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【妻たちの落とし前】2019年4月日本公開映画あらすじ感想:鼻垂れヴィオラとコリンの眉は美しい

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妻たちの落とし前

こんにちは、コスコ会員です。

あなたはコスコ会員ですか?

アメリカのコスコ会員のまま日本に来てそのままカードを流用しているのだけれど(最初に利用したときだけ住所、名前、テレホンナンバーあたりを書いた)、日本のコスコのクリーンさと整然さにいつも驚愕しています。

映画館の静けさ同様に、日本のコスコもちっとも落ち着きません。やけに綺麗だし、静かだし、整然としているので、もしかしたら買い物をしているこのショッパーたちは「ゼイリブ」のようにエイリアンなのかもしれません。中東の人たちは生先端のテクノロジーで摩訶不思議な物を生み出し続ける日本人のことをエイリアンだと思っている節があるそうです。納得!

そんなことを思いながら日本の消費に貢献してきました。クソー、コスコは絶対に諭吉を使わせようとすな。あっ現金忘れた。日本のコスコってクレカはマスターカードしか扱ってないの知ってました?その話をすると長いのでまた今度ね!

そんなわけで本題です。 

今日の映画は「妻たちの落とし前」でございます。何やら極妻を思い出すようなタイトルですが、観終わってみるとなかなかセンスのある邦題と思いました。これはきっとmaribuさんが付けたんだな。

「妻たちの落とし前」はヴィオラ・デイヴィスが鼻垂らしながらも「こなくそ旦那ー」と言いながら渾身の復讐強盗を企てる感動のクライムドラマでございます。

強盗チームの未亡人たちが崖っぷちに立たされ、素人強盗を計画実行します。オーシャンズ8の犯罪者未亡人バージョンのようですが、オーシャンズは美を堪能しながらのポップな絵面である一方、こちらはダークで暗~い強盗物語であることにご注意くださいね。

そんでもって、たまたま、いえね、またまた、たまたまなんですけどね、コリン・ファレルが出てるんですよー。リアリー?

これはコリン・ファレルの批評記事ばっかり書いてるふかづめ師匠も見逃せません。

「妻たちの落とし前」日本公開は2019年4月ですので、ネタバレなしでお届けします。

 

【妻たちの落とし前】作品情報

原題:Widows

公開年:2018年(アメリカ)2019年(日本)

監督:スティーブ・マックイーン

出演:ヴィオラ・デイヴィス、リーアム・ニーソン、エリザベス・デビッキ、コリン・ファレル・ロバート・デュバル、ダニエル・カルーヤ、ミシェル・ロドリゲス、ジョン・バーンサル

上映時間:129分

監督はスティーブ・マックイーン。「ふーん、スティーブ・マックイーン、監督業までやってたのか」ってもう死んでるや。

スティーブ好きを公言するやなぎやさんごめん、「ハンガー」「それでも夜は明ける」の監督の方のマックイーンだったわ。

出演俳優は鼻垂れ女優ヴィオラ・デイヴィスに始まり、誘拐の達人リーアム・ニーソン、あちこち頭を動かすパニッシャーのジョン・バーンサル、八の字眉毛の色男コリン・ファレルと早々たるキャストメンバーです。

 

【妻たちの落とし前】あらすじ

リーアム・ニーソンやジョン・バーンサルら4人の強盗団は、強盗直後に警察に襲撃されて全滅する。

死ぬ前に強奪した200万ドル(2億円強)は、シカゴの犯罪者で市議会議員に出馬しているマニングの金だった。

残されたリーアム・ニーソンの妻ヴィオラ・デイヴィスは、マニングに2億を返せと脅される。

ヴィオラは未来の強盗計画の詳細が書かれたハリーのメモ帳を発見し、残された強盗仲間の未亡人たちと協力して、マニングの政敵コリン・ファレルから500万ドルを奪おうとする。

 

【妻たちの落とし前】ネタバレなし感想

リーアム・ニーソンとヴィオラ・デイヴィスの濃厚キッスから始まるファーストシーン。白人男性と黒人女性の夫婦のベッドシーンに「よせいや、またポリコレぶっこむか」とため息をつきたくなる気持ちは分かるけど、ちょっと我慢してな。

その後も二人のイチャイチャ回想シーンが時折挿入されるけど「キモッ、中年夫婦のくせに嫁の指舐めてんなや」とか思わずに観続けて下さい。(中年夫婦で指を舐め倒してる人いるか?)

不美人だけれども実力派として評価されているヴィオラ・デイヴィスは、ナオミ・ワッツに次ぐ貴重な鼻水垂れ流しOK女優だが、むしろ鼻たらし過ぎてちょっと引くー

しかし抜群の存在感とスクリーン映えする容姿で映画を牽引する力は十分であることを証明してくれたヴィオラ・デイヴィス。スタイルが良いわけでもないのに何を着ても見栄えするし、どんな髪型をしてようが不思議とキマっている。

肺活量にも自信あり。多分、ご近所をパジャマとぼさぼさの髪で歩いていて、犬が昇天した話をすると鼻水出しながら一緒に号泣してくれる女優、それがヴィオラ・デイヴィス。

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不美人だがスクリーン映えするヴィオラ・デイヴィス

このヴィオラ・デイヴィスが誘拐犯の追跡に定評アリの親父リーアム・ニーソンの未亡人という設定です。まあ似合わないわな。

リーアム・ニーソンらが強奪した相手が危険なヤクザのマニング(そのくせ市議会議員に出馬)だったので、残されたヴィオラ・デイヴィスが「金返せ」と脅される羽目になります。

因みにヴィオラ・デイヴィスとハリーの長年の運転手だったギャレット・ディラハント(「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」のジョン)も出演しているが、せっかく良いキャラなのにちょこっとしか出てこないー。ギャレット・ディラハントは伸び代満点なので、フィアーで活かしてくれることを期待したい。もう中年だけれども。

ヴィオラは金に困っている他の未亡人二人(ミシェル・ロドリゲスとアリス)と協力して、市議会議員に出馬しているコリン・ファレルの金庫から500万ドルを奪う計画を立てる。※アマンダという未亡人がもう1人いるのだが(キャリー・クーン)、生後間もない子どもがいるので断る。

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強盗は慣れているミシェル・ロドリゲスと190cmのガリバーアリス

ミシェロドは子どもが2人いて自分の店も持っていたが、大黒柱の旦那が死んで店の家賃が払えなくなったので手放した。

金髪アリスはジョン・バーンサルの嫁で、DV夫ながらも夫の庇護でしか生きていない女なので、同じく金に困ってコールガールとして泣く泣く体を売ることに。

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アメリカのDQNにありがちな3本ラインのジャージが似合いすぎて辛いジョン・バーンサル

実はジョン・バーンサルの隣にいるこの金髪の未亡人アリスはこう見えても190cmもある女ガリバーなので、ジョン・バーンサルとも座位シーンしかないし、女子会でも他の妻たちとの身長差があり過ぎて画面に入れるのに監督が苦労した様子が伺えて涙を誘う。

したがって、ワイスピのじゃじゃ馬娘ことミシェロドがホビットのように見えるのはお前たちの目の錯覚です。ミシェロドでも165cmあるので日本人女性の殆どよりは大きいんだ。

この3人にミシェロドのベビーシッターのデニス・ロッドマン式ヘアーのシンシア・エリヴォがピンチヒッターの運転手として急きょ参戦することに。150cmちょいしかない小さな女性だが異様に足が速いベビーシッターにしてスプリンター。

ちなみに未亡人たちは互いのことを知らず、旦那達が死んだ後に初めてお目にかかる。立場は違えど、同じ境遇に置かれ、同じ目的のために手を組むという構図。それぞれの性格も事情も知らないのでオーシャンズのようなシスターフッドは皆無。

妻たちが突然大黒柱の夫を失って路頭に迷うことは誰にでもあり得ることで、突然二人の子を抱えるシングルマザーになったり、仕事さえしたことがないアリスがコールガールになって身を売る選択をせざるを得ない現実は身につまされるものがある。

しかし妻たちには悲しみに浸る贅沢は残されていない。マニングに2億を返さなければ、妻たちも間違いなくブチ殺される。

スティーブ・マックイーン監督は強い女性を描くことが多い。この映画の女性達もなんとか最終的に逆境を跳ね返す強さを発揮しているし、その描写はわざとらしくないのでいぶし銀のような趣がある。

尺をもう少し伸ばして妻たちと夫たちの関係や、夫たちの死後の妻たちの苦悩をもっと掘り下げても良かったように思うが、冒頭のわずかなシーンだけでもそれぞれの夫婦の間柄や見えない何かを理解できるという手際の良さはある。

崖っぷちでタイムリミットが迫りつつあるスリリングな設定は、ひとえにダニエル・カルーヤのおかげです。ダニエル・カルーヤときいてピンとこなかった人は2017年の名作ホラー「ゲット・アウト」を思い出して欲しい。

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「ゲット・アウト」のダニエル・カルーヤ

あの彼が本作では地元シカゴの犯罪者で市議会議員選に出馬しているマニングの弟で、汚れ役を一手に引き受けている。要は、脅し&殺し担当の怖い役。

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どーですかこのガンのつけかた

ボーリングのシーンで車椅子の彼を痛めつけるシーンは久しぶりに悪寒が走った。ダニエル・カルーヤは例えればステルス戦闘機、控えめで存在を消し続けてはいるが、確実にそこにいてその場をコントロールしている。

ストーリーは単純な強盗活劇ではなく、ヴィオラ・デイヴィスとリーアム・ニーソンの夫婦ドラマにも焦点が当てられている。実はある人物の存在と不在が二人の関係に大きな影を落としていたことが後半になって明らかになるのだが、そのとき、冒頭のイチャコラシーンのような時折劇中に挿入される二人のラブシーンが脳裏に浮かんで生きてくる。

何を言ってるのか分からないでしょう?私も分からないんですー。

ヴィオラ・デイヴィスとリーアム・ニーソンの夫婦が抱えていたものは単に二人だけの問題ではなく社会的な問題でもあるわけですが、この難しい問題に今のタイミングでアプローチしているのは度胸があるなと。

褒めるのはここまでだ。

手放しで褒めているかのような印象を覚えるかもしれないが、実は何かが引っかかってていて、この映画、名優やいろんな要素を詰め込み過ぎなんじゃないか?と思っていた矢先、脚本に私の嫌いなギリアン・フリンの名前を発見したわけです。ギリアン・フリンは「ゴーン・ガール」やドラマ「傷~KIZU~」の脚本家なんですけど、嫌いなのよねぇ、この脚本家。

そもそもマリガン役のコリン・ファレルとマリガンの父ロバート・デュヴァルは不要だったんじゃない?まあ私はコリン好きを豪語してるし、ロバート・デュヴァルだって好きだからいいんですけどね?名優詰め込みすぎて各俳優の時間が足りてないし、ゆっくり堪能する時間がないわけです。

ジョン・バーンサルなんてものの数秒の登場ですよ。だけど数秒でもピカリーンと光り過ぎちゃって誰もが脳裏に印象を刻まれるわけ。それなのに数秒しか出てこないというこの裏切り。

ヴィオラ・デイヴィスとリーアム・ニーソンの夫婦の抱えていた物という点についてもあの人物の事件は唐突に挿入されるし、二人の感情とりわけリーアム・ニーソンの言動と感情がまったく良く分からなくて混乱することしきり。強盗の実行についても計画もよく分からないし何よりそこに未亡人たちの奮闘が見られず淡々としている。

犯罪・強盗コンテンツに社会派ヒューマンドラマ入れてるから、結局どちらも中途半端な仕上げになってしまった感は否めない。ゴーン・ガールもそうだけど、いずれのシーンも重厚感あって意味ありげなのに、観終わったあとに「結局何だったんだろう。何の映画だったんだろう」と頭に大きなクエスチョンマークが浮かぶ映画と言いますか。

だからギリアン・フリンが嫌い。

結論からいうと俳優はみんな良かったし、撮り方も良かった。構想が悪い。

一番良かったのはコリン・ファレルの眉と犬です。

最後はコリン・ファレルを拝んで終わりにします。

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眩しいのでいつにもまして下がってます

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インタビュー時は元通りの色男