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【デクスター:ニューブラッド】粗筋と感想:エンディングの悪夢、再来

デクスター続編あらすじ感想

デクスター:ニューブラッド@SHOWTIME

遂に!あの連続殺人鬼デクスターが帰って来ました。

「デクスター」は、リブートしてほしいドラマのベスト10に入る一作だったので、リブートすると聞いた時は胸の高鳴りを感じました。胸の高鳴りてのは嘘ですけど、まぁ嬉しかったよね、リブートすると聞いた時は。

ではでは早速どんな内容か見てみましょう。

結末のネタバレはしていませんが、多少小出しにしているのでネタバレてもいいやという方は最後まで読み進めて頂きたいと思います。

 

デクスター:ニューブラッド

デクスターと地元の名士カート・コールドウェル

 

粗筋

あれから10年...デクスターはフロリダでハリケーンに突入していき消息不明になっていましたが、オレゴンの山で材木伐採の仕事に就いたと思いきゃ、NYの北方の小さな田舎町で狩猟用品店で働いていました。

デクスターはこともあろうに町の警察署長アンジェラと交際していましたが、ジムという新しい名前とアイデンティティでちょくちょくデボラの亡霊と会話しながら楽しくスローライフを送っていました。

ある日、デクスターの家にティーンエイジャーの少年が侵入し何やらゴソゴソと家捜しをしていました。

聞けば少年はデクスターの息子のハリソンだと言うではないですか。「ハリソンて誰だっけ」という読者のために説明すると、デクスターは昔リタというシングルマザーと交際しており、彼女との間に授かったのがハリソンです。

しかしハリソンが生まれてまもなくリタトリニティキラーという連続殺人鬼(ジョン・リスゴー)に殺されてしまったので、デクスターは赤ん坊のハリソンを育てていました。

そのうちデクスターはハンナ(イヴォンヌ・ストラフスキー)を殺そうかな殺すまいかなと考えている間にいつのまにやらハンナと恋に落ちます。

デクスターが影薄の連続殺人鬼オリバー・サクソンと鼬ごっこをしている間、デクスターの真相もバレそうになってきて、デボラもオリバーに殺され、デクスターはハンナとハリソンを先にアルゼンチンに行かせました。ハンナとハリソンと合流する予定でしたが、デクスターはデボラを海に捨てたあと何故かハリケーンに向かっていき消息をたちました。死のうと思ったのだろうというのが大方の説です。

成長したハリソンによれば、継母ハンナは3年前にガンで亡くなったそうです。ハリソンはその後アメリカに戻り、里親を転々としたりストリートチャイルドになったりと苦難の日々を過ごしていたのでした。

デクスターはハリソンを守りたい一心からデクスターであることを否定しますが、最後は認めて一緒に暮らすようになります。

しかし、やがてハリソンは人を傷つけるというダークな一面を見せるようになります...

時を同じくして、町では若い女性が多数行方不明になっていました。

デクスターは長い間殺人をしていませんでしたが、マット・コールドウェルという金持ちの糞みたいな男(ムカつく話し方といい、良い俳優だったわ)が余りにも糞なので殺してしまいます。

失踪したマット・コールドウェルの大規模な捜索が続きますが、父親のカート・コールドウェルが「マットからNYにいると電話があった」と言うので捜索は終わります。

デクスターは「何故カートはマットが生きているとか嘘をつくのだろう。僕が殺したのに」と訝しみます。

というような粗筋です。

 

感想

デクスターを見るだけで嬉しい。

そんな私の贔屓心がどうしても公正な見方を邪魔してしまう。でもここ気を引き締めてですね、駄目な点は駄目と指摘していかないとね。

最初の数エピソードはとても良かった。デクスターは狩猟用品店で働いているので、銃だとかナイフだとかを扱っており、デクスターとナイフというコンビを連想させて嬉しい。

小さな町なので皆知り合いという設定もデクスターの気立てが良く真面目で親切な人という表の顔が際立っています。

とはいえ、粗筋はというとデクスターは殺人を卒業していて(マットは殺したけれども)デクスターの本領が全然出てないのよね。

で、行方不明の女性達を殺していたのはマットの父カールであることにデクスターが早々に気付いて懐を探るという刑事ものみたいな仕上がりになっちゃてるの。

「証拠を見つけないと」とか刑事みたいなこと言ってたけど、そもそもデクスターてそんなキャラだったっけ。どっちかっていうと、人違いで別の人を捕えちゃった挙句に「ウップス。でもお前も悪人だから死んでくれ」といって殺しちゃうドジぶりを披露してお茶の間に「ハハッ人違いだって」と乾いた笑いを提供してくれるキャラだったはず。

私はそんな完璧主義を謳いながらミスをするデクスターのドジっ子ぶりが好きだったんですよね。完璧にこなしたはずがミスを犯して慌てて奔走するというデクスターが。あの「し、しまったァーーー!(心の声)」という焦りは何物にも代えがたい美点だったのよね。

でも今回はデクスターが連続殺人するわけではないんで(最終的にはコールドウェル親子二名の連続殺人を遂げたけれども)、オリジナルのデクスターの良さは堪能できなかったなぁ…残念ながら。

デクスターの代わりと言っちゃなんだが、息子のハリソンが闇堕ちの淵にいます。ハリソンは同級生を襲ったりします。それだけならまだしも自分が英雄として持ち上げられたい、評価をあげたいために、あんなことこんなこと画策します。あの同級生、何も悪い事していないのに可哀想に…

デクスターと反抗期のハリソンとのやり取りに多くの時間が割かれています。まさか…ハリソンが主演になるというスピンオフは考えてないとは思うけれども…考えていたら嫌だわぁ。ファンにとってデクスターは唯一無二の存在ですから。

デクスターの息子のハリソン(こうしてみるとデクスターに少し似ている子を起用したのかなと思う)

キャスティングについては、ハリソンは堪えられるけどハリソンのGFのオードリーがすこぶるウザいです。この辺はハリソンの方がウザい派と意見が分かれるところだけど、オードリーの早口な喋り方と注目を浴びたいwoke民な面がウザすぎました。

環境問題の抗議活動で飲み物を流し捨てるシーンは観てるだけで恥ずかしいし、肉屋の保冷庫に白鹿の死体が保存されていることを知って「なんですって!?ここに保管しているの!?」とか騒いで入って行ったり、ハリソンに仲間を紹介するときの様子(「これが〇〇ね。こっちが○○でー、これが○○」ていうような流しそうめん感)とか、自分のことをスマートだと思っていて自信に満ち溢れており、全てを知っている気になっていて舞台の中心にいないと気が済まないタイプの女の子という感じ。そもそもあんな喋り方をするティーンいるか?

因みにオードリーの早口で抑揚のない喋り方は、アメリカ人でさえ「ブツブツ言ってて何を喋ってるか分からん」というコメントが多いです。

で、このオードリーの母さんがアンジェラというシングルマザーでデクスターのGFです。デクスターはなんでよりによって警察署長と交際してるのか。

アンジェラ(デクスターと交際中)とオードリー(デクスターの息子と後に交際予定)

アンジェラとオードリーの人種が違うのは、オードリーが幼い頃に引き取られた養子だからです。

そういえばアンジェラはネイティブアメリカンという設定で、この町にはネイティブアメリカンが多く居住しているんだけど、これドラマに何か関係あった?単なるWOKEファクター?

同様にオードリーが環境抗議活動していた会社の社長みたいな男性との因縁もあったけど、あれも別に伏線でも何もないまま終わりました。あれもWOKEファクター?そもそも環境抗議活動自体があまり必要なかったもんね。どこぞの北の国の活動家の少女を意識したのかしら。

それから前作でデクスターの同僚だったエンジェル・バティスタが何度か出演します!アンジェラは偶然コンベンションでバティスタと出会うのですが、その後ジム=デクスター=ハーバーブッチャーの疑念が最高潮に達した時にジム(デクスター)の写真をバティスタに送信したので、バティスタにはデクスターがハーバーブッチャーであることは確実にバレてしまったかもしれませんが、ああいうエンディングなのでバティスタがこの町にやってきて確認してビックリとかそういうシーンもなし。

それにしてもバティスタ達にはデクスターがハーバーブッチャーだと知って欲しくなかったという思い…ファンなら共感してもらえるでしょうか。まぁ、あのエンディングが用意されているとなれば、バティスタにばらしても問題ナッシングということになるのかもしれませんが。

エンディングについての詳細は伏せますが、残念なことに本作、オリジナルの前轍を踏んでしまいました。またしても同じようなエンディングにするなんて…何故なんだ…

デクスターシリーズは素晴らしいドラマで、終了することが決まった時にファンはどういうエンディングになるのか楽しみにしていました。

しかし妹のデボラを死亡させ、デクスターにデボラの遺体を海中に投げさせた挙句(他の遺体も全部そこに投げてある)、デクスターはハリケーンに向かっていき消息を断つという中途半端なエンディングで終わりました。その後、デクスターが木材伐採の仕事をしているシーンで、デクスターが生き残ったことは確認できます。

この中途半端で投げやりなエンディングには多くの批判が集まりました。8シーズンに渡る人気ドラマが、ドラマチックなシーンも悲しむシーンもなく、幕引きもなく終わってしまったのですから批判は尤もです。

ある意味、本作のエンディングはオリジナルのエンディングへの大批判に応えた形なのかもしれません。それでもやはり何の脈略もなく二人があの決断に至るのは納得がいきません。

その後のアンジェラの行動も、あれだけジム(デクスター)の身分を明かそうと必死に嗅ぎ回っていた人物の行動とは思えません。そもそもあの後、どうするつもりなのか。細工するつもりであの決心をして行動に出たんですよね?

コーチやこれまで命を落とした人達への◯◯と見るとハリソンによるスピンオフの可能性も捨てきれませんが(若い世代へバトンタッチ)、前述のようにデクスターは唯一無二ですのでスピンオフができてもロクな内容にならなそう。同じ製作陣なら成功するかもしれないけど。

以上!

デクスター(左)と息子ハリソン(右)、中央はデボラの亡霊