海外のサイトでは、毎年「危険な都市ランキング」が発表されます。
サイトによって順位の入れ替わりが多少ありますが、だいたいどのサイトもワースト10は同じような結果が出ています。
2017年の「危険な都市」ワースト10位を調べてみました。
世界で最も危険な都市はどこ?
人口10万人あたりの殺人件数を基準にしています。
人口30万人以上の主要都市が対象です。
戦争地帯、紛争地帯は除外します。
ソース:ワールドアトラス
ワースト10は、中南米の都市が占めています。ちなみにワースト50も、多くが中南米に集中していて、アメリカの数都市とアフリカの数都市がランクインしています。
治安が悪いイメージのある南アのケープタウンで13位(60.77)。ヨハネスブルグよりも2倍ほど殺人件数が多いです。ヨハネスブルグの方が殺人件数が少ないとは意外でした。
アメリカで一番殺人件数が多く危険な都市はセントルイス。14位(60.37)にランクインしています。アメリカもやはり地域によっては、かなり危険ですね。
Netflixのドラマ「ナルコス」シーズン3(感想ここ)の舞台でもあるコロンビアのカリは20位(54.00)。アメリカのセントルイスの方が殺人件数が多いんですね。カリ・カルテルが暗躍していた頃であれば、カリの方が殺人件数は多かったんじゃないでしょうか。
南カリフォルニアからの旅行者も多いメキシコの国境近くの都市ティファナは21位(53.06)で、やはり危険度が高いです。
10.ナタール(ブラジル)
ナタールは、ブラジルの最東端にある、南大西洋に面した人口80万の都市です。美しいビーチがある観光都市ですが、10万人あたりの殺人件数は69.56人にものぼります。
ナタールはここ10年ほどで殺人件数が最も増加している都市です。
武装強盗も多く、歩行者や信号待ちの車を襲う事件が多発しています。
ダウンタウン、売春街(英語で red light districts)は特に犯罪が多く、女性が男性の飲み物に薬を入れて意識を失わせ、その間に窃盗をする事件も多発しています。
2017年1月には、ナタールの刑務所で暴動が起き、26名が死亡しています。
9.バレンシア(ベネズエラ)
9位、8位と、石油暴落で経済が悪化し、政情不安定となっているベネズエラの都市がランクインしました。
8.シウダーグアヤナ(ベネズエラ)
7.サン・サルバドール(エルサルバドル)
エルサルバドルの首都サン・サルバドールが83.39で7位。
ギャング絡みによる殺人で、サン・サルバドールの殺人件数は大戦後最悪の数字に。
ギャング抗争、復讐殺人、車を流しながらの銃撃が多発しています。
サン・サルバドールは豊かな都市ですが、不平等が多いため、経済格差が激しく、貧困層では小規模の麻薬売買や強盗が多く発生しています。
サン・サルバドールを支配するギャングはMS-13とバリオ18の2つ。MS-13はもともとロスアンゼルスで中央アメリカ(多くはエル・サルバドル)出身の不法移民が構成したギャングであり、ロスアンゼルスから強制送還されたメンバーが現在サン・サルバドールを牛耳っています。
MS-13のMSはマラ・サルバトルチャのこと。
MS-13のギャングメンバーは体中や顔に多くのタトゥーを入れているので、写真で見たことある方も多いのではないでしょうか。
6.マトゥリン(ベネズエラ)
ベネズエラの経済悪化に伴い、ベネズエラの都市で殺人事件が増加しています。マトゥリンは82.84件。
5.シウダー・ヴィクトリア(メキシコ)
メキシコ北東部の都市シウダー・ヴィクトリア。殺人件数は84.67で、メキシコで2番目に殺人が多い都市。2015年には91位だったシウダー・ヴィクトリアですが、ここ5年で殺人が激増しており、一気にワースト5位に。
メキシコの麻薬組織ガルフ・カルテルとロス・セタスがこの都市の支配を巡って抗争を繰り広げていることが関係していると思われます。
シウダー・ヴィクトリアに住む一般市民は夜間の外出を控えるようにと警告が出されています。また、人々はSNSで、武装勢力やトラックの車列などがないか、情報を確認し合い、細心の注意を払っています。
4.ディストリオ・セントラル(ホンデュラス)
ホンデュラスの南部にあるディストリア・セントラル(セントラル・ディストリクト)は112.09で3位のサンペドロ・スラと同点。テグシガルパの中に位置します。
麻薬密売人のストップオーバー地点としても有名です。
3.サンペドロ・スラ(ホンデュラス)
murder capital of the world(世界の殺人都)との異名をとるホンデュラスのサンペドロ・スラは、112.09件。4位のディストリオ・セントラル(ホンデュラス)と同点です。
サンペドロ・スラはホンデュラスの北部に位置し、麻薬カルテルのホームタウンのようになっており、麻薬カルテルがギャングを支配しています。多くのギャングが混在しているため、ギャングの抗争が日常的となり、殺人件数を押し上げています。
弱体化した政府や社会システムと人々の貧困が要因の一つです。
2.アカプルコ(メキシコ)
麻薬カルテルの大物エル・チャポが逮捕され、ここ数年、メキシコ全体の殺人件数は減少しています。
一方、10万人あたりの殺人件数が113.24と、メキシコで最も殺人事件が多い都市となったメキシコのアカプルコ。
アカプルコは美しいビーチがある観光名所として有名ですが、麻薬カルテルの抗争や、武装強盗など、危険と隣り合わせです。
アカプルコ自体は富裕な都市ですが、警察や政治家の汚職がはびこっているため、犯罪がいっこうに減りません。犯罪のわずか8%しか起訴されていないのです。
数年前もアカプルコの高級ホテルで大量虐殺があり、観光で来ていたアメリカ人などが犠牲になりました。
麻薬犯罪組織の抗争で、数十人の人々が変わり果てた姿で見つかるなど、治安の悪さが深刻になっています。
43人の学生が誘拐され、行方不明になり、後日、変わり果てた姿で見つかったのもアカプルコ近郊でした。
1.カラカス(ベネズエラ)
ワースト1位はベネズエラのカラカスで、殺人件数は130.35。
カラカスは2015年には58位でした。
石油暴落により経済が困窮していたベネズエラに追い打ちをかけたのがチャベス大統領。政府の政策は、経済の復旧どころか、犯罪組織の暗躍と貧困を悪化させてしまいました。人々は食べ物に困り、犬まで食する窮状も見られるようです。
カラカスは反政府デモも度々発生しています。
ワースト10のうち、4都市がベネズエラということで、経済悪化の影響が如実に物語っていますね。
ほかホンデュラス、メキシコ、エルサルバドルと、麻薬組織による殺人件数が多いことが分かります。
最も安全な都市はどこ?
それでは、世界で最も安全な主要都市はどこでしょうか?
皆さん、すでに想像がつくと思いますが、もちろん東京です。
2位がシンガポール、3位が大阪となっています。
こうしてワースト10を調べていると、とても同じ世界とは思えませんね。
治安も国の大事なインフラのひとつです。その価値に気付かないと、容易に失いやすくなりますので、治安の良さが日本の大事なインフラのひとつであることを忘れないようにしたいものです。