HBOでシーズン1が放映されるやいなや大人気となった『ビッグ・リトル・ライズ』。
ニコール・キッドマン、リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーンといったAスター俳優が出演しているHBO渾身の一作です。
シーズン2はメリル・ストリープが脚本を見ずに出演を承諾したと言われており、製作側やキャスト側の熱意も伝わってきます。
そんなシーズン2を最後まで観た感想です。
シーズン2も全7話の構成です。
シーズン1から続いているのでシーズン1のネタバレも含んでいます。
未見の方はご注意下さい。
『ビッグ・リトル・ライズ』シーズン2あらすじ
「事故」として片づけられたかのようにみえた死。
あの事件に関わった5人の女性(セレステ、マデリン、レナータ、ボニー、ジェーン)は、お互いを守るために誰にも真実を話さないことを誓います。
しかしボニーは良心の呵責に耐えきれず、徐々に精神不安定に。
マデリンはシーズン1の不貞行為が夫のエドにバレてしまい夫婦の危機に直面します。
ジェーンは水族館で働き始め、そこでコーリーという青年と出逢います。
レナータは夫が破産したため、経済的に奈落の底に。
セレステは、夫ペリーの母のメアリールイーズ(メリル・ストリープ)がヘルプのためにサンフランシスコから駆け付けます。メアリールイーズは息子ペリーの死に疑問を抱いており、セレステと4人の女性が関与しているのではと疑います。
そして精神不安定なセレステから孫二人の親権を奪う裁判を起こします。
『ビッグ・リトル・ライズ』シーズン2感想
シーズン2も好調な「ビッグ・リトル・ライズ」でした。
シーズン1のほうが動きがあったけれど、シーズン2もまぁまぁでした。
やっぱりAリスター俳優は違う!全然ちがーう!動画配信サービスで出てくるような若手のチャライ俳優とか見飽きてる目には、深い目薬をさしているかのようなリフレッシュぶり。
顔の造形とかでなく、ずっと見てても飽きないんですよね。ニコール・キッドマンなんかそれでいて52歳とは思えない美しさを放っているし、押しも押されもしない大女優だなと実感します。
ニコール・キッドマンは昔から美しさをひけらかしているような気がしてたんだけど、自分でも美しさを分かっていて、それが女優として諸刃の剣になることもちゃんと理解しているのよね。だから「めぐりあう時間たち」では特殊メイクをして不細工にしたり、「Destroyer(2018年)」では干上がった中年おばさんを演じたりする。
というわけで最近けっこうニコール・キッドマンが好きになってきました。映画キチ男のふかづめさんの現代女優十選の三位に食い込むだけあるわぁ。
でも本作「ビッグ・リトル・ライズ」のニコール・キッドマンはとても自然で美しいセレブママ役です。長身だから何着てもファッションが様になって格好いい。
ニコール・キッドマン演じるセレステは、愛する旦那ペリーがDV男。シーズン1でペリーは死んでしまうのだが、ペリーが死んだ後も彼を思慕する思いが強く、ときには暴力とセックスが混じったシーンさえ回顧して彼を恋しく思っている。いかにも人間くさいではないか。
DVを受けている女性に他人が与えられる進言は「Leave him」という言葉しかないし、それしか方法はないのも事実。しかしセレステのようにそれでもまだ旦那を愛しているケースが多いと思うのよね。愛ではなく情かもしれないし、それはノーマルな人間が知っている愛とは異なるに違いないのだけれど。
だから暴力男が死んだバンザーイではなく、セレステが安堵、喪失感、悲しみ、寂しさというローラーコースターのような心理を抱えるのは当然なわけで、このドラマは限られた時間の中でうまくその様子を表現できていました。ペリーは息子二人に暴力を振るうことはなく、いい父親だったからね。
ノーマルな私からすると、ご乱交は行き過ぎの感じもしたけれど、セレステほど愛する夫からDVを受けていたら想像できなくもないですね。
「暴力されたのにセックスするなんて」というノーマル人間も多いと思うけれど、暴力とセックスは密接な関係にあるし、異常な人物にとっては暴力がセックスの代替でもあるわけですから。
さらにはセックスで心の痛みを一時忘れるという効果もあるじゃないですか。
そんなセレステをシーズン2で窮地に貶めるのはやはりこの人、メリル・ストリープ。夫ペリーの母メアリー・ルイーズです。いかにも姑って感じ。よくできました。
メリル・ストリープは夫ペリーが階段を踏み外して死んだとは信じておらず、5人の女性が関与していると疑っています。
同時にセレステはセレステの二人の息子(自分にとっては孫)の親権を奪おうとします。
この姑は、一言でいうと完全にソーシオパス。モントレー5の5人と話している様子をみていれば分ると思うけど、コミュニケーションが一方通行でしょう?人の話を聞いていないし、他人の感情を推し測ることをしない。そら私だって人の話を聞きませんけど、他人の感情は推し図りますよ。
子どもたち二人を奪われるわけにはいかない四面楚歌のセレステは、裁判でペリーの暴力的な一面の原因を子ども時代に帰属させたけれど、DV男ペリーもやはりメンタル・フィジカルの暴力の被害者だったことにメアリールイーズはこの時はじめて気づかされたのかもしれないね。
私たちの時代と親たちの時代の社会理念や慣習はかなり異なるので、暴力の定義も異なる。とはいえ暴力は連鎖するというのは時代が違っても変わらない真理で、本人が気づかない限り、それは繰り返される。
セレステがメアリールイーズに反撃してやりこめるというわけではない裁判の様子もグッときた。勝訴したあと、息子にお婆ちゃんのところにいってハグさせるセレステの寛容さにも胸アツ。
マデリンはうっかりシーズン1の不倫がエドにバレてしまって、夫婦の危機に瀕するんだけど、ピンチはチャンス!でもエドって本当になんかツマラナイよね。誠実なのは分かるんだけど、こういう感じの夫は私は無理かもしれないな…マデリンきっとまた浮気すんだろうなー。
ジューンは出番少なかった。ジューンじゃなくてジェーンか。コーリーとの恋愛も割とどうでもいいや。
シーズン1から赤丸急上昇だったのはボニー。ボニーもまた母親からの暴力を受けた子ども時代を過ごしており、確執が残っていた。あのときペリーを押したのがボニーだったのも、自分が暴力を受けている姿と重なったからなのでしょう。
ボニー訳のクラビッツ嬢の儚げで虚ろな表情が魅力的で、見惚れたの認める。もうちょっと太ってくれればいうことない。
そしてモントレーのメドゥーサことレナータ(ローラ・ダーン)!!
ローラ・ダーン様!!と叫びたいくらい好きだわぁ。
劇中、ウーマン・イン・パワーに選ばれて写真撮影している時のローラ・ダーン様のドヤ顔がたまらん。成金風情もお茶の子さいさいのダーン様。
このローラ・ダーン様演じるレナータの旦那が破産しちゃって、何もかも失う羽目になるんですね。レナータ自身はPaypalのCEOなんだけど。
この二人の行く末がすごい気になったまま終わってしまったので、もっと観たかった…というかローラ・ダーン様がもっと観たいんだよ!!
なんならスピンオフでもいいよ。
本作のローラ・ダーン様のヘアスタイルが超可愛い。52歳でも髪がツヤツヤ、驚異的。