今、はてなブログはHagexさんというはてなブロガーの方が刺殺された事件を受けて激震している。Hagexさんこと岡本顕一郎さんは、自身のセミナー開催場のトイレでかねてからはてブコメントに連投する加害者によって刺殺された。
Hagexさんという方については名前さえ知らなかったが、有名なブロガーらしいので、もしかしたら過去に何らかの記事を読んだことがあるかもしれない。
購読しているブログがHagex Hagex HagexとどれもHagexさんの話題だったので、それらを読んで初めてことの次第を把握した。
インターネットによって暴力は加速する
インターネットは私たちの生活をたいへん便利なものにしてくれた。インターネットによって遠く離れた家族や友人、知人とつながることができるようになった。FacebookなどSNSの普及によって、昔の友人でさえ探し当てることができるようになった。
これはインターネットの光の部分である。
光あるところには必ず影がある。インターネットにも、もちろん影がある。それは何かというと、インターネットによって通常なら繋がらなくてもいい人と繋がることになったということだ。
これまでは東京にいる人はニューヨークにいる人と繋がることができなかった。インタネットによって東京にいる人がニューヨークにいる人と繋がることができるようになった。北米にいる人が中東にいる人と繋がることができるようになった。
人間は誰一人として性格、環境、価値観、思考、意見が同じ人はいない。人間は社会的な生き物なので、性格、環境、価値観、思考、意見が似ている人同士で集まるようになる。条件が似ていれば、それだけ不和が少なくなり、衝突の可能性も少なくなる。それはいわば生存本能ともいえるものだ。
しかしインターネットで世界と繋がるということは、性格、環境、価値観、思考、意見が違う人とも繋がるということだ。
意見や価値観の違う人と繋がるということはどういうことなのか?それは意見の不一致、議論、口論、口喧嘩、喧嘩、ののしり合いが増えることを意味する。これが増幅していくと、殴り合い、憎しみ合い、殺し合いに発展していく。
不特定多数が書きこむことができる掲示板は、どの国を見てもお互いへの罵り合いや馬事雑言であふれている。学校でのいじめはインターネットというサイバー空間を新しい場所として手に入れた。
キリスト教徒はイスラム教徒を非難し、イスラム教徒はキリスト教徒を非難する。日本人は韓国人を非難し、韓国人は日本人を非難する。白人は黒人をレイジーと呼び、黒人は白人をレイシストと呼ぶ。
たとえ人気者のアイドルでも、お釈迦様のような善人であっても、インターネットの暴力からは逃れられない。コメント欄や掲示板に何かしらいちゃもんを付けられる。嫌うのに理由はいらない。
「ただ顔が好きになれない」「生理的にいけ好かない」「人気があるからって調子に乗っていてムカつく」「善人ぶっってる」など、アンチにとっては理由は何だっていいのだ。ただ単に妬んでいる場合もあるだろう。
たいていの人は毎日書き込まれる罵詈雑言に心が砕けてしまい、メンタルをきたしてブログ閉鎖に追い込まれたり、うつ病や不安障害を発症して社会生活からドロップアウトを余儀なくされる。
その一方で強いメンタルを持った人は、自分に向けられる罵詈雑言に耐えることができる。しかしアンチは本人への攻撃が効かないとわかると、今度はその人の家族や友人をターゲットにする。
つまり、いずれにしてもインターネットの暴力からは誰も逃れられないのである。ブログを一度でもやったことがある人なら、それに気づいているはずだ。
インターネットでも自己防衛を
インターネットは誰が見ているか分からない。不特定多数の大勢が毎日アクセスしているのだから、インターネットで発信するにはそれなりの自己防衛が必要になる。
noteで詳説しているが、顔出し、実名公開にはリスクを伴うことを今一度心に刻んだ方がよいだろう。特にお子さんなど社会的な脆弱性を有している人はより注意すべきだ。
今回のHagexさんの事件のように、 炎上ブロガーと呼ばれる世間を意図的に煽り立てるタイプのブロガーも、内心穏やかじゃないはずだ。ブログで勧められるがまま仮想通貨を買ったが、暴落し、資産を吹き飛ばした人がブロガーに恨みを抱くという構図は誰にでも容易に想像がつく。
インターネットには多種多様な人がアクセスする。PV(アクセス)を得るためにわざと煽って訪問者を稼ぐマーケティング手法だということを理解している人ばかりではない。
ときには自分へ向けられたメッセージを個人的にとらえてしまい、追い詰められる人がいる。誰が悪いの問題ではない。
有名ブロガーはセミナーやオフ会、個人的な付き合いなども積極的に開催している人が多いので、狙おうと思えば簡単に狙える。単なる飲み会やオフ会でも、インターネットで場所も時間も発信していれば、誰でもそこに行くことができるし、内輪のみであっても参加者を通じて聞き出すことはそう難しくないはずだ。
岡本さんと加害者は本来なら出会うことのない二人のはずだった。だがインターネットを通じて属性や考え方が違う二人がネット上で繋がったために不和が生まれ、悲劇は起きた。
今回の事件の加害者がインターネットでのやり取りでしか知らないHagexさんをめった刺しにしてしまうほど憎悪を抱いていたのは事実であり、インターネット上の発信と自己防衛の欠如によって、それは誰にでも起こり得ることを肝に銘じておこう。
批判やネガティブコメント、絡んでくる人たちへの対応について、noteで詳説しているので興味がある方はどうぞ。