Netflixオリジナル新作ドラマ「ザ・レイン」を視聴した感想です。
全8話のミニシリーズです。
ゾンビが出てこないウォーキング・デッドやBBCの「サバイバーズ~生存者たち~」系のドラマですが、メインキャラ達が10~20代と若めなので最後の方は「俺たちの7日間戦争」を見ている気分になるドラマです。
製作はデンマーク、全編デンマーク語なので、デンマーク語の音が覚えられる特典付き。デンマーク語は初めて聞いたが、仏語と独語を混ぜたような音感。
ウイルス感染源は「雨」で、雨に触れると感染し、ゲロって踊って身悶えて死にます。
ゾンビファンにしてはおもしろくないことに、ゾンビ化しやしない。しかし最後の方にウイルスの突然変異説が出てくるので、シーズン2があればゾンビ化する可能性もないではない。
ゾンビもどきは出てくるのだが、そのシーンにかなりポテンシャルを感じた。
ネタバレなし
Netflixオリジナルドラマ【ザ・レイン】あらすじ
ウイルスに汚染された雨が降り、雨に触れた人たちがどんどん死んでいく中、高校生のシモーンと弟のラスムスは父母にシェルターに連れて行かれる。
父はアポロン社の社員で、シェルターは会社のものであった。父は防護服を着ると「弟を必ず守るんだ」とシモーンに言って雨の中、外に出かけていったまま6年も帰って来やしねえ。
当時17歳くらいだったシモーンは23歳くらいになってて、10歳くらいだったソバカス弟は16歳くらいのソバカス少年に成長していた。
食糧が切れかけてきたのと、弟がシェルターに飽きてきたので、ついに外に出ることにする。
というようなお話です。
おもしろそうでしょ?まぁまぁ面白いですよ。
登場人物
イケメンなし、イケジョなし。もどきはいる。
6年前ラスムスとシモーン
現在ラスムスとシモーン
シモーンはなぜ髪を切るのか。美人とは言えないので長い方が可愛かった。性格もいいし弟思いなんだけど、うっかり大事なことを漏らしたり、危機意識が低かったりで多少視聴者をイライラさせてくれる。
ラスムスはなぜ白ブリーフをはくのか。子役の子とちゃんと顔が似ているあたり、グッドキャスティング。Netflixのル・シャレーでも思ったけど、ちゃんと似ている俳優を起用しているあたり、努力が伺えて好ましい。
ラスムスという名前が最後まで覚えられず、ラスモスとか、ラモスとか、ラスボスと書いてしまうかもしれないが、そこはご容赦頂戴まつる。
青春時代の6年間を一度も外に出ずシェルターに引きこもって暮らしてきたアンチソーシャルなヒッキー。もちろん6年間姉としか顔合わせてないので、極度のシスコン。
アルファ男マーティン
一応イケメン枠のリーダー。ボスのくせして女に操られる。元軍隊という要因はアポカリプスものには欠かせない。グループがある組織に出会った時、一人だけ最後まで信じなかったのでポテンシャルはあるようだ。
感染者は容赦なく撃つ一方、ストレンジャーズを生かして失敗するなど、ボスとしてはまだ未熟。
ベアトリスとシモーンの間にで気持ちが揺れ動き、自分で自分の気持ちが分かっていない。
舎弟パトリック
マーティンの舎弟。言われたことはやるが、思考能力が欠如していて短絡的、不安定なのでたまに何かしでかす。昔から誰にも相手にされなず、父にもガールフレンドにも捨てられる。
マーティンだが唯一まともに扱ってくれたのでマーティンが好き。本当はマーティンと二人だけで行動したかった。
アルファ男に寄生する裏ボスベアトリス
カワイ子ちゃん枠なんだけど中の上から抜け出せないベアトリス。武器はアルファ男性への寄生。
ハリーポッターのジャンとパンピーのリアと3人で行動していたが、マーティンとパトリックに出会い、マーティンに色仕掛けで迫り、一緒に行動する。
先に死ぬぽ要員ハリーポッタージャン
先に死ぬぽ要員のジャン。いまのところ取り立てて芸当はないようだが、取り返しのつかないことをしてしまった過去がある。大人しそうな顔しやがって!
ワナビーパリピのパンピーリア
パリピになりたいパンピーのリアさん。若いんだかおばさんなんだかよく分からない。一応高校生だったらしいが、老けすぎ。超過保護な母のマイクロ監視の下、パーティーに参加したところ、現代若者の悲劇を経験する。でもその瞬間に雨が降ってきて神様ありがとうと感謝する。性格はいいが、精神的に付け込まれやすい。
Netflixオリジナルドラマ【ザ・レイン】感想
キャストが地味なので低予算映画を観ている雰囲気はあるが、シェルターもハイテク、荒廃したシティの様子も「28日後」みたいで不穏な雰囲気がよく出ていた。
このシティの様子は「28日後」や「バイオハザード」を連想させる。
この冒頭シーンはウォーキング・デッドも連想させるし、逃げようとする人々がフリーウェイで立ち往生しているところに雨雲が迫る光景は、不謹慎ながらも神秘的。
ウイルス感染の原因は「雨」というのがおもしろい。本作はゾンビという脅威が不在なので、ゾンビの代わりに「雨」をデス・センテンスにすることによって、「ヤバいよヤバいよ雨降るよ」と緊張感を持たせることに成功している。
雨のしずくが落ちてくる鳥瞰ショットも、「28日後」でカラスが食ってる死肉から滴り落ちた血を思い出す。
ゾンビは出てこないが、シティには飢えた生存者がいて、食糧を奪うために襲ってくる。このシーンはとても出来がよく、親子の下りもリアリティがあって悲壮感に溢れ、同情を誘う。
できればここで飢えた人間との攻防をもっと見せてくれたら、なかなかクオリティの高いドラマになっていただろう。
しかし残念ながらこの市街戦はたった1話しかなく、シェルターを出てからは食糧を求めて果てしなく森を歩き続け、ストレンジャーと呼ぶ謎の男たちとたまに戦いながら、ある組織と出会って交流したり反目し合ったりする。
シモーンとラスボスの目的は父探し、マーティンたちは食料とシェルター探しなので、基本的に目的が合っておらず、マーティンたちがシモーンらに合流する動機付けが不十分だった。
ふつうならマーティンとパトリックのようにせっかく見つけた食糧いっぱいのシェルターをみすみす手放して、会って間もない姉弟の父探しをするようなことはしないだろう。
そこは不思議ちゃんのベアトリスのイチオシで無理やり合流というパターンなので、シモーンたちに合流するに至るようなきっかけとなる出来事などが必要だった。
主人公たちはときどき現れるストレンジャーという追手を逃れながら、雨を逃れて怪しい邸宅に逃げ込むのだが、もう見るからに人を食ってそうなカルト集団にしか見えないのにマーティンを除いて滞在したがるのは、キャラたちが若いからなのだろうか。
主人公のグループは、若いキャラだけじゃなく、ウォーキング・デッドのようにおっさんもいれば小さい子どももいる設定の方が世代を超えて楽しめると思う。
終盤にかけてはアポロン社とシモーンたちの父の秘密も判明するのだが、悪の組織に抵抗するティーンといった構図が明らかになり、ティーン向けのドラマのようになってしまったのは残念だった。
そういえばHuluで見たゾンビドラマ「フリーキッシュ~絶望都市~」も主人公グループが高校生だけなんで、ティーン向けの青春ドラマ的要素が多く、シーズン2で脱落してしまった。
アポロン社の強制的従業員であるストレンジャーのおっさんみたいなシワと味のあるキャラを主人公グループに入れて欲しかった。
アポロン社が関係しているにしても、武器化して売る~とかビジネス臭を感じると、バイオハザードのアンブレラ社みたいな展開になりそうで心配。
ウイルス系、ゾンビ系は、原因が不明か、事故によってウイルスが散布されたので収拾つかなくなってるという設定の方が不安を煽ることができる。
突っ込みどころはけっこうあるのだが、ドラマの雰囲気はなかなか楽しめる一作だった。ただシーズン2のストーリーはどうするのか気になる。