人知れず楽しみにしていたホラー映画『ブラッド・インフェルノ』を観ました。
前評判が良かった上に、ポスターにわらわらと「○○受賞」の文字が多数!これはカルト的ホラー人気まで昇華するかもしれんと期待しながらの鑑賞です。
「あなたは何分耐えられるか?!」
という魅力的なキャッチコピーに引き寄せられました。ホラー界の引き寄せの法則です。ホラー界の引き寄せの法則には、他にこんなのがあります。
- 全米震撼!!
- 全米No.1大ヒット!!
- 失神者続出!!
- タランティーノ絶賛!!
- あなたはこの恐怖に耐えられるか?
あなたは何分耐えられますか。
私は98分でしたが、やっとのことで耐えました。
【ブラッド・インフェルノ】作品情報
原題:Los Olidados/What The Waters Left Behind
制作年:2017年
監督:ルチアーノ・オネッティ、ニコラス・オネッティ(兄弟?)
出演:ポーラ・サーター、ヴィクトリア・モーレット、ゲルマン・バウディーノ、パウラ・ブラスカ、ミルタ・ブスネーリ、ヴィクトリオ・ダレッサンドロ
上映時間:98分
上映時間は98分と良心的、良質なホラー作品は大体98分~115分くらいに収まっている。確かアルゼンチン発。なので言語はスペイン語?ポルトガル語?
R18指定です。
【ブラッド・インフェルノ】あらすじ
洪水で廃墟となった町に、映画の撮影のため車でやってきたカーラをはじめとした6人の若者たち。
しかし、途中で車が立ち往生してしまい、仲間が最寄りのガソリンスタンドまで助けを呼びに行っているあいだ、カーラは2人の仲間とともに3人で、撮影のため墓地へ向かう。
辺りがすっかり暗くなった頃、一行は車に戻ってくるが、車に残っていたはずの仲間の姿がない。そんな彼らの前に、人の顔の皮で作った仮面をかぶった何者かが現れる。
【ブラッド・インフェルノ】感想
田舎の辺鄙なところに若者グループが行ったら変態鬼畜殺人ファミリーがいて襲われる田舎シチュエーションホラー。アルゼンチン版テキサスチェーンソーという呼び声も高い本作は、洪水で廃墟となった町の不気味な雰囲気で好調な出だしとなった。
いつもならウェーイ系の若者がパーティ気分でロードトリップしている設定なのだが、ここはアルゼンチンということもあってか、映画撮影グループという落ち着いた設定。女3人、男3人とバランスのいい犠牲者候補である。
瓦礫がブロック式に積み重なっている景色はまぁまぁ雰囲気がありました。家や土地が怖いやなぎやさんが「怖ァーーーーー!なんか出そー!」と騒ぎだして仲間にウザがられるレベル。シィーッ!やなぎやさん、ちょっと黙って。
さて、褒めるのは、ここまでだ。早くない?
何分耐えられますか?の答えは確かに98分だが、耐えたといっても別にグロさに耐えたわけではない。 つまらなさに耐えました。
久しぶりにちょっとムカついたわ、この映画。期待しただけに!
ビジュアル担当のベコちゃんが買ってたトイプードル系の犬キキがいます。ベコちゃんがナチョとカーセックスに邁進中にキキが攫われます。そしてベコとナチョ二人もさらわれます。
その後、他の3人が戻ってきて車内で待っていると、棒にくし刺しにされたキキが現れます。これが酷い。攫われたのはトイプー系の犬ですが、…棒にくし刺しにされているのは…これ、ぬいぐるみか?
一方、レズビアンのエリカさんは熊のワナに足を引っかけてしまいトッ捕まります。現場にはエリカさんの膝から下が残されておりました。
舞台は一転代わって殺人鬼たちのアジト。台まな板の上にエリカさんが繋がれていますが、足を斧で切られているのに全然平気なエリカさん。出血多量で死なないんですか?せめてレザーフェイスがしたように塩漬けするとか出血止めないと鮮度が落ちるのでは?
エリカさんの足を切断した後は、足をひき肉にしようとするのですが、おいちょっと待て!プレザーのレギンス脱がさないと挽き肉に混入するだろうが!そんなもん食えるかボケェッ!と家族に文句を言われると思います。
ムカつきはこれだけでは収まりません。
エリカさんの周りで殺人鬼の一人が「これは甥っこで~これは子犬ちゃんで~」と瓶詰めコレクションをカメラに向かって紹介し始めます。もう喋り通し。かつてこんなに喋ってた殺人鬼がいただろうか。ただでさえ怖くないのに、マスクも外して喋り出しちゃってるから、もはや通販ショッピング番組の雰囲気に。
マスクを被ってるならチラリズムを意識すべきなのに、こいつら3人はマスクもすぐ取っちゃうし、チラリズムが全然分かっていない。
テキサスチェーンソーのレザーフェイスが怖いのは、あれだけの巨体なのに動きが俊敏で、チラッとしかスクリーンに出ないというチラリズムに恩恵を受けている。「ギョッ!いま目に入ったの何!?」というチラリズムが怖いのであって、本作の3人はマスク被るどころか、最初から正体を明かしているのでちぃーとも怖くない。
そんな高くて重そうなマスクはお前たちには勿体ないので、これでも被っとけ!
この監督兄弟は、もう一度チラリズムホラーを勉強したほうがいいと~思うので~ありまーす!
一方、ビジュアル担当のベコちゃんは、もう1人のブリーフ親父とクラシック音楽聞いてます。そしてこのシーンが長ーい。やばい、もう耐えられない。
ティルダ・スウィントンのような静止画にも耐える俳優を映しているならともかく、この二人の長回しを見てなきゃいけないなんてそれこそ拷問です。
さらにホラー映画として失格な点は、途中で出てきた謎のおっさんである。撮影クルーの車が動かなくなった時にタイミング良くセダンで現れるイケメンのおっさんは、ガソリンホーズを買うために撮影クルーの一人を店まで乗せてってくれるのだが、こいつは敵なのか味方なのか判別がつかないミステリーマンである。
結果として彼は味方であることが判るのだが、このミステリーマンの無駄遣いが過ぎる。殺人鬼どもに反撃する機会がほとんどない撮影クルーたちの中で、ミステリーマンだけは銃を所持しており、殺人鬼たちとのファーストコンタクトを生き残った人物だ。
つまり「こいつがいれば何とかなるかもしれない」という視聴者の希望なのだ。しかし私たちの希望のおっさんは、殺人鬼たちのクリッピングアルバムを長々と眺めた上におそらくは娘も殺人鬼どもの毒牙にかかって殺害されたことを悟り、その場で自殺しようとする。
素性不明だけど強い味方が反撃してくれると期待しているのに、殺人鬼どものアジトに侵入したはいいが、誰もいないところで自殺しようとするだと?許すまじ!
しかしおっさんの自殺は、泣き叫ぶ撮影クルーによって妨害される。おっさんは新たな使命を得たのだ!撮影クルーたちを助けねばならないのである!よし、立ち上がれ、おっさん!奴らに復讐してやるのだ。
と意気揚々としていると、おっさんはあっさりとっつかまり、自分が助けてあげた撮影クルーにあやまって殺されてしまうという失態。許すまじィ!!!
そんな殺し方するなら、最初の自殺で殺してやれ。なんだこの詐欺まがいの演出は。
撮影クルーもろくに反撃することもなくあれよあれよと犠牲になっていくのだけれど、最後の方に1つだけツイスト的なオチがあって、それはまぁ落ち着くところに落ち着いたのではないでしょうか。
R18指定だけど、大してグロなかったなぁ…エリカさんの足切断シーンだけだったような…
あーつまんねーの見ちゃったなー。