ミセスGのブログ

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【少年は残酷な弓を射る】映画の感想:ティルダの目とエズラのエラが私を不安にさせる

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少年は残酷な弓を射る


【少年は残酷な弓を射る】の感想です。

息子がサイコパスになって、文字通り残酷な弓を射ってマスマーダー(大量殺人)を引き起こす話です。サイコパスの息子のエラとティルダ・スウィントンの目を見ているだけで不安になるスリラードラマです。

 

【少年は残酷な弓を射る】作品情報

原題:We Need To Talk About Kevin
製作年:2011年
上映時間:112分
監督:リン・ラムジー
出演:ティルダ・スウィントン、ジョン・C・ライリー、エズラ・ミラー
言語:英語
ジャンル:ドラマ、スリラー
 

【少年は残酷な弓を射る】あらすじ

自由を重んじ、それを満喫しながら生きてきた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)は、妊娠を機にそのキャリアを投げ打たざるを得なくなる。

それゆえに生まれてきた息子ケヴィン(エズラ・ミラー)との間にはどこか溝のようなものができてしまい、彼自身もエヴァに決して心を開こうとはしなかった。

やがて、美少年へと成長したケヴィンだったが、不穏な言動を繰り返した果てに、エヴァの人生そのものを破壊してしまう恐ろしい事件を引き起こす。

シネマトゥデイ

 

【少年は残酷な弓を射る】感想

物語は、エヴァの現在と回想シーンが同時に進行していきます。

ボロ屋の殺風景な家に一人暮らしのエヴァ。薬を飲みながら、ソファから重い体を引きずり起こします。外で音がするので見に行くと、家の正面と車に真っ赤なペンキがベットリぶちまけられています。

なにやら穏やかじゃありません。

住民に嫌われとる。

これが現在のエヴァさん。

エヴァさんの回想シーンから、息子が通う高校で何かとんでもないことをしでかしたことが分かります。

現在のエヴァは、周りから白い目で見られながら、時には平手打ちをされるような地獄のような日々です。

平手打ちされた時のティルダさんの演技はプライスレス。

そして回想シーンはさらに妊娠したときのエヴァへと時を遡ります。

この過去と現在の同時進行のパターンは、混乱しやすいのであまり好きな手法ではありません。でも本作は混乱することなく見られたので特に文句ありません。

ケビンは、赤ちゃんの頃、3歳くらいの頃、6歳くらいの頃、そして青年(エズラ・ミラー)と4つの年齢シーンに分かれています。

あらすじにあるように、主人公のエヴァは、トラベルライターとして成功し、自由を謳歌していたのですが、息子を身ごもったことによりキャリアをあきらめることになります。

しかし、問題は、この点が映画で全然触れられていないことです。冒頭にあるようなトマト投げ大会のシーンや、当時の彼氏と遊んでいる様子がちょこっと出るだけです。部屋に地図や伝統工芸品などを飾ったりするシーンは単なる趣味くらいにしか見えず、とても世界をまたにかけていたキャリアのあるトラベルライターには思えません。

劇中、本屋のウインドウにエヴァの写真と書籍が貼られているのをケビンが見ているシーンがあるのですが、そこでやっと「あら?エヴァってめちゃ有名な作家だったのね」と思ったぐらいです。

そのため、あらすじにあるような「息子のせいでキャリアをあきらめたので息子との間に溝が」という点が全然表現しきれておらず、息子のケビンが最初からダミアンだったようにしか思えません。 

普通に生まれてきた子が最初からサイコパスで親を苦しめるというのはあり得ません。後ほど大量殺人を犯すようなサイコパスは、成長過程に何かがあってサイコパスになるわけです。

ところが、ケビンの育児中、母親からの虐待があるわけでもないし、母親が息子をネグレクトしているわけでもないし、「あんたのせいで旅行行けなくなったじゃないの!あんたなんか産まなきゃよかったわ!」という態度が見られるとか、そういうシーンが全然ありません。

ティルダ・スウィントンの好演のおかげで、この母親の子どもへの接し方は、なんとなく距離がある(distant)ような違和感は感じます。でも、これで息子があんなサイコパスになるとは考えにくいです。

なので、ずっと「なんだこのガキ、ダミアンかよ」としか思えませんでした。

さらに続けると、ケビンのサイコパスぶりがあまりにも型にはまり過ぎています。いくらサイコパスでも、人間はこんな一辺倒じゃないはずです。サイコパスなりにパーソナリティがあります。しかしケビンのパーソナリティは「サイコパス」にしか焦点を当てていないので、白か黒かの極端なサイコパスロールモデルになっていて非常に残念でした。

エヴァの夫にしても一面しか描かれていないので、エヴァとの関係、ケビンとの関係が分かりづらく、とても家族とは思えませんでした。エヴァ(ティルダ・スウィントン)と夫(ジョン・C・ライリー)の間にもケミストリーが見られず、とても夫婦とは思えませんでした。

また、これだけサイコパスな言動を繰り返し、さらには妹の身まで危なくなっているのに、エヴァは誰にも相談することをしません。本作の原題は We Need To Talk About Kevin で、「ケビンについて話し合わなきゃ」という意味なので、皮肉った題名にしたのだと思います。自分の母親、児童保護局、先生、学校、ソーシャルワーカーなど、誰にも相談さえしていないってあり得ません。

夫がケビンのサイコな兆候にまったく気が付かないのもおかしい話ですし、エヴァ以外の誰もケビンのサイコな兆候に気が付いていないのもあり得ません。

たとえばIQの高く、manipulative として知られるシリアルキラー、テッド・バンディでさえも、周囲の人たちは「あいつは何かおかしい」と気づいていたのです。のちに大量殺人を犯すような人間の異常さに、母親しか気づかないということは絶対あり得ません。

何より怖かったのはティルダ・スウィントンのナチュラルアキュビューデファインの目と、エズラ・ミラーのエラでした。エズラ・ミラーはジャスティス・リーグで初めて見た時に「うわっ、なにこの人エラすごすぎ」と衝撃を受けました。エラ張ってる顔がどうしても苦手なんですよね。美少年は美少年なんですけど。

評価:45点