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Netflix【ゴッドレス-神の消えた町-】あらすじ&感想:最高の西部劇ドラマ(ネタバレなし)

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Godless/Netflix

Netflixオリジナルドラマ「ゴッドレスー神の消えた町ー」のあらすじ&感想です。

「ゴッドレスー神の消えた町ー」はリミテッドエディションということなので、シーズン1の7話で完結しています。しかし、評判がいいので、続編を作ろうと思えば作れると思います。

 

【ゴッドレスー神の消えた町ー】あらすじ

ニューメキシコの鉱山町ラ・ベルは、2年前に起きた鉱山事故で86人の男たちが死亡。残された未亡人だけで町を切り盛りしていますが、鉱山を開発業者に売ることにします。

フランク・グリフィンは30人のならず者を引き連れて、次々と町や列車を襲い、強奪を続けるのですが、息子のように育てたロイ・グッドに裏切られ、金を盗まれます。復讐に燃えるフランクは、行く先々で人々に災いをもたらしながら、ロイを執拗に追います。

傷ついたロイは、ラ・ベルの町はずれで牧場を経営しているアリスの元に身を寄せますが、フランクの魔の手が忍び寄ります。

 

【ゴッドレスー神の消えた町ー】感想(ネタバレなし)

大変な良作です。Netflixのドラマはおもしろいものばかりですね。ハリウッドのアメコミに食傷気味なんですが、Netflixが次々とクオリティの高いドラマを出してくれているので、おかげさまで私のエンタメ生活は豊かさを保っています。

先に言っておきますと、私はアメコミものだけじゃなく、西部劇もあまり好きではないほうです。でも良作はやはり違いますね。ヤングガンなんて今見ても面白いし、時代を超えて楽しめます。本作「ゴッドレスー神の消えた町ー」もその一つに仲間入りしました。

まず良かったのはキャスト。それぞれのキャラが存在感を十分に発していて、登場人物は多めですが混乱することはありません。キャストの起用にも、こだわりが見られました。Netflixのドラマは、キャストの人選が絶妙です。

ロイ・グッドを演じるジャック・オコーネルは、レジェンド的な早撃ち名手なのに、母性本能くすぐるタイプを見事に演じました。フランクたち30人に追われる危機的状況を腕一本で切り抜けてしまう凄腕の名手ですが、外見はシンプルでまったくそのように見えないというギャップがたまりません。いやみが全くなく、好感が持てました。

ロイを助けた未亡人アリスは、壮絶な過去を持ち、気丈で強い女性です。強い意志を感じさせるくっきりとした眉毛、ニコリともしない表情。ミシェル・ドッカリーさんはアリス役にピッタリでした。

次にラ・ベルに住んでいるマギー(メアリー・アグネス)。マギー役は、メリット・ウィーバー。ウォーキング・デッドでデニースを演じていた、ぽっちゃりの女性です。今回はだいぶ体重を落としてきてましたね。デニースはレズビアンでしたが、今回もマギーはバイセクシュアルの役でした。メリット・ウィーバーてレズビアンかしら?と調べてみたところ、ボーイフレンドがいます。お母さんがかなり進歩的な左翼リベラルらしいので、レズビアン役が多いのはその影響かもしれませんね。

デニースを演じていたときは特になんとも思わなかったものの、本作マギーでは圧倒的な存在感を見せてくれます。同じ人とは思えないくらいです。これは、やはり製作側の手腕によるところなのでしょうか。格好良かったです。

ラ・ベルの保安官のビルも素晴らしかった。実際はデキる奴なのに、周りにはどんくさい頼りにならない男と見られています(アリス以外)。こういうキャラ設定が絶妙なんだよなぁ。

保安官助手の若い好青年ホワイティ役は、ラブ・アクチュアリーの子役とゲーム・オブ・スローンズでお馴染みのトーマス君です。子どもの時から顔が変わってないな。童顔ですね。最後、ホワイティがちょっとかわいそうでした。

そして希代の悪役フランク・グリフィンにはジェフ・ダニエルズです。 実は、ジェフ・ダニエルズだということにまったく気がつきませんでした。なんか見たことあるなーこのおっさん、誰だっけ?とは思ったんですが。見終わって、キャスト情報見ている時に初めて知ったというぐらい、フランク・グリフィンになりきってます。凄いわ・・・

メインキャラはこの辺ですが、脇役も全員文句なし。全員が全員、大事な役目をそれぞれ果たしていて、ドラマのクオリティを格上げしています。ネイティブアメリカンのお婆ちゃんアイオービ(アイオービがロイたちと狩りにいったシーンは爆笑もの、特に魚を取るシーン)、開発業者と町の利益で揺れるナイーブな町長的存在のシャーロット(娼婦でした?)、フランクの仲間の小悪魔ツインのデブリン兄弟、フランクの右腕、開発業者の嫌~な男(サンズ・オブ・アナーキーのキム・コーテス!)、脅されてフランクに魂を売るジャーナリストの男などなど、みんな光ってるわ。

細かい人物描写もさることながら、各キャラの心情の機微にも触れているので、登場人物に共感しやすく、ドラマに入り込むことができます。(これは・・・ウォーキング・デッドをNetflixにバトンタッチしてもらいたいくらいだわ・・・ )

悪役のフランクを見ていると、ウォーキング・デッドのニーガンを思い出しましたね。時代設定は違いますが、よく似ています。ならず者を管理し、行く手を阻む者は皆殺しという悪党ですが、自分なりの信条があって、ところどころで「えっ?」というシーンがあります。それは他人への優しさというよりは、自分の信念に忠実であるだけなのかもしれませんが、フランクを興味深いキャラにするという意味では成功したと言えるでしょう。

アメリカのウェスタン時代が実際どんな感じだったのかは映画を通してしか知りませんが、広大な荒野で、みんなが銃を持っている・・・という設定だけでも、フランクのようなならず者が幅を利かせていた時代だというのは想像に難くないですね。こうして歴史背景を振り返ってみると、現在のアメリカから銃をなくすのは不可能だということをあらためて実感するのですが、どうでしょうか。

逆にいうと、自分の土地は自分で守るという領土への強い意識も植え付けられますし、自分の命や家族の命、財産は自分で守るという強い防衛意識も培われますね。アメリカもいろいろ問題を抱える国ではありますが、こうした国土への強い関心と占有意識、ディフェンス意識の強さは日本が見習わなければならない点です。

また、このような荒野の環境で、信仰心が大事になる背景も理解できました。実際に神父さまが出てくるのは、戦いが終わった最後の回なので、ゴッドレスー神の消えた町ーのタイトルがしんみりと響いてきました。

外敵が少ない日本でキリスト教が普及しなかったのも分かる気がします。自然災害が多い日本ですから、森羅万象に神が宿ると考えるのも自然ですね。信仰心は、その土地の環境によって形を変えるのでしょう。

ストーリーもそれぞれが絡み合って、濃厚な物語になっています。各方面から流れてくる小川が、最終回で合流して大きな川になるイメージです。

映画のロケ地もえらい綺麗なところでした。ニューメキシコ州の北部で撮影されたようです。馬が走る風景を見ているだけでもウットリするほどの景観でした。ロイがアリスの馬を調教していくシーンがあるのですが、この一連のシーンを見るだけでも価値のあるドラマだったと思います。