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「マヤンズ M.C. 〜サンズ・オブ・アナーキー外伝〜」シーズン1の登場人物紹介と粗筋(ネタバレなし)

マヤンズM.C.

「マヤンズ M.C. 〜サンズ・オブ・アナーキー外伝〜」シーズン1を視聴しました。

あの、バイカー・ギャングを描いた「サンズ・オブ・アナーキー」のスピンオフドラマです。

「サンズ・オブ・アナーキー」は私の好きなドラマTOP10に入るドラマですから、スピンオフが制作されると知った時はワクワクしました。

でもスピンオフドラマは失敗に終わること多いのよねー。そんな一抹の不安はあったものの、サンズと同じクリエイター(カート・サッター)が続投するというので、それなりの物ができるのでは、と期待していました。

本作「マヤンズ」は2018年に開始し、2022年6月にシーズン4が終了したところです。

シーズン5が出るかどうかはまだ発表されていませんが、シーズン4の視聴率がまずまずということで、制作される可能性は高いのではないかということです。

 

マヤンズ M.C. 〜サンズ・オブ・アナーキー外伝〜

シーズン1の時間軸は、「サンズ・オブ・アナーキー」の最終回から2年半後の設定です。

サンズのバイカー達が北カリフォルニアで運営活動しているのに対し、本作は南カリフォルニアのメキシコ国境に近い架空都市サント・パドレが舞台です。

主演はJ.D.パドロ、マヤンズではプロスペクト(候補生)のEZ(イージー)役になっています。

EZ(J.D.パルド)

うぅむ。ヒスパニック系の主役を見つけられなかったのだろうか。というのも、J.D.パルドはそもそもアルゼンチン&エルサルバドル系でメキシコ系じゃないのよね。顔立ちからして違う。嫌いじゃないけども。

とは言え、ヒスパニック系で英語とスペイン語のバイリンガルで身長180cm前後でモデル体型でイケメンとなるとアメリカ人の中で探すのは難しいかもしれんなぁ。

何しろサンズの主役ジャッキーがチャーリー・ハナムだからなぁー。ハードル高いわよね。

でもまぁJ.D.パルドについては、先日視聴したアマゾンプライムの「ザ・ターミナル・リスト」のFBI役は良かったですよ。この人はバイカー役よりFBIとか刑事役の方が似合うかもしれんな。

「ザ・ターミナル・リスト」は米国では概ね好評で続編も期待されていますから、続編でJ.D.パルドがもっと活躍するかもしれないね。

で、本作「マヤンズ」が本家「サンズ」と大きく違うのは、主役がプロスペクト(候補生)だということ。

サンズの主役ジャックス・テラー(チャーリー・ハナム)は、母親の彼氏がクラブのプレジデント(リーダー)だったので最初からリーダーに限りなく近い地位にあって、やがてプレジデントに就任しましたでしょ。

でも本作では主役のEZ(イージー、イゼキエルの相性)はプロスペクトなので、みんなの小間使いなのよー。今後、クラブ内で成り上がっていくのかもしれないけど。

どんな設定かというと、EZは9年前に自宅で母親を何者かに殺害されてしまうの。後日、その男を見つけて追いかけている途中で、誤って警官を射殺してしまうんだ。

そして服役したのだけど、司法取引でマヤンズのビジネスパートナーである「ガリンド・カルテル」の情報提供をすることで早期出所を果たしたわけだ。

なんでEZがやぶからぼうにカルテルの情報提供者になるのかというと、EZの兄エンジェルがマヤンズのメンバーだからです。

エンジェル(EZの兄)

EZは元々はマヤンズでもなんでもなくて、父の期待を集める優等生のような存在。他方、兄貴のエンジェルは落ちこぼれの劣等生で、父ともあまり意思の疎通が取れていない。(エンジェルは弟EZのを「ゴールデンボーイ」と揶揄。)

エンジェルはEZが司法取引したことも情報提供者になっていることも知りません。知ってたら絶対入れないし。

シーズン1の後半でバレるんだけど、正直、EZほとんど情報提供してなくね。

司法取引したこと、自分に黙ってマヤンズに志願したこと、父は知っていたこと、そしてデキの良い弟への劣等感から、シーズン1の最終回では兄は弟と口もきかないほど険悪になってしまったりもします。

まぁシーズン2で仲直りするけど、兄弟の性格や背景が丁寧に描かれていると思います。秘密や障害を乗り越えたレイエス兄弟はもっと絆が深まったと思うしね。

シーズン1と2を観終わった後だと、はっきりいってEZよりエンジェルの方がキャラとしてはずっと面白いし魅力的だな。私は断然EZよりエンジェル派だなー。ちょっとおバカなところが可愛いというか。

組織について触れておくと、マヤンズの組織構成は大体SAMCRO (Sons of Anarchy Motorcycle Club Redwood Original) と同じですが、少しだけ違う。

マヤンズにはエル・パドリーノという最高位がいて、それがあのアルバレスのおじちゃんなんだ。

マーカス・アルバレス(サンズ・オブ・アナーキーで好演)隣に見えるはサンズのティグ!

エル・パドリーノは唯一人しか存在せず、マヤンズの創設者であるアルバレスだけなんだわ。

アルバレスは「サンズ・オブ・アナーキー」からのスピンオフの誕生の功労者とも言えますが、マヤンズにもほぼレギュラーとして登場します。あの男気と度胸は伊達じゃなかったよねー。アルバレスには痺れたよなー。

なお、サンズから異動してほぼ全話にレギュラー出演しているのは、アルバレスとチャッキーのみ。みんなチャッキー覚えてる?もともとはオットーと同じ刑務所に服役してて囚人たちに虐められているのをオットーが助けてあげた。うろ覚えだけど。

チャッキー(サンズに続いてレギュラー出演)

で、エル・パドリーノの下位に3名のプレジデントがいて、この3名はアルルバレスが任命した者達という構図なんだ。

基本的にはプレジデントが各チャーターを仕切っていて、SAMCROのように懸案事項はメンバーの投票で決定します。でもおそらくアルバレスが決定を覆そうと思えばできそうな雰囲気ではあるね。

EZとエンジェルが属するチャーターのプレジデントはオビスポ・ローサ通称ビショップ

プレジデントのビショップ

ビショップは背も小さいしイケメンでもないんで、最初は「え?大丈夫?」と心配でしたが、アルバレスが見込んだ人物だけあって良いリーダーシップを発揮しているんだな。背が小さくても威圧感とか出せるんだなー。ビショップは声が渋くていいよ。

私はシーズン2でビショップがたまに見せる顔芸がたまらなく好きなんだ。

シーズン1だけではまだビショップの良さが伝わらないので是非シーズン2まで見続けて欲しいな。

マヤンズは、メンバーの個性を把握するまでに時間がかかるのが難点といえば難点。シーズン1だけでは碌に伝わってこなくて、名前も全員覚えられなかったもの。みんな黒髪の髭面だったりするからさ。

シーズン2でやっと各メンバーの個性が伝わってくる。シーズン1も4話まで観れたらあとはしめたものよ、一気見よ一気見。

サンズと比べるのもどうかとは思うけど、スピンオフだけに、比べるなというほうが難しいですわよね。

それからストーリにも大きな違いがあって、主役がプロスペクトという点以外に、マヤンズはガリンド・カルテルとビジネスパートナーであるということ。つまり、麻薬ビジネスに関与しているので、これがサンズと大きく違いますね。

実質、物語の半分はカルテル絡みです。私は気にならないけど、サンズは大体いつもバイカークラブか警察絡みだったから気になる人もいるかも。

カルテルの親玉ミゲル・ガリンドに扮するはダニー・ピノりんなんだけど、ピノりんもメキシコ系じゃなくてキューバ系じゃね?あと麻薬カルテルのボスにしては小奇麗というかスタイリッシュすぎるけど、キャラとしては多元的でいいと思います。

ミゲル・ガリンド役(ダニー・ピノ)

しょっぱなから麻薬を盗んだサモア人グループのボスの腕を切り落としちゃったりもするけど、こう見えてそんなに悪い人じゃなかったりするんだなー。善意や少年のような無垢な心も持っていたりするんで、面白いキャラですね。

人種が正確でないのは許す。シーズン2に入らないとメンバーの個性が出ないのも許す。許せないのは、一人だけどうしようもないキャスティングをしたことです。

それがこの方、エミリー・ガリンド…ミセス・ガリンドつまりカルテルの親分の奥様です。

甚だしく場違いなエミリー・ガリンド

抑えきれないハイスクール・ドラマのクイーン・ガール感。この方だけ、とんでもない場違い感満載で、浮きまくってるのよね。

白人の中でも特に色白の白人であることも少なからず影響しているかもしれないが、それだけが理由だけではない気がする。この人の場合、褐色系の肌群の中で白肌が浮いているという物理外観的な性質が原因なのではなく、むしろ褐色系の肌の人種の人たちが持つ雰囲気、言動、表情といった社会文化背景をこの方が理解且つマスターできていないから。これに尽きる。

たとえば、ヒスパニック系は白人よりもっと顔の表情の変化が少ないし、口数も少なめ…というかディテールにあまり拘らないので細かい説明をあまりしない。シリアスな場面でもコメディ感がある、伝統的な家族、そんな雰囲気なんだ。

そんな中で白人のアメリカンガールがカルテルの事業に関与してきたり嫉妬してきたりギャーギャー騒いだりしてると浮くでしょ?

長年一緒にいる夫婦の顔(表情)が似てくるように、普通は表情や雰囲気、話し方といったものが似てくるはずなんだ。だからエミリーが本当にガリンド家やヒスパニックに囲まれて過ごしていたら、こんな雰囲気にならない筈なのよ。でもそれが一切ない。だから場違い感が凄い。

他の原因としては、カルテルの親ビンの妻なのに二十歳の女性みたいな雰囲気を醸し出している事、やたらオーバーな演技という事が考えられる。

ちょっとググったら、エミリーがミスキャストと思ってたのは私だけじゃなかったらしく、全く同じ意見を多数見かけました。このキャラが出てくると途端に嘘臭くなって真面目に見れなくなってしまう。

さらに悪いことに、実はエミリーはEZの元カノでもある。EZが収監されたので別れた相手なんだ。EZが出所してみたら、愛しの元カノがカルテルの妻に収まっていたという、おったまげ設定。。

悪いけど気が散って仕方ないので、このキャラには早いところ退場してほしいわ。

マヤンズはガリンド・カルテルのビジネスパートナーで、マッスル仕事を引き受けているんだけど、ガリンド・カルテルの目下の頭痛の種は、国境近辺で活動している反乱軍「ロス・オルビダドス」です。

ロス・オルビダドスは民間組織で、アデリータという女性が指揮しています。アデリータは幼い頃にガリンド・カルテルに一家を皆殺しにされた過去を持ち、現在はカルテルの暴力によって遺児となった子どもたちを保護しています。

反乱軍「ロス・オルビダドス」のリーダー「アデリータ」すごい美人

アデリータ役の女優(ベネズエラ人)は白人に近い肌の白さなのに全然浮いてないどころか素晴らしいキャラなのね。だから前述のエミリー・ガリンドが浮いているのは、肌の白さが原因ではないわけ。白人であるというハード要素が原因なのではなく、白人であることのソフト要素が原因なの。

最近のドラマや映画がウォーク(woke)すぎて辟易していることは何度もお伝えしたが、wokeイズムを批判すれば「人種差別主義者」「レイシスト」と罵られ、社会的に抹殺されるのが現代、応援すればメディアや声のでかいマイノリティが絶賛する。そういうわけで、とりわけ影響力のある有名人はwokeイズムを応援する傾向にある。

でも私にしてみればそれは逆に人種差別やレイシズムだと思うわけ。過去50年間、人類は人種差別を撤廃しようと努力してきた。人種は問題ではなく、結局はその人自身の問題だと今までずっと説いてきたわけよね。人種を意識しないように、肌の色が違っても人間は人間だ、肌の色にこだわるべきではない、と。キング牧師もそう説いてた。

それが今は逆。人種や性的志向がすべてと言わんばかり。本作だって白人を入れないといけないという配慮からエミリーを起用しているはず。今やどの映画もドラマにも、人種・性的マイノリティを必ずひとりは登場させることがマストになっている。人種ありき、性的志向ありき、な世の中になってしまったわけだ。

推す人はこう言うかもしれない。今まで抑圧されていた分、優遇されて然るべきだと。確かに一理あるポイントではある。でも全員が全員抑圧されてきたわけではないし、この手法は人種間やゲイ/ストレート間の分断と憎悪を高めたように思う。まぁ、何が正解かは後になってみないと分からないけれど。

 

だいぶ脱線してしまったので元に戻ります。

えー、シーズン1の前半で、EZは、エンジェルとココとギリーに砂漠に連れて行かれます。そこではメキシコ系の人々がキャンプをして暮らしていました。そこは反乱軍のリーダーであるアデリータが秘匿していた場所でした。

なんと。エンジェルやココはアデリータ達と密かに連携していたのです。ガリンド・カルテルのドラッグを強奪し、ロス・オルビダダスに手渡して資金源にしていました。

こんな感じでね、マヤンズ+ガリンド・カルテル+ロス・オルビダドスという3つのグループが交錯するので、なかなか見応えがありますよ。

EZとエンジェルの兄弟関係、ミセス&ミスター・ガリンドの夫婦関係、EZとミセス・ガリンド(エミリー)の関係、エンジェルとアデリータのロマンス等、人間関係の面倒臭さも楽しいよ。

EZとエンジェルの父ちゃん(フェリペ)も人に言えない過去があって物語の大事な駒になっています。最愛の亡き妻の遺灰の半分を家に置いていて、毎日話しかけている。可愛い。

フェリペ(EZとエンジェルの父)人に言えない過去が…

さて、アデリータ達は大胆にもガリンド夫婦の1歳の長男を誘拐しちゃいます。

ロス・オルビダドスは民間組織だけど、カルテル相手に素晴らしい攻防を見せるんですよ。ネタバレになっちゃうので詳細は伏せとく。アデリータが超絶格好いいよ。

最終的にああいう展開になったのは仕方がないよね。他にどうしようもないのが現状ですから。アデリータはおそらくあそこまで見通していたのでしょうが、物凄いメンタルの強さだなー。

 

それから「サンズ・オブ・アナーキー」で変人ぶりを披露していた連邦警察官補佐のリンカーン・ポッターもレギュラー出演します。

変人ポッター

ポッターのせいでガリンドもアデリータもレイエス兄弟も苦しむことになります。こいつが曲者で、なかなか反撃できないのがもどかしい。シーズン1のEZのハンドラー役の人、可哀想すぎる…。

あと、ココの妹レティ(のちに娘と判明)が出てきてから途端にモーターサイクル・クラブらしさが出てきます。やんちゃなビッチ系なんだけど、可愛い。愛くるしい。助演として素晴らしいキャラだと思った。まぁ、レティのせいでEZが色々と巻き込まれて苦労するんだけど。。

ココ(こう見えて元海兵隊の狙撃手)

レティ(ココの妹のち娘)

最後に、シーズン1の最終回でアルバレスがビショップに何やら耳打ちしたあと、マヤンズのレザーベストを脱いでボストンバッグを持って敷地外に出ていった時は、「えええ、まさかエル・パドリーノ、捕まっちゃうの!?」と心配しました。

でもアルバレスが行った先は、ガリンド・カルテルの邸宅。アルバレスはマヤンズの最高司令官からカルテルのアドバイザーに就任したのでした。

アルバレスがマヤンズ辞任しちゃうのは残念よね。。アルバレスは3名のプレジデントに公平に力を分けることにしました。ビショップと他のプレジデント2名がマヤンズを運営していくことになります。

ビショップ悲しそう。

アルバレス的には昇進になるのかなぁ。収入面ではアップだろうけど、マヤンズにいた方が和気藹々と楽しそうだよね。

はい、そういうわけで、予想していたよりずっと面白いマヤンズ。今シーズン4まで出ているので今後が楽しみです。サンズを観た人ならきっと楽しめると思う。サンズとは人種や雰囲気は異なるけれど、趣はサンズのそれを感じられると思います。