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【ハッピー・バレー復讐の町】ドラマ感想シーズン1:リアルなオバチャン警官大活躍のサイコサスペンス

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ハッピー・バレー

イギリスBBC発サスペンスドラマ「ハッピー・バレー復讐の町」をNetflixで視聴した感想です。

舞台はイギリス北部ヨークシャー。暴行事件により娘を失い、残された孫の親代わりとなった巡査部長のキャサリン・ケイウッド。娘を暴行したトミー・リーを追ううちに、誘拐事件を嗅ぎ付け…

というサスペンスドラマです。

 

ハッピー・バレー復讐の町

受賞歴がまたすごいんですよ。

  • 英国アカデミーテレビ賞最優秀ドラマシリーズ賞
  • ナショナル・テレビジョン・アワード 最優秀ドラマ演技賞
  • 英国アカデミー賞テレビ部門 主演女優賞
  • エドガー賞 テレビドラマエピソード賞
  • British Academy Television Craft Award for Writer - Drama
  • ピーボディ賞(アメリカのテレビ・ラジオ・ウェブサイトの優れた放送作品に贈られる賞。1941年に始まり、メディア関連賞としては最古の賞である。アメリカ放送界における最高の栄誉とされ、放送界のピューリッツァー賞と呼ばれる。wikipedia

シーズン1は全6話です。

シーズン2も2018年2月に放映されており、シーズン3は2019年に放映予定です。

 

「ハッピー・バレー復讐の町」あらすじ

娘を暴行事件で亡くしたキャサリン・ケイウッドは、犯人のトミー・リーが出獄したことを知る。

一方、とある企業の社長令嬢が誘拐される。キャサリンはトミー・リーを追いかけるうちに誘拐事件が秘密裏に発生していることを嗅ぎ付ける。

 

「ハッピー・バレー復讐の町」感想

似たようなサスペンスドラマに「警視ステラ・ギブソン」があるけど、ステラ・ギブソンはなんてったってXファイルのスカリーが演じているから、ダークなサスペンスドラマといっても華があるんですよね。おまけに共演が50シェイズのイケメン、ジェイミー・ドーナンですし。

でも。こっちはバリバリのおばさん警官よ!またこれが地味なんだ。もうどっからどう見てもふつうの人、ふつうの婦人警官。

ちなみに出演者全員ふつうの人。これ俳優じゃなくて、リアルに人集めたんじゃないか?ってくらい地味なんだけど、それが活きているドラマです。

ふかづめ師匠はいみじくもこう言った。

究極の芝居とは芝居をしないことだ。

本作を見たあと、ふかづめ師匠のこの名言が頭の中で何度もこだました。

なんなら米アカデミー賞はこの人たち全員にくれてやれ。

それくらいリアル。人間臭すぎる。

見てくれも良くないし、オバサンだからなぁ…なんて見るのを躊躇していると、損するよ!

そんなオバサン婦人警官のキャサリンだけど、実はすごく優秀な警官です。コトが起きた時にパッパッパッと部下や上司に命令を出したり(上司に?) 、一瞬しか見えなかった犯人たちの格好をまるでフォトグラフィック・メモリー(※一瞬見ただけでディテールまで写真を撮ったかのように頭に記憶できる能力。直観像記憶と言われるようだが、字幕ではしばしば「記憶力抜群」というように意訳されている。)のように言い伝えることができる。 長い物に巻かれることもなく、気丈で淡々と警官の仕事をするタイプ。

そんなキャサリンは亡くなった娘の置き土産である息子ライアンを育ているんだけど、ライアンの父は愛する娘を犯したトミー・リーなので、単に孫を育てているわけではなく、複雑な心情が見てとれる。

キャサリンはライアンの面倒をしっかり見ていて愛しているんだけど、学校で問題を度々おこして先生に呼び出される毎日なのね。それゆえに、ならず者のトミー・リーの血がライアンに受け継がれているのではないかと不安を抱えている。

キャサリンの元夫は新しい奥さんだか彼女と暮らしているんだけど、元夫は娘を暴行した男の血が流れるライアンとは目も合わせられない状態ってんだから人間くさい。

こんなヒューマンドラマが誘拐事件とトミー・リーの冷たい所業が微妙に折り重なって物語は進行していくのだから、おもしろくないわけがない。

誘拐事件の計画の始まり方もユニークで、犯人たちそれぞれもリアルで味がある。

計画を持ち掛けた小男ケビン・ウェザリルの良心の呵責や慌てぶり、坂を転がるように泥沼にはまっていく自滅ぶり、開き直りが楽しくて、もっと見ていたかった。

ケビン・ウェザリルを演じた俳優ケビン・ペンバートン、どこかで見たことあるよなぁ。

実行犯の一人の男も、教育程度が低いケチな犯罪者なんだけど、底辺なりにボーダーラインがあって、ここまではできるけどこれ以上は…という感じで罪悪感に苛まされる。でも自分でどうにかするという知能や能力がないから、ボスたちに言われるがままに悪の道をどんどん転がっていく。

誘拐事件のリーダー的存在であった男も初期は全能ぶってたけど途中から立場が変わってしまったり、よく考えずに誘拐を実行してしまったり、アマチュアらしさが出ちゃう。

ハリウッドの映画やドラマで、プロの犯罪集団によって緻密に計画され隙なく実行される誘拐事件と違って本当にリアルです。

そしてサイコパスのトミー・リー・ジョーンズロイスを演じるのは6フィートという長身のイギリス人俳優ジェームス・ノートンです。

この間見たダイアン・キートン主演の「ロンドン、人生始めます」でキートンの息子として出てました。気づかなかったけど。

でも本作の方がずっと魅力的ですね。 冷たい表情が似合っていて、長身なもんだから迫力がある。

あとキャサリンが誘拐事件をはっきりと認識して通報した刑事の人がダンディで格好良かったな…なんならキャサリンとくっついちゃって欲しいな…くっつかないなら私が…

イギリス北部はアクセントがすごい強いんで、字幕なしだと全部聞き取れないと思う。でもイギリスの悪態はファッキンを使わずにブラッディを使ってくれるところはいいなと思うんですよね。

あとイギリス人はアメリカ人ほどドラマチックじゃないので、その点が日本人よりも馴染みやすい一面もあります。

最後はシーズン2を予感させる終わり方でしたが、前述のようにシーズン2も2月に放映され、シーズン3も来年放映される予定です。