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スタンフォードでいちばん人気の授業:高卒アメリカ人旦那がスタンフォード流だった

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先日、当ブログで「スタンフォードでいちばん人気の授業」の書評を書きました。

実は本著を読んでいて気づいたことがあります。

それは本著で紹介されている内容の多くが、リクライナーチェアでふんぞり返ってyoutubeのクソ笑える動画を見て笑ってる旦那と一致しているという驚愕の発見です。

アメリカ人の夫は高卒です。飛び級で17歳で卒業したので、バカではないと思いますが、大卒ではありません。学歴差別のために言っているのではなく、高卒の彼がスタンフォードで教えられている人気の授業の多くを習得していることを強調するために初めに申し上げておきます。

本を読み進めれば読み進めるほど、スタンフォード流を旦那がすでに習得しているということに私は純粋に驚きを隠せませんでした。

この世にはスタンフォード行かずにスタンフォード流を身に着けている人もいる。頭で論理的に考えるのではなく、現在の資本主義社会で直観的に何がベストかが理解している人がいる。

今回はそんな話です。

 

スタンフォードでいちばん人気の授業と高卒夫の共通点

決断の量は最小限に

本著では人間の脳には限界があるという事実から「選択の科学」について記述しています。人は選択肢が多すぎると全体を把握できずに適切な判断ができなくなる。そして、選択の回数が多ければ多いほど、決断疲れしてしまうというものです。 

一流の人は自分の限界を知っているので、決断の量を減らしているといいます。彼らは日常をルーティーン化することで決断の量を減らすのです。毎日ネイビーのスーツに白シャツを着る、同じ店で同じ物を買うといったように、日常で選択しなければならないことをできるだけ少なくします。

そこで旦那に目をやってみると、彼は一年365日、TシャツにGパンまたはワークパンツを着ています。下着も一種類、靴下は白と黒と二種類、いずれも20年以上も同じメーカーの同じ商品を着ています。Tシャツやパンツ類も同じメーカーの同じ商品を買います。

どんなに「他の試したら」と言っても同じ物しか着ないので、その商品を売っている店がどんどんなくなってしまい、今はJCペニーのオンラインでしか取り寄せることができないということもしばしばあります。竹しか食べないパンダか。

車の運転も常に同じルートしか走りません。私はADD爆発で、同じルートだと景色が同じで飽きてしまうのでちょいちょい別ルートを走ったり開拓しようと思う方なんですが、旦那はバカの一つ覚えのように同じルートしか通りません。

お店や場所も、いつも行くところしか行きません。新しい場所に行くということさえ考えないようです。食べ物についてもシンプルで、同じものを毎日食べても大丈夫な人です。

ヘアカットも20年以上もずっと同じです。もちろん同じ床屋で散髪します。石鹸やデオドラント、歯磨き粉、タオルといった日用品もまったく同じものをずーーーーーーーーーーーっと使っています。

ちょっとは違うもの試してみればいいのに…人生エンジョイしてみては…なんて思っていました。要はシンプルすぎるんですね。脳もシンプルだけど、ライフスタイルもシンプルです。あれ?脳がシンプルだから、ライフスタイルもシンプルなのか。

シンプルでつまらなそうなルーティンですが、よくよく考えてみると、本著に書いてあるように決断の量を減らすことは決断疲れを回避することにつながります。

考えてみてください。朝起きて一日を始める時に私たちが最初にでくわす選択は「何を着ようかな?」から始まり、一日中、選択することばかりです。

しかし日常をルーティン化していると、いつものTシャツにGパンに手を伸ばせばいいだけですから、何を着ようか悩まなくて済むわけです。

普段余計な選択をしなくていいことの効果は、大事なところで決断ができる余力があるということです。朝から晩まで選択ばかりしていたら決断疲れを起こして、ここぞの時に決断力が鈍るリスクがあるわけです。

投資の神様とよばれるウォーレン・バフェットはいつも同じサンドイッチを食べてコカ・コーラを飲んでいます。イチローは毎朝のカレーはやめたらしいですが、人は彼をルーティーンの鬼と呼んでいます。

旦那は彼らのような天才ではありませんが、サバイバル力が高いです。それこそラストマン・スタンディングにかなり近い人間だと思います。彼の場合はあいにく投資の才やビジネスの才、アスリートの才はありませんが、いざというときに生死に関わる決断を的確にできるという才があります。

日常をルーチン化することで無駄な選択をする機会を最低限にし、「生き延びっぞー」というサバイバル力(原始社会、資本主義社会を問わず)を温存しているというわけです。

 

エリートの落とし穴とは無縁

本著ではエリートの人たちがエリート像の理想を追求するために出世できないという例が紹介されていました。落とし穴はエリートたちだけではありません。ふつうの人たちも「こうあるべき」を追求して競争に勝てない時があるはずです。

夫はエリートでもなければエリートになりたい願望も出世願望もないのですが、周りを蹴落としても這い上がろうとするようなハイエナばかりの社会での身の振り方を知っています。

彼が長年いた軍隊の世界もポリティクスがあり、その内情は民間企業よりいやらしく過酷かもしれません。夫は変わり者で友人を作らないローナータイプなので、嫌われたり目の敵にされることもよくありました。それでもどう対応したら良いかを本能的に知っています。

もともと「こうあるべき」という理想像や「こうするべき」という思考がなく、脳内がフラットなために臨機応変に対応できるのだと思いました。

 

職場でユーモアを使う回数が多い

人の感情は伝染するので、上司がイライラしていると職場も殺伐とした雰囲気になります。

本著では有能な上司ほど、職場でユーモアを言う回数が多く、結果として生産性が上がるという結論を紹介しています。

夫も同様にユーモアを欠かさない人で、民間の職場ではユーモアばかり言っているのですが、彼が来てから職場の雰囲気が楽しくなったという声を直属のボスや経営者から聞いています。

夫曰く、なにごともユーモアをもつことが人生において大事だそうです。特に日本ではユーモアが過小評価されていて、たとえば日本の野球試合について「真剣勝負なのは分かるがシリアスすぎる、負けた時にはこの世の終わりのように思っている、もう少しユーモアをもってゲームを楽しむべきだ」という考えでした。

 

レジリエンス

心理学におけるレジリエンス(resilience)とは、社会的ディスアドバンテージや、己に不利な状況において、そういった状況に自身のライフタスクを適応させる個人の能力と定義される。

それら不利な状況やストレスとは、家族、人間関係、健康問題、職場や金銭的な心配事、その他より起こり得る。

「脆弱性 (vulnerability) 」の反対の概念であり、自発的治癒力の意味である。

「精神的回復力」「抵抗力」「復元力」「耐久力」などとも訳されるが、訳語を用いずそのままレジリエンス、またはレジリアンスと表記して用いることが多い。

レジリエンス (心理学) - Wikipedia

レジリエンスはちょうど竹をグーっと引っ張って手を離すと元の位置に戻っていくイメージです。

夫が精神的なダメージを受けるということが考えられない…傷つくことはあるのだろうか、感情があるのだろうかと思うこともしばしばです。本人に聞けば「あるよ~ん」とか言うだけだし、脳内がシンプルすぎて逆に理解できません。こちらが悩んでいるのが馬鹿らしくなる。

彼の格言を一つ紹介します。

As long as we are above ground, that's what matters.

 

まとめ

以上、スタンフォードでいちばん人気の授業の内容と我が夫との共通点を考察してみました。

スタンフォードが教えているのは普遍的なことであり、そして原始的な夫がそれを実践していたという発見は、技術が進化して社会が発展しても普遍的なことは変わらないということを私に確信させてくれます。

では彼は私と何が違うのでしょうか。

思うに人間の本質は変わらないはずですが、テクノロジーの進化と社会の発展によって、私たち現代人の本能的な部分は不要になり、脳内の奥に押し込められています。

一方、原始的な思考の持ち主である夫は本能に従って動いているため、現代人が脳内の奥にしまった普遍的な真理ー広義の意味でのサバイバル本能(人間関係、オフィスでどう立ち回っていくか、失敗から立ち直るなど)をしまわずに活用しているのだと思われます。

なんだか夫を被験者のように扱ってしまいましたが、おもしろい発見だったので記事にしました。