったら、なんとドラッグディーラーのポケベルの入力文字をゲットするというアナログなのかデジタルなのかさっぱり分からない展開に、「ワオウッ!この画期的なアイデアSUGEEE」と思うべきなのか、「よーしよし、ポケベルの暗号解読まで来たか」と温かい気持ちで見守るべきなのか、微妙な思いを抱えながらも一生懸命な刑事に「5110(フ・ァ・イ・ト)」と送りたくなることでしょう。
いや真面目にいうと、ポケベルの暗号解読の仕組みとかディテール凝ってて「ワオウ」と思いましたよ。
それにしても、いま思うと、2002年のテクノロジーってこんなに古代的だったけか…と追憶することしきり。まあでもボルチモアの麻薬捜査担当刑事が体現しているのですから、そうなのでしょう!
主演はドミニク・ウエスト、ジョン・ドーマン、ウェンデル・ピアース、ランス・レディック、イドリス・エルバ、マイケル・ケネス・ウィリアムズなどなど性格俳優ばかり。ウォーキング・デッドのガブちゃんも刑事として出てるよ!
17年ほどタイムスリップしたつもりでどっぷりハマッてみてくださいねー。
ザ・ワイヤーはAmazonプライムで視聴できます。